3人のジャスティス

こうやって、仕事をしていると、自分が絶対に正しいと思うこともあります
でも、私は引き下がることが多かったんですよ

でも、人間誰しも、絶対に退けない
ボーダーラインってあります


今回の話は関係者全てが「絶対に自分のやったことが正しい」と
不退転の決意をもってしまったための
・・・・喜劇です・・・・



その日は日曜日であり、看護者は2人ヘルパー2人の勤務でした
わたしはその日のリーダー業務であり、女性患者担当でした

で、もう一人の人を仮称Aさん(年齢50歳後半)とします
そのAさんが男性患者担当です。

私が検温してるときに隔離病室の男性患者が騒いでいました
「こっからだせやっ、こらぁっ!」

かなり騒いでいる状態です。担当のAさんは検温中でその場にいません
いちばん近くにいるのは私です

私が行くしかありません・・・・イヤだけど・・・

行ってみると、患者は四肢拘束で動けないんだけど
いっちゃった目でこっちを見てます。

「われ何やねん!こっからだせや!先生呼んでこい
それもできへんのか、おのれはガキかコラっ!」


このおやじ、どうしてくれようかと思っていたとき
夜勤明けでいたMさんが来てくれました
Mさんは精神科を長くやっている方で、この辺の患者のエキスパートですから
なだめてくれたんですけどね

Mさんのアドバイスで先生を呼んだ方がいいだろうということで
電話しようとしていると
先生が入ってきました
状況を説明し、患者を見に行き、その後の対応方法を聞いていました
だって、私は男性患者担当ではないにしても
その日のリーダーですから
責任はあります
そして、先生に聞くことで重要なことがその時はもう一つあったんです
実はその2〜3日前にナタを振り回し、逃亡している患者が入ってくるという
ことを言われているんです
もし入ってくるなら、それなりの準備をしないといけないんです

そのことを聞いていたときに
Aさんが詰め所に入ってきました
その時、Aさんが私に言った言葉が
これからおこる出来事の
引き金になってしまったんです。


「あんた何、
さぼっているのよ!
検温はどうしたのよ!業務はいろいろあるのよ
今日は少ないんだから!」


さぼっているという言葉に、私はキレた
さぼってるわけちゃうわ!、
先生に暴れてる患者の対応を
聞いていただけです」

と久しぶりに大声を出した

だけど
「そんなん、私が担当やから私に任したらええやないの」

心の中では
「おのれが居なかったから、
わしらがやってるんやろ!
ありがとうの一言もいえんのかいっ!ぼけがっ」

怒り爆発であったが・・・・

ただ、このAさんにはそれまでにもいろいろありまして
その結論が、こいつに何を言っても
周りがみえてないし、聞こうともしないから
言っても無駄という結論なんです。


怒りのあまりに涙目になりながらも検温に行った
その状況を見ていたMさん・・・
私がかなりキレていることを知っているから
弁護してくれました

「隔離病室には通常二人ではいるのが基本だし、
別にakkiy君に頼まれて入ったわけじゃない。それに夜勤のときも
状態はあまり良くなかった」

ときっちり説明、全く間違いのない意見だと私は思ってます

しかしAさんは
「状態が悪かった?そんなん申し送りで聞いていない!
あんた夜勤やろ、関係ないやん!さっさと帰りぃなぁ!
何かあったら、私とakkiy君で処理するのがすじやろ!
それに先生呼ぶやん!そっちは
部外者やんか」
って感じなことをMさんに言ったんです

Mさん、部外者って言葉に、完全に我を忘れるほどキレました
まさに、警戒色放ちながら爆走する王蟲のように

「あのくそばばぁっ!」といって
ちかくにあった丸机に正拳突きのフルスイング!
もっていた鞄を床にたたきつけ、横にあった椅子を蹴り倒す

「もうゆるさねぇ!」といって詰め所を出て
Aさんのところに・・・
「Aさん、話し終わってませんよっ!」と怒鳴るものの
Aさんは
「今は仕事中です!」
と突っぱねる

Mさんは怒って「もう仕事しないからねっ」と言い残し帰っていきました

残された、私・・・居心地悪いです

それからAさんは自分の正義を確立するために
自らの状況を私に説明してます
私だって看護婦歴長いから不穏患者くらい見れます」
「あんたはMさんに頼りすぎ」


俺がいつMさんを頼った?とつっこもうと思ったけど
こいつにいっても何も無駄だし・・・・



問題はそのあとです・・・
MさんはこのAさんと一緒の勤務になって日が浅いから
何を言っても無駄だし、自分の視野が極端に狭く
自分が絶対に正しいという頭が堅い人物ということを
理解できてません

でも、Aさんに比べてMさんははるかに貴重な戦力だし
それに、私ではこのトラブルを解決するのは無理と判断して
上に報告することにしました

自分もAさんの言動には我慢は出来てるけど
許したわけじゃないですから


お昼休みに電話したんだけど、両方とも留守でした
そうするとMさんから電話がかかってきた・・・・

「大丈夫かぁ」と明るい声で言い出したんですけどね

「そうそう、若気の至りやわ、殴ってからな、
しばらくたったら
手が腫れてきてね。痛いねんか〜、病院行ったら
『あ、これヒビは入ってるね』っていわれてん
HAHAHAHAHA」


Mさん、笑えないって・・・しゃれになんないです

夕方に看護部長と婦長に報告した。


そのあとMさんと話したんだけど・・・・
「うちら間違ったこと何にもしてないよな」と言い合ってました

結局・・・・あのAさんが「ありがとう」の一言で
すむ問題だったんだよね


そうやって結論が出たんですけどね。
たぶん無理だろうけどね