気がつけば、なにからなにまで、君だった。
「依存」
朝、目を覚ます。君の声で。
ぼんやりしたまま、ゴハンを食べる。君の味付け、美味しいね。
シャワーをあびて、着替える。君の見立て、僕の好きな色。
今日の帰りは遅くなるよ、ほら、アイツの祝勝会。君と交わす、いってらっしゃいのキス。
仲間とバカ騒ぎは悪くない、この世界に僕は生きてるから。だけど、もう、君を想う。
やがて抜かれるシャンパン、あふれる飛沫。君を連れて来ればよかったな、そして同じ瞬間を共有するんだ。
軽いジョークに、重い誘惑で応えないでくれ...僕の彼女を知らないの?...それは幸運で不幸なことだね。
やや上気した頬の熱さをもてあましながら、深夜の帰宅。酒臭さにハグを逃れる君をつかまえる。
だって、今日は君と一緒じゃなかった、君でいっぱいにならなかったから。たまには玄関で君を抱くのもいい。
冗談でしょう?って。そんな瞳で見ちゃいけない、洒落にもならない、そんな色は。
固いフロアリングに広がる髪は、君の心のようにざわめいてる、波打ってる。
どうしよう、どうしよう、この身体をどうしよう。
組み敷けば、限りなく柔らかくなる君を、どうしよう。
一瞬にも満たない躊躇は。
くちびるが、くちびるに。
吸い寄せられた途端に消えた。
君の短い溜め息を飲み込んで、甘い吐息と、か細い喘ぎが続くようにしてあげる。
そうして、その先には...なにからなにまで...僕になる君がいる。
僕と君を交換する行為に夢中になる。
だから、気がつけば、僕は、なにからなにまで、君なんだ。
「依存」
(2005 September)
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