水草の為の液体肥料添加

前ページでは水草水槽に使用する液体肥料に次のような種類があると記述しました。
窒素・リン・カリウムを含むもの
微量元素だけを統合したもの
鉄分補給を目的としたもの
カリウムだけのもの
ではこれらの種類の液体肥料を正しく使用し添加するにはどのようにすればいいのでしょうか?
 
まず、様々な環境によって違ってくると言うことを前提に、そのケースを以下のように分類してみました。
底床のセット状況(肥料分を含むか否か)
水槽セット後の経過時間
植栽する水草の種類
水草の状態
元水の状態
生体の有無
生体が飼育されている場合の与えている餌と量
水換えなどのメンテナンスの状況
以上の分類の中でまず、一番重要なことは元水の状態です。
ほとんどの場合は水道水を使用するわけですから、この水道水がどのような水質かを知っておく必要があります。
水道水は地域によって大きく異なるのが一般的で、それを知っておくことは何にもまして大切な基本条件です。
水道水の水質検査には何十項目もの物質に対する基準値があり、それらを全てクリアしていなければなりません。
よって有害な物質が含まれていると言うことはありませんが、人体に影響がない程度では様々な物質が含まれています。
それらの中で硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は若干ながら含まれているのが普通でこれらの物質は水草の肥料分の窒素に当たる物質です。
と言うことは水道水の中にもすでに幾分かの窒素肥料分が含まれていると言うことになります。
これらをよりわかりやすく把握するためには元水の亜硝酸イオン濃度と硝酸イオン濃度(硝酸塩濃度)を測定することである程度把握することが出来ます。
一般的には亜硝酸イオン濃度が検出されることは少ないと思いますが硝酸イオン濃度(硝酸塩濃度)はある程度検出されます。
この値が高ければ高いほど元水に窒素分が含まれていると言うことになりますので、液体肥料分を添加する上で参考に出来ることになるのです。
 
一般的に水草に対する液体肥料分の添加は窒素とリンを含まないもの、と言うのが原則となっています。
これは若干ながら水道水にも窒素分が含まれていることと生体に対して与える餌に窒素やリンが含まれているからです。
また、生体から排出される老廃物にも多分に含まれることから、生体が同居する水槽においては別途添加する必要が全くなく、さらに、同居する生体の数が多かったり与える餌が栄養価の高いものであったり、その量や回数が多い場合などには逆に蓄積していくそれらの物質を取り省かなくてはならない状況になるのです。
このようなことから一般的な水草水槽に用いる液体肥料には窒素とリンを含まないものと言うのが原則になっています。
 
よって、窒素・リン・カリウムを含む液体肥料は特殊なケースにのみ使用するものであると言えます。
特殊なケースとは全く生体の入っていない水槽で元水に含まれる窒素分がごくわずかであり、底床内に水中にとけ出すスピードの速い肥料分が含まれていないケースなどが当てはまります。
これは水草ファームなどでの育成環境によく見られる環境のようです。

また、底床セット時に一切の肥料分を仕込まなかった場合には元水の条件にもよりますが、セットされた水槽には一切の肥料分が存在しないことになります。
そうなれば水草が植栽され発根するであろう時期から窒素・リン・カリウムを含む液体肥料の添加が必要となります。
添加する量は植栽した水草の種類によって異なりますので個々に知っておく必要があるでしょう。
そしてこの添加は継続的に行い、水草の生長の度合いに応じて添加量が増えていくことになります。
大前提として生体を一切飼育しない、餌を与えない、と言うことの上での話です。
 
ここで、底床のセット状況(肥料分を含むか否か)と言うことになるのですが、これは底床をセットしたときにあらかじめ底床内に肥料分を仕込んだのかどうか、どの程度の量を仕込んだのか、どのような肥料分を使用したのか、と言うことによって条件が変わってくると言う事です。
底床内に長時間をかけてじわじわと溶け出すタイプの固形肥料を混ぜ込んだ、と言う場合にはその肥料分が水中に溶けだし水質を富栄養化にすると言うことはあまり考えられず、じわじわと溶けだした肥料分は底床内のバクテリアによって分解され、水草の根から吸収されていくと言うことになります。
しかしながら軽石などに肥料分を溶け込ませた、あるいはしみこませた、もともとの底砂自体に肥料分をしみこませた、と言うようなタイプのものを使用した場合は比較的速いスピードでその肥料分が水中に溶けだしてきますので、液体肥料分を添加するどころか逆に取り省くこと、富栄養化を防ぐことに専念しなくてはなりません。
ここが大きく異なるところです。
 
と言うことで私達が一般的に必要とする液体肥料は微量元素だけを統合したもの、そして鉄分補給を目的としたもの、カリウムだけのものの3っに絞られることになります。
 
一般的には色々な水草を用いてレイアウトを作成したり植栽して少な目の数の小型魚等を同居させ飼育するわけですから、必然的に生体に対する餌を投入することになります。そして、定期的に水換えを行い水質の富栄養化を防ぐ事になります。
これが一般的なスタイルと言うことになるでしょうから、問題は底床をどのようにセットしたかで3っの液体肥料の使い方が分かってくると思います。
水草の種類によってはその種によって大きく異なりますので詳しくは個別に調べるか購入するショップで確かめておくことが必要かと思います。
一般的な概要としては下記の表にまとめます。
 

一般的な有茎草 葉面からの栄養分吸収が盛ん、よって水中に存在する肥料分はとても有効。
根張りの良い有茎草 葉面からの栄養分吸収が比較的盛んだが根張りがよいことから底床内の肥料分が不足するとすぐに生長不良を起こす。重要度は底床内肥料分がやや大きいか。
エキノなどのロゼット型 葉面からも栄養分の吸収を行うが根張りがすごいことからも分かるように大切なのは底床内に十分な肥料分があること。
クリプトコリネ 主に根から必要な栄養分を吸収するタイプ。成長が遅いために液体肥料の添加はあまり効果が無いばかりかコケの発生という逆効果にも繋がる。
リシアなどの根を持たないタイプ 葉面からしか栄養分の吸収を行えないため水中に存在する栄養分だけが頼りとなる。液体肥料分の添加には一番効果がある。
ウィローモスなどのコケの仲間 葉面からしか栄養分を吸収できないがもともと陰性で多くの栄養分を必要としないため添加の必要はない。
浮き草 浮き草である以上水中に存在する栄養分を吸収して生育するが液体肥料の添加が必要な種ではない。富栄養化した水質を改善するために用いられたりする。
シダ類 水中に存在する栄養分を吸収して生長するがもともと陰性の植物であるためによほどの貧栄養化した水質の場合のみ液体肥料分の添加が必要と思われる。
 
上記の表からも分かるように、もっとも液体肥料の添加が効果的で必要と思われるのはリシアなどを含む有茎草をふんだんに使用した水草水槽であることが分かると思います。
このことからも液体肥料の添加が必ず必要と思われるケースはさらに限られてくるようです。

以上のように液体肥料添加のポイントは底床のセット状況(肥料分を含むか否か)と水槽セット後の経過時間、そして水草の状態に左右されることとなります。
 
水草の状態とはどういうことでしょうか?
まず、購入して植栽したばかりの水草は盛んに栄養分を吸収して光合成を行いすぐに生長を始めるものではありません。
まずは植栽された水槽の環境に適合すべく生死をかけて順応しようとするはずです。
発根していない草ならば根が出て底床内の栄養分を吸収できるようになるまでには生長しません。
一般的にはそれまでの草本体は徐々に弱まっていき茶色くなってきたりコケが付き出したりします。
これは購入した草本体に活力が無くなってしまったために起こる現象ですが、その代わりにその本体からは与えられた環境に順応した新芽や脇目がたくさん出てくるはずです。
この新しい草本体が植栽された水槽に適合した水草になるわけで、これを育成していくのが「水草を育てる」と言うことになります。

このような状態の時にたくさんの栄養分は必要でなく、人間で言うならば徹夜で肉体労働を行い疲れ果てている体と精神の時に、無理矢理でっかいステーキやご馳走を食べろと言われるのと同じで、水草にしてもしばらくは休養、環境に順応する時間を必要とするのです。
肥料分が必要になるとしたら新芽を展開し徐々に生長してきたのが確認できてからで、植栽したけれども全然元気がない、少しも生長しないからと言って液体肥料をたくさん添加しても水草はそれを活用することが出来ないばかりか、余剰な肥料分は天敵であるコケの発生を促し、助け、勢力を拡大させる結果としかなりません。
あえて必要な肥料と言えばセットした底床内にあまり肥料分を仕込んでいない場合に、新しい水草を植栽した周囲に若干の固形肥料分を施しておくことぐらいだと思います。
 
全般的に言えることですが、水草に元気がないから、生長が思わしくないから、遅いからと言った理由で肥料を与える、増やす、添加するという行為はほとんどの場合間違った行為で実質的な肥料分不足による生長不良と勘違いされている場合がほとんどだと思われます。
肥料不足による生長不良は頂芽の白化現象や全体的な薄色現象、新芽の生長不良、細い茎、などの草体全体に現れる現象です。
ましてやコケまみれになって水草に元気がないから肥料を与える、早く大きくしたいから肥料を与えると言う考え方はコケの勢力に荷担し水草をさらに苦しめはしても決して水草を助けることにはなりません。
コケだらけになってしまった水草に対する対処はここでは割愛しますが、水草に与えなければならない肥料は水草が多いに活発に生長し、新芽を出し生長させ、その勢力を拡大しているときに必要なのであって、水草に元気がないときに与える薬では決してないのです。
 
話を元に戻して、それでは微量元素だけを統合したものや鉄分補給を目的としたもの、カリウムだけのものはどういった目的で使用するのでしょうか?
 
まず、微量元素ですが、水草が生長して生きていくためには光合成に必要な水と光と二酸化炭素だけではなく、窒素・リン・カリウムと言った三大栄養素が必要です。
さらにこれだけでよいわけではなく、私達人間も微量ではあるが様々な物質が必要なのと同じように、水草にも微量ではあるが無くては正常な生長が阻害される物資が多くあります。
これらを総じて微量元素と言うのですが、代表的な物質としては鉄やマンガン・モリブデンと言った物質が上げられます。
広義に言えばカルシウムやマグネシウム・硫黄も含まれるかも知れません。
カルシウムやマグネシウムと言った物質は硬度で表されるように、水道水にも比較的多く含まれていますが、それ以外の物質は何処からも供給されることがないので(最近の栄養化の高い餌には微量ながらでも含まれているのかも知れませんが)定期的に添加する必要性は決して否定できません。
しかしながら天然素材の底砂やレイアウトに使用する石などにはその様な物質が含まれていることもあり得ますので、大量に添加するものでもありません。
ましてや、必要なのも微量な訳ですからその添加方法は限られてくるでしょう。
一般的には水換え時にごく少量の添加をする程度、と言った使用方法になりますが、特に赤系の水草を多く植栽している場合や水草が水槽からあふれんばかりに爆発しているようなときには毎日〜2日に一度程度のごく少量の添加が必要な場合もあるようです。
 
ここで最も重要な元素は鉄分です。
鉄分は微量元素の中でも比較的多く必要とされる物質で、特に赤系統の水草は鉄分が欠乏していると葉が赤い色にならなかったり綺麗な赤色が出なかったりと言った症状が見られます。
赤系統でない水草でも鉄分が不足していると頂芽の白化現象が多く見られたりひ弱な草体になってしまったり、新芽の展開に支障が出たりとと言う症状が見られることがあります。
頂芽が白化しやすい有茎草や赤系統の水草をたくさん用いたレイアウトやそれをメインに育成させたいような場合には定期的な添加が必要になります。
微量元素を統合したもので特に鉄分を多く含んだような液体肥料が発売されていますのでその様な物をチョイスすると良いでしょう。
また、別途に鉄分の補給を目的とした物もありますので併用するようにしてもかまいません。
 
微量元素や鉄分補給を目的とした液体肥料を添加する際に注意しなくてはならないことに、直接水槽に添加しないようにする、と言うことがあります。
特に鉄分は比重が重いのですぐに拡散せずにゆっくりと水槽内を漂いながら拡散していきます。
このため、万が一生体に直接降りかかるようなことがありますと生体に対して重大な危機を与えかねません。
また、このような方法で大量に添加した場合には往々にしてその様な事故を招く恐れがありますので、直接水槽に添加するのではなくいったんバケツなどでよくまぜ込んでから添加するようにしなくてはならないのです。
 
鉄分は微量元素の中でも比較的多く必要である、と書きましたが、比較的多く必要と言っても微量元素です。
取扱説明書などには60センチの水槽に対して、60リットルの水に対して何滴、何tと言った添加量の目安が書かれていますが、これはあくまで目安であってその通りに添加しなくてはならないのではありません。
基本的には水換えの水量に見合う量を添加するように心がけると良いように思います。
また、水換えの時以外に追加して添加したい場合には適合水槽や水量に対しての添加ではなく、あくまで追加の添加分として心持ち程度にするのが基本です。
たくさん添加したから良く育つ、綺麗になるのでは決してありません。
 
最後にカリウムですが、これは水草にとっては不可欠な物質で窒素やリンと共に多量に消費される物質です。
カリウムは水草の細胞内に蓄えられ様々な生理反応や代謝に関係しており、これが不足していると細胞内で行われる様々な反応に支障をきたし正常な光合成が行えなくなります。
水草の生長不良や活発な光合成の証があまり確認できないような場合は、その他の障害がないと仮定すればまず先にカリウムの不足が上げられるほどです。
カリウムは微量ながら生体の老廃物にも含まれますがその消費量から見て最も不足しがちな物質と言うことが言えます。
よって少なくとも正常な水槽環境においては水換え時に適量を必ず添加するように心がけます。
特に有茎草やリシアをたくさん使用した水景には必要です。
しかしながらこれも多量に添加しすぎては元も子もありません。
全体のバランスが崩れカリウムだけが突出したような環境ではそれによる弊害も現れるのであくまで不足しないように、水換えの時にはその量に見合う分を忘れずに添加するように、と言う程度にするべきです。
 
さて、これまで色々と液体肥料の添加方法やその役割について解説しました。
しかしながら最も重要なことが以下に述べることです。
それは、「コケを探さなければ見つけることが出来ないようなコケのない水槽環境でなくては液体肥料の添加はできない」と言うことです。
少し大げさに表現しましたが液体肥料の添加は良好な状態の水槽に対して不足しがちな物質を欠乏しないように添加する、と言うのが基本だからです。
 
確かに光やCO2、窒素やリンが豊富に存在し濾過もできていて水槽全体も安定期に入っているのになぜかコケが出ている。
これはカリウムが不足しているからだとの判断から、カリウムを毎日添加し始めた所、良好な光合成が行われるようになり、それによって水草に活力が戻りコケが無くなっていった、と言うような事例は存在します。
要するに全体のバランスが取れていなかったためにコケの発生が見られ、バランスが取れるようになって良好な状態になったと言うことですが、このような事例は例外的な少ない事例だと言えます。
ほとんどの場合は窒素やリンが過剰に存在していたり、光とCO2、そして水草の状態、水槽全体の安定度など様々な要因において不具合があったり、バランスが取れていないためにコケが発生し、それによって水草の生長不良が生じていると考えられます。
ましてや、購入したての水草が与えられた環境に順応しようとしている時期に過剰な肥料分を投入したりした、いわば間違った対応を取ったがために起こっている現象だと言える場合もあるでしょう。
 
このように水草に対して与える液体肥料はいわば完璧な状態の水槽環境において、しかも、水草に対して必要な物質を欠乏させないために添加するものであって、決して元気にさせる薬ではないのです。
 
このようにこれまでの解説から考えれば、多量に液体肥料を添加しなくてはならないようなケースはごくまれで、あったとしても例外的な事例であり、定期的に添加しなくてはならない場合でも水槽環境がベストな状態で、水草に某らの物質の欠乏が原因と見られる症状があったときやそれが予想されるとき、または、有茎草をふんだんに使用した(葉面からの栄養吸収の盛んな)水草が水槽内で多いに密生しているような状態である時にこそ必ず必要であると言えると思います。
 
このように考えれば液体肥料の添加が必ず必要なケースも限られてくるように思いますね。
 
以上のようなことをふまえて参考までに大まかな使用水草に合わせた液体肥料の添加方法をまとめます。
以下の表はすべて液体肥料添加のポイントを底床のセットの違いと水槽セット後の経過時間に照らし合わせています。
 

窒素・リン・カリウムを含むもの⇒三大要素
微量元素だけを統合したもの⇒微量元素
鉄分補給を目的としたもの⇒鉄分
カリウムだけのもの⇒カリウム

 
有茎草やリシアの水景
セットから1ヶ月 セット後1ヶ月から3ヶ月 3ヶ月から1年
底床内に肥料無し バクテリアの増加がまず最優先、液体肥料の添加よりも固形肥料を以後のために少な目に施してやる方が効果的。 水槽セット初期に見られるコケが発生する時期。水草が良好に生長しだしていたり新芽を展開しているような状況ならごくわずかな三大栄養素と微量元素の添加が必要な場合もある。 水換え時には微量元素、カリウムの添加は必要、特に赤系の水草が多い場合や発色が悪い場合には鉄分の補給をする。生体の数や与える餌がごくわずかな場合には三大栄養素の添加が必要な場合もある。
底床内に固形肥料 バクテリアの増加がまず最優先、ある程度水槽が安定するまでは添加の必要は特にない。 同上 同上
底床内に溶け出す肥料 水質が富栄養にならないように水換えを頻繁に行ったりそれに対する対処をまず優先。 水質を安定させることが最優先。コケの発生もなく順調に生長しているならカリウムと微量元素を週に1度程度添加する。 水換え時には微量元素、カリウムの添加は必要、特に赤系の水草が多い場合や発色が悪い場合には鉄分の補給をする。
 
 
根張りの良いエキノやクリプト主体の水景及びシダ類の水景
セットから1ヶ月 セット後1ヶ月から3ヶ月 3ヶ月から1年 1年以上
底床内に固形肥料 特に必要なし。 新芽の展開があれば週に一度の鉄分を強化した微量元素とカリウムのごくわずかな添加はよいがそうでなければ特に必要なし。 新芽の展開があれば週に一度の鉄分を強化した微量元素とカリウムのごくわずかな添加。固形肥料の追肥の方が重要になる。 水換え時に微量元素とカリウムの添加、そして定期的に固形肥料の追肥も必要。
底床内に溶け出す肥料 水質が富栄養にならないように水換えを頻繁に行ったりそれに対する対処をまず優先。 水質が富栄養でないことを確かめた上で新芽の展開があれば週に一度の鉄分を強化した微量元素とカリウムのごくわずかな添加はよいがそうでなければ特に必要なし。 新芽の展開があれば週に一度の鉄分を強化した微量元素とカリウムのごくわずかな添加。固形肥料の追肥が必要な場合も生じる。 水換え時に微量元素とカリウムの添加、そして定期的に固形肥料の追肥も必要。
 
最後に・・・。
 
液体肥料の添加というのはそのタイミングそして何を添加するのか、何が必要なのかと言ったことを正確に把握する必要があります。
しかしながらその様な判断はベテランでさえ読み違えることがあるほど難しいものです。
某らの数値でそれらを把握できるのなら誰にでもわかりやすくなるのですが、色々な物質に対してその様なことを実現するのは不可能なようです。
最も大切なのは全ての面でバランスが取れた環境を構築することであり、それがコケのない水槽環境を生み出します。
何かの物質がそこにある環境において多く存在すれば必ず某らのサインを出します。
ガラス面へのコケの付き方、水草自体へのコケの付き方、その他の部分へのコケの付き方などで現れるはずです。
要するに必要以上の肥料分は即コケの発生を引き起こすと考えて間違いではありません。
従って、先ずはコケのでない環境を作り上げること、すなわち貧栄養な水質を実現することが最も急がねばならないことであって、液体肥料が必要かどうかはそれから先の話になります。
 
大ざっぱに言うと、硝酸イオン濃度が0である環境なら、そして、水草に肥料不足が原因と思われる症状が現れているなら、液体肥料の添加が必要、(生体を飼育し餌を与えているなら微量元素とカリウムだけ)もしくは底床内への追肥が必要と判断されても遅くは無いと思われます。
 
色々な物質が複雑に絡み合っている環境で何が不足しているのか、何が多いのかを判断することは限りなく不可能の近いことです。
その様な環境でバランスを取るために何かを添加しようとするのは大きなリスクを抱えることになります。
平たく言えば当たればいいがはずれれば最悪と言うことになります。
そうではなくて、どの物質も限りなく少ない状態、水草にとって必要最小限の量しかない状態、すなわちコケがほとんどでない状態であれば、何かを添加したとしてそれが間違っていたとしてもその弊害は最も少ないものとなるはずです。
このように出来る限りリスクを少なくすること、バランスを取りやすい環境を基本とするのが液体肥料の添加のポイント、と言うよりも水草水槽を常に最高の状態で維持する上でのポイントであると思います。