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簡単で効果の高い気功法

 気功には二千とも三千ともいわれる流派がある。
 その中で、多くの流派に取り入れられており簡単にできて、しかも効果の高い気功を紹介する。

1.スワイショウ

勝田正泰(医学博士)著「気をめぐる冒険」柏樹社から引用する。
なお、私の漢字変換には「スワイショウ」の文字がないもので、カタカナ表記にさせていただいた。

 掌感訓練にも役立つもっとも簡単な気功法は「スワイショウ」である。スワイとは振り回すという意味で、スワイショウとは手を振り動かすことである。はじめは自発的に動かしているが、百回、二百回と振っていると手が勝手に動いているような感じになってくる。いくら続けても疲れないような状態になる。てのひらにビリビリしたしびれるような感じが起き、指先までジンジンと熱くなる。四百回、五百回と振り続けると全身がさわやかな気分となり、いつまでも振り続けていたくなる。これはランニング・ハイと同じであり、スワイショウはエンドルフィンの分泌を促す妙法のようである。
 止めるときは徐々に振幅を小さくして自然に止まるようにする。そのまま立っていると、全身の爽快感と共にてのひらにジーンとした感覚をはっきりと感じ、これはしばしば持続する。合掌法よりもずんと手応えのある感触である。『気功精選続篇』(人民体育出版社)に上海体育宮の周元竜氏が「スワイショウ」についての簡明な解説を書いている。これによると用手は1961年に上海の形意拳家の田瑞芳が開始したものである。彼は、スワイショウはもともと形意拳家の秘伝の宝であったと語っているそうであるが、1966年に八十余歳で故郷に帰り、間もなく死亡したので、真相は明らかではない。
    (中略)
 周元竜氏が指摘している要点を再録してみる。
 姿勢は、足を肩幅に開き、足先を前に向け、膝を自然にゆるめる。首すじの力を抜いて頭頂の百会をすっと引き上げるようにし、下顎を自然に収める。(この状態を虚領頂頸という)。胸部の力を抜き、両肩をわずかに前に向け、背中の筋肉をゆるめてやや広げるようにする。(この状態を含胸抜背という)虚領頂頸と含胸抜背は太極拳をはじめ、中国武術開始時の基本姿勢である。
 動作は、両肩を放松させ、両腕を自然に振る。周元竜氏の記載では前は臍の高さを超過しないようにとある。しかし実際には前は肩の高さ、後ろは三十度くらいまで振ってもかまわない。反動をつけて無理に後ろに振るのはよくない。手指は自然に伸ばし、掌心が少し凹むようにする。手指をピンと伸ばしてしまうと、運行が妨げられて気が掌心の労宮穴に達しにくくなるのである。
 両足も放松する。足指に力を入れて地をつかむようにしてはならない。スワイショウの 技が進歩すると、重心の移動を足指が自然に調整して平衡が保たれるようになり、十指が地をつかむ頸力が自然に生まれてくる。立ってスワイショウを行うことができない人は坐ったまま振ってもよい。片方だけ振ってもよい。脳卒中後の麻痺が?手で軽快した人もいるようである。
 スワイショウの回数は、毎日朝晩二回、一回に二千回行う。はじめは数百回からはじめ て次第に増やしていく。振りながら回数を数えることに意念を集中すると雑念が除かれる。速度は二千回を四十分で終わるようにする。これは各人の身体の状況によって適宜に調節する。終わった後で爽快感が得られる程度がよい。多忙な現代人にとって、スワイショウのために朝晩四十分の時間を割くのはむずかしい。場所と時刻を問わず、閑なときに随時行えばよい。私は太極拳の前に毎日二十分行っている。
 怒り、悲しみ、狂喜など情緒が不安定の場合には行ってはならない。有害無益である。強風、暴雨など気候条件の悪い場所や空気がよごれた環境で行ってはならない。
 衣服はゆったりしたものをつける。ことに頸部と腰をしめつけるものはよくない。眼鏡ははずした方がよい。振っているときには頸は前上方には向けないで、前下方に向けるようにしなくてはならない。気血が上行するのは身体の健康や治療に不適当だからである。

上記引用のスワイショウは腕を前後に振るもので、別名「手ブラ」という。「ハイワン」と呼ぶ流派もある。
 その他にスワイショウのバリエーションとして、腕を左右に振るもの、腕を身体に巻き付けるようにひねるもの、腕を8の字のように振るものなどがある。
 立ち方の基本は平行立ちであるが、これに屈伸運動をともなうやり方や、足を前後に開いて立つやり方もある。
スワイショウは胃腸病、喘息、神経症、不眠症、肝臓病、心臓病、肩こり、肩胛間接周囲炎などに効果があるとされている。

2.タントンコウ

 前掲書から再び引用する。
 蛇足であるが、前掲書には一般の気功の入門書よりもわかりやすい解説がなされているため引用させていただいている。
 これもワープロに漢字がないもので、カタカナ表記とさせていただいた。
 

タントンコウは基本的な気功法であって掌感訓練だけを目的としたものではない。タンとは立つことで、トンは椿の簡体字であって、椿とは杭のことである。タントンコウはつまり打ちこまれた杭のように、ひたすら立ちつくす功法である。
 朝早く中国の公園に行くと、多数の人が樹木を前にして立ちつくし、朝の新鮮な”気”を吸収している。ただ立っているだけであるが、調身・調息・調心の三原則が整えば、タントンコウは素晴らしい気功法であり、てのひらにじんじんするような気感を感じ取ることができる。
  (中略)
 両足を肩幅に開き、つま先をまっすぐ前に向けて両足を平行にする。虚領頂頸(首の力を抜いて、うなじを伸ばし、頭が上からつるされているようにする)と含胸抜背(胸を張らないようにし、背中を伸びやかにする−背中を丸めて猫背になることではない)に注意する。膝をゆるめ、腰を少し落とす。 両腕を胸の前に上げ、肘をやや低くし、両手の指先を胸の前で向き合わせる。手指は力を加えないで自然に伸ばし開く、両手指先の距離は10センチから20センチ程度で、両手と胸との距離は30センチ程度である。太い木を抱いているような形であり、意念としては大きな気球を抱いていると想像する。それで抱球式とよぶのである。足幅を肩幅よりやや広めにしたり、両腕を胸より高く肩と同高にする場合もある。これは体力に応じたものである。              (中略)
 抱球タントンコウを続けることによっててのひらに”八触”つまり、麻(しびれる)・張(はれる)・熱(あつい)・涼(つめたい)・酸(だるい)・重(おもい)・痒(かゆい)・蟻走(虫がはう)という掌感のいずれかを感じるようになる。しかし何度も言うように本法は掌感獲得の手段として行うものではなく、身心の健康と調整を目的とした鍛錬法である。

 タントンコウは、高血圧症、低血圧症、冠状動脈性心疾患(狭心症など)、神経症、胃潰瘍、慢性胃腸炎、慢性肝炎、肝硬変、胆道結石、腎臓結石、リウマチ性関節炎、肺結核、喘息、慢性腎炎、座骨神経痛、貧血、近視、遠視、中心性網脈絡膜炎などに一定の効果があるという。
澤井健一という拳法家がいる。
 中国で形意拳の一派である大成拳を16年間学び、1947年に太気拳を創始された。
 太気拳に「立禅」と言われる修業法があるが、これはタントンコウのことである。
 上記引用は、抱球式であるが、その他に「提抱式」「按球式」「丁八式」などのやり方がある。
 武術の鍛錬に使われる気功法であるがゆえに、その効果は高いと思われる。
 中国に林厚省という高名な気功医師がいる。外科手術のさい麻酔薬を用いずに、気を用いて麻酔を施す「気功麻酔」の創始者である。
林医師は指や手のひらから気を発射するための訓練として、タントンコウを高度にしたものを紹介している。
「下按式タントンコウ」「深根在地(しんこんざいち)」「空中飛剣(くうちゅうひけん)」「竜鷹跨歩(りゅうおうこほ)」と呼ばれる功法である。
 引用文の中で「八触」という言葉が出ている。
手のひらに気を感じた場合、そのような感触があるということである。
 また、中国仙道の会の高藤聡一郎氏は5つの気感をあげておられる。
(1)熱感
(2)圧力感
(3)通風感
(4)磁力感
(5)通電感
 気感は人によって感じ方が異なるし、同じ人でもその日の体調によって異なってくる。
 「気」を感じないからといって気にすることはない。
 タントンコウは最初は3分ぐらいから始め、徐々に時間を延ばしていく。

3.擦掌(さっしょう)

 これは気を感覚化する訓練である。
 足は肩幅にして膝をゆるめ少し腰を落とした姿勢で立つ。これを「基本功の姿勢」という。
合掌し、手のひらを擦り合わせる。垢が出るほど擦り、熱を発生させる。
 手のひらが熱くなったら、胸の前あたりで手のひらを5センチから10センチほど離して向かい合わせる。
 そして、意識を手のひらに集中する。
 八触や5つの気感が得られたら、間違いなく気が出ている。

4.開合(かいごう)

 擦掌で気感が得られたら、この気を練る訓練にはいる。
 基本功の姿勢で立つ、擦掌のポーズから、手のひらを向かい合わせたまま、広げたり、狭めたりする。
 気を感じながら行うことが肝心で、あまり早く動かさないほうがいい。

留意点

1.気感は個人差が大きい。感じない子どももいれば、感じる子どももいる。
  感じないからといって気にすることのないようにしていただきたい。
2.気功をし終わったら、「収功」という気功式の深呼吸を数回行う。
 やりかたは以下の通り。
 (1)両脇に垂らした手を横に上げながら息を吸い、頭上まで両手があがったときに吸い終わる。
 (2)ゆっくり長く息を吐きながら、正中線にそって両手を下ろしていく。
   両手が胸の前を通り過ぎたときに膝をゆるめて下に体を沈める。
   両手がへその前を通り過ぎたときに、膝を伸ばしていき、吐き終わったときには、自然体で立っているようにする。
 収功は3回程度行う。
3.収功が終わったら、右手のひらを左手で叩き、気功体から解放する。

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