友を訪ねて・那須高原

(2004.7.17〜7.18)

 今回は那須高原にてカフェを営む友に会いにゆくことにした。

 7月17日土曜日、朝7時15分の飛行機で羽田へ。そのまま東京駅へ向かった。
 東京駅へ行くまでに神田や水道橋にも立ち寄った。なんの目的もないままに・・・。要するにまた迷ってしまったのであった。
 羽田から東京へ行くのにいったいどこで間違えるのか、との疑問をお持ちの皆様に説明申し上げよう。
 東京・羽田間はとっても遠い、という固定観念が私にはある。いつも間違えて遠回りをするからこういう固定観念にとらわれるのも無理はない。
 遠いと思っていたのにあっという間に東京駅に着いた。しかしそのことに気がついた時には電車は動いてしまっていた。次の駅、「神田」で慌てて電車を降り、反対側ホームに移動。上手い具合に電車が入ってきたので、喜び勇んで乗った。
 よかったぁ、ひとつ乗り過ごしただけですんだわ、と思ったのであるが、なぜか次の駅は「水道橋」だった。反対側ホームの電車に乗ったのになぜだろう。

   わからん!!!

 水道橋から東京へ向かう電車に一組の親子がいた。子供ははしゃいでつり革にぶら下がろうとした。
 すると、、、父親らしき男が怖い顔で・・・手を大きく振り上げたかと思うと、ばちーんと子供の頬を張り、首ねっこをつかんで車両の隅っこに投げ飛ばした。壁にぶち当てられ、倒れこむ子供・・・。
 こういう恐ろしい光景が見られるのも東京ならでは、である。(だってさ、腰の曲がったおばあさんに向かって真っ赤な顔で怒鳴りつける駅員を目撃したり、私もバスの運転手に「料金はここに入れるんだよ!早くしろよ!」と怒鳴られたことがあるのよ・・・ヒドイ、ヒドイワ・・・そんなに怒らなくてもいいじゃない・・・)。

 というわけでいつものように「やっぱり恐ろしい東京」を体験したあと、私はやっと念願の東京駅へ到着することができた。
 10番線で電車を待つ。私は髪の毛を結びなおしたり、鏡を覗き込んで化粧直しをしたりしながら電車を待った。とても長い時間だったけどしあわせだった。
 しばらくするとホームに電車が入ってきた・・・。
 前から4両目、4両目・・・ドキドキしながら車両を追う私。
 電車は止まり、ドアが開いた。
 にこやかに晴れやかに降りてきたのはアタシのダーリン♪2日前に旅立って行った彼はブルートレインに乗って九州から東京へやってきた。夫婦ひさびさの再会!!
「東京で曽我さんのマネしてええか?」(←曽我ひとみさんとジェンキンスさんのキスシーンに心底感動した私)
 と、事前に電話をしていたが、無下に断られたので
「九州一人旅、楽しかったかぁ?」
と駆け寄るだけにした。
 ダーリンは「うん!」と笑顔で答えた。彼は15日の朝から旅に出ていた。子供の頃からの夢だったブルートレイン個室寝台の旅を満喫。2日間もほったらかしにされるのは寂しかったが、何日も前から時刻表やインターネットを見つめながら「楽しみやなぁ!ウフフ!」と嬉しそうなダーリンの顔を見ているのはしあわせだった。
「先頭から電車と僕と写してえな」
 ダーリンに頼まれ、私はビデオカメラを回す。満面の笑顔のダーリンを見ながら、これで日々の疲れが少しでもやわらげばよいなあと思う私であった。

 東京から上野へ行き、宇都宮へ。
 あぁ、渋谷へ行きたかったなぁ・・・この日は15時から渋谷で近藤さんのイベントがあるのだった。ここまで来て近藤さんに会わずして去るというのもツライ。まったく私らしくない。
 宇都宮へ着くとホームに駅弁売りのおじさんが数人いた。
「ベントーいかがっすかぁ〜、お客様は神様です!ベントーいかがっすかぁ」
 昼ご飯は上野ですませてきたので、おなかいっぱい。ダーリンが、
「アイスクリーム買うたろか?」
 というので、買ってもらった。
 電車はまもなく動き出し、ふたりでアイスを食べながら窓の外の風景を楽しむ。気がつけば服にアイスの溶けた汁が落ちていて、ダーリンに叱られた。
 窓の外は田んぼが多くなり、のどかな風景についウトウト。上野を出て約2時間後、乗り換えて黒磯駅に。
「うわ!すずしっ!」
 東京と全然空気が違う。質も温度も。
 改札を出ると友達のダンナさんが車で迎えに来てくれていた。手を振るとやっと気づいてくれた。5ヶ月ぶりに会うのできっと彼は我々の顔をよく覚えていなかったのだろう。

 
***登場人物紹介***
  夢子ちゃん→那須高原で『Cafe ふう』を経営(5月から10月の土日営業)。熱烈な近藤嘉宏ファン。
  よし君→夢子ちゃんのダーリン。
  ケンちゃん→私のダーリン。


 黒磯駅からしばしドライブ。那須高原はおなじみの「天皇家の御用邸」があるところ。これがまたものすごい広さ(那須御用邸は1200f、皇居は115f)。
 ったく、こんな大自然を一家で独り占めしやがって、と思ってしまうが、御用邸があるおかげで那須高原はむやみな開発が行われず、温泉地にありがちないかがわしい店は一軒もないそうだ。軽井沢や清里みたいにチャラチャラした若者もあまりいなく、なんにもしないで静かな時間を過ごすには最適の場所だと思う。
 夢子ちゃん夫婦はここでカフェを営んでいる。那須街道(雑貨店やレストランが建ち並んで、那須一番の繁華街)から少し離れた別荘地に建っている。別荘地といっても土地の分譲販売が終わっているだけで、建物はほとんど建っていない。そこは木が豊かに生い茂る「森」。

             
                  
 Cafe ふう 入口
        「大切なFamilyのワンちゃんもご一緒にどうぞ」と看板がかかってます



 ドアを開けると木のやさしい匂い、と・・・。
「うわ!こ、こ、この音楽はもしや・・・」
 ケンちゃんがドアの前でたじろぐ。
 お店に流れる美しい音楽、それはもちろん近藤さまのピアノ。大自然のぬくもりの中でその音色はいつもよりも優しく優しぃく響いているというのにケンちゃんにはその素晴らしさがわからないのだった。
「まずは、駆けつけ一杯!!」
 缶ビールで4人、5ヶ月ぶりの再会を祝う。カンパーイ!ぷはぁ〜〜〜。
 静かな空間と窓の外の緑とピアノの音色に包まれながらしばし歓談。
 もちろん、我らが王子さま・近藤さまについて。
 夢子ちゃんも私と同様、近藤さんとの会話の糸口をつかむのに苦労している。私は最近になってようやく、なんとか話ができるようになりつつある。が、今まで近藤さんを目の前に「のれんに腕押し・ぬかに釘」を何度繰り返したことだろう(回顧)。
 近藤さんは人見知りなのか、それとも「アタシって嫌われてるのかなぁ」と落ち込むこと、私も夢子ちゃんも同様。
「モノをあげると話ができる」
と、夢子ちゃんは最近、大酒飲み(らしい)の近藤さんにおしゃれな容器入りの日本酒をプレゼントしたらしい。
「これはワインですか?」
と聞かれ、「日本酒です」と言うと、近藤さんは大そう喜んでくれたそうだ。そしてメッセージカードには飼い犬「ふう太郎さん」の写真を。ふう太郎さんの口もとに吹きだしを書き、「ボクもファンでーす」・・・。
 あいたたた・・・・と思ったが、私も人のことは言えんので。
 そしてもうひとつ。これはファンにとってはショッキングなネタだが・・・サイン会の時、近藤さんは視力が悪いので、ファンの顔はほとんど見えていないそうだ。ある日夢子ちゃんが、わくわくどきどきしながら近藤さんに、
「私の顔、見えますかぁ?」
と聞くと、

「見えません」

と、あっさり言われたらしい・・・。そないにはっきり言わんでも・・・寒いわぁ・・・。
 でもこれからもお互いめげずに、のれんに腕を押し、ぬかに釘を打ちまくりましょうぞ、夢子ちゃん。

「いきなりその話かよぉ」
「ひょっとしてこの話、今夜ひと晩ずうっと続くの?」
 ケンちゃんとよし君がブーイングを垂れたので、私と夢子ちゃんは近藤さまの話を途中で切り上げ、温泉に出かけることにした。

BLTサンドイッチ(ベーコン・レタス・たまご)600円
ふう辛肉味噌めん、ごまだれ冷うどん800円等々
店内は落ち着いたアジアンテイスト


 那須は温泉地である。恥ずかしながらわたくし、那須に温泉が湧いているとは知らなかったんですが。
 連れてってもらったのは「鹿の湯」。石鹸・シャンプーは使ってはいけない、本格的な山のいで湯なのです。小屋も木造でとても古い。廊下を歩くとみしみしと木の鳴き声が聞こえた。
 がらがらがらと扉を開けると、いきなり脱衣所と浴槽。脱衣所と浴槽とで部屋が分かれていないって珍しくない?
 浴槽は全部で5つ。小さめのが4つと大きめのが1つ。4つの浴槽は温度別になっていて、女風呂は41・42・44・46度となっている(男風呂には48度というのがあるらしい)。お湯は白く濁っていて、硫黄の匂いがややキツめ。なんかいかにも「効きそう」な感じ♪石鹸が使えないので浸かるしかできないけれど、硫黄の匂いとレトロな雰囲気が旅情をかきたてるんだわ、こりゃ。
 夢子ちゃんの話では那須にはいろんな温泉があり、「悪いことをしている人にはツライ」温泉があるらしい。悪いヤツがそのお湯に入るとカラダの「とある部分」がとっても沁みるのだそうだ。
 今度はそこへ行ってみたい。

 温泉からの帰り道、買い物に行く。夜は焼肉にしようということになっていたのだった。
 ご存知?那須牛って!!!おいしいのよ!霜降りで!!肉刺しも買い、うひょひょ気分で次は野菜を買いに。高原野菜がとっても安くてびっくり。取れたての新鮮な野菜、しかもどの野菜も生き生きとして大きくて安い!
 帰ってから早速支度。でも・・・雨が降ってきたのですねー・・・。大雨が。お店のテラスで焼肉、と計画していたのですが、やむなく室内で。
 那須牛、やっぱりおいしかった♪
「はい、これわさび醤油」
 夢子ちゃんがいたれりつくせりのもてなしをしてくれた。
「え!?わさび醤油で食べるの?」
 関東ではいい肉はわさび醤油で食べるそうだ。関西では塩が一般的かなぁ。
 おなかいっぱいになり、しばし歓談。なるべく近藤さまの話題にならないように気を配っていた?つもり。
 ところが一本の電話で事態は急転。
「今から7名さんが来るって!」
 ここは「お店」なのだということをすっかり忘れていた我々。お客様が来るとなってはこんなふうにのんべんだらりとしているわけにはいかない。慌てて後片付け。夢子ちゃんはすっかり店の主人の姿勢になってテーブルセッティングを始めた。
 まもなく7名様ご到着。大雨の中、わざわざお越しになってくださった。
「ごめんねぇ、お客様が来たから相手できないけど、ここにあるお酒適当に呑んでて」
 と、夢子ちゃん。

 
そんなこと言ったらおしまいですぜ・・・・・・。
 
 米焼酎、芋焼酎、黒糖焼酎、日本酒、カクテル数杯、ビールはもちろん、ありとあらゆる酒をチャンポンしまくり。
 たまーにお料理をお客様に持っていくのを手伝ったけれど。
 お客様7名は近くのペンションにお泊りの方々。
 夢子ちゃんのお店はペット同伴歓迎の店なのです。飲食店では「動物の持込はご遠慮ください」みたいなとこがほとんどで、今回のお客様は犬を連れてらっしゃる方が一人。
「ペット連れで入れるお店が少なくて」
 という悩みをかかえていたそうだ。
「ペットも大切なファミリーです。お気軽にどうぞ」
 と看板をかかげている貴重なお店として宿泊のペンションのオーナーから紹介されて、ここに来たもよう。
 知り合いの贔屓目でもなんでもなく、お客様たちはとっても楽しそうで、ワンちゃんもお行儀よかったし、犬好きの夢子ちゃんにもなついていた。
 7名様は数時間、結構飲んでらっしゃった。料理もたくさん出したし、今夜は儲かった!と私は他人事ながら心の中で拍手喝采。
「すみません、そろそろおあいそで」
 7名様が立ち上がろうとした瞬間、ケンちゃんが、
「ただ今、当店自慢のにゅう麺を作っておりますので、お召し上がりください」
 と。「当店」などとはまるで自分が店のオーナーのような口ぶりで客を引き止めた。
 飲んだあとは温かいものがほしくなるものである。夢子ちゃんはその辺のサービスもぬかりない。那須牛とかつおでダシをとった特製にゅう麺でお客様の疲れた胃袋を癒す。お客様大喜びで食し、今度こそおあいそ。会計はケンちゃんが担当。
「7600円でございます」
 私はカウンターで酒を飲みながらその光景を眺めていたが、
「絶対ウソ!!!あの人数であれだけ飲んで食べてそんなに安いわけはない!」
 もちろんお客様たちもビックリ!「え!?安いよ!!」と計算間違いしてるんじゃないの?と言わんばかりの口調。
 私は慌ててカウンターを離れ、ケンちゃんから電卓取り上げて厨房へ。
 一応私は「国家の財源確保」のために日々働いている通関士なのだ。毎日電卓叩いて食っている。
 えっ・・・ホンマに7600円やわ・・・ケンちゃんにささやくと、
「そーやろ、オレも3回計算しなおしたで」
 それくらい安い。お客さんは大喜びで、
「楽しかったぁ、絶対また来ます!え!夏の間しかやってないの?それは残念ーーー」と満面の笑顔で帰っていった。
 夢子ちゃんもよし君も嬉しそうに見送っていたけど、私はつい、
「儲からないよ」
と言ってしまった。関西人なのでオカネにはうるさい、ということで勘弁してくだされ。
「よく言われるの。そんな甘い考えで商売するもんじゃないって。でもお客様が喜んで帰ってくれるのが一番嬉しいの」
と、夢子ちゃんは全然気にしていない様子。ホントにこの人は心のきれいな人なんだなぁとひたすら感心。
「私やったらな、あのワイン、1本1000円なんて値ェつけへんで。2000円は取るわ」
と、ケンちゃんにささやいたのだった。
 お客様が帰ったあと、また4人で飲んだ。
 これ以上飲んだらカラダに悪い、と思い始めた頃、さきほどのお客の泊まっているペンションのオーナーから電話が入った。
「みんな、楽しかったぁ、って大喜びで帰ってこられたよ」
 そりゃあそうだろうって思う。あのお客さんたち、今後も贔屓にしてくれるといいなぁ。(あとでわかったことだけど、翌週、夢子ちゃんたちが再び那須に来たとき、このお客さんたちからFAXが届いていたそうで。わざわざFAXくれるほど喜んでもらって、私もうれしい。)

 しばらく飲んだあと、お風呂に入らせてもらった。
「浴槽が広い!うちの倍あるぞ!」
 と、ケンちゃん大喜び。それなら一緒に入ろうかということになり、久しぶりに夫婦で混浴♪♪♪
「お風呂で飲んでねー」
 夢子ちゃんが焼酎を用意してくれた。広いお風呂で焼酎を。ステキぃ。
 しばらくすると風呂の電気を消された。真っ暗!!
 でも・・・!!
 浴室の2面はガラス張りになっていて外がよく見える。半露天みたいな感じ。電気を消すと庭がライトアップされ、木々の緑と空がよく見える。
 我々大感激!!!いいなぁ、こんな風呂、うちもほしいーーーん♪
 天気がよければ星も見えるんやろうなぁ!!二人でお湯に浸かり、夜空を見上げながら、
「こんなゆっくりした時間を過ごすのは久しぶりやなぁ」
 としみじみ。

 翌朝、爽快に目覚めた私。静かなところで、しかもクーラーなしで寝たのがよかったのかなー。
 ケンちゃんは友達の結婚式のため仙台へ行った。よし君は近くの川へ釣りに出かけた。夢子ちゃんはお店の準備。
 私は天気がよかったので散歩に行くことにした。歩いて20分ほど行くと、那須連山がきれいに見えるらしい。夢子ちゃんに道を教えてもらってひとりで出かけた。
 道中、ほんとにのどか。風もさわやかで、往復40分歩いたけれど汗かかなかった。
 

のどかです 那須連山をのぞむ



 高原で休日をのんびり、という過ごし方は私はあまりしたことがなかった。いつも重たいリュックを背負って高い山を見上げて「よっしゃあああ!」と、私の夏は「ガテン系」でしたので。
 お店の名前は「ふう」。窓から見える木々の緑に心癒され、口から出る言葉は、
「ふぅ〜〜〜」。私はこの Cafe ふう で何度「ふぅ」とつぶやいたことでしょう。
 こういう休日もいいもんだなぁとしみじみ思ったのでした。よし君も夢子ちゃんもとってもよくしてくれるし、ホントにいいお友達ができたなぁ。
 こんなにステキな出会いを与えてくれた、神様と近藤さんに感謝☆

入口です ふう太郎さん(イングリッシュシープドッグ)がお出迎え


 Cafe ふう 

 Open: 5月から10月 土・日のみ
  〒325-0302 栃木県那須郡那須町高久丙1125-18-625
  Tel・Fax 0287-77-3850

  朝10時頃から営業、夜はお酒が飲めます♪ ※入浴・宿泊はできません!


  ペット同伴歓迎。
  *konfanも歓迎♪(CD持参OK,かけ放題!?)

テラスに椅子出してのんびりするのもよし 裏にはちっちゃな川が流れてます また行こうっと♪夢子ちゃん、よろしく。