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腕支持後転全員達成への道
2004年度四郷小学校5年1組の実践

腕支持後転は鉄棒の技の一つで「空中逆上がり」とか単に「後転」とか呼ばれているものです。
また、「後方支持支持回転」ともいいます。
私のクラスでは単に「後転」といっていました。
その後転にチャレンジした記録です。
当時の学級通信から、その様子を紹介します。


2004年5月24日(月)記  学級通信No.15
本日の昼休みから、鉄棒友の会を始めた。
鉄棒の到達目標は、逆上がりと後転の2技である。
ありがたいことに、学級開きの時点で、逆上がりは全員達成している。
後転のほうは、4月22日の実態調査によると達成者は28人中11人。
後転というのは子どもたちにとっては、かなり難しいらしい。
前の6年1組を担任したとき、かなり一生懸命後転に取り組んだ。
卒業前の3月、6時間を後転に当てた。
第1時以前に後転ができていたのは、41人中たったの2人。
今の5年1組は11人もいるのだから優秀である。
さてその6年1組だが、次のように変化していった。
  第1時で達成・・・5人
  第2時で達成・・・3人
  第3時で達成・・・1人
  第4時で達成・・・3人
  第5時で達成・・・2人
  第6時で達成・・・3人
結局41人中19人で、達成履中達成率は46%だった。
それまで後転の記録をとったことがなかったので、46%が私にとっての最高の数字である。
ところが、5年1組はすでに39%だ。素晴らしいじゃないか。
そして、友の会の第1日目の今日、さっそく達成者が現れた。
作文を紹介しよう。

今日後転ができました。最初、くるりんベルトをつけて、やると、かんたんにできました。
次になにもなしでやると、T君に
「おしい、あとちょっとや」
と言われました。
もう1回くるりんベルトをつけてやると、やっぱりかんたんにできました。
次に低い鉄棒でやると、先生に、
「ひざをあげろ」
と、言われました。
それでひざをあげてやると、本当にできました。
後転ができた時は、とてもうれしかったです。
ぼくは5回中2.3回できるので、今度は5回中5回できるようになりたいです。

Aのおかげで12人に増えた。 達成率は42%だ。
これであと1人達成すれば、元6年1組とタイ記録になる。
実に素晴らしい。
全員達成めざして1歩1歩進んでいきたい。

2004年6月5日(土)記  学級通信No.20
鉄棒に「後方支持回転」という技がある。
通常「後転」とよばれている。
子どもの中では「空中逆上がり」という名で有名である。
まったく子どもはうまい名をつけるもんだと感心する。

根本正雄という教師が千葉県にいる。
TOSS体育授業研究会の代表であり、体育指導にかけては日本で3本の指に入るといわれている。
それぐらいの教師なので著書も多い。明治図書の「楽しい体育の授業」誌の編集長でもある。
その根本先生が、最近こういう発言をされた。

  「後方支持回転が全員できたという報告は、これまで一度もありません。」
                       (鉄棒指導研究会ML 2004.5.25)

ということは、戦後に新学制になってからこっち、公に後転全員達成の報告は全然なかったということだ。
前人未踏のレベルだということだ。

福井県に辻岡義介という教師がいる。
こと逆上がりの指導にかけては日本一じゃなかろうかと思うほどの腕を持つ。
ここ数年は、毎年逆上がり全員達成をなしているのだ。
昨年度の中川学級も100%だったが、それを毎年やっているというんだから並の腕じゃない。
しかも逆上がり全員達成を1学期のうちにやってしまうのだから、驚き桃の木山椒の木である。
そんな辻岡先生でも、これまでの後転達成率のレコードは60%台だという。
それほど後転全員達成は難しいということだ。

そして我がクラス。

今日の昼休みに外に出て、こうてんの練習をしました。
鉄棒の一番低いところで1回やってみました。
そしたらくるっとかんたんにまわれたので、わたしはSちゃんに
「できた。」
と言ったら、Sちゃんが
「もう1回やって。」
と言ったので、もう1回やってみました。
そしたら、またかんたんに回れました。
なので、もっとやっていたら、先生が来て、
「やってみてください。」
と言ったので、またやると、ぎりぎりできました。その後、H君もこうてんができました。
チャイムがなってかえろうと思ったら、Kちゃんができそうでした。
Kちゃんはもうすぐできると思います。
こうてんができてとってもうれしかったです。次はこうてんのれんぞくをがんばります。

作文にあるように6月4日にYとHが後転を達成した。
これで28人中14人の50%になってしまった。すごいもんである。
ひょっとすると後転全員達成して、小学校体育の歴史に1ページを刻むようなことになるのかもしれない。

2004年6月6日(日)記  学級通信No.21 
先ほどNo.20を書き終えた。日付が変わって6月の0時27分だ。
明日は陸上の大会があって、6時半には起きないといけないのだが、まだ書いている。
Yの作文を載せたので、Hの作文も載せなけりゃと思って、書いている。

今日、後転ができました。わたしはいつもチャイムがなってから先生に
「あと、何日ぐらいでできる?」
って聞いていました。
今日も先生に見てもらおうと思って、見てもらうと1回目は鉄ぼうに足がつくだけでした。
わたしにとっては、鉄ぼうに足がつく事はとてもうれしい事なのです。
前までは足がつかなかったからです。
2回目は、やーっとできました。3回目もできました。とってもうれしかったです。
しかも、Yさんも今日できました。
これからも、何でもあきらめずにがんばろうと思います。じゃーねー。

Yにしても、Hにしても新しい技ができたときは実にうれしそうな顔をする。
私は、ああいう顔を見るために鉄棒友の会をやっているような気がしている。
もう何ていったらいいのか、体中の細胞の1つ1つが全部喜んでいるような、体中から光りがパーと出ているような喜び方をするのだ。


2004年6月15日(火)記 学級通信No.27
G子、後転おめでとう。

今日、6月15日火よう日にこう転ができた。3年生のときは、こう転ができていたけど、5年生になってできなくなったので、いつも家へかえってこう転の練習をしました。
そうじがおわって練習をしにいったときは、手に豆ができていて、鉄ぼうをにぎると、豆がつぶれたのでそのうち練習ができなかったので、とてもさいあくでした。
でも今日、先生がひざをあごにぶつけるようにやってみろと言ったので、そのようにやってみるとできました。
こう転ができたのは、先生のおかげだと思います。今日日本一にたっせいできて、すごくうれしかったです。次は長なわ日本一にたっせいしたいです。


2004年6月22日(火)記 学級通信No.28
先週のことだ。

6月18日に、後転ができた。
その日の昼休みは本を読んでいたけど、U君が
「鉄棒行けや。」
などと言って、運動場に行った。
1回後転をやったら、みんながあともうちょっとやと言って、もう1回やったらできた。うれしかった。

これで28人中16人達成で、57%
続いて、今日のこと。

6月22日4時間目のさいしょにうしろで二重跳びのとっくんをしました。
で、やっと1回できました。いままでやってきたかいがありました。
二重跳びが1回できてうれしかったです。

U君はどうしても腕が開いてしまうので、芹生式をやってみた。
すると手首回旋スピードが速くなって、めでたく二重跳び1回ができるようになった。
これで二重跳び1回は28人中27人が達成。96%
そして、昼休み。

今日、こうてんができました。今日のそうじ時間に、Yさんが「Iには負けへんで。」と言われたので、「オレも負けへんで」と言って外に出て、チャイムがなった。おもいっきり走っててつぼうまで走っていって、さかあがりを3回してから、1回休んで、つぎの6回目ぐらいで先生が「おしい。95点」と言って、そのつぎにこうてんができて、先生が「よし、I君、合格。作文」と言って、ぼくはいややなーと思いました。
ぼくができて、こうてんたっせいりつは59%。
そのあとに、友達が、「あと1人できたらしゅくだいなしやってー」と言いました。

I君のおかげで28人中17人達成で、60%の大台に乗った。
福井県の村田正樹先生から、いい指示を教えてもらった。
「ヒザでアゴをけるようにして回りなさい」
Gさんのときから、この指示をたびたびしているのだが、後転のポイントをつかむのには有効な指示だと思う。


2004年6月24日(木)記 学級通信No.30
さっそく作文を。

6月24日(木)昼休みに、やっと後転ができた。このまえ、I君といっしょに勝負しよかと私が言いました。それでI君が「おお、ええぞ。」と言ってくれたので勝負しました。それで練習をしていたら、先生が「おお、I君95点。もうすこし。」と言っていたので、私はI君に負けると思ってがんばってもムリでした。それで、I君ができて、私は、I君に負けて、さいてーと思った。
それでYさんが「Sちゃん、がんばれ。」と言ってくれました。それで、昼休みに毎日いっていて、やっと今日できた。
さいしょはできないと思っていたけど、今日やっとできてうれしかった。
それでHさんに、やっと後転ができたのっていったら、「S、よかったやん」て言ってくれました。
おうえんしてくれてありがとう。
次、5回以上できたいです。

Sは昼の友の会に休まず参加していた。
太股を鉄棒にこすって赤くしながらも頑張っていた。
Sの達成で28人中18人がクリア。
達成率は64%


2004年7月5日(月)記 学級通信No.35
昼休みの鉄棒友の会のときだ。
いつものようにY君とN君が並んで後転の練習をしていた。
N君が鉄棒に跳び上がって腕支持になり、脚を3回振ったと思ったら、くるりと鉄棒に巻きついてしまったじゃないか。
後転ができたのだ。
本人もびっくりしたような顔をして、「できた」とガッツポーズをした。

今日、ぼくは後転ができました。ぼくは、はじめは後転なんてできるはずがないと思いました。
はじめはあそび半分で行っていたけれど、先生に「できそう」って言われたので、まじめに行こうと思いました。
だけど、どんなに練習してもできなかったので、行くのがめんどくさくなってきました。
それでも行っていたら、今日できました。とてもうれしいです。

びっくりしたのは本人だけじゃない。見ていたY君もだ。
これまで2人仲よく後転できないコンビで、楽しく練習してきたのだが、N君に先をこされて、おいてけぼりになったのがY君だ。
私はYのあんな顔はこれまで見たことがない。
いつもにこにこしているYが、ひじょうにあせった表情、困ったぞという表情になったのだ。
そして次には「オレも本気でやる!」という決意のこもった顔になった。
これ、これ。これじゃないといけない。
本気にならねば力なんぞつかない。
きっと締まった表情で鉄棒を握ったY.
跳び上がって腕支持になり、脚を3回振って回転を始めたら、なんとYも後転をやってしまったではないか。
げにおそろしきはライバル意識である。

今日、後転ができました。そのわけは、アイテム、校庭のすなを手につけて後転をしてみたけどできなかった。
それで何回もくり返していたら、N君ができてしまった。
ぼくもがんばっていたらできた。よかった。

その後もけっさく。
私が「3回できたら合格。N君も1回、Y君も1回。さあ、どちらが早く3回できるでしょうか。勝負です。」
両者とも、これまで見せたことのない頑張りである。
後発のYが先に2回めをクリアしたと思ったら、Nも負けじと2回目をクリア。
とにかく2人ともあせりまくっているもので、精神の集中がない。
あせるわ、笑うわで、結局2人とも3回目をクリアせずにチャイムとなった。
ま、完璧ではないものの、できたことに変わりない。
というわけで、5年1組28人中20人が後転を達成。
達成率は一気に71%だ。ついに70台突入だ。
さあ、あと8人。


2004年7月12日(月)記 学級通信No.38
K君が後転をなしとげた。そのとき、私も見ていたのだが不思議な光景だった。

今日、飼育をいそいで終わらせてから、後転友の会に行きました。
でも、やる場所がなかった。それで、G君に「かしてください。」と言ったら、かしてくれた。
最初ぼくがやったとたん、すーっと回りました。ぼくはうれしかった。
そのあとやったけどできなかった。でもうれしかった。

作文にあるように、G君が使っていた鉄棒を何気なく自然に握り、跳び上がって腕支持になったK君。
3回脚を振ったとたんくるりと巻きついたではないか。
地面に着地した彼は、両手をあげ、
「できたー!!」
と叫んだかと思うと、そのあたりを走り始めた。
よほどうれしかったのだろう。
その姿をみたG君の顔が変わった。
まるで先週のN君とY君のような感じである。
「くそー。負けるかー!!」
G君が吠えた。
すごい気合いである。
Y君が火事場の馬鹿力を出して後転をクリアしたのも月曜日。
ひょっとするとG君もやってしまうかもしれない。
腕支持の体勢から客脚を振るG君。
勢いよく脚が前方に投げ出されたと思ったら、体は下に落ちてしまった。
きりっと締まっていたG君の顔がゆるみ、
「やっぱりあかんかったわ」というような表情になった。
気合いだけでは後転はできないようだ。
とにもかくにもK君のおかげで28人中21人が達成。
達成率は75%に上昇した。
さあ、次はG君の番だ。


2004年9月3日(金)記 学級通信No.41
4時間目に体育をした。2学期初めての体育である。
運動会に向けて、ラジオ体操と短走の練習はやっておかなくてはと思っていた。
それから、リレーの選手も選ばなくてはいけないので、50m走のタイムを測った。
チャイムまで15分ほど残ったので、鉄棒をした。
後転についていえば28人中21人達成で1学期が終わったところで、2学期のスタートである。
すると、なんとOさんとG君が後転をやってしまったじゃないか。
達成率は82%だ。
ではOさんの作文から。

今日、体育の時間にこうてんができた。夏休み、大阪のお姉ちゃんの家にとまりに行って、家の近くに公園があって、その公園で1週間練習をしたらできるようになりました。
その時はとてもうれしかったです。
夏休みが終わって9月3日の体育の時間に初めて3回できるようになりました。
その時も、とてもうれしかったです。
もっと練習して何回もできるようになりたいです。

Oさんは夏休みに頑張ったんだ。えらいなあ。
努力が実力を創る典型だ。
さて、次は「くそー。負けるかー!!」と1学期に吠えた燃える男G君の作文。

今日、体育の時間に鉄ぼうをしました。
先生が「いちれつ目、後転1回。」と言ったので自信なしでやりました。
すると1回目から出来ました。
出来たことを先生に報告したけど何も反応がありませんでした。
授業が終わってから、もう一度先生に報告すると、
「G君出来るんちゃうかったか。」と言ったので、「出来ひんかったで。」と言ったら、
「やって」と言ったのでやりました。
やったら、1回より楽にできました。
昼休みに後転友の会に行ったら、妹が来たから、後転をしました。
2回目より楽にできました。
昼休みに練習をやっていないのに出来ました。うれしかったです。

たぶん夏休み中の腹筋運動が役に立ったのだろう。


2004年10月1日(金)記 学級通信No.53
5年1組に新しいメンバーが加わりました。転校生です。女の子です。
昼休みに転校生の子に鉄棒の技を見せてもらいました。
逆上がりはかなり技化したもので、たいへんスムーズです。
後転では後方へ脚を振り上げたとき、上体と一直線になって水平位置まで上げています。
間違いなくこの子は鉄棒のうまい子です。
この時点で、5年1組の後転達成率は上がりました。
82.14%から82.75%です。

2004年11月9日(火)記 学級通信No.57
「OさんとG君が新たに後転をやってしまったじゃないか」と書いたのが9月3日のことだった。
あれから2か月。
鉄棒友の会は活動を停止していたわけではない。
雨の日と私の出張の日以外は昼休みに地道に活動を続けていたのだ。
努力のかいあって、といっても、私が努力をしているのではなく、子どもが努力しているのだが、ついにMさんが後転を達成した。

昼休みに、いつも「後転友の会」をやっている。私はそれにずっと行っていませんでした。
私はぜんぜん出来なかったから、
「どうせ、出来ひんのに、やりたないなー。」
と思いながら行っていました。
でも今日やっと後転が出来て、
「やったー!」
とさけんでしまいました。
私はいつも、ほうか後に、YさんとHさんとSさんとTさんとHさんとGさんで、後転の練習をしていた。それぞれみんなからアドバイスをもらいながら、練習をやっていました。
後転ができた少し前に、Oさんが、
「1回目のふりが強くて、最後ふりが少ないからだよ」
と言われて、小小大とふってみると、ぐるんと回れました。
あまり感覚はなかったけど、みんなが「できた!」と言って、「やったー!」と思った。
今日は最高の日だった。

あー、よかった、よかった。
Mさんは跳び上がって喜んでいた。
ああいう姿を見ると、こっちまでうれしくなるのだが、反面悲しくもある。
Mさんが新たな技を己がものとし、能力を伸ばしたことは、大変うれしい。
しかし、自分を省みると、年のせいで年々体力や技術が下降している様は悲しいものがある。
とはいっても、中年は中年なりに頑張らないといけない。


2004年12月9日(木)記 学級通信No.64
鉄棒後転があと4人というところで、ピタっと停滞してしまった。
11月9日にMさんができて以来、上達がみられなくなった。
4人のうち2人は熱心に昼休み友の会に来ている。
どうにかできんもんかと思案した。
これまで、友の会では、私は口だけ使って、あとは植え込みのへりに腰を下ろして応援だけしていた。
くるりんベルトを使って練習していると、子どもは知らない間に上手になっていたので、楽をさせてもらっている状態だった。
しかし、この停滞だ。
何とかできんもんか。
Mさんのときに思ったのだ。
彼女は脚を後ろに振り上げてから、もどってくる力で回転に入ろうというときに体がベローンと伸びてしまい、巻きつくことができなかった。
Mさんの場合、腹がバーに当たり支点が確保できていない状態でありながら回転に入ろうとするため、ベローンと伸びてしまっていたのじゃなかろうか。また、支点の確保ができていないために腕が曲がってしまうのではなかろうか。
そんなことを思っていると、後転という一瞬で終わる技ではあるが、さまざまな複数の動作から構成されており、そのうちの1つでも不良であると失敗するんじゃなかろうか、と考えた。
そこで、私はない頭をしぼって、後転を構成する動作を分解して考えてみた。
4つあった。

 1.後ろに脚を振り上げる
   いち、に、さん、と3回ふり、振りは大きくしていく。
 2.伸腕のまま、腹に鉄棒を押し当てる
   支点の確保
 3.両ヒザを上にあげる
   伸膝だと上げるスピードが出ない。屈膝でやる。
 4.上体を後方に勢いよく倒す
   支点が固定されているなら、これでくるりと回転できるはず。

Tさんを相手に、この4つの動作の1つずつを意識させながらやってみた。
10分間の指導が今日で3回目になる。

後転ができた。
3日前から、先生が1人ずつ後転の練習をしていました。
今日も
「1.2.3で足をあげる。」
と言われて
「1.2.3」で後転が出来ました。
よかったです。

というわけでTさんが後転を達成した。
これで29人中26人がクリア。
達成率89.6%
次はI子だ。
絶対彼女に後転をさせてみる。


2004年12月15日(水)記 学級通信No.67
先日から気合いバリバリで指導している鉄棒の腕支持後転だが、今日、K男がやってのけた。

12月15日(水)にそうじがおわって昼休みになった。
昼休みになって、鉄ぼうに走っていって練習しました。
それで、まず先生がくるまえにひざ上げの練習をした。
それで先生がきて、後転をした。
でもなかなかできなかった。
それでUきんが「もうちょっとひざを上げて、鉄ぼうにひきつけてやってみろ」と言って、何回もやって、U君がもうちょっとやからがんばれ」と言ってやったらできた。
練習を行っていてよかったと思った。
明日も行って練習をやり後転をやりたいです。

13日(月)にK男には2つの課題を出した。

 1.脚の後ろ振り上げ
   ものの本によると水平以上に脚を振る上げるとダメと書いてあった。
   だいたい後転のできない子は振りが小さい。
 2.ツバメからの両膝上げ
   上体をまっすぐしたまま膝を上に上げる。
   伸膝よりも屈膝のほうがやりやすい。これはマットの後方宙返りでも同じだ。

14日(火)のK男は2のヒザ上げをやっているとき、反動をつけ始めた。
後ろへちょっと振っておいてから、その反動でヒザを上げるようになった。
これはまさしく腕支持後転の途中の局面そのままではないか。
これでバーを腹から離さずに後方回転すると、後転のできあがりだ。
そして今日は、後ろに倒れる動作をするように指示した。
ベローンと前に体が伸びてしまいつつも、少しずつ両膝が上に上がってきて、とうとうやってしまった。
29人中27人達成で93%
次こそはI子だ。

2005年1月20日(木)記 学級通信No.74
久しぶりに大声を張り上げて叫んだ。いやー、感動だ。
仕事はしんどいことも多いが、こういうのを目にできることは、何よりの喜びである。
I子は友達と抱き合って喜びを表現していた。   

昼休み、今日も後転の練習をしていた。
先生が
「ほじょします。」
と言って、手伝ってくれた。4.5回した後、自分だけでやってみた。
でも出来なかった。
「おしい!あともう少しやねん!」
先生が言った。
Sちゃんが
「足がおいかけてきて、鼻がにげるねん。そんな感じでやってみて。」
そんなふうに言ってくれた。
でもできなかった。
チャイムがなって終わろうと思ったけど、いつも最後2回ぐらいするから、やってみた。
「できたら来んでいいんやで。」
Kちゃんが言った。
1回目はできなかった。
あともう1回だけしてみようと思ってやった。
そしたらクルンってできた。
うれしかった。
こつは、鉄棒におなかをくっつけて、ひざをふったときに顔につくぐらいまであげて、いっきにまわる。
これからも鉄ぼう友の会で新しいわざをおぼえようと思った。

努力の継続が人間を伸ばしていく。
I子の頑張りが花開いた。
この寒いときの鉄棒はバーが冷たくて握るには根性がいるのだ。
それでも5年生は大勢が鉄棒をやっている。
I子の作文にあるように、HさんやAさんが励ましの言葉をかけている。
おそらく、5年生が誰もおらず、I子と私とがぽつんと鉄棒で友の会をやっていたならば、I子は途中で友の会をやめてしまっていただろう。
たくさんの5年生が鉄棒をやっているから、嫌いな鉄棒をI子は続けられたのだろうと思う。
達成率は96.5%
また、くるりんベルトという補助具の力も大きい。
これがなければ、ここまでの達成率は出てなかったと思う。
「補助具はブームを起こし、ブームは子どもを伸ばす。」


2005年2月18日(金)記 学級通信No.82 
100%達成
ついに最後の男、U男が後転をなしとげた。
昼休み、U男後転達成の瞬間、まわりの5年生から拍手が起こった。
さらには、校舎4階の窓からも拍手が起こった。
U男の後転を見ていた5年生からの拍手だった。
これで29名中29名達成の100%だ。

今日、昼休みにこうてんができました。
こうてんができるまでは ずっと練習をしました。
でもやっとできたので とってもうれしかったです。
こんどはこうてんで、れんぞくをめざしたいと思います。

※この実践当時はくるりんベルトについての使用制限は明記されていませんでした。
  現在では「逆上がり」と「前回りおり」指導に限定した使用が前提となっています。
                                     2007.12.30記


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