おひさま


今日はぽかぽか。おひさまがあったかいの。

なんとなくオサンポに行く気にならなくって。
泉の前でぼんやり。

「終わっちゃったなぁ」
「何が?」
慌てて振り向くと、エヴァンがいてビックリしちゃう。
「わぁっ!全然気付かなかったよ!」
「よっぽど集中して考え事してたんだなぁ」
笑って言ってくれて、なんだかホッとするよ〜。
「それで、何が終わったんだ?」
「お祭り!あたしの村で毎年やってるの。歌って、踊って、ごちそうもたくさんあって、とっても楽しいの!…でも、今年はもう終わっちゃったなぁって」
「残念だったな。…そのお祭りの間だけでも、ハズマに戻ればよかったのに」
戻れば…かぁ。
そしたら、今度はロッカの村のことが気になっちゃって、楽しめないよ。
「ううん、いいの。また来年もあるんだしっ!」
エヴァンはちょっと笑って、あたしの頭を撫でてくれる。
帰りたい…っていうのとは、ちょっと違うような気がしてくるなぁ。
エヴァンの手があったかくて、嬉しくなっちゃう。

「…エヴァン、あのね。あたしがオサンポに行ってて村にいない時、エヴァンは何してるの?」
「回廊の探索から帰ってきたら、最近は真っ先にミャムを探す」
「そうなの?」
「そうだよ。ミャムがいないとちょっとガッカリするな」
「そ、そうなの?」
うーん、どうしよう…。
エヴァンのこと困らせてるのかなぁ?
「ミャムはこの辺りのことは何でも知ってるんだろ?ちゃんと教えてくれよ」
「それって、オサンポしてもいいの?」
「誰がダメなんて言ったよ?」
「えへへっ!」
わぁいっ!エヴァン優しい!好き〜〜♪

「ねえ、エヴァンはクァン・リーの心のカケラが見つかったら、どうするの?」
「うぅ〜ん…、ここに来る前と変わらない生活に戻るんじゃないかな?相変わらず半人前の地導師だし」
「ここにいる方が好き?」
「それも、どうかな?どこにいたって、おれはあんまり変わらないと思うけど…。ミャムはハズマに帰るんだろ?」
「うん…」
あたしも、帰ったら前と同じ生活になっちゃうのかな。
今のあたしは無くなっちゃうの?

「早く帰りたい?」
「ううん、そうじゃないの。せっかくみんなと仲良くなれたのに…って思うと、終わっちゃうのも寂しいの」
「あれ?ミャムはハズマに戻ったらオサンポしないのか?」
「え?」
「また来ればいいだろ?この村にも、エスカーレにも…。おれんトコにも来いよ」
「うん。…うん。行くよ。そうだよね。いつでも会えるよね」
そうだよね。
さよならしても、さよならじゃないよね。
寂しい気持ち、どこかに行っちゃったよ!

「ねえねえ、エヴァン!来年、あたしの村のお祭り、来て欲しいの!」
「え?来年?」
「うん!…ダメ?」
「いいよ。行くよ」
「わぁい!じゃあ、約束!うそついたらオオヒトノミトビガエルの骨千本のーますっ!」
「それはイヤだなぁ〜!よっし、それまでに必ず一人で飛べるように修行しようっと」
「がんばってね、エヴァン!」



今日はぽかぽか。おひさまがあったかいの。

ええとね。
あたし、エヴァンのこと好きだなーって思うの。
昔話の王子様とお姫様みたいな、レンアイってアツイアツーイものだと思ってたんだけど。
エヴァンはおひさまみたいなの。

ぽかぽかあったかいエヴァンのこと、大好きだよ!



オワリ。

2002.12.07






日常風景、カプ話2?
初!エヴァン×ミャムちゃん(逆?)でっす♪
ミャムちゃんて癒し系なんだけども、彼女にすると振り回されそうだよね。(笑)


--- ブラウザ・BACKでお戻りください。 ---