グルメ細胞



少し身体の調子がおかしいんです。と言う小松をトリコは文字通り浚うようにして 第一ビオトープのグルメ研究所に連れ込んだ。
幾らトリコでも普通ならそんな事はしない。
だが小松の「傷の治りが早い気がするんです」と言う言葉にまさか・・・となり今に至る。
1日近く掛かった検査に、それを聞きつけた――もしくは占った?――ココやサニーまで駆けつけ、 ちょっとした騒ぎになりつつ有った。
こんな事なら言うんじゃなかったと首を竦めて居心地悪そうに椅子に腰掛ける小松を余所に、 責任者のマンサムが相変わらず酒を飲みながら豪快に笑った。
「ばっはっは・・・で、結果はどうだ?」
「はい」
少し離れた所に立っていた研究員が手元のカルテを見ながらさらりと言った。
「検査の結果ですが・・・グルメ細胞が確認されました」
「あ?」
「まさか」
「りえねーし」
「ばっはっは・・・信じられんな。検査ミスは無いのか?」
「今のところ特殊能力は確認出来ておりませんが、間違い有りません」
淡々と告げられた言葉に本人が一番反応出来なかった。
頭上で行われる平均越えの身長を誇る男達の会話をぽかんとしたまま見つめ・・・
「ええーーーーっ!ちょっまさか!」
「間違い有りません」
「いや、ちょっとそんな冷静にっ」
「小松君、グルメクラゲを食べたりとか・・・」
「する訳無いじゃないですかっ」
「普通の食材に間違って混じったりとかは考えられねーか?」
「それならもっとグルメ細胞を持つ人が出て来てると思うよ」
「松、拾い食いとか」
「しませんよーっ」
「トリコとは違うよね」
「オレだってしねーよっ」
「何でっ?どうしてっ!?」
「ちょっと落ちつけ」
「うう・・・はい・・・」
パニックを起こした小松の肩をトリコが軽く叩いて落ち着かせる。
その隙を縫ってマンサムが研究員に尋ねる。
「グルメクラゲを食べる以外にグルメ細胞を持つ事は考えられるのか?」
「そう、ですね・・・」
研究員は少し考えるとこう言った。
「研究はまだ進んでいませんが、グルメ細胞保持の食材を大量に食べ、 且つ余程相性が良いと思われる時にそのような事が起こったという事例が見付かっています」
「グルメ細胞を持った食材って・・・そんな物あるの?」
「グルメクラゲがいる深海になら少々」
「うう・・・そんなレアもの食べた事無いですよぅ」
「んなの、捕獲レベルは計りしれねーしな」
全員がううん?と首を傾げた。
グルメ細胞を持った食材を食べるのは、グルメクラゲを食べるのと同じぐらい困難だと思われた。
が。
「あ!」
トリコが突然大声を出し、全員がそちらを見やる。
「そういやオレ最近小松に頻繁に上からも下からも飲ま」
「ポイズンドレッシング!」
「おわっ」
ココから飛んできた毒をトリコがギリギリで避けるとその後ろの壁がジュワリ音を立てて変色する。
「なにしやがる!」
「小松君に下品な事しないでくれ」
「何言ってんだ。オレだって小松の飲ん」

「ポイズンバズーカ!!」

「ヘアパンチ!!」

「二人とも何しやがるっ」
「一回死んでもらおうか」
「マジぶっとばすし」
「お前らいい加減諦めやがれっ」
突然戦い始めた3人は技を掛け合いながら部屋の外へと飛びだしていき、 この辺りでやっとトリコの言う意味に気が付いた小松は指の先まで真っ赤になる勢いで赤くなった。
トリコさんてば〜〜〜〜〜っっ
取り残された小松に刺さる研究員達の視線が痛い。
ひたすら羞恥に耐える小松の肩を気の毒そうにマンサムが叩いた。
「ま、怪我は早く治るからな。
良かったな」
それがナニを指して言っているのか、 分かって言っていると思われるマンサムの発言を考えたくない小松は 1つの決意だけを考えていた。


当分エッチは禁止してやるっ!


おわれー



12/02/19

始めはですねー小松君にグルメ細胞移植されちゃったとしても
特殊能力ない方が良いな〜って。
リンちゃんと同じ?身体能力ちょっとアップと怪我治るのだけで良いよね。
って考えてたんですよ。
で、リンちゃんとトリコさん達はちょっと種類が違うっぽい
→どっちかってーとグルメ食材とかに近いよね。
→グルメ食材とグルメ細胞持ちの違いって・・・?
と思考が流れていきまして・・・
最初はちゃんと真面目に考えてたんですよ・・・

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