器具の設置方法

水槽にセットする様々な器具類は、その役目を100%果たすためにその目的に応じた正しいセットをしなくてはなりません。
すでにそれらのことを十分に理解しておられる方々には不必要なページですが、始めて水草水槽を作成される方々のために簡単にそれらのポイントを解説いたします。

1.濾過器からの排水口

外部濾過器以外の濾過器では濾過器から排出される出口を自由にセットすることは不可能ですが、外部濾過器ではシャワーパイプと呼ばれる排水口を自由に水槽内にセットすることが出来ます。
しかしながら不適切なセットではうまく水槽内の水が循環しなかったり、またはソイルなどの底砂を巻き上げてしまうような結果となってしまう場合もあります。
シャワーパイプのセットのポイントは、まず、「穏やかに水槽内の水が循環するように」セットすることです。
 
小型の水槽ではセットできる場所も限られてきますので色々と試したりも出来ませんが、大型の水槽になると吸水口との組み合わせで色々と試すことが出来ます。
当然水草水槽ですからレイアウトに使用する流木などの配置や水草が生長して水槽いっぱいになってくれば、水も循環しにくくなってしまいます。
ですから、その時その状態に合わせた最適な設置場所を見つけるようにします。
 
まず、60センチ以下の小型水槽ではシャワーパイプの長さから言って後部ガラス面にしかセットできないでしょう。
水槽セットアップ初期は水草も植際されたばかりで、水の循環もスムーズに行えますから出来るだけ強い水流にならないように心がけます。
目安としては後部ガラス面の上部ではなく下の方にセットし水が水面に向かって出てくるようにセットするのが良いでしょう。
濾過器の能力によってはかなり強い水流になってしまう場合もあります。
このような場合には水が出る穴を一回り大きくしてやったり、エンドキャップに穴を開けてやると出てくる水流を弱くすることが出来ます。
また、後部ガラス面の斜め上あたりに水流がぶつかるようにしても弱くなります。
 
注意しなくてはいけないことに決して底床に向けてセットしないことです。
水流が起こらないばかりか底床に蓄積する腐敗物などを巻き上げたり、ソイルを使用している場合などはもろにソイルを巻き上げてしまったりします。
 
ある程度水草が生長してくればシャワーパイプの位置を少し上に上げてやります。
水草が密集してくるとまた少し上に上げてやります。
最終的には水槽の高さの上から1/3〜1/4程度の高さになるようにすればよろしいかと思います。
 
また、シャワーパイプをまっすぐにセットしなくてはいけないことはなく、レイアウトによっては少し斜めにセットした方が程良い水流が得られる場合もあり、色々と創意工夫で試してみたり、定期的に変化を与えてやるのもとても良いことです。
 
一方、90センチ以上の大型水槽になると穏やかな水流を実現するのも困難な場合もあります。
それだけ大きな床面積があり、そこに色々と水草などを用いてレイアウトするわけですから、思うような水流が実現しにくいのは当然のことのようです。
複数台の外部濾過器を用いている場合にはシャワーパイプも複数存在するわけですから、比較的水流の心配をする必要はないかも知れませんが、1っの濾過器やオーバーフローで濾過を担っているような場合にはよく考えてセットしなくてはならないでしょう。
このような大型の水槽では後部ガラス面にセットするのではなくどちらかのサイドにセットする方が水流を得やすくなります。
サイドのどの位置にどのような向きで、出水口は何処を狙ってセットするのか、生まれる水流の強さを考えて色々と試してみて下さい。
また、様々な次元に合わせて変更するようにすればそれだけで某らの問題が改善される場合もありますので、軽視しては絶対にいけないことであります。 

2.濾過器からの吸水口

基本的には出水口から一番遠い所か、生まれる水流の最終地点と考えるのが最適です。
注意しなくてはいけないことは流木に接していたり石などによって水の通りが悪くなっている場所、または水草が密集していて下葉などがいつもへばりついているような所は適切でない、と言うことです。
これらを防ぐにはあらかじめレイアウトの段階で吸水口のスペースを確保したり、水の通り道が出来るようにレイアウトしてやるように心がける必要があります。
また、決して底床に接しないようにしなくてはいけません。
大磯などの単一底床などであれば多少接していても問題はないかも知れませんが、ソイルを使用している場合などは微塵な粒子を吸い込んだり老廃物をたくさん吸い込み濾過が目詰まりを起こしやすくなったりインペラ部分を痛めてしまったりと百害あって一利無しです。
吸水パイプが長すぎる場合には適当な長さにカットしてやればいいですし、直接底床に接しないように石などをかますようにしても良いでしょう。
また、少し斜めにセットしてやることでも長すぎるサイズを調節することもできます。
吸水口には落ちた葉などが集まってきたりして吸水口をふさいでしまうような場合もありますので、定期的に洗浄するなどチェックする必要があります。

3.CO添加

COストーンを使用するにせよパレングラスなどを使用するにせよ、基本的な設置位置はシャワーパイプなどの出水口の直下、言い替えれば発生する二酸化炭素の気泡が水流に乗り撹拌されるようにセットするのが最適です。
このようにセットできる場合には水深の深い位置にセットしなくてはならない訳ではなく、効率よく溶け込ますことが可能になります。
某らの理由でその様な位置にセットできない場合には、出来るだけ水深の深い位置にセットし可能な限り水槽水と接する時間を作ってやるようにします。
出来る限り細かい気泡の方がいいというのは、その方が水槽水に触れる面積が増えるためで、可能な限り溶け込まそうと言う理由からです。
気泡が大きいとすぐに水面に達してしまい、その分水槽内に溶け込む量も少なくなってしまうということになります。
このようなことからCOを噴出する器具は常に細かい気泡が出るようにメンテナンスする必要があります。
このメンテナンスを嫌うのであれば直接水槽内に添加せずにCOミキサーなどの外部拡散筒を使用した方が効率がすこぶる良くなります。

4.エアストーンの設置

水草水槽においてのエアレーションの目的は水槽セット初期を省けば水面の撹拌に他なりません。
二酸化炭素の添加が終了すれば余分な二酸化炭素を抜き去るというような意味合いもありますが、水草が大いに繁った水槽において酸欠などという事態が起こるのはまれで、よほど過剰に二酸化炭素を添加していない限りは、水草の光合成によって添加終了時点では水草が気泡だらけになっているはずです。
水面を撹拌するという意味合いは、発生する油膜を除去するということですが、これもよほどのひどい油膜でない限りは何ら問題になりません。
ただ、水草水槽において美観は大切なことですから無いにこしたことはない、と言うことになるのではないかと思います。
例外として、水槽セット初期で濾過バクテリアが十分に発生していない場合や、某らの理由で濾過バクテリアにダメージを与えてしまったというような場合にはエアレーションは重要で欠かすことは出来ません。
当然その間の二酸化炭素の添加はしてはいけないことになります。
 
エアレーションの目的が水面の撹拌であれば、その設置箇所はあまり深いところではなく水面に近いところの方が最適です。
目安としては、おおよそ水面から10〜15センチ程度の位置で良いのではないかと思います。

5.ヒーターの設置

最近の主流はオートヒターという物らしいですが、本来は温度設定が可能なサーモスタッドと水温センサーとを併用して使用するのが望ましいように思います。
オートヒーターであれば美観上、見えないような場所にセットすれば問題はないでしょうが、出来るだけ水槽底面と平行にセットする方が正しいセットの仕方です。
少しぐらいは斜めになっていても何ら問題はありませんが縦にセットするのは不適切なセットのし方になります。
 
サーモスタッドと併用する場合には水温センサーをセットする位置が重要になります。
水温センサー部は出来る限り深くセットし、ヒーターから最も遠い場所にセットします。
これは温度の高い水は上にいき低い水は下にいく習性があるからです。
水面付近は生ぬるくても底床の部分は冷たい、と言うことは、冬にトリミングなどで手を入れたときに感じますよね。
ただし、ラインヒーターと併用している場合には底床より少し上の部分にセットした方がいいでしょう。
このような理由から本来温度計も水面近くにセットするのではなく底床に近い部分にセットするのが望ましいわけですが、なぜか温度計が深いところにセットしてあると違和感がありますね。

6.その他

以上の他にも水槽内にセットできる物は色々あります。
どのような物をセットするにしても、それぞれがどのような目的でセットするのかを正しく理解すれば意味のないセットの仕方にはならないはずです。
セットしようとする物がどのような理由で何をするためにセットするのかを正しく理解するように努めて下さい。
 
私的には上記した物以外は定期的なメンテナンス(ガラス面の掃除の際)の時にじゃまにもなりますので、可能な限り水槽内にセットする物は少なくした方がよいと思います。
余談ですが、ガラス面の掃除の際にはシャワーパイプなどもいったんガラス面から取り外し掃除するように心がけます。
あくまで心がけですが・・・・・
 
水草水槽における大前提として、「水槽は常に綺麗にしておく」と言うことから、水換えの時には必ずガラス面の掃除も欠かさないようにしましょう。
どんなに素晴らしい水景や水草でもコケが着いたガラスの水槽では台無しですからね。