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(1) A True Story (真実の話)
 この話は、6月21日に開催した東日本大震災のチャリティ悠久でのぎんやんまからのメッセージを書き留めたものです。
当日は、言い漏らしたこともありましたので、ここであらためて文章として残しておくことにしました。



1.激動の時代の到来

このたびの東日本の地震はまれに見る大災害となりました。
あの日から既に3ヶ月が過ぎて、だんだんと緊急性が薄れてきたのか、国会の方は違う方向に目が行っているようです。
しかし、被災地の問題はまだほとんど手付かずの状態で、その影響は遠く離れた私たちの生活にも大きく影響をしていることを皆さんも感じておられるでしょう。
私の勤める会社でも震災の影響を受けて製品の製造に影響を与えていますし、日本製のタバコはまだ供給不足で、自動販売機はほとんど売り切れ状態です。
今回の災害は、私たち一人一人の生きていく上での価値観にも大きな影響を及ぼしたのではないでしょうか。
このような天地がひっくり返るような事件は、これからも続いていくかもしれません。
災害が続くという意味ではなく、これまでの価値観が崩れ去って、新しい何かに置き換わると言う革命が。
これからそういう時代になってくる予感がします。


2.自分自身の判断基準を持つこと

このような中で私たちが念頭に置いておくべきことは何でしょうか?
大事なことは、自分自身の判断基準を確立しておくことだと思います。
周りの意見に惑わされないこと。
正しいことと悪いこと、右か左か、行くか戻るか、今何をすべきかを自分で判断できることが大事だと思うのです。


3.物事の多面性

物事の評価には多面性があります。

例えば、「円高」
為替レートが100円が90円になると円高、反対のように思いますが、高い安いは円の価値のことを言っていると考えれば分かりやすい。
100円が1ドルと交換できていたものが、90円で交換できるようになる。円の価値が高くなったということです。
円高というのはそういう意味。

日本には資源がない、人が財産、だから材料を輸入して付加価値の高い製品に加工して輸出する加工貿易が日本の主な産業。
輸出を糧にしているから、円高になると売上・利益が下がる。 だから円高は悪。
現代社会は企業を中心に回っているからこうなる。
だから企業の論理でマスメディアはニュースを流す。円高は悪だと。


4.円高とモデルさん

本当にそうでしょうか?

個人の立場で考えたとき、海外旅行をすれば安くていいホテルに泊まれる、お土産も一杯買える。
円高っていいよね、となる。

私は輸出企業で仕事をしています。
だから昼間会社員をしている時間は、円高だから困ったって言っています。
ところが、家に帰って今年の夏休みの海外旅行の話をする時は、円高で良かったなぁって言います。
頭を切り替えないといけません。物事の評価には多面性があるということです。
マスメディアに惑わされてはいけません。
ニュースはある側面からしか意見を言っていませんから。


5.良い悪いは環境によって変わる

すなわち、良いか悪いかということには、その前提として「○○の立場から言えば」という条件が付きます。
円高になっても、石油業界や輸入商社はホクホクです。それで円高還元セールなんかをやっています。
そもそも円高というのはただの現象でしかありません、そこに良い悪いの意味はありません。
円高になれば円高に合わせた生活をしていけば良いのです。

しかも、評価の基準は国、社会、時代によって変わります。
今のモデルさんは細い人ばっかりです。
でも、平安時代はぽっちゃり型の人の方が美人だった。時代によって価値観が変わるということです。
今でもどこかの国では、太っているほど美人だっていう国もあるそうです。
周りに流されずに自分自身の価値観を持って生きていくことが大事です。


6.どんな時でも変わらない基準

ただ、時代が変わっても変わらないこともあります。
「そのことで、自分が幸せになって、同時に周りを幸せにできるかどうか、ということ
社会を幸せにできるかどうかということ。」
これはいつの世でも変わらない判断基準(黄金律)だと思います。


7.原子力発電所の事故

今回、原子力発電所が問題になりました。
地震でこんなところにほころびが出てくるとは、阪神大震災の時には考えもしませんでした。
まさか現場に近づくことすらできないとは、助けようもありません。
拡散した放射性物質はすぐには消えて無くなりません。
今の状況では、この先何年もの間、この問題は続きそうです。

なんで原発なんか作ったの?
巷ではこんな議論も巻き起こっています。
既に、ドイツでは原発を2022年までに全廃すると決定したそうです。
イタリアでは、国民投票で廃止が決定しました。
日本でも、既に浜岡原発は停止となりましたし、原発反対の運動が益々大きくなっていくでしょう。

先日のG8サミットでは日独伊の3国が廃止・削減の方向に向かうと宣言しました。
米仏英露などの他の先進国は相変わらず推進派です。
この組み合わせはどこかで聞いたことのある組み合わせですね。日独伊三国同盟を思い出します。
21世紀の三国同盟ですね。今度は勝ちたいものです。

原子力がどれほど莫大なエネルギーを発生するかは以前の悠久でも計算をしてみました。
1グラムの1円玉の質量が核エネルギーに変わったら、加古川市の全世帯が1ヶ月間暮らせるだけの電気を生み出すことができます。アインシュタインの有名なE=MC2の公式を使って計算をしてみましたよね。
そんなに効率が良いということは、裏を返せば、それだけ怖いということなのです。


8.誰が悪いのでしょうか?

じゃ、誰が悪いのでしょうか、誰が原発を作ったのでしょうか。
東電ですか、関電ですか、中電ですか...確かに作ったのは電力会社でしょう。
それじゃぁ悪いのは電力会社でしょうか?
作らせたのは誰でしょうか? 電力会社の社長でしょうか?

違うと思います。
それを作らせたのは、...他でもない私たちなのです。
私たちが、安い電気でいい生活がしたい、いろんな家電を買って、夏はクーラー、冬は暖房、快適な暮らしをしたいという欲求が彼らに原発を作らせたのです。

確かに地震後の対応方法のまずさについては、東電や政府に責任はあると思いますが、そもそも原発を作ってしまったことを電力会社のせいにはできません。
全て、私たちの生活態度、生き方の問題だと思います。
今の社会の風潮から見れば原発を作った人が悪い、と電力会社が叩かれるでしょう。しかし、本当の原因は(間接的にでも)それを望んだ私たち一人一人だということを認識しておくことが必要です。
今の社会の悪いところは、短絡的に犯人をでっち上げて、それで終わらせてしまうところです。


9.過剰な包装紙

過剰な包装を行うスーパー、環境に悪い行き過ぎた顧客サービスをなぜするのか?
という批判があります。
じゃぁ、スーパーが悪いのでしょうか?
これも同じこと、その反対側にそういうサービスを望んでいる私たちがいるからです。

見た目のきれいな野菜がいい、どこかのブランドのサバがいい、神戸牛がいい。どんどんエスカレートしていきます。
私たちの生活態度、普段の価値観を改めなければ変わりません。


10.未経験の時代 黄金律

「それによって自分が幸せになって、同時に周りを幸せにできるかどうか」、ということ
「それによって将来幸せな社会を作っていけるかどうか」、ということ。 
これがこれからの大事な判断基準(黄金律)だと思います。

今回、東日本を襲った大災害、これからの時代は天地がひっくり返るような出来事が起こってくることが予想されます。
これまでの経験や知識が通用しない時代がやってきます。誰も教えてはくれません。
誰かの後ろを付いていってはいけません、それでは誤った方向に流されてしまうかもしれません。
このような激動の時代だからこそ、自分自身の判断基準を持って、自分自身で判断していくことが大事なのです。


11.知識を身につけ自分のモノサシを

そのために、いろんな知識を身につけて、これがいいことか悪いことか、どの道に進むべきか、これを皆さん自身の頭で考えて、心で感じて判断が下せるよう、自分の中心にしっかりとしたモノサシを準備していってください。


池上彰風メッセージでした。


(2011年6月12日 チャリティ悠久でのメッセージより)