015.
ヒーロー養成ギプス



「おおっ!コイツを当てたか!ワシが集めたワザモノの中でも特にレアなアイテムでなぁ〜〜云々」
 ジアステのおっさんがやってるガシャポン運試し「ラッキーシャッフル」。
 めったに景品が当たらないのだが、当たるとホントにレアなアイテムが手に入る…。
「コレを手に入れた経緯はもういいからさ…。使い方を教えてくれよ」
「なんだと!?ワシの説明をもっと聞け〜!と言いたいが、まあよいじゃろう。そいつはヒーロー養成ギプスと言ってな、装備すればどんどん強くなれるという逸品じゃ!」
「へぇ!そりゃスゴイじゃないか!明日の遺跡探索で早速装備してみるよ。サンキュ!またな、おっさん!」
 小さな金属音を響かせるソイツをぶらさげて、エヴァンがジアステの家を出て行ってしまう。
「お、おーい!……ま、よいか」

 翌朝。
 その日の探索メンバーは、ルティナ、ブランドル、カーマイン。
 装備室で本日の装備も確認。スキルにエッグにそれから、昨日のヤツ。
「なんか装備しにくいなぁ…ブランドル、後ろの止め具ひっかけてくれよ」
「おう。…エヴァン…こりゃ、なんだ?」
「き、きっつー!なんだって…なんなんだろう!?う、動けねえ!」
 遅れてやってきたカーマインがケラケラと笑う。
「さっきジアステさんが言ってたわよ!それ、防御力0の行動力−40だってさ!」
 それを聞いたルティナも鼻で笑う。
「だが、確かに強くはなりそうだな。どうする?付けてゆくか?」
 やめようかなぁ〜と口に出そうとしたエヴァンの前にブランドルが豪快に笑う。
「面白いから付けていけよ、エヴァン!おまえはもうちょっと鍛えた方がいいぜ!」
「それもそうだな。今のままでは足手まとい一直線だからな」
 さらりとルティナが言った言葉にちょっと焦りを感じるエヴァン。
 確かに、スピードではルティナに敵わず、力ではブランドルと、カーマインにまで敵わない。
「…よっし。鍛えてやろーじゃねーか!!」
 その日の遺跡探索。
 エヴァンは戦闘にほとんど参加できなかった…。行動が遅くって。

 しつこくギプスを使い続けること一週間。
「おつかれーエヴァン!今日は普通に動けたねっ!」
「そうだな。最初はどうしたものかと思っていたが、これで元の普通の足手まといに戻ったワケだな」
 ロッカに戻るなり軽口を叩くミャムとジェイド。
「るせーな!絶対みんなよりも強くなってやる!!」
 いじけ気味に燃えるエヴァン。

 さらにもう一週間経過。(手抜きですまんの〜)
 なんとギプスを外したエヴァンとブランドルが腕相撲をして、互角に戦ってしまった。
「ぬおーーー!!オレも鍛えなおしてやる!みてやがれっコゾウめがっ!」
「まっさかホントにちゃんと鍛えられるなんて…ジアステさんの道具ってスゴイわ…」
 カーマインも誉めてるんだか呆れてるんだか。
「へっへー!力だけじゃねぇぜっ!敏捷や知力も上がってる」
「そのまま脳ミソまで筋肉にしてしまえ」
 ジェイドがバカにしたように言うが、ちょっと悔しさ入ってるのは一目瞭然。
「エヴァンって、なんだか…」
 ミャムが言いかけて、一人で爆笑してる。
「なんだよ、ミャム?」
「あははははー!脱いでもスゴイんですって感じだねー!」

 次の朝。
 エヴァンとルティナがなにやら揉めている。
「いったい何事だ?」
 遠巻きに見守ってるティトにウルクが問う。
「あのね。ルテイナがヒーロー養成ギプスを貸せって揉めてるみたい…」
「…彼女は案外…」
「…負けず嫌いなんだよね…」



オワリ。



実際、ウチの2回目プレイデータのエヴァンは「脱いでもスゴイ」んです。(笑)
Lv.70くらいの時に「ヒーロー養成ギプス」を装備して、1Lv.UPごとに全パラメータプラス1に、出てくる能力UPの種は全部エヴァンにつぎ込んでたりなんかするので、混沌の回廊なら一人旅イケそうです。
あ、あほや…(笑)>自分

2002.12.26


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