覚醒とアリ天国


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昔々あるところに
高い木がそびえていました。
その木はてっぺんがかすんでわからないほど高かったので、旅人たちは目印として大いに活用していたそうです。
時折強欲なキコリがやってきて切り倒そうとするのですが、あまりにも高い木なので切り倒した後いったいどこまで倒れていくのだかわからず恐怖に駆られて結局あきらめて去っていくのでした。
さてそんな木の中にアリの大群が住んでいました。
彼らももともとは地底で慎ましやかに生活していたのですが、ある日たまたま木の中と巣が直結してしまったことから自然とそちらにも勢力が拡大していったのでした。
このアリたち実は大変頭がよく、木の中に総合商社やデパート、リニアレールに高速通信、また各階層をつなぐ巨大エレベーターなどを建造して喜んでおりました。
これにはこんな背景があります。
まだ巣と木がつながって間もないころ・・・。
1匹の好奇心旺盛でちょっと天然なアリが、巣の中にいるものと勘違いをして木の内側を上へ上へと登っていきました。
あまり長いこと登り続けていたのに地上に出ないものですから彼はいぶかりはじめました。
が、ともあれ上り続けているといつのまにか宇宙を漂っていたのだそうです。
そこで妙なビームを浴びて、彼はオーバーテクノロジーの技術を習得して仲間の元に帰って言ったのでした。
彼を中心に木の中や巣がどんどんとハイテクノロジーになっていきました。
各地のアリの巣を結んで連絡を取り合える無線ネットワーク伝送システム。
人間に践まれてもダメージにならないメタモリックアーマーの開発も彼の功績です。
そんなある日、1匹のきつつきが虫を食べようと件の木をこつこつとつつきはじめました。
中は非常事態を知らせる警報が鳴り響き騒然となりました。
そして穴がひらきます。
きつつきは虫がいないかと探していたのですが、いきなりミサイルがくちばしめがけて飛んできたのでめんくらって逃げていきました。
アリたちは防衛会議を開きました。
対きつつき、および対キコリ対策として、超合金で内壁を補強するという案が採択され、早速工事と研究が開始されました。
さて、超合金の量産が軌道に乗った3年後、彼らは木の高さがかぎりないことに気づきました。
そのうち、作業員の消息不明が社会問題になりはじめました。
もはや成層圏を突破して敷設されはじめていた補強壁の工事は難航をきわめ、 継ぎ足し作業に向かったスタッフが重力を振り切り、宇宙へ放り出されて戻ってこれなくなっていたのです。
政府の組織した自警団が調査と救助に向かいましたが、かれらも宇宙の彼方へ消えていきました。
残されたアリたちは悲しみに明け暮れて日々を暮らしました。
さらに4年後。
科学者たちはついにロケットの開発に成功します。
それを用いて新たな救助作戦が立案されました。
それで宇宙に行ってみて、状況を性格に把握した上で再度救助に向かおうというオペレーションです。
宇宙に行って気づいたには、やはり地上同様無重力でも木の中だということでした。
ここから学者たちはあらたな説をひねり出します。
「仮にこの木が宇宙の中を長くつらぬいているのだとしたら、木の中を地球と反対方向に移動し続けることでどこか別の惑星につながっているかもしれない。
少なくとも終点はあるはずで、そこからいなくなった仲間を助け出せる可能性があるのだから調査する価値は十分に有る。
」 さて、今度はもっと高出力なエンジンをつんだすごいロケットが開発され、皆の見守る中、それは宇宙へと旅立っていきました。
それから1ヵ月後・・・。
高出力ロケットが戻ってきました。
パイロットの証言によると、数度のワープ航法を行い、やはり木の終端にたどり着けたとのことです。
そこはやはり惑星で、きつつきやキコリに脅かされることも無く平和に過ごせる理想郷であり、やはり彼らの仲間もその星で暮らしていたとのことです。
とてもいいところなのでぜひみんなにもこちらにくるようにとさそってくれと言われたといって、彼の報告は終わりました。
そこでまた会議をひらきました。
こちらはいろいろと環境を破壊しすぎた終わったと思ったよという意見が大半を占めて、 こころを入れ替えて自然を大切にすることをアリ全員がちかうことを法律で制定し、晴れて彼らは移住をはじめましたのです。
そのうち彼らはこの地上から姿を消しました。
みなその名も知らぬ惑星に移住し、再び慎ましやかな生活を送って平和にすごしたそうです。
・・・さて。
アリがすっかり移住を終えてから3日と8時間後のことです。
異国からやってきたきこりがこの木を切り倒そうとやってきました。
彼の故郷は我慢強い人が多いことで有名で、彼も例外ではありませんでした。
彼はノコギリの刃がこぼれてもメンテナンスで復活させ、超合金をもつきやぶり、4週間かけて木を切り倒しました。
まさに切り倒されたその瞬間、木の断面から強力なビームが放たれキコリを直撃、彼はもんどりうってその場に倒れこみました。
後に彼は人類の文明、科学の父として歴史に名を残すことになります。
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