斑鳩


開発元:Treasure
プラットフォーム:ドリームキャスト/ゲームキューブ
ジャンル:縦スクロールシューティングゲーム


我、生きずして死すこと無し。理想の器、満つらざるとも屈せず。これ、後悔とともに死すこと無し…
ほんと、ゲームってなんなんでしょうね。
これをあそんでるとついついそんなことを考えてしまいます。みなさん、ゲームってなんだとおもいますか?

斑鳩とは、アーケード、DC、GCでリリースされておりますトレジャー製の縦スクロールシューティングゲームです。自機をあやつって敵をほふり弾をさけつつ先にすすんでいくという、オーソドックスきわまりない内容です。
この作品の特徴として属性というものがあります。
自機や敵の弾にはそれぞれ白と黒の属性があり、自機の属性は任意に変更可能。自機が白の時に黒の弾を被弾すると1機失いますが、なんと白の弾については一切無敵なのです。
弾といわずレーザーやスパークなど、非物理系統の攻撃派すべて自機と同じ属性であればダメージを一切うけません。それどころか、自分と同じ属性の攻撃を吸収し続けると「力の解放」というエネルギーがストックされていき、ホーミングレーザーを放つことが可能になります。
さらに、敵の属性と逆のショットやレーザーを打ち込めばダメージ2倍となりますので、力の解放をためつつ逆属性の相手に対してショットと重ねて一気に放出するとなかなか派手なシーンを演出できます(自機属性が黒の場合は黒の弾について無敵になります)。
ですので、属性変化さえ間違わなければ「弾避け」の必要がほとんど無いシューティングゲーム、それが斑鳩なのです。
ならば簡単なゲームなのかといえばそんなことはなく、自機にはボムが搭載されていない、ショットは前方しかカバーしないのでいわゆるごりおしがすごくやりにくい、全く自分の実力だけでプレイがどんどん変化していくゼリーみたいなゲームです。
敵の物量もイージーですら結構多く、弾速もわりと早めですので決して油断できず(敵に体当たりされると1機失います)、適当にあそんでいるだけでは絶対どうにもならない世界です。
ですが幸いなことに、これは完全なパターンシューティングです。ステージ転回は2面までは何度プレイしても敵の出現パターン、弾の種類、進行速度は固定、3面以後も中ボスを撃破するタイミングで多少転回速度がかわるくらいで敵の配置、攻撃パターンはほぼすべて固定ですので、すべての局面には正解が存在し、こうすれば死なない、そういう動きは何十回か遊び続けていると自然に身に付きます。STG苦手な人でも(私含め)、それを何度も何度も何度も重ねていって、すこしづつ先に進んでいっていってるとそのうち確実にクリアできます。根気がいりますが。

さて、このゲーム、面白いのかと質問されると非常にこまるのです。
むろん私はこれがおもしろくてあそんでるわけなのですが、上にも書いたとおり結構ルールがややこしく、取っつきやすさはあまりない、むしろなれるまで時間がかかる。なれたとして今度はパターンを構築してアリの歩みで先に進んでいかなければならない。もちろんぼんミスも人間ですからしますし、ショットはほそっこくてボムもない、力の解放は使うタイミングを考えないとあとでつまる、なので爽快感はほとんどなく、すくなくともやっててあまりたのしくありません(いっちゃった)。むしろ苦痛です。なんでこんな牢獄に換金されているようなゲームを好きこのんでやらにゃああかんのですか。
でも、私はこのゲームが愛おしくてたまらないのです。むしろ大好きなのです。
なぜかというと、何度も何度もプレイしていくうちに、ふとしたきっかけで「こうすればいいじゃないか」というパターンを思いつくことがあるからです。そしてその通りに実践するとチェーンコンボがいきなりつながって1クレジット増えた、さらにすこし長い間生き残れていままで行ったことのない先のエリアに行けた。そこで撃墜されてしまったが、ハイスコア登録画面がでた(このゲームは、撃墜された時点でのスコアが記録よりも高い場合、その場で保存することができますので自分の成長をリアルタイムに把握できるのです。)。
だから私はこれをずっとあそびつづけているわけなのです。つまり、うれしいわけです。
いつもより長く生き残れてうれしい、自己スコアを更新できてうれしい、先のエリアに進めてうれしい、チェーンをつなげられる場所をみつけることができてうれしい、ボスキャラをタイムアップまでに撃墜できてうれしい。そしてなによりエンディングに行けてうれしい。
でもこのうれしさを味わうにはその何倍もの苦痛と努力を経験せねばならず、だからこそ誰もが感じられるうれしさではない、そこがせつなかったりします。
他にもこのソフトにはすてきなところ、いっぱいあるんですよ。音楽と演出のシンクロは鳥肌もののかっこよさですし、その音楽自体も全体を貫く一つのメロディがあって何度も何度もそのアレンジがかかり、それじたいがすごく美しい荘厳な旋律なものですから、音楽に意識を集中しながらプレイすると感動しっぱなしです。
空気感すらともなった映像は、大迫力の高速スクロール、時々すてきすぎるタイミングで挿入されるシーグレスなデモシーンに加えて、光の処理がとても美しく、画面全体があたかもガラスケースの中に入っているようなそんな美麗さがあり、カメラアングルも斜め上からの撮影ですから奥に奥にすすんでいっている感じがとてもでていて、演出は最高峰だとおもいます。
かといって、自機や敵機や弾がみにくくなることはなく、SFCゲームのそれと同等くらいの高い視認性を保ったままゲームは進行していきますので画面の中で何が起こっているのかをとても把握しやすい、リアルなところはとことんリアルに、それでいて見やすくわかりやすくと、ユーザーインターフェイスの鏡みたいなゲーム画面だと思います。
さらに、このゲームにはとても厳然としたストーリーがあり、それがまたとてもいいんですよ。ゲーム展開のネタバレにもなりかねないので詳細は話しませんが、ぜひ一通りこのゲームを遊んだら「斑鳩 ストーリー」あたりのキーワードでググってみてください。すごくこのゲームのことが納得できるようになるとおもいます。

ですので、この上の紹介や公式サイト、それと下のチェッカープログラムなどをつかってもし自分に合いそうだとおもったらぜひ手にとってもらって、このゲームのすてきさを味わってほしいと筆者は願ってやまないわけなのです。昨今のゲームはそりゃおもしろいですが、たまにはうれしくなれるゲームってのをやってみるのもなかなか良いとおもいますよ。
別に長時間やるようなタイトルでなし、1プレイどれだけねばっても30分で1週できてしまいます。そういう意味から言えばRPGなどよりも遙かにお手軽と言うこともできます。後はあうかあわないか、それだけです。ただ、たのしい娯楽ならゲーム以外にもいっぱいあります。ですが、うれしいと思える娯楽なんてのはそうそうありません。それはとりもなおさずゲームという遊技が「自分の手と頭」をつかって能動的に触れるものだからです。ゲームをやれば頭をつかい、試行錯誤します。何度も何度も失敗します。だからこそそれをのりきり組み伏せたときにうれしいと感じられる、ものすごくすてきなことじゃありませんか。
私にはムービーを大量に垂れ流すだけのCGソフト(ゲーム機能付き)の良さは語れません。が、こういう斑鳩みたいなタイトルのことなら多少はその良さを語れる自信があります。
それは、道中を楽しいと思う人も苦痛だと思う人も、一定の成果をこのゲーム内で得られれば、等しく「達成感」を味わえるということです。そしてそれこそゲームの面白さの根源そのものであり、そこをゲームやる人間は心地よいと感じているのだと思います。それこそがこの娯楽が広く愛されている理由で、「達成感」を味わえる事象は自分で手を動かして思考し努力するもの以外ありえませんし、そこには必ず大きな苦痛と忍耐が伴います。そして、その結果「スコアや進められた距離など」が増えていき、それそのものこそがゲームを遊ぶモチベーションとなる。これはゲームという遊びの特徴のひとつであり、とてもすばらしい要素だと私は思います。
そしてこの「斑鳩」ではそのカタルシスをあきるまで存分に味わいつくすことができるのです。
「どうぶつの森」や「脳トレ」とは全くちがう意味において、私は最近、ゲームに飽きてきた、もしくはやっていないっていうそんな人にこそこのゲームをおすすめしたい、そしてこのゲームという娯楽の持つ恍惚を結晶化して切り出したようなこのソフトにぜひぜひ触れてほしい、そう思います。


2006年5月13日

斑鳩との相性診断プログラム
*このプログラムは、筆者の分析と主観により作ったあなたとこのソフトとの相性を調べる判定プログラムです。あくまでも私の主観がはいっておりますので参考ほどに思っていただけるとうれしいです。

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