深く切られた爪が、きつく食い込む指先。その、わずかな隙間に舌を差し入れた。

瞬間、声にならない声を吐き出し、恥じらいに強ばる肢体。


ひきつる背中、跳ねる腰、抗えない---愛しいひと。


つま先から、濡れた瞳までは遠い道のり。

少しずつ、ゆっくりと近づいて。

見つめ合いながら繋がろう。

この世に互いしかもたらさない終着点へ、共に行こう。


道半ば、あなたを口腔で吸い転がせば、高く、叫んで。

甘美に響く嬌声に、どうしようもなく心が奮う、躍る。


今宵もまた、目で、耳で、舌で。

あなたのすべてを味わい尽くす。

あなたを愛する、美食家の特権。



舌触りがたまらない。



あなたがないと、生きていけない。





205.舌〜ムウ様は紫龍フェチ〜
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