睦月がいて、私がいて、橘さんがいる。
 柔らかな光の中。



065.
黄昏



「なんで橘さんがココにいるんですかー?」
「いや、ただなんとなく…」

 睦月は小さく唇を尖らせる。
 ほらほら、そんなところがあるからなのよ。

「心配ですよね。睦月ってば子供だもん」
「るせーよ、望美!橘さんも、もしそう思ってるんなら心配してくれなくていいですから!」
「子供だと思って心配してるわけじゃないよ」

 じゃあどういうワケなんですか?橘さん。

「ただ、睦月が望美ちゃんにやっつけられるのを見物したいと思って」
「酷!」
「あははっ!橘さん、私の味方になってもらえます?」
「俺、いつか必ず橘さんをやっつけてやる!」
「体力では敵わないけど、知力じゃあ負けないぞ」
「それもいつかきっと必ず抜きます!」

 ムキになる睦月が面白くって、私と橘さんは顔を見合わせて笑ってしまう。

 本当はね。  心配、は、もうしてないの。
 ただ、嬉しいの。
 大切な人と、一緒にいられることが。

 睦月と、私と、橘さんと、川縁の風と戯れながら笑う。
 幸せな夕刻。



しまい。




こんなヘッポコ師弟が大好きなのです。
橘さんお邪魔と思いきや、望美ちゃんと仲良くしてる橘さんも大好きなのです。(笑)
願望ですね。

2004.10.23


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