第2回.簡単手間いらずなテラリウム

ひょんな事からテラリウムを作成することになってしまった・・・・。 
水中専門の私にとっては初体験な事であり、一抹の不安はあったが「水中に比べれば水上など大したことないわいな・・」とチャレンジしてみることにした。元はと言えば私の友人に頼まれたのがその理由だが、友人は忙しくてそんな事してる暇がないだけで、私には出来るというのが妙に気になったが、手間賃をくれるというので喜んでさせて頂くことになったのである。 
  
テラリウムと言っても水槽から何から何まで一通りセットになって販売している。 
とりあえずはそれを購入することにした。 
予想するに陸上部分をどのように作り上げるかが勝負となるだろう事は予測できたので、ある程度構想を練っていたが、セットで付いてくる流木がどのようなものかで大きく変わると思い、行き当たりばったりで作成することにした。 
  
購入したセットは”テラリウムと言えばニッソー”の60センチ前面カット水槽セット。 
希望小売価格2万円だが4割引ほどで入手した。 
事前のセット内容チェックでライトやヒーターなどがセットされていないことが分かっていたので別で購入しなくてはいけない。 
めだかやアカヒレを少々飼育する程度なら、冬の寒さが厳しくない地域での室内設置ならヒーターも必要ないが、友人のたっての希望でアーチャーフィッシュ(鉄砲魚)をご指名のためあった方が良かろうと言うことにした。 
  
さて、通常なら底砂にハイドロサンドたるものを使用するらしいが、そこはそれ、こだわりのある私としてはマニュアル通りにはしたく無いという持ち前のヘンコさが出て大磯とリオネグロサンドと言う、これまたマニアックな組み合わせにすることにした。(笑) 
流木からの色落ちが気になったが3ヶ月もすればましになるだろうと安直な考えだ。 
  
さてさて、制作開始・・・・先ずは一通り説明書に目を通して底面濾過をセットする。 
セットされていた簀の子は2枚。でももう1枚セット可能なので追加してセットした。 
次にウールマットを敷く。 
ここでまた少しマニアックなことを試みる。 
通常ならハイドロサンドたるものをマットの上に敷いていくのだが(事前に流木を組んでからとある)私としてはここに濾材を薄く敷き詰めようと考えた。 しかし濾材は高いのでそのかわりに軽石の中粒を敷いてやった。 
さらにその上にウールマットを敷き、ちょうど軽石のサンドイッチを作った格好になった。 
そしてその上に大磯を敷き詰めていく・・・。 
ゲェッ!底床がえらく高くなりすぎて水中ポンプが埋まってしまいそう・・・。 
何とか水中ポンプの周りを薄くして難を逃れ最後に前面にリオネグロサンドを敷き詰めた。 
なかなか工夫された底床の底面濾過だ!と自分を誉めて、流木を組んでいくことにした。 
この流木、丁寧に洗ってからでないとスンゲェ汚いぞ・・・・(笑) 
  
さすがにセット物、だいたい適当に並べても格好が付くようになっている・・・。(笑) 
前もって用意していたプラントポットやプラントロックを使って何とか陸上部分を作り上げる。 
なれないもので、アーでもない、こーでもないとやっていると結構時間がかかった。 
でも、何とか完了。 
  
ここまでは下準備と言った所・・・。 
本命はやはり陸上部分の植物だろう・・・。 
次のお休みの日に園芸売場へ・・・・・ あったあった、ハイドロカルチャー植物!いわゆる水耕栽培物だ。 
こいつがあれば怖いもの無し、適当に10ポットほどチョイスしプラントポットに入れる植物も2っほど購入した。 
持ち帰った後は勢いに任せてレイアウト・・・・。 
ぽっかり空いた部分にレイアウトしようと思うと、そこを何とか植えれるような状態にしなくてはいけなくなる・・・。 
無い知恵を絞りながら時にはピンセットを持って細かい作業を施し陸地に仕上げた。 
どうしても無理なところはポットのまま配置して後でポットが見えなくなるように工夫する。 
  
悪戦苦闘しながらも何とか格好が付いた。 
なかなかの出来である。(笑) 
2、3日様子を見ていたがメタハラ下なのかすこぶる生長がよい。 
目に見えて日々大きくなり増えていく・・・。何と簡単な・・・。(笑) 
  
さてさて、ここで大問題発生。流木からの色落ちが半端ではない・・・!  
3日で水はまっ茶色!!なんてこった・・・・・予想以上だ。しかしどうにもならないよな・・・と言うことで無視することにした。(笑) 
2日おきに水換えを繰り返したがあまり変わらないし・・・・。 
この流木、マングローブらしいがお決まりのハイドロサンドでないと透明な水は維持できないようだ。 
ハイドロサンドは吸着効果があるソイルで流木からの色落ちもすっかり吸着してくれるらしい・・・。 
まっ、何かのメンテナンスの時にでも前面のリオネグロサンドと入れ替えるか!と言うことでとりあえずはこれで行くことにした。 
  
日に日に生長していく植物は見ていてとても嬉しくなる。 
なかなか見物客の評判も良いではないか・・・・・(笑) 
次は俺のも作ってくれ!何て言う奴も現れる・・・。 
ブタもおだてりゃ何とやら・・・・よしよし暇なときにな!と気軽に請け負ってしまった・・・。(反省) 
こうなると普段歩いている道でも目線が変わる。(笑)何かテラに使える物はないかな?と見るようになる。 
思わぬ道路の隅にあったコケの塊を見つけて「これは使える!」とさっそく採取! (爆) 
プラントロックなどに乗せるだけでずいぶんと良くなった・・・。 
  
と、まぁ、こんな所だが初めて制作して気が付いた注意点をまとめてみる。 
  1. 濾材や軽石をサンドして簀の子の上にマットを敷く時はマットを半分に裂いて薄くして使用すると良い。 
  2. その上はやはり大磯が底面濾過には最適である。 
  3. 前面部分にハイドロサンドを必ず使用しないと水の透明度が出ない。これは全体に使用しなくても1/3程度で十分効果がある。 
  4. 流木はしっかりと固定しないと陸上部分が確実に作り上げられなくなる。部分的に埋め込んだりビニタイで固定すること。ただし、この流木は水を含むと膨張するので乾燥した状態で水槽内に組むときにはガラス面との間に少し余裕を持たしておくこと。出来れば3日ほど水につけ込んだ物でしっかり組みたいところだ・・。 
  5. 分水器やヒーターは流木を組む前にしっかりセットしておくこと。後からでは出来ない。 
  6. チューブを使用して分水するがチューブの先、いわゆる水が出るところは確実に固定すること。容易にはずれたり方向が変わるようでは何処へ飛び出してしまうか分からない。思いの他水はいきよい良く飛び出す。 
  7. 植物を配置する陸上部分はちょっとやそっとでは崩れないようにしっかりと作っておかなくてはならない。そのためにプラントロックなどを砕いて使用し出来る限り隙間を作らないようにする。場合によっては防水シリコンを使用して石同士をくっつけたりしても良いだろう。 
  8. 水が常に必要な植物を配置するところには常に水が循環するようによく考えて分水すること。なかなか後から変更できない。 
  9. 水コケを使用するとうまく水を回したり、直接水面に水が落ちる箇所を改善したり、植物を固定したり隙間を埋めたりと色々出来る。 
  10. 濾過能力はかなりの物である。水量が少ないのに対し広い底面濾過と吸着濾過が行われる。しかも、植物の根や流木を流れることによってバクテリアも多く増殖できるのか立ち上がりもすこぶる良好である。ただし、水の蒸発がかなりある。2日1度は足し水が必要なほどである。 (ヒーターを設置しなければもう少しましになるが・・・) 
こんな所だろうか。 
  
最も注意しなくてはならないのがヒーターの空だきである。 
足し水をさぼっていたりすると1週間そこらでヒーターが露出してしまい大変な事故にも繋がる。  
また、分水器からのチューブの先がしっかり固定されていないと何らかの弾みで排出される水が水槽外に飛び出すことも良くある。  
水中ポンプを使用しているのだから時間の経過と共に水槽内の水は全て排出されてしまう。  
こうなっても大事故に繋がる。  
これを防ぐためには前面がカットされていない通常の水槽を用いるかヒーターをセットしないかと言うことになる。  
ただし、ヒーターをセットして通常の水槽を使用すると場合によっては特に冬場は温度差から前面ガラス部分が曇ってしまったり水滴だらけになってしまったりする。 
見た目も考えれば前面カット水槽でヒーターをセットしないか水位センサーを設置して一定水位より低くなればヒーターの電源が切れるようにしておくべきである。 
  
以上のようなことから、なれない者が作成した物は少し不安だが、注意点をふまえてしっかり作成された物は本当に手間が掛からないアクアリウムとなる。足し水以外何のお世話もいらないのだから・・・。 
しばしば出張などがある方には向かないが、ほとんど自宅にいるとか毎日帰ってくる方にはホントお勧めである。 
アクアリウムに興味がない人でもびっくりするぐらい感動してくれる。 
特に女性の反応は良好である・・・・。(笑) 
  
と言うことで、第2回の特集記事は「あなたも機会があればテラリウムに是非チャレンジしてみては?」と言うことである。 
  
その後・・・・・ 
無事に友人の所へ鎮座したテラリウム・・・・2ヶ月経過したがその間にいろいろなことが起こった。 
当然分水されたチューブがはずれて水が水槽外に飛び出すハプニングもあった。(爆) 
幸い発見が早かったので大事には至らなかったが危機一髪である。 
とはいえ使用していたのが空だき防止機能付きのオートヒーターだったので、万が一の時でも災害にはならなかったはず・・・。 
と、自分を慰めながらも水位センサーを設置しておくべきだったと反省した。 
  
最大の問題は投入したアーチャーフィッシュ! 
どんな生体なのか良く分からずに投入したが、友人のリクエスト通りに投入したエビ3種、総勢40匹、アカヒレ、めだか各10匹が次々と行方不明に・・・。 
まっ、エビは入り組んだ奥の方へ入り込んでしまえば目認することもままならないのは分かるがアカヒレやめだかは何処へ行ったのか? 
まっ、間違いなくアーチャーフッシュさんの腹の中でしょう。(涙) 
(左画像は第2号作品) 
  
と言うことでこいつを隔離して別水槽で飼育することになった。 
で、どうやって取り出すんだ?・・・・ 
 

後はご想像にお任せする事として、現在はリオネグロサンドがハイドロサンドに変わり、ヒーターは取り外され、アーチャーフッシュは別室に引っ越され、新たな住人となったアカヒレさんとめだかさんとエビさん達の幸せな世界となったのでありました。 
(アーチャーフッシュを何とか取りだして茶色い水を排出すると実はぞろぞろとエビさん達は奥からお出ましになったのです。 でもやっぱり数は半分以下になってしいましたけどね・・・・・。) 

ではでは、、、、、