音声重視の指導

言語を学び始めた初期の段階で、音声による指導が特に重要なのはご承知の通りです。[聞くこと][話すこと][読むこと][書くこと]に先行して指導されるべきであるのは、疑う余地がないでしょう。
音声による指導を重視しながらバランスの取れた[書き方][読むこと]の指導を心掛けるとき、音声重視の入門期指導で陥りがちなのが[音とつづりの関係の指導(phonics]の欠落です。もちろん、これは音声指導重視の指導を行っていない学校についても当てはまります。例えば、小学校・中学校における入門期指導では、どんな教師も必ずアルファベットの[読み方]は考えると思います。しかし、その[]を教える教師はあまりいません。これはどういうことかというと、アルファベットの[読み方]を教え、ABCの歌を歌い、ABCの書き方を教えた時点で、多くの教師は[音とつづりの関係]を指導せずに教科書の音読に入っているということです。しかし、よくよく考えると、例えば、catを読めるようになるためには、c[ka][kei]a[ei][A]t[]という[]を出すということを教えなければなりません。これを教えずに生徒がcatを読めたとしたならば、それは読めたのではなく、単に教師が言うのでそう読むのかと無理やり納得させられているだけなのです。こうしたことを続けていると、何人かの勘のいい生徒を除くほとんどの生徒はいつになっても自分で英語が読めるようになりません。したがって、実際に英語を読ませる前には、まず26文字すべての[]を教え、基本的な単語を示して徹底的に練習する必要があります。

小学校の算数においても、アルファベットを教えずにm, mm, cm, km, g, kg, l, dl, ha, aなど記号としてだけしか教えていませんし、中学の文字式で筆記体を教えずに使用していたり、教材に一貫性がありません。前述のごとく、小学校で教えるべきローマ字もアルファベットの学習なしに出来ません。小学校でローマ字も訓令文で2時間程度教えているようですが、なぜ中学校の教科書にヘボン式ローマ字表が出ているのか理解しがたいことです。さらに、外務省ではパスポートの表記にヘボン式ローマ字を使用するように指導しているではありませんか。
小学校英語では文字を使用しないことが暗黙の了解のように言われていますが、国語科でローマ字を学習するのですから、今後アルファベットを先に教え、ローマ字や文字の読み書きを含めたカリキュラムを考えるべきであると思い、written Englishなるものを作っています。
日々世界は狭くなり、実用英語の必要性はますます増大してきています。しかし、それだけのために英語を勉強するのではなく、むしろ自分自身を啓発し、自己確立していくということが教育そのものなのです。外国語に対するこういう考え方は、ヨーロッパには昔からあったようです。ギリシア、ローマでも当時もう使われなくなっていたラテン語をすべての学問の基礎として課し、ラテン語を習得した青年はヒューマニズムを身につけた紳士として認められたようです。英語を勉強することは、高校、大学入試突破はもちろんのこと、自分の青春をかけての自己確立の勉強のひとつではないでしょうか。


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