電流計(テスター)の内部抵抗の確認
太陽電池を使った光電力計は、太陽電池の両端の電圧が高くなるにつれて
(概ね100mV以上で)、出力の直線性が悪くなります。
検討結果は、こちら。
動作モードの検討
理想的な電流計は、内部抵抗が0Ωです。
電流計の内部抵抗が0Ωならば、電流をどれだけ流しても、
電流計の両端に電圧は発生しません。
しかし、実際にはある値を持ちます。
電流計の内部抵抗の値によっては、測定値に影響するようになりますので、
手持ちの電流計(テスター)の内部抵抗を確認してみました。
現在、所有しているのは、以下の4種類です。
マルチテスター3007 日置製
30年以上前の製品ですが、まだ現役で使っています。
今は懐かしいアナログ式です。
DT-830L Zhangzhou WeiHua Electronic Co., Ltd.製
M-830B Precision Mastech Enterprises Co., LTD.製
P-16 Metex
co.,ltd.製
テスターの電流計のレンジ(フルスケール時の値)に対して、
テスターの両端電圧、内部抵抗の測定結果は、以下の通りです。
テスターの両端電圧が50mV及び100mVとなるときの
電流値も示しています。
テスターの内部抵抗は、同一レンジだと測定電流に依存することなく一定でした。
したがって、テスターの両端の電圧は、測定電流に比例して高くなります。
どのテスターも、フルスケールでは両端電圧が100mV以上になりますので、
フルスケールになる前にレンジを切り替える方が良さそうです。
測定結果を踏まえ、
太陽電池の出力電流の測定には、
P−16
を使い、
太陽電池の出力電流が、
0μA〜1000μA は、6000μA のレンジ
1000μA以上 は、600mA のレンジ
で測定することにしました。
この使い方により、テスターの両端電圧は、50mV以下になります。
テスターの内部抵抗の影響を実際に確認するため、
テスターにP−16、LEDにOS5RAA3131Aを使った場合の、
LEDの動作電流と太陽電池の出力電流の関係を測定してみました。
以下の図が、太陽電池の出力電流を、テスターの6000μAレンジと600mAレンジの両方で
測定した結果です。
想定通り、テスターの両端の電圧が100mVを超える辺り(mAレンジで2mA=2000μA)から、
測定誤差が大きくなり始めます。
この図を見ると、
「全てmAのレンジで測定すれば良いのでは?」
と思う方がおられるかも知れません。
LEDの駆動電流が少ない、0.1mA〜0.5mAまでの領域を拡大してみます。
mAのレンジで測定すると、直線性が悪くなっていますね。
理由は、mAのレンジで測定したときの最小測定値は0.01mA(10μA)で、
有効数字の桁数が少なく、測定誤差が大きくなるためです。
μAのレンジで測定すると最小測定値は0.1μAですので、
mAのレンジよりも2桁測定誤差が少なくなります。
穂先ライトで設定するLEDの動作電流は、1mA以下ですので、
μAのレンジで測定する方が、確からしい値が得られます。
ということで、測定値に応じて、テスターのレンジを切り替えることにしました。