A . I . W
A r c h i   I n f o  W e b

「マンションの大規模改修を振り返って」

コピアス八尾管理組合
2001年度理事長 衣田 敏之 様

「何、大規模改修工事?」
「このマンションできてからもう10年もたったんか。そういうたら、外壁が汚れが目立ってきたかな〜」
「そやから大規模改修工事て、たいそうなこと言うても外壁のペンキ塗りなおすだけとちゃうか。」
「ちゃうやろ。管理会社は8,000万円も予算組んでるんやで。きっと外壁塗りなおすだけやなしに傷んだとこも修理して、設備もやりかえて、新築の豪華マンションみたいになるんとちゃうか。」
「そうなったらええけどな〜」

 私がまだ管理組合の役員を引き受ける前には、大規模改修工事という共同住宅の一大イベントに対しても何か他人事のようであり、どのようなことをするのか、具体的なイメージほとんどありませんでした。
 長期修繕計画に基づく、大規模改修工事の準備が始まったのは、平成11年の春頃だったと思います。当時の管理組合理事会が、大規模改修工事の計画作りや業者選定、工事の進行管理を行うための「委員会」を設置するべく、メンバーを募集しました。
 2回にわたる募集にも応募するものは一人もなく、結果的には臨時総会の決議を経て「あとりえあ〜き」の梅本先生と設計・監理業務について委託契約を結び、管理組合が「大規模改修工事委員会」を兼ねることとなりました。
私が、管理組合の理事を引き受けたのが、その後の平成12年2月の総会のことでした。
 それまで役員の任期は1年で、全員が入れ替わるという方式でしたが、この方式では次期役員への引継ぎが十分に行われず、組合運営の継続性を保つことができませんでした。そこで、大規模改修工事を前にしたこの総会では、役員任期を2年にし、改選は半数ずつとすることになりました。これが、管理組合が施工業者との交渉ごと等を最後まで円滑に行えた要因の一つであったと考えています。
 さて、改修工事そのものについてですが、おおよそ次のような手順で進めました。
1 区分所有者へのアンケート調査
2 アンケート調査結果をもとにした改修工事仕様の検討
3 工事経費積算
4 発注業者の選定(見積りをもとに6社の現場代理人予定者の面接等を実施)
5 臨時総会の開催(改修工事内容、発注業者及び発注金額の決定)
6 工事期間中、3週間ごとの工程会議の開催(管理組合、施工監理者、施工業者)
7 検査(1期工事、2期工事それぞれの中間検査、完了検査)
8 引渡し

 以上の内容について理事会が対応してきたわけですが、区分所有者に向けて、折々に「コピアス八尾管理組合広報(大規模改修ニュース)」を作成し、各戸配付することにより、理事会での検討内容等の周知を図り、同時に大規模改修工事に関する意見箱を設置しました。
 工事期間中不自由な生活を強いられる居住者の理解と協力が欠かせないため、この広報等が改修工事を進める上で、重要なことであったと考えています。
 私たちの管理組合にとって、改修工事は、これまでの中で最大の事業であり、無事終了したという安心感と共に、これを進める過程で組合運営が管理会社主導であってはならないという意識が芽ばえたことが、大きな収穫でありました。
 これも、改修工事の設計・監理業務だけでなく、組合運営に関して多くの助言をいただいた梅本先生のおかげであったと感謝しております。
 今回、私たちの改修工事にコンサルタントが入ることに反対意見もありました。
 しかし、見栄えだけを良くするだけでなく、躯体補修を第一に考えた今回の工事では、我々管理組合に専門的な知識がなく、その必要性を説き、改修工事施工会社だけでなく分譲者を含めて折衝にあたっていただだいたことなど、結果的には要した経費以上の価値があったと考えています。
 今後、同様の改修工事を予定されている管理組合の皆さんも是非、検討されることをお勧めします。