共存共栄

共存共栄とは読んで字のごとく、「共に生き共に栄える」、と言うことです。
世の中、中には単独で生き単独で栄えているものもあるとは思いますが、ほとんど全ての事柄が何らかの形で共存共栄であると思います。
例えば、自然や野生の世界でも弱肉強食の世界ではありますが共存共栄が成り立っているでしょうし、植物と昆虫の世界でも共生生物があるように、どこかで同じ様な関係が成り立っているでしょう。
私達人間の世界でも会社関係や小売業と消費者との関係などを見ると、やはりそこには某らの共存共栄関係があるようです。
良いものを安く販売するお店があるからこそ、そこへ集まる消費者は潤います。
また、いいサービスを提供しているところへはそれを求める消費者が集まり潤っているのです。
 
それではアクアリウムの世界はどうでしょうか?
共に生き共に栄えているでしょうか?共に生きてはいるようですが、お互い栄えているかどうかは疑わしいですね・・・。
このような現象は何もアクアリウムの世界だけでなく、とりわけ小さなマーケットの世界では良くあることのようです。
マーケットが小さいが故になかなかお互い栄えられないのでしょう・・・。
 
ではどうしたらお互いが栄えられるでしょうか?
最も簡単な方法はマーケットを大きくしてやることですが、急にそんなことは出来ませんよね・・・。
ではどのようにすれば・・・・。
 
アクアリウム業界をもう少し細かく見てみると「製造元−発売元−販売元−小売業−消費者」と言うような関係が見えてきます。
これら全ての所が共に栄えるためには、おのおのがそれなりに努力しなくては決して共存共栄は成り立ちません。
製造元はどのようにしたら、いいものを安く消費者に届けられるかを考え、研究開発をし製造しなくてはいけません。
発売元、販売元、小売業は適正マージン以上に付加価値を付けて販売しないように経費削減や流通コスト、保管コストなどの削減に努力しなくては成らないでしょう。
そのためにはご立派なパッケージや過剰な宣伝広告は必要でないことは明白ですよね・・・。
また、小売業は良い品を消費者に紹介し良くないものを見極めるだけの商品知識が必要となってくるでしょう。
また、安心して相談できるだけの消費者との信頼関係と、プロとしてのアクアリウムにおける知識も欠かせません。
では我々消費者はどんな努力をすればいいのでしょうか?
 
「それはアクアリウム用品を購入することです。」
昨今、いろいろなホームページなどで自作器具の紹介やその作成手順などが紹介されていますが、それはそれなりに意義があり、決して悪いことではありませんが、初心者の方を始めたくさんの方がその様な方向へ行ってしまってはこの業界での共栄はうまくいきません。
ベテランの方が既存する製品に満足できずに自作されたり、もともと、何でも自作するような特技をお持ちの方ならまだしも、器具の自作などしたこともない方や、もともと私のように上手に出来ないものや知識が乏しい初心者の方は安易にその様な方向へ行くべきではないと思います。
また、水草水槽においては園芸用品で代用できるものがたくさんあります。
また、ホームセンターへ行けばアクアリウム用品に代用できるものや部品がたくさんあるでしょう。
しかし、必ずしも自作が格段に低コストで出来るものではありません。
えてして買った方が安く付いた、と言うこともしばしばあるようですし、失敗して材料を無駄にすることもあるでしょう。
代用できると思って購入したのに、よく調べてみると適切でなかったり、不具合があったりする場合もあるようです。
当然、自作できるものにも限界があるでしょうし、問題にするほどではないかも知れませんが、何でも自作できたり、代用できるものがあると思うのは大きな間違いであると思います。
 
経験豊富な方はその商品が価格に見合うだけのものかどうかの判断が出来ます。
また、何度か購入してみて、自作できる、これならうんと安くなる、代用できるものがある、と言う判断の元にされているはずです。
要するにそこに至るまでには豊富な経験の元で培われた知識によって「判断できる力」があるのです。
 
塩素中和剤や見るからに代用できるものがあるような商品を法外な価格で購入しないことは大切なことです。
簡単に自作して使用できるものであるならばその様にするのが節約に繋がることだと思います。
代用できることが分かっているなら、実績があるものならばその様にするのが正しいでしょう。
しかし、それらは全て「裏技」的な方法であって、なんの保証やクレームも言えないことを念頭に置いておかなければ成りません。
いかなる大事故や火災が起ころうとも、全て自分の責任で行わなければならないことは忘れてはいけないのです。
 
また、違う見方をすれば、法外な価格のものを買わずに自作したり代用品で済ますことによって、アクアリウム用品も淘汰されて行くであろうという希望はたしかに持てます。
その品質と価格で、売れるものと売れないものがはっきりしてくるはずですから、売れないものは消えていくこととなるでしょう。
また、発売後しばらくして定価が値下がりした、何てものも最近よく見るようになってきました。
しかし、皆が安易に代用品や自作に走りアクアショップへ行かないようになると、このような淘汰は起こりにくくなるでしょうし、とうていこの業界の拡大にはつながりませんし、共栄はあり得ません。
それどころかアクアショップ自体の件数が減少しますます小さな世界になってしまうかも知れませんね・・・。
 
私達一般のアクアリストや初心者は出来る限りアクアショップでお金を使うことが努力であると思います。
正規ルートという観点から見れば、いくらホームセンターで安く販売していても、出来ればアクアショップでの購入が望ましいでしょう。
まっ、しかしながらとりあえずは同じものであるならば安く販売しているところで購入するのが常識ですから、致し方ないところでしょうか。
出来るならば、アクアショップにどこどこではこれと同じものをいくらで販売していました・・・、何て情報を提供することも良いかも知れません。
(場合によってはぶっ飛ばされる場合もありますので、お店の雰囲気を考えて言動には注意しましょう!なにせ、へんこな親父が多いですから・・・・。)
 
また、既存の製品に手を加えて、よりよいものに、自分が使用しやすいように工夫することはとても良いことであると思います。
まぁ、改造してしまうとなんの保証もなくなってしまうと言うリスクはあるでしょうが・・・・。
 
私達がアクアショップでのみ購入するにはもっともっと製造元や発売元に努力して頂かなくては成りませんし、ショップにおいてはいいものだけを販売して頂かなくてはなりません。
また、アクア業界のものが高いのであれば、例えば代用できるものを仕入れて販売して頂いても結構かと思います。
アクアショップはアクア業界の商品しか販売してはいけないのでしょうか?そんなことはないですよね・・・。小売業なんですから。
アクアリストはショップで商品を購入することでその商品の価値を見極めます。
また、ショップのアドバイスや説明、販売価格によってショップを見極めます。
これらのデーターが販売元に伝わり、売れないものは淘汰され、どのようなものが、どのような価格で売れるのかが発売元に伝わり、製造元からフィードバックしてこなければ共存共栄はあり得ません。
当然の事ながら消費者が求めているものが発売されなければ意味がないと言うことです。

現状ではどう見ても消費者の希望や要望は発売される商品に生かされていないようですし、とても双方向の情報交換は行われていないようです。(全ての商品が消費者を満足させていないと言うわけではありませんが・・)
発売元などからの一方通行のように思えて成りません。
 
理想が実現するためにはどこか1つでも違う考えを持っていたり、自社の持論を押し通すところがあれば成り立たないものと思います。
 
この業界の理想として、「一家に1つの水槽」と考えるならば、一方通行の道を両面通行にし、もっと道幅を広げるようにしなくてはいけ無いと思います。
そのためには、簡単に水槽を維持していくための理論や技術の確立、関連システムの確立はさけられません。
本当にお金がかからない確立された理論やシステムがあってこそ実現できるような気がします。
まやかしやうそのない、そして最も安全でたやすい理論の(いろいろなタイプのアクアリウムについての)確立が待ちどうしく思います。
 
このことにみんなが気づいて、目先の収益だけでなく未来に向かって消費者との共存共栄を考えてくれるならば、 そうなることによってマーケットが少しでも大きくなり、(食料品のようには成らないでしょうが)現状を打破できるひとつのきっかけになれば理想です。
 
器具やその他の商品についてだけでも共存共栄が成り立つことを期待しています。