艦長室に各セクションの責任者が呼ばれて、一斉に辞令が交付される。
全ての乗員が1階級昇進、学生たちもまとめて2等兵、ただしMSパイロットのキラ・ヤマトは少尉…特進だ。

「あーあ、少佐か。面倒だなぁ」
 思わずムウはボヤいてしまう。
「働いてくださいね、フラガ少佐」
「ラミアス大尉だけを中佐か大佐にすればいいのに。戦艦の艦長なんだから」
 無茶苦茶な提案にマリューが苦笑う。
「ハルバートン提督はともかく…他の連邦軍上層はあまり私を信頼して無いのですから」
「俺がキミを見張れっての?」
「そういう意味なんでしょうね」
 艦の最高位が少佐、しかも2人。
 上官の死亡で代役から艦長になってしまったマリュー。  軍歴も長く、エースパイロットとして名を馳せているムウが下にいる、それだけでプレッシャーだと。
「ということなので、今後もよろしくご指導くださいね」
「何言ってるんだか。大気圏突入の判断…すごい度胸だと思ったぜ」
 重い沈黙。
 大きな犠牲。数多の命が散った戦場の宇宙。
「この艦とストライクは、提督の遺志なんだろ?守り通したんだから、それでいい。それよかこれから先のことを考えよう」
 マリューは息を吐く。口元は小さく笑っている。
 この男は言いたいことを言う、そしてその言葉に自分は励まされる。
 つまづいて転んだときには、手を差し伸べてくれる人がいる。

「そうですね。これから先…」


本編に続け!

2003/03/29 UP


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