Ulala's Swingin' Report Show・G-X 3
随分落っこちた気がするのに、何故か全員無傷なのは突っ込んじゃイケナイ。
カシッ!
カシカシカシカシーン!
スポットライトに照らされる銀色の髪。
マイクから響く少年の声。
「世界が大きな幸せに紡がれてゆく…。ボクの奏でるメロディでみんなが踊って、世界中がひとつになるんだ」
「きゃぁぁぁぁぁっ!クァン・リーさまぁぁぁぁ!!」
「クァン・リー!クァン・リー!!」
クァン・リーはお立ち台のような迫り出し舞台に立っていて、その周囲には歓声を上げているたくさんの観客…エスカーレの人々がまたまた洗脳されちゃっている。
♪世界の全てを踊らせて〜平和〜〜平和〜〜平和な世界へ導くのがボクの役目〜〜
ジャニー●風の白銀色ジャケットをはためかせ、歌って踊ってキメポーズのクァン・リー。
「おいこらっ!クァン・リー!いったいどういうツモリだ!?」
「キミたちも一緒に進化のダンスを踊ろうよ!あーっはっはっはっは!」
「わたしたちはこのままで十分よっ!進化だとかそんなのは自分たちで決められるわっ!」
エヴァンとうららのツッコミをサラリと無視するクァン・リー。
「せいぜいがんばるといいさ…ふふふふ…」
またまた指をパチーンと鳴らすと、ダンシング精霊獣が召喚される!
まずはリトライ土ボス2体が召喚されて踊り出す。
♪ぴーろーりーろーぴーろーりーろーぴろりろぴろりろぴろりろぴろりろ
「何故ピ●クレディのUFOをっ!」
「しかも結構カワイイです!がんばりましょう!」
「でもおれ振り付けわかんねーよ!」
戸惑うエヴァンに後方から援助の声、カーマインとジェイド!
「ちょっとーそれくらい楽勝でしょ!?」
「常識として踊れなくてはならない名曲だな!」
♪ちゃららちゃっちゃっちゃーちゃららちゃっちゃっちゃー
全員 「Right・Left・Right・!」「Left・Right・Left・!」
♪ちゃららちゃっちゃっちゃーちゃららちゃっちゃっちゃー
全員 「Up・Up・Up・!」「Up・Up・Up・!」
二人の強力なサポートで全体的に上手く踊れる…のだが、二人の年齢詐称疑惑が再浮上するのは後日のことである。
「かーんぺきに踊れましたー!」
「やったぞ、うらら!カーマイン、ジェイド、サンキュー!」
勝利ポーズの一同に笑みを浮かべてるクァン・リー。
「まだまだっ!今度はメドレーにしようか!」
次に召喚されたのは、ゼノス・リー率いる火・水・風・毒ボス、5体!
「今度は何だっつーの!?」
♪ちゃらら〜ちゃらららら〜らららららららららららら〜〜〜
「こ、これは…夜空ノムコウ?ということは、S●APのメドレー!?」
「くっそうっ!奴ら、上手いぞ…負けられるか!」
「青いイナズマ」「ダイナマイト」「がんばりましょう」「SHAKE」「はだかの王様」「セロリ」「$10」…
一体何曲やるんだか?ってくらい歌って踊る。
木村の立ち位置を巡って、カゲで数名のヒソカなバトルもあったが、結局はクロイツがその場を占めた。
最後に「らいおんハート」は締められる。
ダンシング精霊獣&エヴァンたち全員そろってキメ!
と…
うおおおおお〜〜と大歓声が響く。
どうやら観客たちの洗脳状態が解けかけてるらしい。
一瞬の不服そうな表情の後、まだ笑みを見せるクァン・リー。
「クァン・リー!あなたの好きにはさせないわ!」
「おまえ全然変わってねーじゃんか!」
「愚かだね…僕と踊ろうと言うんだね?究極生命である僕に勝てるわけないじゃない!」
エヴァンとうららがビシっとクァン・リーを指差して。
「そこまで言うなら踊りで決着をつけてやる!」
「因縁の対決、再びです!踊ってみなくてはわかりませんっ!」
クァン・リーが悔しそうにバタバタと地団太を踏む。
「なぜボクの事わかってくれない!?二人とも!キミたちはボク世界で踊っちゃえ〜〜!!!」
♪だだだだだだだだだだだだだ………
強い勢いのドラム音、COMBAT5だっ!
白く光るジャケットをバサ〜〜ッと脱ぎ飛ばすと、銀ラメ入りスパンコールキラキラピカピカの衣装を身にまとったダンシング・クァン・リーの登場だ!
「「ま…負けるもんかぁぁぁ!!!!」」
エヴァンとうららが同時に叫ぶ!
♪ちゃーらーらーーーーららーーーーらららーらーらーーーーららーーーー
クァン・リー「上・下・右・左・攻撃・攻撃・攻撃・!」
うらら 「Up・Down・Right・Left・Chu・Chu・Chu・!」
クァン・リー「・・・右・・・攻撃!・・・左・・・攻撃!」
うらら 「・・・Right・・・Chu!・・・Left・・・Chu!」
クァン・リー「左左左左左左上攻撃!」「右右右右右右下攻撃!」
うらら 「LefLefLefLefLefLefUpChu!」「RiRiRiRiRiRiRiDownChu!」
爪先立ったダンシング・クァン・リーの動きはバレエを連想させ、えらく優雅なんだけども圧倒的なパワーで押してくる。
でもエヴァンたちも負けてないっつーか、テンションが上がり全員の動きをビシっとそろえると、ダンシング・クァン・リーをも上回る踊りパワーが生まれ、どんどん楽しい雰囲気が空間を満たす。
「キミたちとボクと、どこが違うっていうんだ!!!」
「違うだろーがぁ!!」
エヴァンのツッコミにキレて、最後のパワーを放出するダンシング・クァン・リー。
クァン・リー「消えちゃえ!攻撃・攻撃!!」
エヴァン 「最後の一撃!エーックス・ステーップ!!」
……ビシィィィィィィ!
「………う……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!ソレが来るとはっ!」
最後に断末魔のツッコミを入れつつ、ダンシング・クァン・リーが崩れ落ちる…。
「負けた…究極生命であるこのボクが…ボクのダンスはカンペキだったハズ…」
ガックリと膝を付いたまま、クァン・リーが呆然としている。
「あのなぁ〜まだわかってないのかよぉ?」
「カンペキだとかいうのもいいけど、ダンスは楽しくなくっちゃ!」
はっとなるクァン・リー。
「そうか…ボクのダンスは楽しくなかったのか…」
「ちーがーうー!そうじゃなくってさぁ〜」
「楽しいダンスをしようとしないのは、クァン・リー、あなたじゃないですか!?」
「またみんなで楽しく踊ればいいじゃん!な?」
手を差し出すエヴァンとうららに対して、とても優しい笑みを浮かべると、少しずつ光を放つクァン・リー。
「ふふ。キミたちは優しいんだね…。でも、ボクはそんなふうに…つくられていない…」
こ、この展開は!?やっぱり…
「お、おいっ!?」
「待って、クァン・リー!」
クァン・リーの身体がフワリと浮き上がっていく。つかまえようとしたうららの手の中で、光の粒に変わってはじける。
「さよなら…ボクも楽しく踊りたかったよ…」
上からキラキラと音のカケラに似たモノが落ちてきて、エヴァンの手の中に納まる。
うららがそれを見つめて…
「クァン・リー!!!」
涙声で叫ぶ。
遠くから、クァン・リーの最後の声が響く…
「…またね…」
………
「またね?」
どーゆー意味だ、そりゃ?というツッコミは、こみ上げてくる笑いにかき消されてしまった。
♪ちゃらららららららちゃらららららららちゃらららららららちゃらららららららちゃっつーちゃっつーちゃぁぁぁ〜
エンディングテーマ曲のグランディアのテーマが鳴り始める。
うららがぴかぴかブルーのマイクをキュっと握り締める。
「ダンシング・クァン・リーの世界踊らせ大計画は解決しました!これでまたハッピーに満ちた日常が戻ってくることでしょう!以上、うららが、グランディアエクストリームの仲間たちと共に、激しく楽しくお伝えしました!」
『スペースチャンネル5!!』
全員でキメポーズ!
「エヴァンさん!番組も大成功です!ありがとうございましたぁ!」
「うららはこれからどうするんだよ?」
「このままグランディアのテーマにノッて、みんなと一緒にエスカーレまで踊って帰ります!!」
「…よろしく頼むよ…」
♪Let's Dancing! Let's Shooting! YeahYeah Ulala!! Hei!! Chu!! Hei!! Chu!! 〜〜〜
独立第7部隊を除く全員が、うららと一緒に歌って踊って去ってゆく。
笑顔でそれを見送って、エヴァンたちはジオゲートでロッカへ戻ることにした。
ロッカに戻ってきたエヴァンをいつも通りにこやかに迎えてくれたのは、ウェイトレスのウェンディちゃん。
「おかえりなさい〜あれぇ?うららさんはご一緒じゃないんですかぁ?」
「ただいま。うららはエスカーレまで踊って行っちゃったよ」
「そうなんですかぁ?ご一緒かと思って、お料理いっぱい準備しなくちゃ〜って思ってたんですけど〜」
「…また来るかも知れないけどな。ま、今日のトコロは他の連中が踊り疲れてハラペコなハズだから。あ、そうだ、ウェンディちゃんって、うららと知り合いなの?親しそうに見えたんだけど?」
「そうなんですよ〜!前に首都で看護婦のお仕事をしてたときに、うららさんが取材に来たんです〜!すごい視聴率が取れたんですって〜」
「へぇ…それってどんな番組?」
「実録!医療ミス!でしたぁ〜うららさんもすごくノッて踊ってましたよ〜」
「どんな番組だよっ!」
ツッコミ入れた後、ふとエヴァンは手の中にあるちいさなカケラを見つめる。
「それ、どうしたんですかぁ?」
振ってみるが、何も起こらない。
「うーん…これも最後の場所にもって行けば…踊り出したりして…」
「よくわかんないですけど、楽しければいいですよねぇ〜」
「そうだよなぁ〜楽しけりゃいいか!」
「おおーい!めしー!!」
「さすがによく動いたが、爽快な気分だ」
「楽しかったね!」
「ビックリしたけどね」
「…ちょっとは痩せたかしら?」
「明日、少々腰が心配だな…」
「早くこの皿に料理を乗せてくれ!」
皆が食堂でエヴァンとウェンディちゃんを待っている。
「やっぱり、おれって幸せモンだよな。あんだけ踊ったのに、まだみんなが楽しんでくれるんだからさ!」
「あはははー!それじゃーお食事にしますねー!」
追記。
翌日からロッカのキャロダンスは激しさを増し、最終的にのべ観客動員数は10000人を超えたえらしい。
探索が終わった後、キャロは全部まとめてHAY!ダンスカン●ニー(岩垂氏音楽監督)に引き取られ、来年も池袋演劇祭で大賞を狙うとかなんとかいう噂だったりする。
オワリ♪
2003.01.26