過去のもの


かわさきジルベスターコンサート 2005
2005.12.31 ミューザ川崎シンフォニーホール (神奈川)

第1部
 モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
 モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」K.165
 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64から第1楽章
 オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲
第2部
 J.シュトラウスU:ワルツ「春の声」 Op.410(ソプラノ独唱付き)
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 Op.23から第1楽章
 チャイコフスキー:序曲「1812年」 Op.49

 指揮:秋山和慶   管弦楽:東京交響楽団
 ソプラノ:菅 英三子
 ヴァイオリン:大谷康子 
 ピアノ:近藤嘉宏
 司会:頼近美津子
 

 2005年の〆はやはり近藤王子の演奏を聴くに限るでしょう。
 今回はダーリンを道連れにすることに成功。チャイコフスキ−の『1812年』が大好きなダーリンに、
「なぁなぁ。1812年、生で聴けるチャンスあるで」
「おお!」
「川崎やけどな」
「か、川崎!?」
 なんか腑に落ちん、てな様子のダーリンでありましたが、結局は「行く」ということになり、発売日になるとチケットぴあに取りに行ってもらった(私はこの日、福知山に追っかけのために朝から出かけていたため)。

 仕事納めののち、我々は30日の早朝に新幹線で東京へ向かった。
 新幹線、ガラすきであった。最初は寿司など食べながら語り合っていた我々でありましたが、前日2時間しか寝ていない私は3人掛けの空席を陣取り、ぐぅすぴーと眠る。
 東京へ着き、義弟と再会。一泊目は弟の家にお世話になる。
 翌朝、弟は正月休を利用して北京へ旅立っていった。我々は昼まで寝、本日のホテルにチェックインしたあと川崎へ。その前に浜松町で回転寿司を食べる。

 JR川崎駅に到着。近藤ファンなら一度は踏んでみたいこの地。なぜならば川崎は近藤さんが生まれた土地であるからだ。いわゆる「聖地」なのである。
 大きな駅だった。「ここが川崎かぁ」と感慨にふける間もなく、ホールへ到着。ミューザ川崎シンフォニーホールは駅とつながっているショッピングモールの中にあるのだった。
 まずはファン友達とお茶会。ファミレスで集う。10人は集まってたな。ダーリン付きで行くのはなんとなく気がひけたけれど、皆様あたたかく迎えてくださった。ほっ。これを機に「追っかけ妻を持つ夫の輪」が拡がらないだろうか。

 開場したのでホールへ入る。ほー、なかなかいいホール。舞台を取り囲むように座席が。あとで人から聞いた話ですが、このホールは船の形をしているそうで、パイプオルガン側の席に座るとちょっとした船酔い気分を味わえるそうです。
 響きはすごくよかったです。ちょっと打てばががが〜んと響く、それくらい激しく響く感じでした。
 プログラムにはモーツァルトが2曲。来年はモーツァルトイヤーなので(生誕250年)全国各地でモーツァルトコンサートが開かれることでしょう。私はモーツァルトには興味がないのですけど・・・次のベートーヴェンイヤーはいつやろか?早く来ないかな・・・ってか私が生きてる間に来るのかなぁ(泣)?

 今回、指揮者は秋山和慶さんでしたが、当初の予定では西本智実さんでした。西本さんといえば今をときめく女性指揮者。一度見てみたいと思っていたのだけど・・・残念ながら肩の故障のため出演ならず。そのせいか会場のあちこちに空席が見受けられました。
 ああ残念無念。と思っていたら開演直後に西本さんご本人の挨拶が。包帯で腕をつるしての登場で痛々しかったけれど、黒のパンツスーツに身を包み、颯爽としたいでたち。まるで宝塚の男役のよう。話し方まで男役なんだから。
 か・か・かっこええッ!なにわのオンナはこうでなくちゃよ!(西本さんは大阪生まれ、大阪音楽大学卒)
 指揮は見られなかったけど、お姿だけでも見られてよかったです。そのうちまた近藤さんと共演してほしいなぁ。

 最初はモーツァルトのフィガロの結婚から。耳慣れた曲だけれど、生で聴くと意外といいもんである。
 私がモーツァルトに興味が持てない理由は『いかにもオカタイクラシック』って感じがするからで、確かに耳に柔らかく綺麗なんだけど宮廷で豪華なドレスを着て優雅に踊る貴族たちの様子が思い浮かぶようで退屈で眠くなってしまう。
 そしてもうひとつはモーツァルトは本当の天才だった、というところ。子供の頃から恵まれた環境で何不自由なく音楽を勉強し、全ての和音を一瞬に聞き分けられ、作曲の際も清書が不要なほど迷いがなく、すらすらと書いたこと等にある。
 でも『頭がよくなる』などと言われているからには聴いて損はなさそうだ。
 ふむふむ・・・そうか、頭がよくなるならしっかり聴いておこう。
 でもなぁ、、、やっぱり退屈なんだなぁ・・・平坦な旋律で誰が演奏してもあまり差が出ないような?でもそれは「曲が立派に一人歩き」できるくらい完璧だからだろう。そういう点ではモールァルトは偉大なんだと思う。
 次はソプラノ歌手の菅さんが出てきてモーツァルトを歌う。よく通るきれいな声でした。でもゴメン・・・やっぱり歌はよくわかりません・・・ネコに小判、いやブタに真珠の方が的確か。すいません、レポートになっておりません。
 次はヴァイオリンの大谷さんが登場、彼女は非常にバイタリティ溢れる女性らしく、海外でも活躍されているし、現代音楽や室内楽にも精力的で、また病院や各種施設などでのボランティア活動にも取り組んでいらっしゃるそうです。
 メンデルスゾーンを演奏されましたが、一音一音がクリアで元気溌剌といった感じで、とても好感が持てました。聴いてて元気が出てくる演奏、まさにそんな感じでした。人柄は音に出ますよね。
 そして第1部のトリは「天国と地獄」。運動会のテーマです、と司会者から説明がありました。字では説明できんけど、この曲を知らない人はないはずです。運動会のかけっこ、もしくは玉入れなどの時に必ずかかる曲ですから。
 華やかに終わった第1部。これだけでもじゅうぶん楽しかったです。いろんなタイプの曲が聴けたし。他人の言葉を借りるなら「音楽の総合商社」ってところでしょうか。
 ん?なんか違う?・・・語彙が貧弱ですんません。

 第2部に備え、オレンジジュースでノドをうるおす。なんかすごく渇いてたんだよねー・・・何に渇いていたのかしら?それは・・・うふふふふふ←怖(?)
 だってぇ。ホントは28日の広尾での「年忘れディナーパーティ」に行く予定にしてたのよ。そしてそのまま大晦日まで東京でぶらぶらしようかと。
 甘かったです。年末のヘージツに休めるご身分ではありゃあせん・・・もっとエラクならんとね・・・ああ悲しき平社員!!!
 
 第2部が開幕。ソプラノの菅さんが再登場。シュトラウスの「春の声」を。
 1部は「去りゆく年を明るく元気に見送ろう!」ってな感じの選曲だったけど、2部は「爽やかに新年を迎えましょう!」てな感じでした。
 いいねェ〜、大晦日のクラシックコンサートって!さらに欲を言うとカウントダウンしたかったなぁ〜〜〜。
 近藤さんと同じ場所でニューイヤー、まさにハッピィニュウイヤ〜。あぁ誰か止めてくだされ。
 そしてそしてお待ちかねの近藤王子の登場。チャイコフスキーのピアノ協奏曲やで!しかしなんで1楽章だけやねーん!?近藤さんは3楽章が一番カッコイイのにさ。
 しかしながらこの1曲、しかも1楽章のために新幹線に乗る私って・・・。もはやこの情熱は誰にも止められないのでありました。
 2005年の〆くくり、聖地川崎で聴く演奏。近藤さんもとっても楽しそうに弾いてた!この曲は前々から思っていたのだけど「近藤さん、出だしの音が弱い」・・・でも今回は全然そんなことなかった!響く響く、3階席の後部に座っていた私のとこまでちゃあんときれいに響いていました。新しい年が素敵な1年になりますように、そんな思いが届いてくるようでした。
 堂々としていて、でも繊細で・・・この曲も似合うなぁ・・・(惚々)
 終わった瞬間、アタイは身を乗り出して拍手、じゃなくて手を振ってましたがね。 広尾には行かれへんかったけど今日は来てるわよーん!
 しかし空振り。近藤さん、全然こっちを見ん。
 一旦落ち着き、もういちどチャレンジ。隣に座るダンナ、冷笑。「アホや、おまえ」
 なんとでもおっしゃいよ!舞台に立つ近藤王子に向けて手を振る、振る。
 あ、こっち見てるぞ!ええ感じや(ホントに見えてたかどうかは不明ですが、全ては気の持ちようです。確かに彼はこちらを見てました、ということにしておこう。それが私だとわからなくていいの、確かにここにあなたの熱烈ファンがいます、ということが伝わればいいの)。
 司会者さんが登場して近藤さんにインタビュー。ホントに響きがきれいで素敵なホールですね、と近藤さん。うん、でも弾く人がきれいに弾くからこそきれいに響くのよね♪
 「近藤さん、来年のご予定は?」 
 という話になり、近藤さんついにウィーン楽友協会でのコンサートについて公表する。2006年11月1日ですよ、皆様!NYの時と同様、ファンのツアーも組まれますよー。秋のヨーロッパ、大好きな王子様と一緒によ〜(詳細は高嶋音楽事務所にお問い合わせを)。
 あーん、アタシも行きたいよぅ・・・。カネもヒマもあるんだけど、親族一同の同意が今度という今度は得られそうになく、2006年は親族たちの夢を叶えるため、私は家でおとなしくしていなければなりません(よって、国内遠征の予定もなし)。
 近藤さん、成功を祈っています。そしてめでたくツアーに行かれる友よ、私の分まで楽しんできてください。近藤さんの愉快キャラをいっぱい発掘してきてくださいね〜。お土産話、待ってます!
 なんか、話が思わぬ方向へ。暗い話になってしまいましたが、こうして書いていると気持ちの整理がつくような気がして。
 しかし本当に我慢などできるのだろうか・・・。 
 
 最後は序曲「1812年」。
 今回はパイプオルガン側にスピーカーが備えられ、客席(3階席の通路)にずらりと金管楽器の演奏者が並んだ。
 ダンナと「大砲は何でやるのかなぁ、やっぱり大太鼓かな」と話していたのですが、今回はスピーカーから音を出していました。ちょっと違うかなぁ・・・太鼓の方がよかったのになぁ。
 でも舞台からと客席からと、そして音響の優れたホールで聴く1812年。まさに『ホール一丸』となって響き渡るこの曲にとっても感動。
 この曲は何度聴いても素晴らしい。この華々しさはクラシック音楽の中でも異色でしょうな。弦楽器の音色と金管楽器の華やかさが存分に味わえる名曲中の名曲だと思う。私が近藤さんに釣られて新幹線に乗ったように、ダンナもこの曲に釣られて新幹線に乗ったのです。一年の最後の日に夫婦お気に入りの「1812年」が聴けて、『今年もいろいろあったけど、元気に無事に過ごせてよかった』と幸せをかみしめたのでありました。

 終演後、楽屋口で待つ。「終わったら15分で帰る」と言われている近藤さんなのでトイレで化粧直しなどしている時間はない。他のファンの皆さんも当然そうしていると思いきや、、、待っているのは我々だけでした。
 普通、楽屋口というとホールの裏側、暗くて寒くて寂しくて「いかにも裏口」という感じでありますが、ここはお客の帰り道に堂々と口を開けていました。演奏会帰りも買い物帰りも一緒、ってな感じ。こんなにオープンな楽屋口も珍しい。
 ダ:「近藤、オレに声かけてくれるかな。『遠いところ来てくれてありがとう』って言ってくれるかな」
 私:「それはないやろ。『あー、どーもどーも』で終わりやで。で、イヤーな沈黙が流れる、そんな感じやな」
 ダ:「つまらん」 
 しばらく待っていると近藤さんと社長が出てきた、のを私は見逃し。でもダンナが気づいた。
 ダ:「あ、コンちゃん出てきたで」
 逃してなるものか、とばかりに声をかけた。「こんどーさん!」
 おーぅ、とびっくりするふりをしながら『やはり来たな』という感じである。
「こないだ(広尾の忘年パーティ)来てなかったね」と言われて動揺しつつも、プレゼント、確かに受け取ってくれたのだ、と感激する。
 いやぁ、パーティには行かなかったけど友達にプレゼントをことづけたのです。いつも年末にプレゼントしてるんですよね、年末ジャンボ宝くじを。早いものでもう4回目です。でも今回は12月に関西で演奏会がなかったのでどうしようかなーと思っていたら友達が快く引き受けてくれたので友達の家に送って、パーティ当日に渡してもらったのです。
 当選したことがあるかについては聞いてみたことなかったのだけど、今回友達が聞いてくれました。当たったことはないそうです・・・ごめん、近藤さん。
 
 年の瀬に 東へ向けて 発つ灯り 離れゆくほど 輝きを増す

 宝くじと一緒にメッセージカードを付けてるのですが、詩を書いたり短歌や俳句を詠んだりしています。長文癖な私、近藤さんに長文を読ませるのは申し訳なく、なるべく手短に、を心掛けております。
 でもこの短歌、イマイチ意味がわかんないな・・・というわけで今回は解説も書いておきました。

(解説)
 作者は関西空港で働く会社員である。
 当初、東京でのパーティに行くため予約をしていたのであるが、いかんせん年の瀬、やはり仕事を休めず予約はキャンセルに。
 目の前に見える滑走路。
 あれは東京行きだろうか・・・あれに乗ればあの人に会えるのに・・・。
 冷たい夜空に飛び去る飛行機のライト、遠く飛び去っていくほどに輝きを増して見える。
 作者はパーティ当日も同じ思いで夜空を見上げることになるのだろう。
 作者の無念がにじみでる一句である。来年のパーティはぜひとも土日にお願いしたいものである。

 だいたいこんな感じです(実際にはもうちょっと長く書いたような気がする。コピーとってないので正確には覚えてません。ココに載せるつもりもなかったんで・・・でも「読みたい」って奇特な方からのリクエストに応えてみました)。
 
 ま、こんな風変わりなファンがおってもよかろう。「追っかけられて楽しい」と思ってもらえるようなファンを目指したいのですが・・・頑張ります。

 近藤さん、ダンナにも挨拶をしてくださいました。
 そして近藤さんは社長とギタリストの鈴木さんと帰っていきました。
 近:「それじゃあ、東京を楽しんでってくださいねー」
 うん!でももうじゅうぶん楽しんだよー!!パーティに行けなかった無念もすっかり消え去っていた私です。
 
 私:「ところであん時なんで『コンちゃん』って言ったん?」
 ダ:「本人が近くにおるのに『近藤』って呼び捨てにしてるのが聞こえたらマズイやろ」
 ダンナ、意外と常識人であった。しかしそれなら普通に『近藤さん』と言えばいいのにな、なんで『コンちゃん』なんだろ(ちなみに私は家でも近藤さんは『近藤さん』で、『コンちゃん』などと呼んだことはない)。

 そして再びファン友達と合流。集合写真を撮ったあとはお茶タイム。
 皆様、いつも楽しい時間をありがとうございます。今回はむさ苦しい男を連れてまいりましたがあたたかく迎えてくださってありがとうございました。
 今後ともよろしくねー。
 

近藤嘉宏 オールショパンプログラム (デビュー10周年記念 特別演奏会) 
2005.11.22 ザ・シンフォニーホール (大阪)

第1部
 ノクターン 第13番 ハ短調 作品48-1
 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
 エチュード 変イ長調 作品25-1 「エオリアンハープ」
 エチュード ハ短調 作品10-12 「革命」
 エチュード ホ長調 作品10-3 「別れの曲」
 エチュード 嬰ハ短調 作品10-4
 エチュード ハ短調 作品25-12「大洋」
 ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作 
 幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66
 スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31

第2部
 ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11(ピアノ六重奏版)
 **共演**
 第1ヴァイオリン:千葉純子
 第2ヴァイオリン:東海千浪
 ヴィオラ:長谷川弥生
 チェロ:林 峰男
 コントラバス:堤 俊作

アンコール
英雄ポロネーズ 変イ長調 作品53



 近藤さんのデビュー10周年記念のコンサート。東京と大阪、2回こっきりの大変貴重な演奏会。
 東京公演はまことに偶然に休日が取れたので行くことにしましたが、大阪は何が何でも行くつもりでおりました。
 何も問題ないと思ったのですよ、平日ですが、連休前ではないし。普通の金曜日なみに休日ひとり枠はそのままだと思ってましたので。
 その「ひとり枠の休日」を確実にゲットするために、10月の休日申請は減らしました。これで万全!のはずが・・・11月のシフトを作成する際に同僚が、
「あっこさん、11月22日、この日は休み枠0だから休めないよ」
 えええーっ!なんで、なんでや!!!
「11月はNさんが成田にヘルプに行くし、Oさんの入院が長引くらしいから2人減になってかなりキツイからだって」
 早速交渉に入らねば。
 と思うも、
「Aさん(上司)、今、トラブってて機嫌悪いよ。明日にすれば?」
 と忠告を受けた私。早速交渉したい気持ちを抑えつつ翌日に持ち越した。
 夜も眠れぬ緊張・・・どうやったら説得できるだろうか・・・。
 この演奏会は全国各地からファンが駆けつける。私は大阪人としてその方々を接待する義務がある!終演後の宴会の幹事役、遠くから駆けつける夢子ちゃん(関東在住)やねこひげさん(札幌在住・現在は東京出張中)が我が家に泊まりに来ることになっていたのですから!
 翌日、なんと上司は公休。
 なので家に電話してみた。昨日、トラブってかなり不機嫌だったという上司・・・こわい、こわいよぅぅぅぅ!身も細るような気持ちで電話する。
「あ、あのー・・・お休みのところ申し訳ないんですがお願いがぁ・・・11月22日ですけどぅ・・・演奏会のチケット取ってしまったんですがぁ・・・あ、いつもはちゃあんと休みが取れるのが確定してからチケット取るようにしてるんですがぁ・・・今回はとぉっても貴重なコンサートでしてぇ・・・あの、その、早く買わないと売り切れちゃうと思って焦って取ってしまいましてぇ・・・」
 は、上司はどう言うか!!!
「あはははは」
 はー・・・ヨロヨロ。怒ってないよ・・・よ、よかったぁ。
「まだ返事できないですけど、ちょっと状況が改善したので、多分大丈夫ですよ。チケット買ったんでしょ?まだ売りに出さないで持っててくださいね」
 はー・・・1年前にも同じ状況があり、異動してきて間もない分際で(しかもその月は長期の休みを取ってNYまで追っかけた)申し訳ないと思った私は早々にチケットを他人に売ってしまったことがあったのでした。それを覚えててくれたのですね、あーん、素敵な上司です♪
 イヒヒ、それもこれも私が日ごろいかにマジメに仕事を頑張っているか、ということが評価されてるんでしょう←いささか疑問。
 3日後、ようやく許可が。あーん、よかった、よかったよぅ。。。
 しかし、
「休み取らせてあげるんだから、全力で働け」「もうすぐコンサートだもんね−、しっかり働けよ!」と言われましたです。
 11月22日に休めるなら他には何もいりません。
 年末の「近藤さんと年忘れパーティ」を蹴ってでもこの日は休んで行きたい!でもあわよくば年末もパーティ行きたい、と思って頑張って働きました。(結果、年忘れパーティの日も休み枠0・・・いくらなんでももう何も言えませんでした。でも私としてはパーティより六重奏が聴きたかったので満足です)
 
 当日。夢子ちゃんが夕方に我が家に到着。ねこひげさんも来るはずだったが、彼女は今日の休日を取るために徹夜で仕事をしていたという。飛行機を遅らせてホールへ直行するんだと。ご苦労様です。
 身支度を整え、ホールへ。
 ロビーに入ると社長さんがいらしたのでトーク。「久しぶりじゃないの!」と声をかけてくださった。そう言えば久しぶり。5月以来かな。電話ではよく話していたので(サントリーホールのチケット予約・今日の予約・パーティのキャンセル等)そんなに久しぶりな感がない。
 そして全国の顔見知りファンが続々登場。おそるべしパワー。今回は特別演奏会なだけにファンの意気込みも相当なものであります。まさに「仕事なんか行ってる場合じゃない」ですよ!
 
 10分ほど遅れて開演。いつもの近藤さんのトークあり。あれれ?なんだか声が・・・弱々しいような?疲れてるのかな?大丈夫かな?
 そして演奏へと。
 トークの時の心配はあっという間にふっとびました!1曲目から絶好調。ノクターン13番はもうすでに何回か生演奏を聴いてるけれど、今までで一番よかったです。舟歌もとっても端正で・・・近藤さん、とっても落ち着いた満足した気持ちで弾いてらっしゃるんだろうなと思わせるような演奏で。それはどんな嵐にもびくともしない、大地にふかぁく根をはった大樹のようでした♪
 途中、靴の紐がほどけたらしく、エヘヘと笑いながら紐を結びなおす近藤さん。客席も笑み。近藤さん、余裕。そしてとってもお茶目♪♪♪
 第1部のソロ演奏。10年後も20年後も私たちの前でずうっと弾いててくださるに違いない、そう思えた演奏でした。すごくうれしかったです!
 シンフォニーホールは舞台の後ろ側にも座席があるのですが、近藤さんは前方、後方、2階席・・・四方それぞれに爽やかな笑みを届けてくれてました。

 休憩時間。今回は特別な演奏会なのでいろんな方に「来てー」と声をかけたのですよ。母、叔母、会社の同僚2名、高校時代の友達。友達はお母様、お姉様、ピアノを習ってる姪っ子さんと来てくれたので合計8名。母と叔母には開演前に会ったので今度は友達の座席へ。久しぶりの再会、会話に花が咲く。彼女は二児の母なのにとっても華奢で着物を粋に着こなして。仕事辞めたら痩せてしょうがないそうです。いいなぁ・・・私は仕事辞めたら太るけどなぁ。←1年で5キロ近く太った経験あり(怖)。
 もっと話したかったけど休憩時間は20分です。8人も呼んだはいいけどゆっくり話もできず申し訳なかったです。。。

 さてさて第2部は六重奏です!!
 6人様、ご登場。あぁ、わくわくするわー!ヴィオラの長谷川さんは相変わらず可愛い☆
 こんな美女たちと仕事ができて、近藤さんもひそかにウレシイだろうなぁ。いいな、いいなぁ〜〜〜。
 そして始まる。
 わー・・・CDで聴くのとは全然違う・・・音が柔らかぁい!そしてすっごく響いてる。やっぱりこのホールは関西1と言われてるだけあるなぁ。
 サントリーの時と同じく、近藤さんは意気揚揚。早く弾きたくてしょうがない!って感じ。
 私はこの曲を聴くのは2回目だ。だからこの曲がどんなに素晴らしいか知っている。今日も感じるであろう感動は既に身をもって体験済みなのだった。
 近藤さんも同じだったと思う。この曲をお客に聴かせるのは2回目。だからこの曲を弾くとどれほど楽しくて、またどれほどの感動を与えられるのか、既に身をもって体験済みなのだった。
「もう一度、あの感動を!」
 近藤さん自身がそう思いながら&とってもわくわくしながら弾いてるのが伝わってきました。初演のサントリーホールの緊迫感もよかったけれど、確信に満ちたシンフォニーホールでの演奏!!両方聴くことができて本当によかったです。
 やっぱり2楽章は泣けました。最後の最後の方でピアノの音だけになる部分、ヴァイオリンやヴィオラがそれに重なってメロディーを奏で、ピアノがだんだん遠ざかっていくところがすごく綺麗で・・・CDで聴いてても涙が出てくるんですけど、今日は生演奏、しかも今夜が最後・・・。
 思いきり耳をすまして聴きました。この瞬間を空気をしっかり記憶にとどめておかなくちゃ、と思って。
 生きててよかった、と素直に思えました。この六重奏は本当に素晴らしいけれど、これから先、近藤さんはもっともっと素晴らしい音楽を聴かせてくださることでしょう。そして演奏家としてさらなる成長をされていくのでしょう。それを私は今後もずっと見守っていける。そのことがとっても幸せだと思いました。たとえばもし今「余命数ヶ月」と言われたら、私はこの人の成長を見届けずしてこの世を去らなければならないのだ。そして何よりもこんなに美しい音楽をこの世に残して・・・そんなこと、耐えられるはずがない。何がなんでも生きなくてはならない。
 CD、もう1枚買おう。買ってあげたい人がいるのです。どうしても生きてほしい人が今、病と闘っています。

 鳴り止まない拍手!近藤さんは両手を口の横にあてて叫ぶようなしぐさを。
「今日は本当にいい演奏会で、僕も楽しんで弾けました!」と。
 そしてアンコール、英雄ポロネーズを。わたくし、またもや感動の放心状態でぼうっとしてしまってよく覚えてません。。。もったいなかったです。

 終演後、CDを買いました。サイン会で「友達にあげたいので名前を入れてください」とお願いしたら快く書いてくださいました。
 後日このCD、闘病中の同僚に送りました。「名前が入ってるー!」と驚き&お礼のメールが届きました。早くよくなって退院して仕事に復帰できますように!!

 サイン会終了後はツーショット撮影はできなかったけど、写真タイムがありました。近藤さん、わざわざめがねを外してくれました♪
 大喜びで退散した我々、次は宴会です。
 福島駅近くの「福島金魚」という居酒屋に集まった人数は11名。札幌2、埼玉2、新潟1、名古屋1、滋賀1、大阪3、山口1。女性が10名、男性1名の合計11名。我々の友情と、我らが近藤嘉宏のますますの発展を願って、乾杯!
 そしてひとりひとり自己紹介。初めて顔を合わせる人もたくさんいたので。現在の居住地とファン歴何年かを紹介しあいました。ファン歴2ヶ月という人から10年という人までいらっしゃいました。
 軽井沢や白馬での演奏会の写真を皆で見せあいっこしたり、私は福知山で仕入れたポスターを配ったりしました。短い時間でしたがとっても楽しい時間でした。幹事(私)がイマイチ不慣れで申し訳なかったですが、ご参加いただいた皆様ありがとうございました!

 ここで終わりではありません・・・翌日も8名が集い、京都観光です。
 関東在住のMさんがレンタカーを手配して京都を案内してくださいました。関東人に京都を案内される関西人あっこでした。。。
 車の中では昨日の六重奏のCDが流れ・・・
 というわけで「熱烈konfan」を乗せた車は、その車内を美しい音色で湛えながら秋の京都へと走り出したのでした。
 8人乗りの車内はとっても賑やかだったのですが、時々長い沈黙が・・・。
 おいおいみんな、CDに聴き入ってんじゃねぇよぉ〜〜〜と思いつつ、私もつい聴き入ってしまうのでした。だってぇ〜〜〜ん♪
 

四条駅近く・鍵善良房の「葛きり」 金閣寺近く・一和の「あぶり餅」

 ファンのあいだではすでに有名人、ツアーリーダーMさんおすすめの「京都甘味処」へ。
 葛きり、絶品でしたよ!つるつると、しかもしっかり歯ごたえのある葛きり。黒蜜がまたおいしいの!とっても上品な甘さで!!今度は絶対母を連れてこようと思いました。駅から近いしね。京阪四条・阪急河原町駅から八坂神社の方へ5分くらい歩いたところにあります。皆様もぜひにおためしを。
 金閣寺近くの一和屋さんのあぶり餅もおいしかった。串に刺した小さな餅にきなこをまぶして炭火で焼き、白味噌ベースのたれにつけて食べるあぶり餅。炭火で焼けた焦げが香ばしく、味噌の香りも絶品!
**鍵善良房**
 京都市東山区祇園町北側264 075-561-1818 9:00〜18:00(土日祝は19:00) 定休日月曜
**一和**
 京都市北区紫野今宮町69(今宮神社) 075-492-6852 定休日水曜 


 祝日の京都は道路が混んでましたが、南禅寺や竜安寺のそばの紅葉は見事でした。最終的には仁和寺に行きました。
 桜が有名なお寺ですが、紅葉も趣がありました。人も少なかったしいい感じ。
 紅葉のアーチをくぐりながら寺へ向かう我々。なぜだかまた沈黙が流れ・・・
「あー・・・手つないで歩きたい」
「みんな黙ってると思ったら・・・おんなじこと考えていたのね!」
「そうだよね、思うよね!でもねこひげさんは思わないか・・・」
 冷静なファンとして(というかマトモなファン)一目置かれているねこひげさんであった。
 ねこひげ:「手なんかつないでこんなとこ歩いて・・・何しゃべるのよ!?」

 その他全員:「言葉はいらないのッ!!!」

 行き着いた先には桜が咲いていた。冬桜である。
 「これ、桜?いまどき桜が咲くの?」

 「狂い咲き!?」
 「一年中咲いてんでしょ?絶対散らないのよねっ!!!」
 一同爆笑。我々、とっても幸福であった。しかし近藤さん、くしゃみの連続だったに違いない。 
『くしゃみだけじゃなくて寒気もしたんだよね〜・・・』
 そんな彼の声が今にも聞こえてきそうであった。。。

 今回は演奏も追っかけ活動も充実した、まさに「特別演奏会」でした!
 近藤さんありがとう!お世話になった皆様もありがとう!!
 これからも末永くよろしくお願いいたします!


カワイコンサート 近藤嘉宏 ピアノ・リサイタル
2005.10.4 京都コンサートホール 小ホール(京都)

 ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作
 ノクターン 第13番 ハ短調 作品48-1
 ワルツ 第10番 ロ短調 作品69-2
 ワルツ 第14番 ホ短調 「遺作」
 幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66
 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
 ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53 「英雄」
 ポロネーズ 第7番 変イ長調 作品61 「幻想」
 エチュード 変イ長調 作品25-1 「牧童」
 エチュード ハ短調 作品10-12 「革命」
 エチュード ホ長調 作品10-3 「別れの曲」
 エチュード 嬰ハ短調 作品10-4 
 エチュード ハ短調 作品25-12 
 スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31

 流麗にして 力強く
 そして時にやさしく たおやかに
 それはまるで 悠々と流れる大河のようだ
 すべてを凌駕するように
 近藤嘉宏の世界が その魅力を増してゆく
 (パンフレットの表紙より引用)

 今日も京都は雨だった。The晴れ男・近藤嘉宏の力も及ばず?
 河合楽器の主催するコンサート。楽器はもちろんカワイ製、「フルコンサートピアノEX」というものだそうです。近藤さんがカワイで弾くのを聴くのは初めてだったので(多分)、ちょっとわくわく、そして今日は小ホールでの演奏、かなりわくわく。大ホールでの演奏会もいいけれど、小ホールでは静かにまったり聴くことができるのが魅力であります。
 さらにわくわく、下心・・・小ホール&平日=客が少ない=サイン会ゆったり=会話もゆったり=写真も撮らせてもらえるかも。
 ということでデジカメ持参で出動。 
 しかしこの憶測、見事打ち砕かれました。サイン会なしでした(号泣)。

 今回は自由席だったので開場の30分前に並んだ・・・つもりが開場時間を間違えたため1時間待つハメに。ま、いっか。
 開場と同時に座席確保へ。今回は真ん中くらいで聴いてみたい・・・と思いつつも結局は4列目にした。今まではずっと鍵盤側狙いでしたが、今回は趣向を変えて弦側に。本当は弦側の方が音はいいっていうし。
 今日のパンフレットは曲目解説が載っていた。ということは演奏前のトークはないんだろうなぁ。。。
 近藤さん、ご登場。燕尾に赤チーフ。今年はどうやらこのスタイルで攻めるつもりらしい。上等だ。
 平日の彼もステキ♪ などとわけのわからない感動をもつ私であった。
 やはりトークはなしでいきなり演奏へ。

 やっぱり小さいホールはええなぁ・・・音がとってもよく聴こえるわ・・・このピアノはショパン国際ピアノコンクールにも使われている(1985年に公認ピアノとして採用された)そうです。
 ノクターンの遺作と13番。13番はショパンの中でもお気に入りの曲なのでとっても楽しみにしているのですが、もうちょっと静かな響きの方がよかったかな。なにせ今日のピアノは本当によく鳴るので・・・。
 ワルツはとっても素敵でした。14番が特に。
 パンフレットの表紙の言葉を借りると、「悠々と流れる大河のようだ」、そんな感じでした。
 弦側に座ったので顔が見えず残念でしたが(もう少し後ろに座ればよかったか)、ピアノの蓋に写ったハンマーの動きを見られて面白かったです。

 さてこのピアノ、幻想即興曲あたりからますますパワーを増し、英雄ポロネーズでは最高潮に。ガツンガツンと骨に響くように鳴るわ鳴るわ。ち、ちと鳴りすぎではないかい? こ、近藤さん、そんなにきばらんでも聴こえてるわよぅ・・・と思うくらいの鳴りようでした。
 ピアノのせいか?ホールが小さいせいか?弦側にいるからか?それとも顔面麻痺の影響か?←顔面麻痺になったら耳がおかしくなる場合もあるそうで。音が大きく聴こえすぎるという障害が残ることがあるらしいんですが、たまたまこの日病院で検査をしたのですが異常なしと言われました。ホッ。
 とにかくこんなに大きな音で弾く近藤さんを初めて聴いたような気がした。

 休憩中。常連のファンの人とワインを呑みつつ(呑んでいたのはアタシだけ)歓談。彼女もやはり今日の音量が気になる様子。

 でも後半からは全然気にならなかったです。調律をしなおしたらしい。あとで聞いた話ですが、気温や湿度や客の数でピアノの状態が思わぬ変化をすることがあるそうです。今日は雨だったのでそれが影響していたのかもしれません。
 後半は「幻想ポロネーズ」から始まった。これってなんだかよくわからない曲なんですが、結構味がある曲かも・・・近藤さんはこの曲がとても好きなんだそうだ。なるほど、そういえばすごおく「大切に」弾いている感じがする。
 そしてエチュード数曲。
 『牧童』って?新曲か?なんて思いましたが、『エオリアンハープ』のことでした。
 エチュードは『別れの曲』『革命』などが入っているし、親しみやすいメロディーですが、弾くととても難しいらしい。今、ショパンに関する本を読んでいるのですが(演奏をより楽しむために私がしていること。そう何冊も読めませんけど)、ショパンはエチュードを2巻出し、作品10はリストに、25はリストの愛人に献呈したそうです。
 パリでショパンとリストが華々しい活躍をしてた頃の作品だそうで、超絶技巧で有名だったリストの存在をかなり意識して作られたものだと言われているらしい。そう言えば10-4や25-12なんて聴いててもいかにも難しそうで技術を要するような感じ。繊細で優雅なイメージのショパンらしからぬ曲だと思っていたけれど、リストに対抗してたんかぁ、納得。しかもこれ、リストと愛人に献呈やて。ショパンもなかなか根性座ってるなぁ。
 いつも斬新なリストに対抗するのは相当苦労しただろうな。その苦労が垣間見えるようなエチュード。ショパンの芸術性と根性と嫉妬が詰まった一品なんだなぁ。感慨深し。
 とっても迫力ありました、近藤さんのエチュード。近藤さんの腕に負けじとピアノも大はりきり。前半は相性イマイチの感があった近藤さんとピアノでしたが、後半では息も合っていて、まるで暴れ馬のようなピアノをうまく操る近藤さんはとってもかっこよかったです。さすがですねェ〜♪
 スケルツォ2番も素敵でございましたが、アンコールでプレリュード24番を弾いてくれたのは感激!思わず「きゃー」っと口を開けてしまいました。そりゃもう今日のピアノはよく鳴るからね、すごい、すごいかっこいープレリュードを聴かせてもらいましたよ。骨に心臓に響く響く!ただ弦側に座っていたため、最後の3音を弾く近藤さんの背中が見られたなかったのが心残りでございました。

 サイン会がないため、終演後はおとなしく帰りました。いやぁ、スタッフによっぽど聞こうと思ったんですけどね、「楽屋口はどこですか?」って。。。でもやめときました。きっと超特急で東京にお帰りになるんだろう、だから迷惑かもなぁと思って。雨も降ってたし、待ってても「もう帰ったよ」なんて言われたら悲しいですから・・・。

 余談ですが、真夜中のピアニストのHPで公開されている近藤さんのブログ。近藤さんの好みの女性は鈴木京香との記事を見た私はいつもの調子で「具体的にどんなところが好きですか?」さらに「ここで答えにくければ11月22日に直接お聞きしますので答えをまとめておいてください」とまで書いたんですが・・・(もちろん勇気がいりましたとも。35度の蒸留酒をロックで呑みながら書きましたとも)あっさり聞き流された模様・・・(凹)。
 遅くなりましたが、あのブログ内で私を励ましてくださったネコ型ろぼっと様をはじめ、私にご同意いただいた方々にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 あの場で回答がないということは・・・「22日に直接聞け」との解釈でよいのでしょうか?と思いつつ、あの場であのハナシを蒸し返すのも気がひけまして・・・。22日のサイン会ではサントリーホールの時のように「話しかけないで」命令が出なけりゃいいけど・・・ま、命令出なくてもその場の雰囲気がやばそう(あまりに慌しい雰囲気)だったらやめとこうかな・・・一応頑張ってみますけど。
 予告しときます・・・あまり期待しないでね♪ だって大阪のサイン会ってすさまじいんですもの・・・m(__)m 



PUFF THE Magic Dragon STANDARD PERCUSSIVE MEETING!
2005.9.24 栗東芸術文化会館さきら 中ホール(滋賀)

 Steve reich / music for pieces of wood
 Siegfried Fink / TRIO ORIENTE
 Anthony J cirone / TRIPTYCH
 Darius Milhaud(花石眞人・編) / CONCERTO pour batteries et petit orchestre 
 Khachaturian / Sabre dance
 Rich O'Meara / Puzzle Piece for three marimba
 Alan Hochaness / BACCHANALE
 Carlos Chavez / TOCCATA for percussion instruments

 ちょっと面白いコンサートに行ってきました。
 オール打楽器のコンサート。
 きっかけは9月11日の福知山。大阪シンフォニカーの演奏会に行ったとき、そこの打楽器奏者の花石さんに話しかけたことにより、ご本人直々からご案内いただいたものでした。
 打楽器だけで音楽になるんだろーか?木琴や鉄琴ならなんとなくイメージ湧くけど太鼓やトライアングルやシンバルで音楽?音階ないやん?
 それがちゃんと音楽になるんですよね。

 5人の打楽器奏者によるアンサンブル。
 最初の曲はmusic for piece of wood。その名のとおり、「木片の音楽」。
 5人が横一列に並び、木琴を分解してばらしたものを各自1本だけ手に持ち、それを延々とトントン打ち鳴らす。5人が一度に鳴らすのではなく、最初花石さんが鳴らしはじめ、それに乗っかるようにしてひとりづつ鳴らしていく。微妙に違うリズムで。
 最後には全員が木片を鳴らしていた。これが結構大きな音。ホール中にわんわん響き、曲が終わったあともしばらく耳に残ったくらい。
 同じ形の木片でもそれは木琴の板なので5人ともが違う音を鳴らしている。そしてそれぞれが違うリズムで打つと・・・これが音楽になるんですよね。
 言葉にするのが難しいナ・・・すんません。

 次の曲からはいろんな楽器が登場。大太鼓、小太鼓、トライアングル、シンバル、ティンパニ、チャイム、マリンバ、シロフォン、ウッドブロック等々。インディアンドラムという大変貴重な(らしい)楽器まで見ることができた。ホントにいろんな楽器があったんで、私、何が何やらワケがわからず。とても全部の名前を覚え切れませんでした。打楽器は奥が深いです。
 メンバーは男性2名、女性4名。中でも宮本妥子(みやもとやすこ)さんはすごかった。世界中で活躍し、いろんな賞をもらっている人です。
 4曲目のCONCERTという曲でソロをされた。トライアングル、吊るしシンバル、カウベル、ウッドブロック、合わせシンバル、カスタネット、ムチ、ラチェット、タンバリン、小太鼓、中太鼓、プロバンサル太鼓、タムタム、ティンパニ4つ、大太鼓。これらの楽器を回りぐるりと用意され、次から次から鳴らす。
 打楽器というのは複数の楽器を演奏することも多いので、楽器の位置に非常に気をつかうそうです。なるほどね!そーだろうなぁ。それに楽器によってバチなども違うので、それをきちんと揃えないといけないので大変だそう。たまに忘れて手で叩いたりすることも・・・あるらしい(笑)。

 印象に残ったのはSabre dance。あの有名な『剣の舞』です。全くの剣の舞でした。オケ並みの迫力!!!
 
 打楽器ってこうして改めて聴いてみると不思議な響きです。宗教的な感じがしました。音楽の歴史的には一番古そうですもんね。ピアノやヴァイオリンや管楽器のように人間が手をかけて作ったものではなく、たとえば石や木を叩くことだって立派な打楽器の歴史になりそうだし。
 オケや吹奏楽で聴く打楽器のイメージって、派手&目立つ&大きな音、って感じですけど、今回ももちろんそのような曲もありましたが、全体的に神秘的で原始的ななんだか癒される感じでした。
 うまく言えずもどかしいんですけど、、、本能に近いところの音楽、というか・・・あの心地よさはたとえば心臓の音?人間って何かしら振動を感じながら生きている生き物なので、そのへんに何かつながるものがあるのかな?なんて思いました。

 てなわけで、途中で1曲ほどウトウトしてしまいました。決してタイクツだったわけじゃないですよ。

 演奏のみならず、皆様おしゃべりも上手で。曲と曲のあいだにひとりずつ交代でお話されてましたが、作曲者や曲の紹介にとどまらず、「学生時代にこの曲の練習でこんな苦労をした」とか「留学中にこんなことがあった」とかその曲にまつわる自分の思い出話などもされていました。

 アンコールは「琵琶湖周遊の歌」。マリンバ3台でしんみりと・・・と思いきや、いきなり後ろからホイッスルがピーッ!
 びっくりして振り返るとスネアドラムを叩きながら花石さんがスタッフの学生たちとともにサンバのノリで登場。学生さんたちも何か楽器を持って叩いてた。
 花石さんは舞台にたどり着くと腰を振りつつ「うー、ワァオ!」と叫んでクラッカーを炸裂。
 隣に座る私の連れは大喜び(してたに違いない・私も花石さんの踊り?に釘付けだったので見てない)。
 全体的にしんみり癒し系のコンサートだったのが、最後の最後でお祭り騒ぎに!やってくれるわー。こういう賑やかさも打楽器ならでは!よね!!
 
 貴重なコンサートに行けてよかったです。楽しかった!!また機会があれば行ってみたいと思いました。

 終演後はサイン会などあるはずもなし。私と連れ(書かなくてもわかると思うが、そおしさん)は皆が立ち去ったホールに残り、まるで出来の悪いガキが補習授業でもやらされてるみたいな雰囲気で大真面目にアンケートを書く。こんなこと、近藤さんの時にやったことあったっけ?
 私は基本的にアンケートは書かない。短時間に想いがまとまらないのですよね。かといって気合を入れないとダメなアンケート(例・西宮アミティ)もここ最近は敬遠。。。すごくいい企画だとは思うけれど、何せ最近公私ともに忙しく、書くヒマがなかなか取れないの(泣)。
 でもそおしさんが一生懸命に書いているので私もつられて書いてみた。

 そおしさん、福知山以来、花石さんといい感じだ。あの時ちょっと話しただけなのに花石さんの方では顔も名前も覚えてくれているようだ。近藤さんには何年連れ添っても「OOさんでしたっけ?」と言われて涙したそおしさんであるが、ここへ来てこんな嬉しいこともあり。
 アンケートを書き終えると「出待ちしたい」というそおしさん。もちろんお付き合いいたしますとも。楽屋口を調べていたそおしさんについていく。
 そ:「今日だったらちゃんと話せそうな気がする」
 などと言っている。ホンマかいな?
 そして今日、彼女は白いブラウスに薄グリーンのワンピを着用している。最初見たときは「あんた、誰?」っと目を疑ったくらい、その姿は山の手の清楚なお嬢様なのだった。『女はオトコで変わるモノ』その事実を目の当たりにした私であった。
 花石さんには山の手ファッション、近藤さんには甘ロリ・・・ん?なんか違うよな気もするが・・・?
 そして我々は裏口でじっと待つ。楽屋口まで入るという観念は「近藤追っかけ」な我々の頭にはちらりとも浮かばない。「楽屋に行ってもいいですか?」などと警備員に尋ねるという観念すら浮かばない。ただひたすら相手が出てくるのを外で待つのみ。
 しばらくすると警備員が「何してるの?」と。
 叱られる・・・と思ってしまった我々。ビビりながら「出演者が出てくるのを待っている」と答える。
 警備員:「それなら入ったらいいじゃない。そこ入って右ね」
 えーっ!入ってええんか!?近藤さんの時と要領が違うので戸惑うなぁ。でも入っていいなら入ることにした。
 楽屋を覗くと・・・酒盛りが始まっていた。ココで打ち上げかい!?ありえへん!!近藤さんは15分足らずで帰ってしまうのに。いやいや、全て近藤さんを基準に考えてはいけない。私もまだまだだ。
 あ:「入ってもええんかな」
 そ:「ダメでしょー」
 あ:「花石さんて追っかけおらんの?ファンサイトあるくらいやからいるはずやで」
 もしかしたら花石さんはあの気さくなお人柄で「ファンは家族」とか言っているのかも。楽屋の中には女の人が大勢いる。あれ、ファンとちゃうか?と勝手に決めつける私。
 あ:「まぎれて入ってもわからんのとちゃうか」
 と、そおしさんに提案してみたが、やっぱりそれはよくないとの結論に達したところでスタッフの学生がどこからか現れた。
 あ:「私たち、関係者でなくて全くの一般の客なんですけど、ここに入ったらマズいですか?」
 と、あくまで『ココに入り込む』という姿勢を貫いてみた。それはちょっと・・・とシブる学生。
 あ:「ちょっとだけ花石さんとお話したいんですけど・・・」
 近藤さんの時なら社長にお願いして許可を得てから楽屋口に行き、社長が急いで近藤さんを呼んできてくれて、社長に呼ばれて慌てた近藤さんはセーターの裾が裏返ったまま出てきて、そおしさんに「近藤さん!裾が裏返ってるよ!」と叱られる、というパターンですけど、花石さんの場合はどうすれば?というわけでそこらへんの学生に聞いてみたわけであります。
 学生さん、花石さんを呼んできてくれた。ありがとうございました。
 出演衣裳のまま出てきた花石さん。赤い運動靴がステキ。
 うわー、どうも!ととても嬉しそうにしてくださった。そしていろんな話をしました。花石さんは吹奏楽団の指揮もやってらっしゃるそうです。私も学生時代に吹奏楽をやっていたので、高校時代にアンサンブルコンテストに出た話、そこで打楽器のアンサンブルを初めて聴いて驚いたこと、そして今日の感想などを話した。花石さんは私たちの話もちゃんと聞いてくれ、それに対する質問とかもしてくれて。
 すごく話しやすくて、い・い・人〜〜〜。
 ところで。
 おぉい!写真はどないするんやー?
 すっかり話に夢中になっているそおしさんは肝心のカメラをがっしり握ったままなのだった。
 しかしもう彼女は完全にフヌケになりきってしまっているのでこのまま撮らずに帰ってしまいそうだ。なので私が取り上げ、写すことに。今思えばアタシも撮ってもらえばよかったなあ。
 そ:「(立ってるだけじゃつまんないから)何かポーズを・・・」
 と、遠慮がちに花石さんに提案するそおしさん。近藤さんには問答無用で腕にからみつくところであるが←自称:ヘビ女。
 花:「じゃ、こうしましょうか」
 花石さん、そおしさんの肩を抱く!!!
 コレはええぞ!と心の中で盛り上がる私。まるでエロオヤジ。
 血圧急上昇な我々をよそに、花石さんは「え?大したことじゃないでしょ」と平然と言っていたそうである。←あとでそおしさんから聞いた。ヒョーっ!(興奮していた私はすでに何も聞こえない状態に陥っていたようだ。他人事なのになぜにここまで興奮してたのだろ、私)。
 あ:「縦に撮ろうか、横に撮ろうか」
 などと迷うフリをしながら、今この瞬間を少しでも長いものにしたいという魂胆。友の悦びは私の歓びだ。
 まずは縦に撮影。さらに「横向きも撮るよー」と横向きも撮影。くくく・・・。
 最後は握手でしめくくり。私も握手してもらいました♪ふたりしてデレデレニヤニヤ、このていたらくぶりをいつまでも花石さんに見せるわけにもいかないので、このへんで退散。お時間取らせてすみませんでしたぁ〜とその場を引き揚げました。
 非常に満足した我々、ふたりで呑み会です。konfan酒呑み同好会員ですから!いや、konfan兼manafan酒呑み同好会に名称変更いたそうか。
 そ:「花石さんだから女の肩を抱くのも似合うよなあ」
 あ:「近藤さんにあんなことされたらちょっと退くよなぁ」
 そ:「やっぱり近藤さんにはお坊っちゃんキャラを失わないでほしいね」
 あ:「そやなあ、近藤さんはこっちが主導権握りたいよなあ」
 とか言いながら・・・
 あ:「いや、やっぱり1回(肩を)抱かれてみたいわぁ〜〜〜」

 うらやましーぞ、そおしさん!
 というわけで、刺激的な1日でありました〜。
 

近藤嘉宏 ピアノファンタジー (オールショパンプログラム) 
2005.9.24 西宮市民会館アミティホール(兵庫)

 ノクターン 第13番 ハ短調 作品48-1
 ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作
 ワルツ 第6番 変ニ長調 作品64-1 「小犬のワルツ」
 ワルツ 第14番 ホ短調 「遺作」
 幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66
 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
 ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53 「英雄」
 ポロネーズ 第7番 変イ長調 作品61 「幻想」
 エチュード 変イ長調 作品25-1 「エオリアンハープ」
 エチュード ハ短調 作品10-12 「革命」
 エチュード ホ長調 作品10-3 「別れの曲」
 エチュード 嬰ハ短調 作品10-4 
 エチュード ハ短調 作品25-12 「大洋」
 スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31

 9月。3回目の追っかけであります。
 今回もショパンです、全部ショパンです・・・。
 さて、皆様どうしましょうか・・・わたくし、ショパンをレポるのは大変苦手でして。
 今回は手短に実況中継します。

 まず驚いたのは客の多さです。立見まで出ていました。さらに主催者は「それでも入りきらず、今回は200人近くの方にお断りの手紙を出しました」とのこと。
 近藤さんの関西人気はすごいです。もちろん主催者側も宣伝や価格安などで相当努力されていると思われます。今回も豪華インタビューつきのプログラムが配布されました。これ、結構余ってたけど、売ったら売れるんじゃないかなあ。
 気になるインタビューの内容。
 デビュー10周年という節目にあたり、僕が育てていきたい「本当の音楽マニア」とは、などはファンの皆様には多少耳が痛い意見かもしれません。私もたいそう耳が痛かったでございます(猛省)。
「音楽にとても精通しているけど、部分部分には決して固執しない。広い意味で音楽が見えて、ものすごく音楽を知っている。人それぞれに好き嫌いはありますが、許容を持って音楽に接することができる」(プログラムより引用)
 たとえば楽章間で拍手をするな、とかそういう堅苦しい考えを新規参入のお客さんに対して強要したりするのはどうかと思うし、部分部分に固執、たとえば演奏会で楽譜を広げながら聴き入ったりされるのは
「嫌だ(笑)間違い探しをされてるみたいで、演奏家にとって迷惑な話です」(プログラムより引用)らしいです。
 楽譜広げながら聴く・・・かくいう私も「月光・悲愴・熱情」の楽譜を持っており、CD聴きながら楽譜に見入っていた時期がございます・・・さすがに演奏会に持っていこうとは思いませんでしたが。だって、『この曲、音符で見たらどんなんかな?』『どういう構造になっているのかな』ってすごく気になったんですもん。実際とても面白く、『へー!こんなにシンプルな旋律なのにこんなに複雑な動きで弾いてるんだ!』とか『これを弾くとこんな響きになるのかあ!』みたいな驚きがあって楽しかったです。間違い探しなどするつもりは毛頭ありませんとも。近藤さんに間違いなどあるはずがないのですから!!!←ココ、強調ネ。 
 どのような演奏家になりたいか、は人柄や人間的魅力が垣間見えるような演奏家になりたいとのこと。
「欧米の巨匠、例えばハイフェッツやルーヴィンシュタイン、ホロヴィッツ、アラウなどは、演奏だけでなく、若い時から強烈に発散する何かがありました。ある時はファッションであったり。古くは、時代の最先端をいく洋服を着こなしたショパンやリストがいれば、ぼさぼさ頭のベートーヴェンもいて、強烈な個性をどんどん打ち出していきました。どちらかと言えば、今はクラシックの「良き時代」を否定しているように見え、それがとても残念です。ルーヴィンシュタインやホロヴィッツの演奏技術は認めているのに、彼らが持っていたショーマンシップの側面を否定し、毛嫌いしているのではないでしょうか。そういう考えはジャーナリズムや教育界、学者、音楽マニアに多いように思います」(プログラムより引用)
 
クラシックもエンターテインメントの一種なので、人間的魅力を見せる演奏会をしたいということのようです。

  全く同感!!!

 私は「近藤さんは近藤さん」であってほしいのです。演奏技術はもちろんのこと、人柄も個性も何もかもひっくるめて「近藤嘉宏ここにありき。唯一無二」であってほしい。
 今後の活躍がますます楽しみです☆

 そして演奏の方ですが、トップにノクターン13番を。
 これ、シブイですよねー。なんだかショパンぽくないですよね?
 今日の私の座席は20列目。ちょっと遠かった。。。オールショパンを聴くには、私は小さいホールの方がいいなあ。
 次回、ここの主催演奏会は5月7日だそうです。鍵盤側最前列を押さえました。押さえたあとで「ん?5月7日?GWやん?ダンナも行けるんちゃうん?」と思い立ち、電話を。「それやったら行けるわ」との返事でしたのでダンナの分も追加購入。席はみっつほど離れてしまいましたが最前列を押さえました。
 が、帰り道もしくは家の中でそれを2枚とも紛失してしまいました・・・・・・(号泣)。こういう場合はどうなるんですか?『当日、チケット忘れた』なんて経験がおありの方、ご教示ください。やっぱり入れないのでしょうかね? トホホ。

 近藤さん、この前日は軽井沢、翌日は木更津で演奏会。かなりのハードスケジュールなわけでしたが、この日の演奏会は疲れた様子も見せず、堂々とした弾きっぷり。最初のトークでも立見の人を見渡しながら「今日は本当にたくさんのお客様に来ていただいて」とニコニコ。
 やっぱりお客が多いと気分も盛り上がるよねー。私もうれしかったわ♪♪♪

 サイン会も大盛況でございました。人が多すぎて近寄れませんでした。なのでチラっとだけ見て帰りました。ホントに息をするのも苦しくなるくらいの熱気と人ごみでした。
 
 以上。
 えーっ!これだけかよ!という声が聞こえてきそうですが・・・10月4日もオールショパンですので・・・次はもうちょっとしっかり書こうかな(保証なし)。
 

大阪シンフォニカー交響楽団  近藤嘉宏ショパンコンチェルト
2005.9.11 福知山市厚生会館(京都)

(第1部)
 シュトラウス:美しき青きドナウ
 モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲
 エルガー:愛の挨拶
 ドヴォルザーク:スラブ舞曲作品72-2
 ブラームス:ハンガリー舞曲第5番・第6番
(第2部)
 ショパン:ピアノ協奏曲第1番
 

 サントリーホールの夢からいまだ覚めない今日でございます。
 あの夢のような一夜から9日が過ぎました。そして今日のこの日、あの時と同じ『ショパンのピアノ協奏曲第1番』を、今度はオーケストラ版で聴くことができるという・・・まさに夢のような企画なのであります。
 しかし福知山・・・一応関西圏ではありますが、遠いです。大阪駅から特急で1時間半もかかります。なので「プチ遠征」といったところです。
 午後2時開場、3時開演。
 私が福知山に到着したのは11時40分でした。早ッ!というのも、自由席を買ったからでございます。いい座席をゲットするには早く行かないと。
 駅から徒歩10分のところにホールがあるらしい。まもなく福知山駅に到着しようという頃、私は地図をじいっと眺めていました。今日も道に迷うに違いない・・・←超方向オンチ。
 するとファン友:ねこひげさんからメールあり。「もう着く?駅で待ってる」と。
 ラッキー、お迎えつきだ。これで道に迷わず行ける。彼女は私よりもさらに1時間早い電車で来て、いったんホールまで行き、そのあとドーナツ屋で時間をつぶしていたのだという。
 駅で彼女と再会。9日ぶりだけど。お互いに労をねぎらいつつホールへ向かう。
 天気は悪い。今にも雨が降り出しそうだ。蒸し暑い空気の中歩くこと10分。ホールに到着。

 我々、一番のりのようである(正確にいうとねこひげさんが1番のり、私は2番のり)。ホールの人が出てきてくれたので座席引換券を渡し、お金を払った。
 さて。今からどうするか。開場まで2時間もありますが・・・。自由席なのでここを離れるわけもいかないし。のんべんだらりと過ごしていると3番のりさんが来た。彼女も顔見知り。労をねぎらいつつ3人でアドレス交換などをする。
 今日は天気も悪いし、投票日だし、辺鄙なとこだし・・・チケット代金が当日支払いってのも心配。ドタキャン多発したらどうしよう・・・お客、入るかな?ガラガラのホールで演奏する近藤さん・・・想像しただけで耐え難い苦痛である。しきりに客の入りを心配する我々。
 ね:「世の中ってさ、結局お金だと思わない?」
 あ:「当然でしょ」
 ね:「チケット代、当日支払いだなんて!」
 あ:「そや!先に取っとかな!取れるときに取れるとこから取らな!」
 ね:「もっとたくさんの人に来てもらわなきゃ。売って稼いで、それからじゃない!じゃないとどんなにいい演奏してたって人に聴いてもらえないじゃない!!」
 もっと売れ!もっと稼げ!!私とねこひげさんの熱い議論は満場一致で(二人だけですが)解決。
 ねこひげさんは北海道の人だが年に何度も東京に出張、マンションを借りて過ごしているというキャリアウーマンだ。知り合ったのは近藤さんのNYツアーの時なのでつきあいはまだ日が浅いが、私はすぐにわかりましたとも。「彼女は、頭がいい」。なにげない言葉にも知性がキラリと感じられるのだ。なので私は今までファン友何人かに「ねこひげさん、あの人は頭がええで」と言ったことがあるが、皆「私もそう思う」と口を揃える。やはり皆もそう思うか。きっと彼女はいい大学を出てらっしゃるに違いない。
 そしてねこひげさんは関東の演奏会はどんな僻地であってもすべて出席&毎回必ず花束を持参する。私の活動拠点は関西だが、「北海道にすごい人がいるよ」という噂をききつけてはいた。それがねこひげさんだったのだ。なので最初は彼女と話すのにはなんとなく勇気がいったが、話してみるとこれが意外に(?)おもろいお人でして。いまやメールのやりとりもする仲でありますが、彼女独特のねこひげ節とでも言いましょうか、面白いんである。

 話は変わり、
 私の経験に基づくと、自由席でもコンチェルトの場合はそれほど早くから並ばなくても前の方に座れる。というのはお客が近藤さんのファンばかりとは限らないし、音がいいのは前よりも真ん中。オーケストラの全貌を見るにも前より真ん中がよい。なので座席は真ん中あたりから埋まるのであります。
 それなら開場前に来たらいいのに、とお思いになるでしょうが・・・私は前の方ではなく、真ん中狙いで行ったのです。前の方に座るのもいいけれど、本当は私、あんまり前の席って照れるんですよぉ。近藤さんとめんとむかって話すのはそれほど照れないのに、弾いてる近藤さんをダイレクトに最前列で見るのはとっても照れくさくてもじもじしてしまうんですよね・・・。普通は逆ですよね。変なアタシ!
 1時間経過。ファン友:そおしさん登場。毎度毎度彼女は刺激的なファッションで私に衝撃を与えてくれるのであります。ココの掲示板での予告どおり彼女は「甘ロリ&羽根」オール桃色モードの衣裳で登場。
「甘ロリ&羽根」ってどんなだろ?とイマイチ想像できない方にご説明申し上げます。
 スイート系ロリータ、ピンクのフリフリです。パニエを履いているのでスカートはふわふわ、頭もピンクのフリフリつき、そして背中には天使の白い羽根です。動物検疫法にひっかかりそうな、カラーリングも何もしてないありのままの羽根を使用して作られています。羽根だけでも2万円だそうです。
 そ:「この格好、あと何年できるやろうか?もう来年はあかんかな」
 あ:「あと1年くらいは大丈夫ちゃう?」
 そ:「駅で何人かに声かけられた。どこに行くんですか?踊りに行くんですか?とかさ」
 まさかショパンのコンチェルトを聴きに行くところだとは誰も考えまい。

 開場1時間前になった。ちょろちょろと人が並び始めたけれどそれでもまだまだ閑散とした雰囲気。
「次の電車でバーッといっぱい来るよ」「指定席買った人は開場してから来るやろし」とファン同士、慰め励ましあう。
 ホールの中ではスタッフの皆さん、忙しそう。ふと脇を見やると・・・今日の演奏会のポスターが山積みになっている。
 早速ねこひげチェック(その1)が入る。
 ね:「もしかしてあれ・・・余ってるの?」
 あ:「もっと貼れよー。町じゅうに貼って貼って貼りまくってくれんと困るなあ!
 と憤怒、しながらも「あれ、あとでもらって帰ろう」という魂胆である。
 そ:「あ!近藤さんだ!」
 ホールの中の階段を猛スピードで駆け上がっていく近藤さんの姿が見えた。
 あんなに速く走れるのねー、ス・テ・キ♪
 おおお!一段飛ばしだわ!意外と体力あるのねぇ・・・でも、、、
 
 ね:「なんか逃げるみたいに上がっていったような気が・・・」
 あ:「私らが先頭に並んでるのが見えたからやな。そないに逃げんでもええのになぁ・・・」

 オケの楽団員さんたちは結構自由にウロウロしていた。お弁当屋にぞろぞろと買出しに出かける姿が見られた。
「近藤さんのお弁当は誰か買ってきてくれるのかなぁ」「忘れられてないかなあ、心配やなあ」
「そういえば社長来てないよね」
 これだけ待ってれば絶対社長の姿が見えるはず。ところが全然見えないのであります。どうやら今日は近藤さん、単身赴任みたいだ。
「はじめてのおつかいに息子を送り出す心境だわ」
 今度はいらん心配をしきりにする我々。
「帰り、特急の乗り継ぎちゃんとできるかなあ」「ひとりでできるも〜ん!」
 ああ心配!
 あ:「社長が来てたら話し相手になってくれるだろうから退屈せんのになぁ」
 ね&そ:「そーそー、そーだよねー」
 そ:「これ、開場してからも開演まで1時間もあるんだよね。どーする?」
 ホールには喫茶もない。おまけに周りにもなんにもない。あるのはホカホカ弁当屋だけなのだ。
 あ:「弁当でも買ってそこらへんで食べる?」(即、却下される)
 そ:「近藤しりとりでもしようか。近藤さんに関係のある言葉しか言ったらあかんしりとり」
 ね:「いいね〜」
 そ:「じゃあショパン・・・ああもうだめだな」
 あ:「ベートーヴェン、もあかんな」
 うーん・・・。
 あ:「今日の曲の順番はどうなんだろ?コンチェルトが最後やよなあ?」
 演奏会のチラシを確認する我々。
 ね:「どーだろ?でもきっと最後だね。今回はさ、コンサートの題名に近藤さんの名前が入ってるもんね!」
 そう。今日の演奏会は『近藤嘉宏ショパンコンチェルト』となっている。
 『ショパンコンチェルト(ソリスト:近藤嘉宏)』という書き方ではなく、
 

近藤嘉宏ショパンコンチェルト
なのである。

 すごーい・・・うっとりする我々であった。

 そしてねこひげチェック(その2)が始まった。
 ね:「12月のティアラ、発売になったよ。もう買ったわよね?」
 あ:「い、いやー・・・12月ぅ? えーっと・・・買ってない」
 ね:「!?」
 あ:「・・・シエモルチエには行かせていただきます。あ!大晦日の川崎も」
 ね:「そう。それなら許してあげるわ」
 すいません、姉さん。どうか勘弁なすってくだせぃ・・・あっし、ヒマはなんとかなりますが経済力がナイもんで・・・ううう。

 ホールの人から声をかけられた。
 「そのお花、客席に持って入れないので・・・今日はサイン会もないんですよ。だからお預かりしてもよろしいですか?」
 ね:「じゃあお願いします」
 紙袋に入れた花束をホールの人に渡すねこひげさん。
 「あ、これ、お名前とか入ってますか?」
 ね:「いいえ。でも別にいいです」
 「お名前をお伝えした方がいいのでは?書くものを用意しますけれど?」
 ね:「別にいいです、このままで」

 なんと謙虚な!!!姉さん、それはいかんだろ!(注:ねこひげさんは私より若いです)

 あ:「いつもの者からです、と言って渡してください。それでわかりますから
「? いつもの者、ですか?」
 あ:「それでわかりますから」
「それでは『いつもの者』という方からです、と言って楽屋にお届けしときますね」

 なんか変かも・・・

「あ、でも他の方のプレゼントと混ざってしまうとわからなくなるかもしれませんから、やっぱりお名前を書いておきますね。袋の外側に『いつもの者』と書いておきましょうか」

 かなり変かも・・・
 沈黙する我々。

「やっぱり書くもの持ってきますね」
 ね:「すみません、お願いします」

 というわけで一件落着。

 開場30分前にもなると人が並び始めた。結構いい感じである。
 そ:「ところで今日はどのへんに座るの?」
 あ:「まんなかあたりを・・・」
 そ&ね:「え!?!?」
 今日のホールは1階席が自由席、2階が指定席。
 1階はフラットらしい。
 そ:「フラットだから前の方に座らんと見えんよ」
 あ:「そうやなぁ・・・でもあんまり前やとピアノの音ばっかり聴こえるやろし、それもなぁ・・・」
 ね:「私はピアノの音だけでいい!」
 入口には看板が。『1階は満席になりますので、前の方からお座りください』
 そ:「言われなくても最前列に行くよね!」
 申し訳ありませんでした・・・あっこ、最前列に座らせていただきます。それがファンのつとめでありまする。自覚が足りませんでした。
 そして並んでいる人の面々をチェック。知っている人はいない。年配の女性が多い?今日は新しいファン獲得できるかも、近藤さん!ええぞ、ええぞ。
 いよいよ2時に。しずしずとホールに入る我々、であったが・・・途中から早歩きに、そして小走りに。
 最前列に到着。ホールの人が待っていて「お待たせしましたねー。ここが一番いいですよ。あれが椅子ですからね。このラインがちょうど真横ですよ」と教えてくださった。本日の1番のりのねこひげさんがそこへ座り、その右横に私、左横にそおしさんが座る。
 ステージ、近ッ!うわぁぁぁぁ、ここであのショパンの協奏曲を聴くのかぁ!眩暈がしそうだ。
 座席の確保に成功した我々、ロビーに出て時間をつぶす。
 このホール、出演者用の楽屋って狭いんだろーか?というのもオケの楽団員の方々が結構ウロウロし、喫煙コーナーでたむろってたりなんかするのだ。準備万端な正装で煙草をふかす楽団員さんたちを眺めながら、ねこひげさんとそおしさんと雑談。
 そ:「こないだのサントリーホール、近藤さん、赤のポケットチーフしてたんでしょ?それって許せない!近藤さんには赤は似合わないし、なんといっても胸に赤のチーフは花石さんしかやっちゃダメなんだよ!」
 花石さんとは大阪シンフォニカー交響楽団の首席打楽器奏者、花石眞人(はないしまなと)さんのことである。そおしさんはもう5年以上も前に花石さんが演奏されるのを聴き、大変な感銘を受けたそうです。それ以来、そおしさんは「近藤さん、大阪シンフォニカーと共演」の情報を聞きつけると「花石さん♪♪♪」と近藤さんのことなど初めから眼中にない。今年の2月も近藤さん、大阪で大阪シンフォニカーと共演されたのですが、花石さんは出演されておらず・・・「花石さんがいないよー」と大変無念な思いをしたそおしさん。今回ももちろん花石さん目当てで福知山くんだりまでお越しになったのであります。
 開演まで1時間。たわいもない話をしつつ時間をつぶしていた我々。そおしさん、何気なく後ろを振り向き、喫煙コーナーを見やる。
 その瞬間、彼女の顔面は蒼白に・・・。
 そ:「花石さんがいる」
 えええっ!どれ?どの人よ!!!私もねこひげさんも花石さんの顔は知らない。
 そ:「喫煙コーナーにいる・・・胸に赤いチーフしてる・・・」
 おおお!あの人が花石さんか!?あの人ならさっきからずうっとあそこで煙草吸ってたよ。私とそおしさんは向かい合わせに座っていたのでそおしさんの側からは喫煙コーナーは見えなかったのです。
 あ:「さ、行こか」
 そ:「!?!?」
 あ:「話しかけに行くよ」
 そ:「え、え、ええええええっ!ダメ!できない!!!」
 あ:「なんでー?こんな機会、めったにないよ」
 近藤さんみたいにソリストだったら話す機会がないことはない。が、オケの団員と話ができる機会なんてそうそうないよ。
 あ:「私、煙草吸いたいし。そのついでに話しかけてみよう!」
 そ:「私は煙草吸えないよ」
 あ:「いーのいーの。横に立ってたらいいから。で、あの人ほんとに花石さんだよね?間違いないよね?」
 人違いは失礼すぎるので私はそおしさんに念を押す。ところが彼女は喫煙コーナーをまともに直視することもままならず、「うん、うん、多分」と気の毒なほど狼狽しているのでありました。彼女とのつきあいは結構長いし、NYに行ったときも同室で1週間を過ごした仲でありますが、私は彼女が何かに動じる姿を一度も見たことがない。くくく・・・おもろいかも♪
 「喉から心臓が出るー」とまるで吐血寸前状態、よろめくそおしさんを連れて、喫煙コーナーへGO。
 あ:「あのー、花石さんでらっしゃいますか?」
 と声をかけると、はい、そうですが。との返事。『なんなんだ、こいつは?』とちょっとビックリモードな花石さんでありましたが、これがなかなかイイ男なんでありますよ、皆さん。
 あ:「彼女がね、もぅ花石さんの大ファンで〜〜〜」
と言いつつそおしさんを花石さんの目の前に押し出す。
 あ:「こないだもね、花石さんが出るからって思って大阪シンフォニカーの演奏会聴きに名古屋から出てきたのに、花石さん、出演されてなくて。もーすごいがっかりして帰ったんですよ〜〜〜」
 そおしさん、依然として固まっている。
 あ:「今日は花石さんが出られるんでホントによかったねーーー!」
 というわけで話のきっかけをゲット。あなたのファンだ、と言われて喜ばない人はいないだろう。
 そ:「今度はいつ出られますか?」
 と聞くと、花石さん、今月の24日に滋賀の栗東で打楽器アンサンブルの演奏会をされるらしい。その話で場が和み、いい雰囲気に。
 そ:「もぅ、このまま帰ってもいいよぅ〜〜〜」
 いや、アンタ。近藤さんはともかく、花石さんの演奏もまだ聴いてないですけど・・・。
 花:「ちょっと待っててください。今度のチラシ持ってきます」
 とても紳士な口調。わずかに目を細めつつ、吸ってた煙草をもみ消して去る。その話し方、動作がいちいちシブい。『オトナの男の人』って感じでとにかくシブい。近藤さんにはない魅力だ。
 花石さん、我々3人分のチラシを持ってきてくださった。
 花:「皆さん、名古屋からですか?」
 と聞かれたので、
 あ:「私は大阪で、彼女は東京です」
 花:「ほぅ。じゃあ皆さんは近藤さんの?」

 ・・・なぜかバレバレなのだった!!!
 
 あ:「ま、まぁ、基本はそのつながりなんですけどね・・・」

 私とねこひげさんはそれでかまわないが、そおしさんは違う。彼女はあくまで花石さん目当てで来てるんです。それを強調しとかないと!
 と、思うのだが・・・頭こんがらがって口ごもるアタシ。ごめん、そおしさん!アタイ、中途半端な仕事をしちまいました!
 さらに花石さんは追い討ちを・・・

 花:「近藤さんと一緒に全国あちこち回られてるんですか?」

 ね:「全部というわけではないですけど・・・」
 さすがのねこひげ姉さんも動揺気味か?
 あ:「時々です、ね・・・」

 このまま近藤さんの話に流れていってはマズい。私たちは今、花石さんの話をしてるんですぅ!近藤さんのことなんかどーでもいーじゃないのぉぉぉぉ!!!うろたえる我々。
 で、幸いにも近藤さんの話題はそれで終わり、栗東での演奏会の話に。そおしさんと花石さん、結構いい感じに話が弾んでいるようだった。
 ここまでやれば私の役目は終わりでしょう。あとはふたりの時間だ。私はちょっと離れた場所で煙草に火を・・・。
 あー・・・手が震えていかんのですけどぉ。。。やっと火をつけてもそれを口に運ぶのが上手くいかないんですけどぉ・・・私、本当は初対面の人ってめちゃくちゃ緊張してダメなんですよね。信じてくれる人、あんまりいそうにないけどね。
 そんなこんなで思いがけず花石さんと会話を交わすことがそおしさん。結構盛り上がってたように見えたけど?
 栗東での演奏会、なんとか都合をつけたいそおしさん。花石さんが去ってから検討に入る。
 チラシを見つめる我々。  


チケットのお問い合わせ・お申し込み
花石 XXX(XXX)XXXX
ローソンチケット Lコ−ド 57275

 そ:「ローソンチケットでも買えるのかぁ」
 いや、そんなこと言ってる場合やないやろ。
 あ:「この、花石って・・・花石さんの家の電話番号ちゃうの?」
 ね:「ほんとだ。これはもう、ローソンチケットなんかで取ってる場合じゃないよね!」
 あ:「すごーい!あとね、この市外局番はXX市かXX市だよ」←私の実家の市外局番とおんなじだったので。
 本人を間近で目撃し、話もでき、電話番号も入手し、何市に住んでるのかまでわかってしまった。すげー!予想以上の収穫、今日は豊作や!私もここまでできるとは夢にも思っていなかった。
 あ:「ケータイに登録しとき、この番号」
 後日、そおしさんはこの電話番号に電話をかけ、チケットと一緒に直筆の手紙までもらえたそうだ。「福知山でお会いした方ですよね?」と顔と名前も覚えてもらえたようだった。
 ちょっとの勇気で大収穫!!!

 大興奮で迎えた開演時間。
 最前列を陣取る我々。さぁ、いつでもかかってこーい!!オケの音、ピアノの音、全て受けてたとうじゃないの!!
 
 そして演奏始まる。花石さんは今回は小太鼓とトライアングルを演奏されるそうで。私とねこひげさんの位置からはちょうどバイオリンの影に隠れてしまって見えなかったのですが、そおしさんの席からはばっちり見えたそうです。よかった。
 第1部はクラシックの中でも超メジャーな曲ばかり。誰でも一度は耳にしたことがあるだろう名曲揃いだった。きっとこのコンサートは、クラシックに馴染みのない人でも楽しめるように、との意図で行われてるんだと思いました。なので正直、ちょおっと物足りないかなぁと私は思ってしまいました。
 でもやっぱりオケはいいですよね。音が多くてゴージャスです。

 20分の休憩。
 トイレに行こうと席を立って歩いていたらそおしさんに背中をこづかれた。
 そ:「花石さんが目で挨拶してくれたー♪♪♪」
 そおしさんは第1部が終わったあとも席を離れず、花石さんが撤収する姿まで見つめていたそうだ。そしたら花石さんが気づいてくれて目配せしてくれたそうなのである。
 きゃーっ☆と乙女のように恥じらうそおしさん。きっと近藤さんのファンになったばかりの頃もこんな具合だったんだろう。その姿を私は知らないが。
 ということは・・・あと1〜2年もすれば、
 『花石さん!悪いけど今度の演奏会は行けんよ!仕事休めないもんで!』などと本人に向かって言い放つようになるに違いない。
 流れゆく年月。女心は無常、そして非情なのである・・・(?) 
 
 第2部開演。
 お待ちかねの近藤さんが登場。燕尾服&赤チーフ。サントリーホールのときと同じ格好です。きゃー、かっこいー♪♪♪
 まん前に近藤さんが座る。キンチョーするわぁ!最前列特等席に我々が陣取ってるの、見えてるかなぁ?そおしさんが派手な格好してるしな、いやがおうでも見えるよなあ。。。
 げッ!アイツら・・・奇抜な服で来る女といつもでかい花抱えてくる女と・・・うわぁッ、最悪!あの関西女も・・・せい揃いであんなとこで見てるぜ・・・うわ、キツイなぁ、おい
 
って思ってるだろーなぁ・・・。
 近藤さん、出てきた時に客席にお辞儀をしていたが、最前列は見ようともしなかった。が、演奏が始まって自分の弾くトコを待っているあいだ、目玉が横にチラ、チラと・・・それとはわからないほどかすかな動きをするのを見逃さなかった私です。両目の視力1.5ですからね。なんでもよぅく見えますよ、時には見たくないものまでね。
 ま、そんなことはどーでもいいのである。そんなことをいちいち気にしてるようでは追っかけはつとまりません。
 あなたがどう思おうが、あなたのことが好きだから最前列で聴いています。
 自分の心に正直に、なおかつ強気でいきましょう。

 サントリーホールでの六重奏は威風堂々とした出だしだった。低音の弦楽器が、がし・がし・がしっと勇ましくてかっこよかった。今回のオケ版はそれとは全く対照的で、流れるように軽やかに始まった。
 うあー、やっぱりオケは豪華だなぁ。近藤さんはこれにどのように乗っかるのか。やっぱり弾き方をオケに合わせて変えるのだろうか、楽しみだ。
 ピアノの音が出てくるのをじいっと待つ。近くで見てるからか、とても長い時間に感じられた。そしてその間がどうもテレくさい。じっと見つめてていいもんだろうか・・・自意識過剰も甚だしく、適当に視線をそらしてチェロなどに見入る私であった。
 おっ!ピアノがいよいよ来たか!これでもう安心。堂々と近藤さんを凝視できる。
 かっこいー・・・ピアノを弾いてる近藤さんはとっても眩しい!あぁこれでまたファンが増えるわね。どんどん増えてちょうだい!彼の音楽をどんどん聴いてちょうだい!ホントに素晴らしいんだから!!!
 近藤さん、出番を待っているあいだ、手を拭いたり、両手を握り合わせて額につけたり・・・まるで何かに祈るようなしぐさ。
 かっこいー・・・厳しい世界で闘う男の姿だわー・・・私は、ピアノを弾いてる近藤さんがほんっとに好き。時には笑顔で、時には厳しい表情で、時には物憂げで・・・そして何よりもあの美しい音。
 日頃の自分の近藤さんに対する振舞い、到底信じられない。あんなに綺麗な人にどうして話しかけられようか、あんなに素晴らしい演奏をする人にどうしてあんな無礼ができようか・・・。
 と、いつも思うんですけどね、一応。でも演奏会終わったら忘れるんですよね。だって近藤さんっておもしろいんですもん。掘れば掘るほど味が出る人だよ、きっと。
 そんなことはさておき、近藤さんの弾き方は六重奏のときとほとんど同じような感じでした。最前列で聴いていた、ということもあると思うけど、どうもピアノの音が強くて・・・というか硬くて(それが近藤さんの音の魅力でもあるのですが)、柔らかい音色のオケ&硬質なピアノ、というふうに独立したふたつの音が平行に聴こえてくるような印象でした。
 私は六重奏の方が好みだなあ。6つの楽器がそれぞれに強烈に主張しあって、音が少ない分それが際立って、独特の緊張感が生まれてました。それがとてもかっこよかったので。
 最初にオケ版を聴いてれば、また違う感じ方ができたんだろうけど、、、私は六重奏が好きだな。
 大盛況のうちに協奏曲が終わり、アンコールは近藤さんのソロでノクターン遺作を。この曲、私はあんまり好きでないので、2番を弾いてほしかったなぁ。。。とはわがまますぎますね。何様やねん、オマエって感じですよね。
 今回の演奏会、1時間半くらいで終わりました。考えてみれば待ち時間の半分ほどで終わってしまいました。でもオケでショパンの協奏曲を聞き比べできたのは本当にラッキーでした。万歳!!

 終演後、しばらくロビーで休んでいたら、CD売り場は大盛況。
 ねこひげチェック(その3)が入る。
 ね:「よし、売れてるね、いい感じ」
 あ:「新しいファン、できたよねー、きっと」
 ふたりで喜びをわかちあう。
 ね&あ:「もっと売れー、もっと買えー!」
 我々、企業人ですから。営業にはちとうるさいです。
 
 帰ろうにも電車の時間がまだまだなので、我々はぼうっとロビーで過ごす。そしてトイレに行き、出てくるとサイン会やってた。あれー???やらないって言ってたんじゃあ?
 にわかに色めきたつ我々。
 ね:「並ぶから!そおしさんもCD買ってきて!」
 ねこひげさんから指令が下りる。CDを購入したそおしさん、我々と一緒に並ぶ。今日は花石さんと近藤さん、ふたまたで忙しい彼女であった。
 へへへ・・・今日もお話できるわーん♪
 近:「どうも〜、ホントにいつもいつも・・・」
 へへへ・・・いつもいつもやって来てごめんなさいねぃ〜〜〜。

 近藤さん、顔の横にペンをちょいっと持ち上げて、
 近:「こないだはサントリーホールも!」
 きゃっ☆今日の彼もフレンドリー!なんか最近、いい感じに変わってきたなぁ。永年の苦労が実を結びつつあるのか・・・そう信じてよろしいでしょうか?うっうっ(感涙)。
 あ:「もーーーすっごい感動して、言葉も出ないほど感動しました〜〜〜」
 サントリーホールで黙りこくってしまった失敗、ここで挽回できた。
 あ:「今日は2番のりで来ました。1番のりはねこひげさんですけど」
 と、友の努力もアピールしとかないとね。
 近:「何時頃、来たんですか?」
 あ:「えーっと・・・12時前です」
 近:「ここって結構遠いでしょ?」
 そうですねえ、大阪から1時間半かかりましたからねえ。などと話をしていたわけでありますが、近藤さんも「遠いなぁ、福知山って」と思いながらやって来たんだろなぁ、という感じを受け・・・お仕事ご苦労様です。
 あ:「今度ね、大晦日の川崎、あれ、ダンナも一緒に行きます!」
 近藤さん、ダンナを連れて行くと言ったら喜ぶ、とは私の勝手な思い込みかもしれんが、とりあえず言っておいた。
 予想どおり、かなり喜んでいる様子。
 あ:「今日、チケット取りに行かせてますから!夫婦で遠征!!!」
 『取りに行かせてる』などとは、コイツとんだ嫁ハンやな、と思われたかしら・・・。
 NYツアーでも「ダンナさんによろしく伝えてください」と近藤さんに言われ、今年の春の狭山での演奏会のときもダンナの話がちらっと出た。
 近藤さん、『ダンナさんは、ダンナさんは』ってケンちゃんの話題を時々持ち出すねん。近藤さんのファンは女の人が圧倒的やから、きっと男性客にももっと聴いてもらいたいんやろなぁ。と母に言ったら、アンタの熱意が怖いのでダンナの話を持ち出してセーブしようとしているのではないか、という回答だった。
 なるほどね。(泣)
 話はこんなもんで切り上げ、次はねこひげさんが、次にそおしさんが。

 近:「すさまじい格好ですねー・・・」

 『甘ロリ&羽根』は彼の心にも衝撃を与えたようだ。おいしいなあ、そおしさん←違?
 しかし「すさまじい」とは・・・一応、そおしさんもお客さまなんだからさぁ・・・近藤さんよ。
 ね:「そおしさん!羽根、羽根!羽根も見てもらわなきゃ!」
 背中に背負ったホンモノの羽根。そうよね、あれを見てもらわなきゃ、このファッションの価値は半分になってしまうわよね。
 ねこひげさんとふたりで「羽根、羽根」と呼びかけるも、そおしさんも近藤さんも話に夢中で聞こえてない。仕方がないので私が駆け寄る(というか・・・もう1回話せる機会なんで、チャンスよね)。
 あ:「この羽根も!」
 と、そおしさんに背中を向けてもらい、近藤さんに再び衝撃を与える。
 羽根も見てもらえて満足したのでずらかろうと思い、去り行くそおしさんの背中を指差しながら、
 あ:「あの羽根、2万円」
 と言うと・・・
 
 近:「ええっ!マジ!?2万円!!それ、2万もするの!?」

 近藤さん、叫ぶ!しかも思いっきりタメ口なんですけど・・・。
 これは貴重な体験だわ。いいのいいのよ、我々のような客にはタメでじゅうぶんですワ♪ 近藤さんの声に引き戻されるように後ろ歩きで逆戻りの我々。
 あ:「だってこれ、ホンモノの羽根ですよ」
 そ:「表参道で買ったの!もっと大きい5万円ってのもあったけど、これにした!」
 近藤さん、開いた口ふさがらない、といった感じ?
 次の人が並んでいることを忘れてしまっって大はしゃぎの我々でした。すみません。
 近藤さんの大声&タメ口、めっちゃ嬉しかった私でした。
 
 サイン会終わるまで遠くで見守っていた我々。
 楽屋は2階にあるらしい。サイン会が終わると近藤さん、2階に上がって行く・・・その前にも話しかけるそおしさんと私。いったい何をそんなに話すことがあるんだろうか←実際何を話したか全く覚えてないし。
 多分、この瞬間が近藤さんに会える本日最後のチャンスだろうと思った私は、前にも一度試みて、近藤さんの反応を確かめられなかった行動に。
 5月の狭山の演奏会の時に駅のホームでお見送りしたときに投げキッスをしたんですよね。でもタイミングがちょっと遅くてね。見ててくれたんかそうでないのかすらわからなかったんですよね。今日は至近距離にいることだし、やってみた。

 近:「ありがと」

 異端児のあしらい方にも慣れてきたのか・・・まぁとっても粋なあしらい方で。やはり彼は魔性・・・?
 うれしはずかし♪なあっこでした。
 基本はクールな近藤さんですが、体当たりでぶつかればこたえてくれる人なんだなぁ。近藤さんの仕事って、いろんな意味で大変ですよね。
 大変にしているのはオマエや!ですって? はい、そうかもしれません。。。
 そ:「最初の頃は緊張して全然ダメだったんよ。メシ付のコンサートとかあったんだけど、緊張のあまり食事も喉を通らんかったさ」
 あ:「私も。ティーパーティに出る勇気すらなくて。パーティ会場に列をなしてるお客さんを見ながら『いいなぁ、みんなスゴイなぁ、アタシにはとてもムリ・・・』って思いながら帰ったことあったわ」
 ほんの数年前のことである。いまや誰も信じないだろうが・・・。いつからこんなふうになったんだろーか。『慣れ』とは恐ろしいモンである。

 まだ続く。
 ホールの外で待つ我々。というか、電車の時間まで1時間くらいあるので、ここにいるしかないのです。
 ホールの人が近寄ってきた。なんや、なんや?怒られるんか?と思ったら、そおしさんに話しかけてきた。今日はどちらから?今から帰られるの?とまるで憧れの人にでも話しかけるような雰囲気。甘ロリ&羽根は福知山で想像以上にウケていた。事実、私とねこひげさんには何も言わないのにそおしさんだけと話して満足して行ってしまった。
 次に我々、余ってたポスターをもらいにホール事務所に行く。ねこひげさんが言いに行ってくれた。『東京へのお土産に』と言うとホールの方々は「え!東京から!?それはさしあげなくちゃ!」と言ってくださり、何枚もくれた。私にも10枚くらいくれた。
 しばらくすると、私服姿の近藤さんが出てきた。
 燕尾姿とのギャップの激しさに衝撃を受け・・・でも近藤さんは近藤さんだ。車に荷物を積み込む間、黙って立ってらっしゃったので、写真を1枚撮らせてもらった。これは今日来られなかったファン友に送ることにしよう。
 近藤さんを乗せた車が出発した。ホールのスタッフたちもみんな出てきて拍手でお見送り。我々もその中に堂々と入り込み、まるでこの演奏会に尽力したかのようなツラをして、車が見えなくなるまで手を振り続けたのであった。
 
 あー、、、今日は一日がかりの追っかけでいささか疲れました。
 遠くから来てたねこひげさん、そおしさん、お疲れ様〜。ネタにしちゃってごめんねー。これからも楽しく(激しく)追っかけしていきましょ!
 刺激的な一日でございました。追っかけも体力勝負、そして気力勝負(?)です。
   

近藤嘉宏 オールショパンプログラム (デビュー10周年記念 特別演奏会) 
2005.9.2 サントリーホール 大ホール(東京)

第1部
 ノクターン 第13番 ハ短調 作品48-1
 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
 エチュード 変イ長調 作品25-1 「エオリアンハープ」
 エチュード ハ短調 作品10-12 「革命」
 エチュード ホ長調 作品10-3 「別れの曲」
 エチュード 嬰ハ短調 作品10-4
 エチュード ハ短調 作品25-12「大洋」
 ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作 
 幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66
 スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31

第2部
 ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11(ピアノ六重奏版)
 **共演**
 第1ヴァイオリン:千葉純子
 第2ヴァイオリン:東海千浪
 ヴィオラ:長谷川弥生
 チェロ:林 峰男
 コントラバス:堤 俊作

アンコール
英雄ポロネーズ 変イ長調 作品53


 さてさてさて。
 うちの会社に限ったことではないと思うけど、金曜日は仕事が忙しい。なのでこの演奏会は絶対行けない、ムリだとあきらめておりました。発売日をとうに過ぎてもチケット買わず、しまいには「9/2はサントリーホール」ということすら忘れてしまってました。
 ところが直前になって「9月2日はひとりだけ休んでもよい」ということになりました。

 うほほ〜い!!!

 忙しい金曜日。休むとかなりお得だ。とりあえず「用事ないけど休日いただきぃ!」と休みをリクエスト。
 ついでにその前日も有休入れて4連休にしてみた。
 さて、どこに行こうかしら。山に行こう!と思いつきましたが、

 そーいえば・・・サントリー。9月2日じゃなかったっけな?
 早速友達にメールして確認を取る。

 やっぱりッ!!!
 
 お盆も過ぎた頃、音楽事務所に電話してチケットをゲット。3列目の中央を取れた!!!ちょうどキャンセルで戻ってきたチケットだったそうだ。遅く買ってもこんないいことがあるのね〜。

 イヤッホーィ!!!

 サントリーホールといえばクラシックファン憧れのホール。そんな所で愛しい近藤様がデビュー10周年記念コンサートを!
「どうせ行けないから」とすっかり忘れていた私であったが(どうすることもできないつらく悲しいことはすぐに記憶から消え去るようにできている私の脳みそ)、行けるとわかった瞬間から生活には鮮やかな彩りが、心には華やぎが、顔には満面の笑顔が・・・。
 うひょひょい、うひょひょい。トルネードステッパー踏む足も軽やか、風呂上りの腹筋運動・アブスライダーにも気合が入る。
 あぁ、奇跡とも言うべき休日の獲得!人生って素晴らしい!

 前日の9月1日に飛行機で東京入り。しかし東京からはすぐに脱出。せっかく関東に行くのだからと筑波山登山を計画したので。その日のうちに山には登り、筑波で1泊、そして翌日2日に再び東京入り。いそがしいわー。
 夕方に東京のファン友達のお宅へ到着。ヨレヨレの登山ルックから白のワンピに着替え、重い登山靴からミュールに履き変えてホールへと向かう。

 いま会いにゆくわ、待っててね、あ・ ←狂。
 
 開場1時間前に友達と待ち合わせ。ホール近くの喫茶店で5人でお茶を。
 早々に新CD(今回のコンサートのメイン曲「ピアノ協奏曲六重奏版」が入っている)を手に入れた友に感想を聞いてみると「あまりにも素晴らしくて涙が出そうになったから1度で聴くのをやめた」とのこと。そうよね、事前に聴きすぎるともったいないものね、わかるわ、その気持ち。
 しかしそんなに素晴らしいのかぁ。新曲&珍しい編成&3ヶ月ぶりのコンサート。それだけでもじゅうぶんに嬉しくて涙が出そうなのにね。
 
 開場時間になったので中に入る。
 ああこれがサントリーホールなのね・・・やっぱり格が違うわ。舞台上方のパイプオルガン、テレビで見るのとおんなじだわ・・・。素敵!
 わくわくどきどきしながら開演を待つ。

 そして開演。
 近藤さん、現れる!!!キリリとした燕尾服。胸元には赤いチーフがちらり。
 3ヶ月ぶりに見たけれど、以前とお変わりなくお元気そうでよかったです。

 第1部は近藤さんのソロで。
 ノクターン13番から。前回6月に聴いたときはなんとも陰鬱、だけど歌うところは歌って・・・穏やかな中にもきちんと計算されている感があったこの曲。
 が・・・今回はちょっと計算が甘めか???それともこのホール、響きすぎるのか?なんだか音がぼやんとして・・・芯がイマイチ届いてこない。
 2曲目の舟歌もそれを引きずっていたような。最初につまり過ぎ、あとで余った分を必死につなげでいる?という感がした。終始「手足ばらばら」な統一のない演奏に聴こえてしまった。
 近藤さん・・・緊張してるのかなぁ。天下のサントリーホールだものなぁ。。。
 勝手な憶測をしつつ、次に期待する。
 エチュード5曲。近藤さんの弾くエチュードはとても淡々としていて、優しい調べの「エオリアン・ハープ」「別れの曲」も、激しくうねるような曲想の「大洋」もどれを取っても、雨や風のような自然現象のような、あるいは『立つ鳥あとをにごさず』みたいな、聴き終わったあとに余韻がいっさい残らない。良く言えば「爽やか」なんである。
 
 と、ちょっとけなし気味で始まってしまった今回のレポートですが、次の「遺作」からは違います。
 
 遺作・・・。
 本当に綺麗だった。今まで聴いた中で一番素敵だった。
 ぴーんと張りつめた空気の上を通り過ぎるピアノの音色。暗闇に差す一本の光の筋のようにまっすぐで、一点の曇りもなく輝いて。
 この音こそが近藤さんの音。純度100%とも言うべきピアノの音。自然と祈りを誘う、神々しい音。この音こそが近藤さんの音。

 幻想即興曲。
 バーン!と最初の和音を弾く。次の瞬間近藤さんは椅子からお尻を浮かせ、燕尾の裾をはらりと(友の証言による。私は見逃した)。
 生き返ったかのように弾きまくる。ホールのすみずみにまで届く音の波・波・波。今日も絶好調!前半の2曲、なんであんなにぼやけて聴こえたんだろ。気のせいだったのかな。きっと気のせいだったんだろう。
 デビュー10周年を飾るにふさわしい、堂々としてキリリと端正な幻想即興曲だった。

 スケルツォ2番。
 引き込まれる、引き込まれる。近藤さんの演奏に、その熱意に!!!

 もっと引きずり込んで頂戴!!
 ああもちろんだよ、しっかりつかまってろよ!
 もちろんよ!このままどこへでも連れてって頂戴!!
 
 近藤さんは私にいろんな世界を見せてくれる人なのでありますが、その世界は私にとってあまりにも目まぐるしくて、時にはあまりにもまぶしすぎて、目も開けてられないような感に陥ることがあります。彼はいつでも余裕なのにね。
 追いつきたいなぁ・・・彼が案内してくれる美しい世界を、同じように眺めて同じように感じることができたらなぁ。そしてそれを表現できたらなぁ。
 とてもムリ。私はこれからも「今度はあっち、今度はここへ」と駆けめぐる彼に必死につかまり、言葉で表現する間もなく、その感動を伝えるすべも持たないまま、彼が見せてくれる美しい世界にただひたすらに歓声をあげながら生きてゆくことになるのだろう。
 とても冷静にはなれません。。。
 
 ソロステージをこなした近藤さん。ピアノの横にすらりと立つ。そして秋の風のように爽やかに去っていった。
 その背中に、私は私の生霊が貼りついているのを見たのだった。
 近藤さん。
 最近、肩が凝りませんか? フフフフフ・・・。

 以上で第1部のレポート終了。〆が怖くてすんません。

 20分の休憩。トイレに行くとびっくり。中に職員がいて、「次、2名様こちらへどーぞ」と空いたトイレを案内してくれるのだった。さすがサントリーホール!おかげで待ち人の列が長蛇なのにもかかわらず意外とすんなりトイレに入れた。
 トイレから出てうろうろしてるとギタリストの鈴木大介さんがいた。近藤さんのお友達だもんな。及川さんもきっとどこかにいたんだろーな。

 第2部はお待ちかねの六重奏。
 近藤さんも含めて全員が桐朋学園の出身。8月24日にはこの六重奏のCDが発売されました。
 6月のパーティの時、「CDを聴いて、そして演奏会に来ていただければ」と近藤さんが言っていたような気がするが、私は「いいえ、私は11月の大阪公演に行ってからCDを聴きます。」と心の中で思っていた(心の中で思っていたんですよ、本人に言ったのではありませんよ)。
 やっぱり一番最初は生演奏で聴きたいし。早く買いたい気持ちを抑え、今日のこの日まで暮らしてまいりました。今回この演奏会に行けたので11月まで待たなくてよくなったけど、それでも長かったです。
 さていかに?ショパンの弦楽曲。わくわくどきどき。

 舞台上手に弦楽器。(前列にヴァイオリンとヴィオラ、後列にチェロとコントラバス)そして下手にピアノ。
 第1ヴァイオリンの千葉さんは淡いピンクのドレス。ショートカットが良く似合う、あどけない感じの女性。東海さんは黒のタイト系ドレス。きりっとした瞳が印象的なかっこいい女性。ヴィオラの長谷川さんは緑のドレスで。さらさらのセミロングで色が白くて清楚な女性。
 長谷川さん、すごいかわいい〜。写真と全然違うよー。もっといい写真使えばいいのになぁ〜。
 さて6人が舞台に揃ったところで・・・あれ、チェロの林さんが帰っていった。そして再登場。めがねをお忘れになったようです。
 そんなハプニングもあり、和やかな雰囲気で始まった六重奏でした。

 1楽章・「アレグロ・マエストーソ」
 まるで行進曲のように威風堂々と始まった。線が細いショパン、というイメージは全然ない。
「ショパンは本当はとても男性的な曲を作る。そういう強い雰囲気を伝えたい」と近藤さんはよく言っているけど、なるほど、この曲を選んだのは聴き手に対する新たな提案、もしくは挑戦?
 曲は弦楽器のみで進んでいく。ピアノはなかなか入ってこない。力強くも滑らかな弦の音色に聴き入りつつも、今か今かとピアノの登場を待つ私。
 ガツン!と一発。いよいよピアノの登場である。空気が一瞬にしてひきしまる。思わず背筋がきりっと伸びるような、硬質で澄みきったピアノの音がホールにこだまする。
 弦がそれに乗っかる。それはそれは見事としか言いようのない融合。
『協奏』と『競奏』の妙味を堪能できる内容である、とプログラムに書いてあったとおり、時にはピアノが時には弦が主導を握り、そしてこの激しくも哀愁を帯びた曲想。華やかというより「あでやか」。すごい艶があって、眩暈がしそう・・・。
 ショパンってこんな曲も作れるんだー。。。私の中にあったショパンに対する「なんとなく女々しいな」というイメージは一瞬にして覆されたのだった。

 2楽章・「ロマンス」 ラルゲット
「・・・静かで感傷的なロマンスだ。たくさんの幸福な想い出を呼び覚ますような、優しく見つめるような、そんな印象を与えられたらと思っている。春の夜の月明かり中の瞑想のように・・・」
 ショパンの手紙を読めば、この楽章の魅力は十分伝わるだろう。***プログラムより引用*** 

 1楽章とは対照的に、静かに厳かに始まった第2楽章。わずかな小節ののち・・・
 もうこれ以上ありえないというほど透明な音色。ピアノの音色。

 優しく見つめるような、そんな印象を与えられたら・・・
 温かな弦のメロディーに支えられながら、きらきらと響くピアノ。その甘く美しい旋律に向けられた、近藤さんの優しいまなざし。

 たくさんの幸福な想い出を呼び覚ますような・・・
 初めて聴くのになつかしい。
 たくさんの幸福な想い出?それはいったいどんな想い出だろう。
 両親に手を引かれながら見た夏の夜の花火?寒空の下で大好きなあの人と見た初雪?
 そんなんじゃなくて。
 もっともっと幸福な想い出。昔昔、あらゆるものから絶対的に守られていた時があった。母の胎内にいた頃。記憶にないはずなのに本能的に覚えている幸福感。覚えてないのに覚えている。なつかしい。聴いたことないけど聴いたことあるような。
 どうしようもなくなつかしい。
 幸福とは。
 努力してつかむものだと思っていた。与えてこそ与えられるものだと思っていた。でも与えられるだけの幸福もあるのだ。なんにもしないのに、なんにも努力しないのに、ただこうやって黙って座って耳を傾けているだけで、与えられ与えられ与えられる幸福がある。
 後半、弦が全く途絶えてピアノの音だけになった。キラキラ、キラキラ。
 そして次は弦がメロディーを奏で始め・・・ピアノはだんだん遠ざかる。春の夜空に帰っていくようにだんだんだんだん遠ざかる。
 幸福な想い出がすべて夜空の星になる。
 見上げればどの星も綺麗に綺麗に輝いていた。
 すべてを見守るように、遠い空で優しく優しく輝いていた・・・。
 私は、とても、幸福だ。

 3楽章・「ロンド」 ヴィヴァーチェ
 ポーランドの民族舞踏を取り入れた楽章。
 音が踊る。真っ白な羽根が軽やかに舞うように。ふわふわっ。
 楽しい!ピアノも弦も笑いながら、ころころと転がるように踊る。
 2楽章の余韻の中で、幸福な気分に浸りながら聴く、軽やかで心浮き立つようなメロディーの3楽章。
 思わず頬が柔らかくなる。そんな時間がサントリーホールの中に流れていたのでした。

 みっつの楽章、それぞれ違った個性を持っていてとても充実した内容。
 私は3楽章もあるとどうしても「ちょっと退屈」って思う楽章がひとつくらいあるもんなのですが、この曲はどの楽章もそれぞれに違う光を放って素敵でした。
 
 近藤さん、終わった瞬間、とっても嬉しそう。弦楽器の方々に歩み寄り、握手を。大きな口あけて「やったー」と言わんばかり!
 客席ももちろん!大満足でしたわよ!!ブラヴォーの声があちこちから。
 素晴らしい演奏会でした。本当に素晴らしかった。千夜の夢が一夜に訪れたようでした。9月2日、この一夜に。
 ブラヴォー!!!

 近藤さん。デビュー10周年、おめでとうございます。
 これからも幾千の、幾万の夢を私たちに!!!

 アンコールは英ポロ。
 全然覚えてません・・・どんな演奏だったのか頭から記憶がすっぽり抜けきってます。そういえばアンコール、弾いてたよな・・・、どんなだったっけ?って感じです。
 友達は皆、この英ポロに大感激してました。
 私はね・・・六重奏が終わった瞬間に心がいっぱいいっぱいになってしまったのです。放心状態で何も考えられませんでした。それくらい感動しちゃったんです。
 東京まで来てよかった。大阪1回だけじゃもったいない。。。

 サイン会。6人全員のサインがいただけるという贅沢さ。
 どこでやるのかと思いきや、楽屋口。ホール入口を出て地下駐車場から楽屋へ入れるらしい。
 でもすぐに入れるわけないのよねー。ひろーい駐車場で並ぶ並ぶ。
 それにしても暑いんですけどぉ・・・まるでサウナみたいなんですけどぉ・・・。滝のような汗をかきながら待つ。ほえーっ、苦しい。
 「あっこちゃん、今日はなんて話しかけるの?」と友に聞かれましたが「何にも考えてない・・・だって考えてもシナリオどおりにいかないもんなぁ。全く予想外の返答が返ってきて、余計にパニックに陥る」
 というわけで何にも考えてなかった。その時の流れにまかせよう。とりあえずは「デビュー10周年おめでとうございます」と「2楽章がとっても素敵だった」、この2点は外せないわな。しっかり頑張ろう!
 やっと楽屋口に到達し、安堵。涼しいとこに入らせてくれーっ!
 で、いざ中に入って近藤さんの姿を見たら・・・あれ、あれれ、めっちゃドキドキしてきたよ。足がすくむんですけどぉ、どーしちゃったのかしら、アタシったら。いつもは「わーい、もーすぐだ〜♪」って感じなのにね。
 あ・・・蘇る、あの美しい演奏が。。。2楽章の千夜一夜の夢が。。。彼は顔かたちや演奏だけではなく、すべてが美しい人なのだ。。。と思ったらもうダメでした。
 完全に失語状態です。感想を言うどころか、おめでとうすら、こんばんは〜、すら言えない状態。
 黙ーってサイン用のプログラムを差し出すのみ。おい!トーキョーまで来てんだぞっ!しっかりしろよ!と自分を奮い立たせるも効果なし。
 近藤さん、サインを書きかけてふと手を止め、見上げてくださった。
 「おーーーぅ!」目の前に見えるは満面の笑みの近藤さん。
 「おおーっ!おう!おう!」と笑いながらサインを。いつものように「遠いとこをわざわざありがとうございます」って言わなかったけど、今夜の彼はヒジョーに親しげで『来てくれたんだねーっ!ありがとう!うれしいよー!』ってなノリなのだ。こんな機会、めったにあることではないぞ!
 2楽章がよかった、とっても素晴らしかった、生きててよかった。何か言わなくちゃと思うのですけれど、『ち、違う!もっと言うべきことがある!』とますますパニックに。。。こりゃもう完全にドツボってやつ。
 「今日は泊まりで!?」と聞かれ「はい」
 「前日くらいからこっちに来て!?」「はい、そうです」
 確かに家を出たのは前日ですが、演奏会に備えて東京に泊り込んでたワケではないのですね。別の趣味で筑波にいたんですね。ウソついちゃいました!
 と、ここまでフランクにされてもどーにも言葉が出ない私。
 なので手を出してしまいました。無言で握手を要請。
 『お!今日は握手かい?!もちろんOKさ!』といった感じでニコニコ気前よく握手をしてくれた近藤さんでした。
 握ったお手手は簡単には放しませんぞ〜ぅ。イヒヒヒヒ。
 「今夜の私はとってもしあわせ。素晴らしかったです」
 言えた〜。とりあえず満足した私は早々に立ち去る。近藤さんがどんな顔をしてたかは知らん。
 あー。親しげなノリの近藤さんに乗っかれなかったのは残念でした。自分のふがいなさ、いつまでも悔しかったです。

 最後の方に並んだのでサイン会終了まで見届けることができました。
 名残惜しそうにいつまでも彼を見つめる我々。すると近藤さん、こっちに歩み寄ってきて「はい、はいー」って言いつつみんなの前に手を!
 ひょえーっ!!!こんなにくだけた近藤さん、初めて見たとよー!←どこの言葉やねん。
 皆、食いつく。私も食いつく。さっき握手してもらったやないかい、まだ握るんか。
 ほ〜、満足。

 家に帰ってダンナにこのことを話したら、驚いてた。「近藤、壊れたんか」って。
 近藤さん、きっととっても満足してうれしかったんだろうな。んで、ファンである私たちに対して感謝の想いが溢れて、ついお手手を差し出してしまった。
 なーんて思っているんですが!だって私もそうだったもん。今回は言葉より手を差し出しちゃったもんね、幸福のあまりに!

 そして汗まみれ・喉カラカラになった私はお友達と5人で祝い酒を飲みに。
「10周年おめでとー!カンパーイ!」
 乾いた喉にビール。めでたい夜にビール。おいしかった〜♪

 今回も楽しい遠征でした。お世話になった皆様、ありがとうございました♪♪
 


近藤嘉宏ベストピアノ 〜ショパンの名曲を集めて〜 2005.6.4 ティアラこうとう小ホール(東京)

 ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作
 ノクターン 第13番 ハ短調 作品48-1
 幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66
 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
 英雄ポロネーズ 変イ長調 作品53
 エチュード 変イ長調 作品25-1 「エオリアンハープ」
 エチュード ハ短調 作品10-12 「革命」
 エチュード ホ長調 作品10-3 「別れの曲」
 スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31

 今年二回目の遠征。今回は飛行機ではなく新幹線で行くことにした。
 ビールを飲みつつ首都に思いを馳せる。
 東京に着くとファン友ののんのんさんが待っていてくれた。彼女はいつも私を迎えに来てくれるのです。私っていまだに東京の地理がわからず、放っておいたらどこへ行ってしまうやらわからないので・・・情けない。
 いつもありがとう&すいません。

 開場は14時半でしたが、私たちは13時過ぎに到着。
 なんでこんなに早く行ったかというと、今日はファン5人で集結。とってもスペシャルな出会い&再会!こんなこともめったにないから開演前にゆっくりお茶でもしながら語り合いましょうということで、13時頃にティアラの喫茶集合としたのでした。
 ファン5人の住処は・・・札幌、長野、富山、東京、大阪。こんな幅広い地域の人と知り合えるのも近藤さんのおかげです。ありがとう。
 開演までしばし歓談。楽しかったです。皆様、ありがとうございました。また近いうちに集結できますように。

 開場したので中に入るとまたさらにいろんな人と再会。いやぁ、関東の演奏会は賑やかでいいですねえ。

 そして座席に着く。長野の友がティアラ友の会に入っているのでチケットを取ってもらったのですが、ちょうどいい席でした。真ん中で、前すぎず後ろすぎず。ここのホールは140席しかないので、一番後ろに座ったとしてもとってもいい感じです。
 いいなぁ、東京は。関西でもこんな小さなホールで演奏してほしいな。パーティ付でね。(ティアラへ追っかけに行くのはひとえにパーティ目あてです、とは大きな声では言えまへん)

 そして開演。
 ダークグレー(?)のスーツの下には目の覚めるような青色のシャツ。王子、原色系が好きなんだろうか・・・。私は王子には淡い色の方が似合うと思っているのですが(個人的好み)。
 まぁそんなことはどーでもいいことです。
 今回はオールショパンプログラムです。私はショパンをあまり好みませんが(というか、すぐ飽きる)、ノクターン13番とか舟歌とかエオリアンハープはあまり聴いたことがないのでこのコンサートは楽しめました。
 近藤さんの弾くショパンはとてもさわやかで、初夏を彩るにはもってこい、って感じでした。特にノクターン13番はよかったぁ。どうよかったのか・・・思い出せないけれど、ショパンの他の曲は「感覚に訴える」って感じがするけど、13番は「頭脳に訴える」みたいな。物語のような曲でした。
 ショパンを通じて客席に語りかける王子様。うん、本当に『語りかける』って感じでした。同じ作曲家でもその曲調はさまざまで、客を飽きさせないところがさすがでした。

 1ヶ月以上前の記憶を呼び起こすのは難しい・・・今度はもっと早くレポらなければ・・・。

 そしてお楽しみのパーティ。
 ティアラのパーティは何度目だったかな。数えてみると今回で2度目。あれ?もっと行ってるような気がするけど・・・でも何度思い起こしても今回で2度目なのです、私。
 当然、要領がつかめず。サイン会をぼうっと眺めたりトイレに行ったり。その間に友が席をとっておいてくれていた。会場は壁際にずらっと椅子が並べられていて真ん中にテーブルが3つほど。
 のんのんさんが席に案内してくれた。「えっ!真正面やん!こんな席私が座っていいの?」って言ってしまったくらい、王子様の席の真正面でした。
「私は近いからいつでも来れるし、座って座って」と勧められ。ありがとう、友よ(感涙)。
 スタッフ新村さんが開宴の挨拶をするあいだ、なんやら照れくさくてもじもじしてしまった。真正面に王子。だあれもオマエのことなんか見ちゃいないよ、って感じだろうが、ひとりで照れるアタシ。
 新しく出るCDの録音日、8月に発売することを公表。王子もひとこと。「8月にCDを聴いて、そして9月に演奏会へいらしてください」みたいなことを言った。
 そしてフリータイム。というより、いつものサイン会みたいな雰囲気。王子の前に列がずらっと。
 私たちはすぐには並ばず、まずは友との再会を楽しむべく会場内をウロウロ。のんのんさんが私たちの分のお菓子(レーズンサンド&チーズ)を1個ずつ、紙ナフキンに乗せて持ってきてくれた。
 このレーズンサンド、あとで別の友達から聞いたのですが、東京では有名なお菓子屋さんのもので、値段も結構高いらしい。並ばないと買えないほどの人気で、高嶋社長さんが「ぜひとも皆さんに食べてほしい」と朝から並んで買ってくださったものだったそうだ。社長自ら、朝早くから・・・なんて素敵なの。男の人がお菓子屋さんに並ぶなんて、結構勇気がいることなんじゃないかなぁ?
 私はこの時お腹がすいてなかったので紙ナフキンに包んで大切にお持ち帰り。翌々日、泊まったホテルの冷蔵庫で冷やしてからいただきました。おいしかったです♪何の気なしに参加している恒例のパーティでも陰でさまざまな心遣いがされているのですね。
 この日ワタクシはワインを4杯おかわりし、近藤さんと3回も写真を撮り、写真を撮ってもらってる間も時間を惜しんで話しかけましたとも。こういう機会はめいっぱい楽しまなきゃね♪♪♪
 というわけで楽しかったんですが・・・10日後くらいでしたでしょうか、なんとこのパーティ、次回から中止になるかもというウワサを小耳にはさみ・・・!!ア、アタシのせいか・・・?ワイン4杯おかわり&王子に何度も話しかけたのがいけなかったのか?!あうあう、どーしよぉぉぉぉ。事務所にお詫びの電話を入れねば!!!でも私の心配も杞憂に終わりました。ほっ。。。←心配で夜も眠れそうになかったので関東の友達に中止のワケを教えてもらった。←私、意外と小心なもので。
 形はいつものサイン会形式でしたが、個人の持ち時間は少し長め。私は持参のめがねケースにサインをしてもらいました。そして「ファイト!」と書いてもらいました。顔面麻痺にはサングラスは欠かせません。王子様の「ファイト!」の文字を眺めながら、日々頑張ろうと思いました。
 「遠いところをありがとうございます」と言ってくれました♪「顔、またよくなりましたねー」とも。うん!近藤さんのおかげよ!とばかりに「先週で一気によくなりました」と言うと「治りだしたらあとは早いですよ」って。うふふ♪♪♪近藤さんは「腰痛&手の痺れ」、私は「顔面麻痺」。お互い妙な病に苦労するわねぇ。なんか『同士』のような親しみがわくわ!ホホホホホ。
 で、次に写真を撮ってもらってる時に「近藤さんは焼酎は何が好きですか?」と聞いたら「なんでも好きです」とのこと。それじゃわかんなーい!「米?麦?芋?」とさらに聞き込みましたがそれでも「なんでも!」ということでした。酒は好きだけど特にこだわりはないみたいです。

 次回の10月のティアラ、パーティは正式に中止が決定したらしい。近藤さんとゆっくり話せるいい機会なのになぁ。。。どうか「中止は次回だけ」であってほしいなぁ。
 切に願いつつ・・・今回はこのへんで終わります。なんか後味悪し&中途半端・・・。パーティがなくなるなんて・・・ますます王子様との距離が遠くなりそうで・・・顔面神経に障るわ・・・(凹)
 

ピアノ名曲ベスト2005 2005.5.29 西宮市民会館アミティホール(兵庫)

(第1部) 
 ショパン:ノクターン第20番 遺作 / ノクターン第2番 / 小犬のワルツ / ワルツ第7番 / スケルツォ第2番 
 プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番
(第2部)
 ラフマニノフ:クレムリン宮殿の鐘 / ヴォカリーズ
 ドビュッシー:月の光 / 喜びの島
 スクリャービン:エチュード嬰ニ短調 作品8-12
 リスト:愛の夢 / ハンガリー狂詩曲第6番

 アンコール・・・あったけど忘れてしまいました。ごめんなさい。

 10日間の入院生活後、私はさらに1週間自宅療養を医者に勧められ、家でぼけっとしていた。その1週間も今日で終わり。明日から社会復帰する。
 療養生活のしめくくりとして近藤さんの演奏を、しかも2日連続で聴けるなんて・・・神様の用意してくれた大きなプレゼント、ありがたくお受けしよう。ありがとう、神よ。
 日頃は全くの無宗教ですけどね。

 昨日は最前列だったけど、今日は2階席。眼帯して階段をたくさん上がるのはちょっと怖い。
 眼帯してなくても2階席はどうも好きじゃない。このホールは2階の方が音がいいと近藤さんは言っているらしいけど(ホールの人から聞いた)、私は後ろでもいいから1階がいいなあ。ステージと一体感があるし。
 ステージとの距離感もだけど、めんどくさいやん?2階まで上がるのって。それに狭くて段差があって動きにくいし。。。←順調に老化がすすんでおります、私。
 
 今日は私にとって新曲が2曲もある。プロコフィエフのソナタ7番、戦争ソナタと言われる作品だ。そしてスクリャービン。クレムリンの鐘も久しぶりだ。

 そして開演。
 2階から見る近藤さんは遠い。昨日の夜、私のはす向かいに彼が座っていたなんて、ありゃきっと夢だったんだな。
 うん、あれは夢だった。そうよきっとそう。あれは夢だった・・・←(なんとなく・危?)
 まずはトークから。前回の西宮のコンサートでは腱鞘炎のためプログラムを変更して弾いた近藤さん。
 しかしパンフレットを見ると・・・「腱鞘炎ではなく、椎間板ヘルニアからくる手の痺れだった」と書いてある。へー、ヘルニアだったの?近藤さん?
 近:「パンフレットに椎間板ヘルニアだったと書いてあるんですが・・・違うんです」
 あらら、ねつ造記事?とまでは思わないが、意思疎通のずれがあったんだろう。
 近:「あのときは『今後続けていけるかな』と思いましたが・・・」と。そして整体に行った話を。「整体というと骨をごりごりされて変なふうにされてしまうんじゃないかというイメージがあると思うのですが、そんなことはなくて」
 と、整体の素晴らしさについて語る。
 整体師によって蘇った王子の左手。そして今日はプログラムの変更はなく、バリバリ弾いてくれる。王子の復帰、この幸せ・・・。
 整体師の住所と名前、教えてくれないかしら。
 深い感謝の意をこめて、菓子折りや商品券などをお送りしたい。
 
 そして演奏が始まる。今日は昨日と違ってシンプルな舞台。客も満員。
 2階からは手がとってもよく見えた。
 あぁ、治ったのね・・・長い冬が終わって春が来たのね。本当によかった。
 以前にもどこかで書いたかもしれんけど、ノクターン遺作は私の中で「春を待ちわびる感じ」がする曲だ。静かで寂しくて。
 昨日の言葉が思い出された。「もうやめようかと思った」
 もうそんなことは思ってほしくはないと思いながらも、いや、思ってほしいと考える自分がいた。壁にぶちあたったときのつらさや悲しみは近藤さんみたいな仕事をしている人にとっては「芸の肥やし」になるのだから。乗り越えた先にはさらに大きな何かが待っていて、多くの人の心をとらえることができるのだから。
「長い人生だから少しくらいこんな時期があってもいいんですよ。こういう時にこそ成長できるんだ、と思えばね」
「そうですね。ひとまわりもふたまわりも」
「そうそう」
 昨日の夢の中での近藤さんとの会話。彼はさわやかに微笑んで「そうそう」と言っていた。
 これからも『素敵な苦労』をして、どんどん成長していってほしい(なんて言ったらダメかなぁ?)。そしてますます素晴らしい音楽を私たちに聴かせてほしい。
 今日のイチオシはスケルツォ2番だった。鍵盤の端から端まで自在に動き回る指、指、指。全部見えた。圧巻。
 いつにもまして情熱的な演奏。ひとまわりもふたまわりも大きくなった彼に拍手を送った。
 私の顔はいつになったら動くのやら。18日経ってもびくともしない顔半分。本当に治るんだろうか、医者も何も言ってくれない、ただ「長くかかる」ということだけ。なんだか1人だけ置いてけぼりをくらったような気分だ。
 でもいいんだよね。長い人生のうちのほんの少しの間のことだもの、そうだよね。
 プロコフィエフのピアノソナタ。この曲は中盤にホワイトクリスマスによく似たフレーズが入る、と近藤さん。
 なるほど。「I’m dreaming o」の部分がところどころに。
 今回、前の方で聴いていた人の情報によると、近藤さんはとても楽しそうに弾いていた、ということです。
 私はそこまでわかりませんでした。遠かったし、今、目が見えにくいので。
 もう1回聴いてみたいなあ、これ。
 というのは、イマイチよく理解できなかったのです。なんとも不思議な曲想で。去年近藤さんがここで弾いた「イスラメイ」みたいな感じかな。こういう曲こそあちこちで何度も弾いてほしいと思う。

 第2部はクレムリンの鐘から。
 これも有名な曲です。独特の薄暗さがなかなかよいですよね。何かが暗闇から忍び寄ってくるような。
 2部のイチオシは「喜びの島」でした。
 ひたすらにキラキラキラキラッ☆キラキラキラキラッ☆☆って感じ!昨日の演奏はミスタッチが多くてなんだかよくわからないうちに終わってしまい、うーん、不完全燃焼か。。。という印象だったけど今日は完璧でした!
 スクリャービンのエチュード。初めて聴く曲。
 だめだなー、私。全然記憶ナシ。戦争ソナタは理解できないながらも不思議な余韻を残す曲だったけれど、スクリャービンについては全く何も残らず。やっぱり予習って必要なのかな?どう思います?
 でもバーバーのソナタとか結局数年前に一度聴いたきりだけど、あの曲は本当によかった。
 う〜〜〜ん、スクリャービン・・・ごめんなさい。覚えてない。
 そしてラストはリストの2曲。もうすっかりおなじみの愛の夢。いつものようにクールに弾きこなす近藤さん。あの甘い旋律をどうやったらあんなにクールにさりげなく気負わず弾けるのだろうか?でも「クール=冷徹」とは違います。遠くでそっと見守っていてくれるような・・・優しい優しい愛の夢でした。
 ハンガリー6番。ベートーヴェンを聴く機会が少なくなった今となってはこの曲がマイベスト。華やかで悩ましげで最後はありったけの情熱を注ぎ込む彼の演奏に毎回心奪われている私です。
 何かに情熱を注ぐこと、それを表現すること。それが生きる糧になると信ずる。
 ピアノを弾いている近藤さんを見ているといつもそう思う。
 舞台を下りるとあっけらかんとしてサバサバしている人なだけに、よけいにその情熱、ピアノに対する情熱がひきたつのですよねー。
 これだから彼のファンはやめられない。私も彼に情熱を注いで、その情熱を表現するぞー!←違?
 たくさんの拍手を浴びながら、舞台を去っていく近藤さん。自信に満ちたその背中がとってもまぶしかったです。

 サイン会。とりあえず階段の上から様子をうかがう。
 まー、毎度毎度長い列だこと!!
 狭いところで待つのはいやなので、列が短くなってから並んだ。
「あ。昨日よりよくなったんじゃないですか?」
 と近藤さんは私の顔を見て言ってくれた。まさかー・・・いくらなんでも1日でよくなるわけないよ。入院中も毎日医者に「うーん。変わりないですね」と毎日言われ、ダンナには「だんだん悪くなってるような気が・・・」と言われてたんだから。実際、毎日鏡は見ていたけれど全然変化ないのよぅ。。。
「明日、3週間ぶりくらいに仕事に復帰します。この土日で近藤さんにいっぱい元気をもらいました。ありがとうございました」
 と今日はまともに礼を述べました。社長も「無理はいけないよ、無理は」と言ってくれました。
「はい。でも来週のティアラ、行くんです〜〜〜♪」
 ホホホと笑いつつ、その場をあとにしました。
 最後は写真撮影会。ツーショットは撮れなかったけれど、近藤さん、「こっちからいきますね」と右から順々に体の向きを変えつつサービスしてくれました。
 ちなみに私は右側におりましたが、逆光でさっぱりダメでした・・・(泣)。

 帰宅し、いつものように鏡を見ながらリハビリ。
 あれッ!あれれれれ!!鼻が動くぞ!鼻をふくらますと微妙にぴくぴく動く!!!確かに昨日まではびくともしなかったのに!口も動かしてみた。昨日より明らかによく動くようになっていた!
 こりゃ魔法だわ。。。この魔法、彼がかけてくれたのか、それとも「彼を想う私の情熱」こそが魔法なのか。
 それ以来、めきめき動くようになってきた。ホントにメキメキメキという感じ(最近はちょっと停滞気味ですが・・・)。
 今度診察に行くのが楽しみだ。

 近藤さんの演奏と笑顔は顔面麻痺に効くらしい。うん。
 

ロマンティックコンサート 2005.5.28 SAYAKAホール(大阪)


 ショパン:ノクターン第20番 遺作 / ノクターン第2番 / 小犬のワルツ / ワルツ第7番
 パガニーニ:カプリ−ス第24番(フルート演奏:萩原貴子)
 ドップラー:ハンガリー田園幻想曲(フルート&ピアノ)
 ドビュッシー:月の光 / 喜びの島
 リスト:愛の夢 / ハンガリー狂詩曲第6番

 アンコール・・・あったけど忘れてしまいました。ごめんなさい。

 2ヶ月ぶりのコンサート。
 前夜、「2ヶ月ぶりやわ!久しぶりやわぁ・・・」としみじみとダーリンに言う。
「2ヶ月で久しぶりなんて言わんの!」
 と叱られたが、めげずにGO。

 今日はいつもとちょっと雰囲気違うコンサート。障害者施設の主催でした。
 自由席だったのですが、座席にあまりこだわりのない私は開場15分前に到着。自由席なのにこんなに遅く行ったのでは・・・と思いきや、待っている人は少なめ。
 開場。いそいそと中に入ると、前の方の席はガラガラ・・・。とりあえず4列目くらいに座ってみたが、前3列に人の気配があまりにも少ないので思い切って最前列中央やや右寄り(アタシの一番好きな場所・・・because顔がよく見える♪)をゲット。
 そして開演。コンサートが始まるのかと思いきや、主催の施設のビデオ上映。せっかくだから見たい。が、最前列に座ったのがマズかった・・・首が痛いよぅ。しかも目が乾くよぅ・・・誰か霧吹き持ってきてくれーーーっ!アタイの目に吹きかけてくれーーーぃ。
 私事ですが、5月11日、仕事中に「なんだか右目が見えにくいな」と思い、鏡を見ると目が腫れていた・・・虫にでも刺されたか・・・とさほど気にも留めず、仕事を続行、いつものように仕事を終えて帰宅。
 化粧を落とそうと顔を洗うと右目が痛い。洗顔料と水が目に入り放題、な、な、なんやこれは?と思って鏡を見ると・・・あぁら!びっくり!!顔が歪んでいた。こんな顔では外には出られない、と翌日は半分仮病を使って会社を休んだ。そのうち治るだろうよと思っていたが、時間が経つにつれ、ますます歪んで腫れてきた。怖くなってそのまた翌日に病院へ。
 即入院を命じられた。しかも10日間も!!病名は顔面麻痺。原因は不明だがとりあえず入院して毎日ステロイド点滴、ウィルス性の麻痺だとの予想のもと、治療に専念したわけであるが、様々な検査の結果、ウィルス性ではなく、結局原因不明。
 原因不明の顔面麻痺は「ベル麻痺」という病名がつけられるそうだ。

ベル麻痺とは・その1(医学百科)
ベル麻痺とは・その2(わかりやすい説明)

 ご興味ある方は上記をクリック。

 私の麻痺の度合いはどんなもんですか?と医者に聞いたら「右は完全に麻痺ですね。結構しっかり麻痺してます。気長にいきましょう」とのことだった。大いに凹む。右目が開いたまま瞬きもできないので、その1にあるように眼帯をして出かけた。うー、不便。
 誰にも会いたくないよーと思っていたら、関西の友がひとり。同じく最前列に座っていた。しかし彼女とは以前から仲良くさせてもらっているのでOKか。彼女は私の右頬に触れ、「きっと治る、治るよ」と言ってくれた。ぽろり。
 それ以外に知った顔はひとりもおらず。ホッ。僻地(大阪狭山市)のコンサートなので常連ファンは他にいなかった(私の知る限り)。明日も西宮でコンサートあるしね、行かない人が多かったのか・・・?
 
 ビデオの次は障害者の方々の発表。この施設では竹炭や竹酢液を作って販売しているそうで、4人の方々が前に出て、仕事に対する意気込みや目標を語っておられた。

 そしていよいよ演奏へ。18時15分〜だったので、1時間半ほどのコンサートになった。でもフルートとの共演あり、喜びの島(生で聴いたのは初めて?)などなかなかお得なコンサートだった。

 近藤さんご登場の前に司会者の説明あり。
 近藤嘉宏さんは大人気のピアニストでいらして、近辺だけではなく京阪神、遠くは埼玉からもお問い合わせがありました。近藤さんは、女性なら誰しも心ときめかされるほどの素敵な方で、貴公子という言葉がピッタリ・・・。

 他人事ながら妙にテレる私であった。
 
 そして近藤さんがご登場。
 今日は燕尾だワ♪あぁ相変わらずキレイだわー・・・。
 久しぶりの王子のお姿に感動。会いたかったわーん♪ウルウル。毎日点滴の間、CD聴いてたわよー、でも今日は生演奏が聴けるのね。
 ひとりで感動、曲の説明も耳に入らず。早く弾いてよーん。

 そしてノクターン遺作を・・・大好きな2番を・・・。
 病み上がりの心にしみわたる。
 なんだか「とっても苦労をした末にようやくここへたどり着いた」みたいな感慨が。苦しいときも悲しいときもどんな時でも彼はいつもと変わらずピアノを弾いてくれる。
 10日間の入院生活、その後の自宅療養。すっかり社会から隔絶された孤独感と今後の不安な気持ちがゆるゆると溶けていくようだった。
 ありがとう、あなた。
 今夜は「あなた」と呼ばせてぇ〜〜〜。
 と、書くとどうしてもお笑い系になってしまうのが悲しいところであるが、その場の私は本当に心底、彼の存在がありがたいと思ったのだった。涙が出るほどありがたいと思ったのだった。
 せつない音色の遺作、甘くやさしい2番、溌剌とした小犬のワルツ、凛々しいワルツ7番。手品のように次から次へといろんな世界を見せてくれる近藤さん。
 ショパンもなかなかよいなあ、と初めて思った。
 フルートの萩原さんも素敵。ホンワカ、チャーミング系の女性で、美しい音色で会場を酔わせる。
 観客は障害者の方も多かったので、時々変なところで拍手が起きたり奇声が発せられることもあったけど、近藤さんも萩原さんもにこやかに演奏。障害を持ってても、病人でも、元気な人でもみんなが幸せになれたらいいね。
 さてさて一番楽しみにしてた『喜びの島』ですが・・・近藤さん、やけに弾きにくそうで・・・あれあれれ?鍵盤外しまくりでヒヤヒヤ。これ、明日の西宮でも弾くのに・・・大丈夫かなぁ。手の具合、まだ悪いのかな?と思うような演奏。
 でも愛の夢、ハンガリーは完璧ね!最前列で聴けるなんて感激!!!燕尾服で颯爽と、客席の声や音にも動じず集中し、生き生きと弾く近藤さんに惚れ直す。
 もっと聴いていたかった・・・今日、この演奏会があったこと、本当に感謝。僻地で不便だったけど、都会での華々しい演奏会ではなく、アットホームな雰囲気のコンサートだったことも、その時の私にはとてもありがたかった。
 
 このひとの奏でる音に、私はいままでどれだけ癒され、そして励まされてきただろう。
 ずっとずっと弾いててほしい、こうやって。これからもずっと客席で耳を傾けていたい。

 すごくうれしかった。私はこれからもずっとこうして癒され、励まされ続ける。このしあわせは近藤さんがピアノを辞めないかぎり、絶対的に保証されるのだ。いつでも、どんな時でも、これから先、ずうっと。(2003.11.9のレポートより抜粋)

 ありがとう、近藤さん。これからもずっと弾き続けてね。


 さて、今回のレポはここから先が長いです。一世一代のチャンスが巡ってきたのです。
 帰り、同じく最前列で聴いていた関西の友とはぐれた。出口でしばらく待ってみたが会えなかったので1人で帰る。
 南海電車、大阪狭山駅。ひと気のない、うら寂しい感じの駅舎・・・コンサート帰りの賑わいはそこにはなかった。ロビーで施設の人が作っている竹炭製品が売られていたので私はそれを買った。なのでちょっと時間がずれたのかも。
 電車がなかなか来ないので、ジュースを買い、ベンチに座ろうと行きかけたら・・・あぁ、このうら寂しい駅に!!近藤さんと社長が!!改札をくぐってこちらに向かって来るではないか!!!
 ひゃぁぁぁぁ!と駆け寄る。しかし・・・眼帯をしていたので誰だかわかってもらえず。社長に名を名乗ってみた。
 社長:「あー、誰かと思ったよ!どうしたの?その顔」
 あ・・・そうだった。アタシ、顔面が麻痺して歪んでるんだったわい!誰にも会いたくないなどと思っていたのに、王子を目の前にするとそんなことはすっかり忘れる私なのだった。全く節操がない。
 こうなったら全部さらけだしてしまおう。社長と近藤さんを目の前に、入院&療養生活&現在の状況を逐一説明。眼帯外して「目が閉じないんです!」今思えば、普通の人はそんな気味悪いもの見たくはないよねー・・・。
 社長:「10日も入院してたの!?」
 と、社長は気の毒がってくれた。「療養中なのにコンサートに来たの?」と。
 ええ、そうですとも、当たり前やん!!
 原因不明と聞いて近藤さんも気の毒がってくれた。
 近:「ご主人も心配されてるでしょう?」
 あ:「いやー、全然」
 近:「そんなことないですよ。心配してますよ」
 あれれ、今日は優しいなァ。。。しかしあなたの前では主人のことなどどーでもいいのよ。←極悪。
 近:「原因不明ってのが一番やっかいですよね〜。原因がわからないとなればそれはやっぱりストレスから来てるんでしょうねえ」
 あ:「私はこんな性格なので、ストレスなんかなんにもないはずなんですけどねー」
 近:「そんなことないですよ、きっと知らない間にたまっていたんですよ」

 王子、今日は優しいわ。。。しかも会話がきちんとかみあっているぞ。なんという奇跡・・・歪んだ顔でうっとりする私であった。そのままうっとりしとけばいいものを。
 どうも照れくさい。ちゃかさずにはいられない、素直じゃないアタシ。

 あ:「原因はきっと恋患いです・・・近藤さんがちっともふり向いてくれないのでストレスたまってこんな病気になってしまったんです」
 近:「ありがとうございます・・・あ、『ありがとう』はおかしいなあ」

 ボケ2連発。王子よ、ボケにボケを重ねてどーする?もぅ・・・なんてかわいらしい人なのかしらん。

 社長:「そーゆーのはね、ストレスって言わないの」

 社長にたしなめられ、私と王子のボケはそこで終了。社長、なかなかいいツッコミであった。
 しかし近藤さんに対するこの恋患いがストレスでないとなると・・・なんだろう?それは「勘違い」でしょうな。
 と、ツッコミ2連発しようと思いましたが自粛しました。

 で、あなたはどこから来てるの?と社長に聞かれ、言っても知らないだろうと適当に「大阪」と答えたが、「大阪のどこ?」と聞かれた。近藤さんも身を乗り出してきた。この異端児がどこからわいて出てきてるのか興味があるのだろうか?
「JRのXXです」と言うと「あー、XXってOO駅の隣だよね」と社長、大阪の地理に詳しかった。あ、そうか、社長は関西の出身なんだったっけ?
 電車が来た。乗り込むとさっきはぐれた関西の友が真にグーなタイミングで車両に乗ってきた。彼女の追っかけは全国区なので社長も近藤さんも覚えているらしい。社長に呼ばれて彼女も同席。なんとめでたい夜だろう。
 で、何を話したのかは忘れてしまいましたけれども、私以外の3人は急行に乗り換えるようだった。私は三国ヶ丘駅で下りるつもりだったので、残念だがこの電車に残ることにしよう。
 別れる前にこれだけは言っておきたい!
 あ:「手も治ったし、いつベートーヴェンを弾いてくれますか?」
 社長&近:「んー」
 あ:「1月に2回も流れて・・・すごく楽しみにしてたのにー」
と、しつこく迫る私なのだった。
 社長:「そうだねえ。流れたから今度はタダでやらないとねえ」
 あ:「お金は払いますから!」
 そこで時間切れ。乗り換えのために近藤さんは席を立つ。その瞬間、ぼそっと、

 近:「あのとき、もうやめようかと思った」
 
 !?!?!?!?!?

 え?やめるって?何を?
 さっぱりわけがわからずきょとんとしてしまった私。

 社長:「あの頃ね、ほんとに悩んでたんだよ」

 と、言われて初めて「やめる」の意味がわかったのだった。
 近藤さんがピアノをやめようかとそこまで悩んでいたなんて・・・彼の頭にちょっとでも「やめる」という考えが浮かんだことがどうしても信じられなかった私。
 近:「だって、痛くて鍵盤が押せなかったんですから」
 そんなに痛かったのに弾いてたの?演奏会、一度もキャンセルせずに・・・。
 そういえば1月9日の泉佐野のとき、私が「新年おめでとうございます」って言ったら近藤さん、「今年も・・・」って言葉を濁したなぁ。どうして「今年もよろしく」と言ってくれないの!?と不審に思ったけれど、「やめよう」という考えがあったからか?(私の憶測ですが)。
 絶対イヤ〜〜〜!!!今後いっさいドあつかましいことは言うまいと心に誓った私だった。なんでもいいから弾いてくれるだけでいい、そうよ、そうよね。彼が私たちの目の前から消え去ってしまうなんて・・・絶対にイヤ!!!

 社長:「あれ?下りないの?どこ行くの?」
 実は私も3人の電車に乗って行った方が便利なのだけど、私は阪和線の定期を持っているので三国ヶ丘で乗り換えて天王寺周りで行けば安上がりなのだ。それを説明するも社長には通じず。大阪の地理に詳しいと言えども、そこまでは理解不能か・・・。
 僕らはなんばまで行くから一緒に行けばいいじゃない。天王寺ってなんばの隣だろ?と言われ・・・確かにそうだが、定期が・・・あたふたする私。
「大阪に住んでいるのに知らないの?」と・・・しまいには「わからんなあ」と。大阪人のくせに無知・・・いいえ、そうじゃないのよ〜〜〜!!
 車内でおたおた。アタシ、置いてけぼり状態。
 でも王子様は。振り返ってくれて、先頭を切る社長を指差し、にこにこと。
 「よおく知ってるから。ついてけばいいよ」と。

 王子、今日は優しいわ・・・。またまたうっとり。もぅなんでもいいから急行電車に乗っかっていこ。定期を使おうなんてケチくさい考えはこの際捨てるのだ。
 そして急行に乗り換え。4人掛けで私は社長と向かい合わせ、近藤さんの向かいは友に譲った。
 「あなたたちは待ち合わせてくるの?それとも会場で会うの?」
 と、社長に聞かれた。「待ち合わせはしないです。会場で会うんです」と言うと近藤さん、「ほ〜」という感じだった。
 社長はパンをいっぱい持っていた。袋から次々と出しては「これ食べる?」「これあげる」と。さきほどの施設で焼いてるパンらしかった。遠慮なくもらって帰った。
 で、どんな話をしたかしら?覚えてるのだけ簡単に。
 手の具合は演奏にはほとんど差し支えない。ただ日常生活にはちょっと不便が残るのだそうです。
 そして整体がとってもよかったので、私にもぜひ整体に行くようにすすめてくれました。が、顔面麻痺は整体ではなく鍼が効くのですよね・・・それを言うと「鍼?鍼より整体がいいよ」と。「肩こり?冷え性?」とあれこれ聞かれたけど、近藤さんも肩こり冷え性らしい。とても寒がりで今でも毛布とふとんで寝てるそうです。でも今日の演奏会はとても暑くてまいったらしい。照明が結構派手だったからなぁ・・・。舞台全体が赤くなったり青くなったりすごかった。なのでピアノの蓋や黒鍵の影ができて弾きにくい場面があったそうで。だから喜びの島、あんなに弾きにくそうだったのかな。
 でも社長、「今回の演奏会は主催の方たちがとっても熱心で」と喜んでらした。演奏中に声や拍手が聞こえたけれど、近藤さんは「適度に合いの手が入って」と楽しそうに笑ってました。ス・テ・キ。
 ご飯、ちゃんと食べてますか?と聞いたら、「食べてますよ。最近はコラーゲンをよく食べてます」とのこと。サプリメントも食べるけど、鍋にハマってるらしい。コラーゲン鍋。コラーゲンのかたまりをドボドボ鍋に入れてくれるんだって。それをよく食べに行くらしい。ちなみにこの演奏会の前日も食べに行ったそうです。だから肌がきれいなのかーと思ったら「コラーゲンは細胞の生成にいいから」ということでした。
 左手を長い間使わなかったので腕が細くなってしまって、結構努力されたようです。「ペットボトルで鍛えてたんでしょ?雑誌に載ってました」と言うと「あれねー、500mlのボトルも持てないくらい痛かったんです」だって。そうかぁ・・・500mlのボトルって軽いのに・・・そんなんで鍛えられるのかなぁとひそかに疑問に思っていた私は大いに納得。
 で、手の甲の親指の下あたりに注射を打っていたらしく、今でも丸いしこりがあるんだって。「ここを押さえるとね、しこりがあるの。で、押したらその丸いのが逃げるの」とニコニコ。
 かわいー・・・♪♪♪なんともお茶目な王子様でした。
 
 近藤さん、「顔のことですからね、大変でしょう」と、私のこの歪んだ顔をとっても気遣ってくれたのですが、
 あ:「まぁ、もとからそんなに美しい顔でもなかったから別にいーんですけどね!」
 と、言うと、
 近:「いや、いやぁ・・・ひやぁ・・・」
 と、うつむき、首をふり、窓の外を見、頭をかき・・・笑い・・・

 妙にウケていた・・・。 

 微妙に憎たらしいわ。

 そして新今宮に到着。私と友は「またあした」と言いつつ下りました。そしてホームでお見送り。アタイは投げキッスをお見舞いしてさしあげましたとも。←いらんって。
 
 災難続きの私でしたが、この日を神様がごほうびに、私に与えてくださったに違いない。人生悪いことばかりではありません。完治には時間がかかり、完治するという保証も実はないのですが(この時に運を使い果たしたかも?)、近藤さんも大変な苦労を乗り越えられたのですから私も頑張ろうと思いました。
 とてもいい一日でした。
 演奏のレポはそこそこに、帰りの電車のレポばっかりしてしまいましたが、たまにはこんなレポも面白いでしょ?
 ということで。
 終わり!

ピアノデュオリサイタル 2005.3.21 高槻現代劇場中ホール(大阪)

(第1部)
 2台ピアノ
  チャイコフスキー:花のワルツ
  ラフマニノフ:組曲第1番「幻想的絵画」第1楽章『舟歌』
  ラフマニノフ:組曲第2番 第3楽章『ロマンス』 第4楽章『タランテラ』
 及川さんソロ
  ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番「熱情」

(第2部)
 近藤さんソロ
  ショパン:ノクターン第20番「遺作」
  ショパン:スケルツォ第2番
  リスト:ハンガリー狂詩曲第6番
 2台ピアノ
  ラヴェル:ダフニスとクロエ 第2組曲

(アンコール)
 ラヴェル:マ・メール・ロワ
 シューベルト:軍隊行進曲

 高槻現代劇場に近藤様がおいでになった。
 何を隠そう、私は高槻生まれの高槻育ちで、結婚するまでずっと高槻市民だった。現代劇場は長い間ただの「高槻市民会館」という名称だったが、いつのまにか現代劇場という名称に変わっている。でもたたずまいは今も昔も変わらない。私の両親はここで結婚式を挙げた。そして私はこのホールで青春時代を吹奏楽とともに過ごした。まさに私の原点とも言うべきホールなのである。
 そんなところに近藤様がッ!!!
 というわけで地元の友・身内関係総勢6人で出かけたのであった。

 当日は素晴らしいお天気。友とホール前で待ち合わせ。
「ああっ!チケット忘れた!!!」
 マジですかぁ・・・・・・返答に困りうろたえる。
「取りに帰る!」 
 友は自転車で一目散に自宅へ。間に合うかなぁ・・・1曲目はムリだろなあと思いつつ、もうひとりの友とふたりで先に中に入ることにした。
 母と叔母と叔母の妹がすでに着席していた。私は叔母からいかなごの釘煮をもらった。叔母は料理が上手なんである。母と友は挨拶を交わす。「まぁ!Fさん!久しぶりやねー」等々。そしてお約束、飴ちゃんの交換。こんなこともあろうかと私はチョコレートを持参していた。皆に配る。
 なんてローカル!あぁわが故郷高槻よ!自転車で帰った友も開演に間に合い、めでたしめでたし。高槻万歳!
 
 開演。
 近藤さん、今日はプログラム変更しないのかなと心配しつつ、「今日こそはハンガリーを弾いてほしい!」と熱望するアタシ。
 及川さんと近藤さんが舞台にお出まし。
 母:「近藤さん、足長いねー」
 私:「でへへ」
 
 花のワルツは軽やかに。去年の城陽のときより軽い感じ。この2台ピアノコンサート、お二人ともこなれてきたような印象あり。
 でも次のラフマニノフは独特の緊迫感あり、迫力大あり。『男の人が弾いている』感たっぷり。城陽のときの「ロマンス」は本当に甘くてロマンチックな感じがしたんだけど、今回は男は黙って・クールに・堅実に。全体的に見るととっても完成された確実な印象でしたが、もう少し力を抜いて遊んでみてもよかったのでは・・・と思いました(個人的感想&好み)。

 お次は及川さんの熱情。私はこれを一番楽しみにしておりました。ただでさえスゴイ、及川さんの弾き姿。熱情を弾いたらどないなるんや?と半分コワイモノ見たさのような期待で胸ふくらんでおったのです。
 期待どおり・・・獅子舞のように頭振り乱し、唸り、何かがとりついたかのように弾く及川さんの姿は壮絶でした。情熱のベートーヴェンならぬ壮絶のベートーヴェンと呼ばせていただこう。
 でも、こないだも思ったんだけど、弾き姿は凄まじいのですが、音は丁寧なんですよねー。ガンガン弾いてるけど雑な感じは一切なし。ひとつの点に向かってぐわーっと突き進んでいくような集中力と気迫が客席にも伝わる。彼が目指している一点を彼と一緒に覗き込んでみたい衝動に駆られ・・・客席にもピーンと糸が張られているような緊張感が。もぅ息をするのも忘れるくらいでした。及川さんの客席に対する統率力・引力には舌を巻くものがあります。
 最後は低音を響かせつつ終わる。立ちながら弾き終わる及川さんには勿論「ブラヴォー!」と歓声が。
 うーむ、及川さんの持ってるものは底が深そうだ。彼も巨匠への道を歩み始めてるよなー、将来ビッグになりそう。今まで私が聴いた中で『巨匠レベルに一番近い人』は横山幸雄氏だったけれど、及川さんもいい感じかも。

 個人的な感想なのでご容赦ください。

 休憩をはさんで近藤さんのソロ。舞台ではピアノを3人かかりでよっこらしょと持ち上げてピアノの足に何か敷いている。
 あれがウワサの「インシュレーター」かぁ。近藤さんは低い椅子がお好みだそうですが、一番低くしてもまだ足らず、ガマンして弾いていたところ、とうとう腰を患いそれがもとで腱鞘炎になったのだとか。「整体師に腰を揉んでもらったらすぐに治ってきたんだ」と、以前に社長から聞いて知っていたのですけど、「王子が腰痛」などと書いたらイメージが崩れると勝手に心配して書かないでいたのです。が、この事実、あちこちで公表しているようなので、ここでも公表しましょう。
 椅子が高けりゃピアノを上げればいい、とのことで最近このインシュレーターを特注し、コンサートで使っているそうです。インシュレーターとは「絶縁体」の意味で、私は仕事でよく聞く言葉なので「?」という感じは受けなかったのですが、ホールの床とピアノの間にモノを入れるわけなので、響きも変わってくるらしく、近藤さんは材質(木製)にもこだわり特注したそうです。そういえば最初に近藤さんから「インシュレーター」という言葉を聞いたのは2003年の夏、八尾プリズムでのパーティの時だったな。。。「ピアノの音は骨に反響するからピアニストは骨格がいいほうがいい」と。その時に近藤さんの趣味であるオーディオ関係の話題になり、「スピーカーの下に敷くもの、『インシュレーター』って言うんですけどね、それの材質でも音が変わるんですヨ」と言ってらしたのを覚えております。
 近藤さん、職人ですね。

 及川さんのあまりにすさまじい演奏に衝撃を受けた様子の友は「及川さんはもういい。早く近藤さんのが聴きたい」と。及川さんの演奏は好き嫌いが分かれるようである。
 私は及川さんもいいと思うけれど、1番はやっぱり近藤さんネ♪
 きれーなんだもん♪彼の奏でる音のつらなりは新緑の谷川を流れる清水のようである。もう・・・3年と10ヶ月ほどの間で言葉は尽くした感があります。
 及川さんが出てきて曲紹介。神妙な面持ちで語る及川さんだったが、途中でセリフを言い間違え「間違えた・・・・ぁ」と。客席爆笑。
 そして王子が登場、ノクターン遺作に続いてスケルツォ2番を。
 スケルツォ2番は久しぶりに聴いたけど、今日の王子はとっても男っぽいのです。今日はいったいどうしたのかしら・・・・・・と思うくらい。要するに。
 かっこいぃぃぃぃぃん♪♪♪
 母:「近藤さん、足長いねー」
 私:「えへへへへへへへへ」

 そしてお待ちかねの「ハンガリー6番」。
 NYの夢よ、ふたたび!!!
 アッコです・・・いまだにNYの夢から抜けられんとです・・・。

 出だしから絶好調、ノリノリな近藤さん。聴いてる方まで笑顔&元気になるような。
 腱鞘炎でプログラム変更になったのはほんの数ヶ月でしたが、近藤さんにとってどんなに長く感じられたことでしょう。私たちファンも同じですよね?サイン会、氷で冷やしながらも笑顔を絶やさず、変更になったプログラムでも気を抜かずに演奏をしてくれた近藤さん、ミスタッチの連続でちょっと苦しそうだった近藤さん・・・・・・。彼の苦悩は我々の苦悩・・・・・・ともに乗り越えた数ヶ月。
 この曲、すごく弾きたかった、すっごく弾きたかったんだよぉーっ!
 みたいに明るく生き生きと弾く近藤さん。手の具合は本当はどうなのか、それは本人にしかわからないことだけれど、もう私たちが心配することはなんにもなさそうだ。
 彼は完治した。そう思わせるような演奏でした。祝!完治!!

 ラストはダフニスとクロエ。これももう一度聴きたいと思っていました。
 及川さんと近藤さんの共演、響宴ですな!
 出だしの神秘的な感じ・・・・・・そうそう、こんな感じやった!と去年の城陽の記憶が蘇り、わくわく。
 あの時近藤さんは及川さんとは対照的に『静かに折り目正しい少年のよう』でしたけど、今回は及川パワーに影響されたのか、近藤さんも熱い演奏でした。ふたりとも伸び伸びと、お互いを尊重しつつも自分をしっかり主張されて。本当にいい感じの交友関係を作ってるんだなーと実感。
 男女が誘惑しあい恋のかけひきをする様子を描いた曲だそうですが、誘う男は強引に、誘われる女も躊躇なく・・・てな感じで互いに情熱をぶつけあうさまが目に見えるようでした。
 圧倒的な迫力の中、終演。うん、これは楽しい演奏会だった!
   

 今日は「及川さん・近藤さんを囲む会」なるものが催されることになってました。会費ワンドリンク500円。
 どんな会なのか。サイン会でごった返す中、ホールの人に聞く。
 ティアラのパーティみたいに話せて写真が撮れたりするわけではなく、ふたりが話すのを聞くだけという形式らしい。えー・・・つまんないかもかも。
「サインをもらうには今このサイン会に出るしかないんですか?」
「そうですね」
 ふーむ。ふむふむ。CDはいらないんだけどなー・・・でもこないだのコンチェルトでチケットをただで譲ってくれた友にお礼がしたく、近藤さんのサイン入り色紙をプレゼントしようと思っていたので並ぶことにした。ちょうどいい具合に及川さんの絵葉書セットが500円で売っていたのでそれを購入。安くあがってよかった。
 及川さんの絵葉書セットはなかなか充実していました。7枚組で、及川さんの現在の写真はもちろん、生後9ヶ月の写真、楽譜、サイン、「僕の必需品」と題してエアー枕や筋トレ用ゴム、ライターや扇子などの写真が載っているのもあり、面白かった。近藤さんもこんなの出してくれないかなあ。HPもやってほしいよなあ。及川さんのHPには毎回爆笑させられてる私です。いいキャラしてます。
 まずは及川さんにサインをもらう。城陽のときはノリノリで、「どうもどうも!」と立ち上がって次々に手を差し伸べていらしたけど、今回はどっしりと座ってらっしゃいました。目の前に立つと「こんにちは」と言ってくださった。すばらしい、この自然な間!緊張、一気にほぐれる。
 私:「熱情、すばらしかったです」
 及:「それはありがとうございます」
 私:「息をするのも忘れるくらい聴き入ってしまいました」
 及:「ああそれは大変、息がつまってブルブルッ!」(首を小刻みに振り、白目を剥きながら・でも依然とどっしりと構えたまま)
 及川さん、魔王のような口ぶりでおもろいことを言う人だった。そして握手。すばらしい、この自然な間!!!
 そして王子のもとへ。及川さんとは対照的、すごく忙しそうで顔を上げてくれないの。。。今度はサインの順番を変えてほしいなぁ、、、近藤さんを先にしてぇ。
 持参の色紙とメモを目の前に出す私。
 近:「あらぁ〜〜」
 王子に話しかけたことのある人なら誰しもが経験してらっしゃると思いますが、彼はまるでびっくり箱を開けたかのようなリアクションをするのです。メモには何を書いたかというと、以下のとおりです。

 OXさんへ
 Y.kondo(近藤さんのサイン筆跡を真似て書いてみた)
 キタラで会いましょう
 2005.3.21

 口で言うと時間がかかるし、上手く伝わらないかもしれないのでメモに書いて持って行ったわけです(キタラとは札幌のkitaraホールのこと)。
 私:「このとおりにお願いしますー」
 近藤さんはにこやかに応じてくださった。けど・・・・・・
 「OXさんへ」といきなりタテ書き・・・・・・メモ渡しても意思の疎通ができぬ・・・・・・なんで縦に書くねんっ!横やろッ!と言いたい気持ちを抑えつつ若干うろたえる私。サインの次は日付。キタラで会いましょうって書いてくれない。。。
 私:「すみません、これも・・・・・・」
 近:「キタラね」
 私:「札幌のお友達にあげようと思って」
 近:「あー、キタラね!札幌ね!」
 他に話したいこともあったけど、時間もないので今回はこれで終わり。でも顔を近くで見られてよかったです♪
 友が写真を撮ってくれました。びっくり箱開けたような近藤さんの顔がお茶目でした。
「近藤さんて、おばちゃんみたいやなぁー。あら〜〜って!」
 友はウケながらも「あっこちゃんが彼に惹かれるわけがわかるような気がしたわ。お茶目やなー、いい人そう!」と言ってくれました。

 でしょ〜〜〜〜〜!

 そして「囲む会』へと進む。
 入口で「ウーロン茶」か「ジュース」の券を取り、前へ進む。私はウーロン茶にした。受け取って中に入る。
 待つことしばし。おふたりの登場。近藤さんは黒いシャツ(胸のとこ横一直線にラインが入ったお洋服。初めて見たわ)、及川さんは前をはだけたシャツ、胸元には金のネックレス、細いパンツ。どこからどう見てもクラシックの人には見えん。
 友1:「及川さんて独身?」
 私:「全然知らんなぁ。でも近藤さんより年上やし、結婚してるんちゃう?」
 友2:「子供とかいるかもなぁ。いいパパしてそう」
 私:「うんうん、そんな感じするなぁ」
 友1:「でも独身にも見える・・・近藤さんはホンマに『スクスク育った』って感じやなあ」
 私:「そやろぉ〜〜世の穢れを知らずにスクスクと」
 友1:「そんな感じ!」
 ま、そんな感じで盛り上がりつつ、ふたりのトークを聞く。

 及:「僕は去年の同じ日にここで同じようにこんな会をしましたが、今日はなんだかやけに女性のお客さんが多いですね」
 近:「そういえば・・・・そうですねえ」(わざとらしく辺りを見回しながら)
 及:「なに?自慢してんの???」
 及川さんのひがみっぷりが面白い。ホールの人がしっかりフォロー。「去年はピアノリレーに出られたお客さんだけでしたが、今回は一般のお客さんも来られているので女性の方が多いのだと思いますよ」
 少ないとはいえ会場には男性の方も数人いらしてました。私は「男の人が来てる!」と驚いたクチですが。
 及:「僕がダイエットしたのは近藤君の影響があったかもしれません。なんでだか、僕が悪人、彼が善人みたいな扱いされて」
 どこぞやの雑誌インタビューでは『及川さんが近藤さんをはがいじめポーズ』をとらそうとしたらしいです。
 見かけはさておき、ふたりは演奏会を重ねるたびに「今度はこうしよう」「ああしたら面白いかな」と毎回楽しく議論をしながら全国を回っているそうで、
 近:「議論といっても穏やかです。決して机をひっくり返したり、そういう議論ではないです」とのこと(会場・笑)。
 及:「近藤君は怒りっぽいんですよ、気がついたら『なんだよー』って怒ってるんですよね。皆さん、彼の見かけに騙されてはいけませんよ」
 なんて発言もありましたが「でも優しいんですよ」とのフォローもありました。
ふたりともトーク爆裂で話が止まらないのです。ホールの人が質問をいくつかされましたが、延々とふたりが答え、しまいには別の話に移行してる。
 及:「近藤君は本当によくしゃべるよね。このあとも帰りの新幹線で2時間半ずうっと・・・・・・」
 近:「及川君もよくしゃべるよね。酒が入るとすごいよね」
 及:「うん」
 近:「僕は酒がなくてもしゃべってますけどね」

(中略:とても全部書ききれまへん)

 及川さんのHPにも書いてあったのですが、去年の城陽のとき。
 及川さん、夜中にテレビを見ていて、その番組で紹介された本がどうしても読みたくなり、ホテルの人に本屋を教えてもらったのですが「歩いていける距離ではないですよ」と言われたにもかかわらず、ダイエット中ということもあり、ジャージで走っていったそうです。そして道に迷い、夜の京都をジャージ姿で2時間くらいさまよったあと、閉店ぎりぎりに本屋に到着。帰りはタクシーに乗り、部屋でコーラを一気飲みしてしまったというエピソード。
 近:「翌日にその本屋の前をタクシーで通りかかったんです。そしたらメーターが2000円だったんですよね。2000円だなんて、『これ相当歩いたんじゃないの?』ってびっくりしました」
 タクシーで2000円て・・・それは遠いわ。ビックリ。

 そして今度は客席からの質問に。
「いつ頃からピアノで食べていける!と思いましたか?」
 近藤さん、「今でも不安ですよ」とのことでした。
「おふたりにラヴェルのCDを出してほしいです」
 及川さん、「ラヴェルは売れないんですよねぇ・・・」
 近藤さん、「いい曲なのに売れないですね。だから出すのを嫌がるんですよ、レコード会社が。クラシックてのは音楽の中でもマイナーなのでCDの売上っていうのはほとんど儲けにはならないんです。ミリオン級で売れないと。だからコンサートに来てくださるお客さんは本当にありがたいです」

 コンサートにはせいぜい通いましょうぜ!皆さん!!!

 (中略・とても全部書ききれまへーん、すみません。最後にひとつだけ)
 及:「今日はセリフを間違えてしまって。でも関西の人は笑ってくれるからよかったです。東京の人は笑ってくれませんからねえ」
 近:「関東と関西と九州とではお客さんの雰囲気も全然違いますねえ。関西の人は熱いです」

 ホホホ。褒められちゃったわい!(?)

 あんなに楽しそうにしゃべりまくり、笑いまくる近藤さんを初めて見ました。
 そうかぁ・・・うちとけるとあんなふうにしゃべってくれるのだなあと、なぜか凹んだアタシでございました。彼との距離は遠い・・・うっうっ。

 帰り、出待ちしてみたけど、うまくいきませんでした。タクシーで出てきたのはわかったけど、首と背中が痛くて追っかけられませんでした(前夜、しこたま酒を呑んで爆睡、寝違えた)。残念無念。

 友2:「近藤さん、上の奥歯まで真っ白やな」
 私:「そや。虫歯ないみたい」
 笑ったときに何度も見えた白い歯が印象的でした。近藤さんの笑顔、心洗われます。
 私:「こんな世の中やけど、あんなにきれいな笑顔の人がいるんやと思うと、なんかほっとするねん」
 友2:「そやなあ」

 せちがらい世の中を憂いながら、私たちは帰途についたのでした。
 私も美しく笑えるように頑張ってまいろう。
 はーあ・・・・・・。
 楽しい演奏会&囲む会だったのになぜか凹んでもた私でした。。。

 以上。

(おわび&おねがい)
 省略しまくりですまぬ。。。。。。しかも時間が経っているので、お二人の話し言葉や順序が多少違っているかも。詳細をご記憶の方、教えてくだされば直しますのでメールください。

 書くのも遅くなりました。最近、モチベーションの低下が進む・・・・・・。
 ま、4年もやってりゃこんな時期もあろうよ。
(よくやるよなぁと自分でも感心するが)

 今後も末永く見守ってくださいましね〜 m(__)m
  


大阪シンフォニカー交響楽団・第35回名曲コンサート 2005.2.11 ザ・シンフォニーホール(大阪)

(第1部)
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調 作品23
(第2部)
 ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
 
 指揮  村上寿昭 ・ ピアノ  近藤嘉宏 ・ 管弦楽 大阪シンフォニカー交響楽団

 さて。久しぶりのオケである。お目当てはやはり・・・(以下省略)。
 今日はバレンタインデー間近というわけでプレゼント持参、意気揚揚と会場入り。結構ギリギリに会場に着く。座席はパイプオルガン側。初めての体験なのでかなり楽しみにしていました。近藤さんの顔を、いつもと違う角度から見られる〜♪
 開演。指揮者と近藤さんが登場。
 近藤さん、椅子に座る。ちょっと遠いけど、いい感じで顔が見えるわー!
 ホルンの音で華々しく幕開け。近藤さんがこの曲を弾くのを聴くのは3回目。前回も思ったのですが、ちょっと音が弱い・・・。昨年11月に聴いたミシュクの演奏がかなり印象的だったので(同じ曲を同じ場所で聴いた)、余計に物足りない感がつのる。腱鞘炎、痛むのかなあ、それとも「これが日本人の限界」かなぁ・・・と思ったりした。
 が、次の楽章からは聴かせてくれました。1楽章とは全く違った静かな、ちょっと物憂げな感じのメロディーが、熱を持ったホールの空気を和ませてくれて。
 そして最終楽章では一気にヒートアップ。ホールは近藤色でいっぱいに♪数十人のオケをひとりでリードするかのごとき熱い演奏。
 俺についてきやがれ!カッコえー!!!
 全楽章35分間の演奏。近藤さんはとっても楽しそうでした。体でリズムを取ったり、手を拭いたり、何度も座りなおしたり・・・おいおい、ちょっと落ち着けよ、と思わないでもなかったけど、指揮者や楽団員に合図を送る際の笑顔、演奏を心から楽しんでいるふうの笑顔、全楽章終わった瞬間の笑顔。客席からは見られない、打ち解けた和やかな笑顔に胸キュンなアタシ。
 曲が終わった瞬間、隣に座っていた友と私は顔を見合わせニヤリ。言葉はいらない、ひたすらニヤニヤ、いつまでもニヤニヤ。
 近藤さん、腱鞘炎の治療も順調で(最近、新たな治療法を見つけたそうで)、回復も早まっているそうです。←社長談。
 20分の休憩のあと、ベートーヴェンの「英雄」。この曲は学生の時に朝比奈隆の指揮、大阪フィルで聴いた。その時は退屈な曲という印象でしたが、今回は「これがあの時聴いたのと同じ曲?」と思うほどだった。
 楽しかった。うん、ホントに楽しかった、という感じ。パイプオルガン側の席は指揮者の顔が見られるのもおいしい。楽団員の気持ちになって聴けるのがよいな。パンフレットに書いてあったが、指揮者の村上さんは1974年生まれ。
「え!1974年生まれ?私より若い!えらい若作りやなーと思ったけど、ホントに若かったんや」とは友のセリフ。
「そやでー。そのうちみんな自分より若くなるで」とは私のセリフ。
 村上さんもホントに楽しそうな指揮っぷり。あの近藤さんが歳とって見えましたもの。近藤さんもこれから若い人たちと共演する機会が増えて、演奏も見た目も熟練の域に入っていくのだなぁ。
 私も近藤さんと一緒に歳をとってまいるのだ。そう思うと歳をとるのも怖くはないさ・・・うん。
 アンコールはなし。今回は昼夜2回公演でしたが、私は昼公演しか行きませんでした。時間はあったのになぜか「夜も行こう」という考えが思い浮かばなかったのです。なぜだ???自分でもわからない。ちなみに夜公演ではアンコールがあったそうで、ノクターンの遺作を弾かれたそうです。

 バレンタインのプレゼントを持ってきたのにサイン会がない。終演後、ロビーにて仲間数人と再会。もちろん皆、プレゼントを持っている。数年前のコンチェルトの時はサイン会あったので、今回もやるだろうと思っていたけど、CDの販売だけだった。がっかりぃ!こんな日にコンサートやれば、プレゼント持参のファンが大勢来ることも承知のはずだろうにヒドいじゃねーか。
 そして我々は楽屋口にまわった。
 行列が・・・しかしこの列はチケット販売所へ続く列だった。列をかきわけ楽屋口に到達。中を覗いていると社長と近藤さんが出てきた。
 ヒョエーーーーッ!!!皆、「エサを放り込まれた池の鯉」状態!夜の公演もあったから近藤さんも時間があったのかも。鯉の相手をしてくださった。ラッキー。
「近藤さん、素敵でしたよぉ。元気出ました」と、人の隙間をぬって言う。 
 近藤さんは上着を着替えて黒のセーターを着てました。
 社長の許可を得た池の鯉たちは整列し、ツーショット撮影会。
 人の列が途絶えるたびに分け入って話しかけるアタシ。プレゼントに添付のメッセージカードの封をわざわざはがして本人の前で披露してみた。見開き左面にはメッセージ、右面には写真。写真は私の自宅の壁。
 先月の東京で「I love you」と書いてもらったポスターを金縁の額に入れて飾り、その隣には2年前に広島に遠征したときに買ったポスターが貼ってある。実は2年前には広島にも行ってました、と熱烈ファン度をアピールするため、別の部屋に貼ってあったのをわざわざアイラブユーの隣に貼りなおして写真を撮ったのでした。迫力を出すために斜め角度から撮影。撮り方にもこだわった、究極のショットである。
 私:「近藤さん、これこないだのポスター!額に入れました!」
 近藤さん、写真をのぞきこみ、
 近:「これはどこですか?」
 私:「私の家です!!!」
 こういう喜びはぜひとも本人の前で表現したい。そうすれば近藤さんも「サイン会を開く甲斐があるなあ」と喜んでくれるだろう!
  
 近:「あんまりね、こんなモノで家の中をいっぱいにしないように」

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 次は皆それぞれに思い思いの品を近藤さんに差し出す。私は靴下をプレゼント。「つまらないものですが」と謙虚にGO。
 近:「つまってます、つまってますよぉ〜」
 今日の王子はノリがよい。そしてケータイを取り出し、次の隙を狙う。
 私:「近藤さん、もう1枚!」
 と、ケータイを目の前にかざす。近藤さん、目をぱちっと見開き、鼻の下を伸ばし・・・いきなりなので驚いたのかな、と顔が元に戻るまで待つ。
 が・・・顔は戻らず。「真面目にしてください」とも言えず、そのまま撮影。
 コンサートがあるたびにいろんなファン仲間が、にこやかにサインに応じる近藤さん、カメラ目線でさわやかに微笑む近藤さんを写メールで送ってくれるので私もその人たちにお礼をしようと思ったのに。
 こんなん、いやや・・・・・・納得いかん!!!
 写した画像を近藤さんにも見せてみた。「あぁ、これは撮りなおしましょう」と言ってくれることを期待して。
 反応なし。えーっ・・・。がっかりしつつ画像を保存。
 しかし後日、これを顔見知りなファン友の何人かに送ってみましたところ意外にもウケがよく、特に最近元気のなかった友から「久々に大笑いしたよ」と嬉しい返信をもらいました。
 今回はお茶目な近藤さんをいっぱい見られたのでよかったです。

 そして鯉は退散。何人かとは別れ、5人でお茶を。5人中、なんと関西人は私だけ!あとの4人は札幌・埼玉・千葉・名古屋。皆、気合入ってんなあ。ワタクシ、今後は自ら「追っかけ」を名乗るのはやめようと思います。私なぞ、皆様の足もとにもおよびません。
 しばらくしゃべったあと、北海道、関東勢は夜の公演へ。私と名古屋のそおしさんは呑み会へ。
 呑んでんと演奏会へ行かんかいッ!!!
 というご指摘もあろうかと思われますが、konfan酒呑み同好会のそおし&あっこには通用しまへん。すんまへん。
 夜公演終了後、関東勢は帰郷、札幌の友とは駅で待ち合わせ、私の家の近くまで行き、そこで呑み会。そして我が家に泊まってもらいました(ちょうどダンナが泊まりで遊びにいってて留守だったので)。
 楽しかったです♪


近藤嘉宏 :デビュー10周年記念リサイタル   2005.1.22 ティアラこうとう大ホール(東京)

(第1部)
 ショパン:ノクターン8番 / ノクターン第20番「遺作」 / ワルツ第7番 / 小犬のワルツ / 幻想即興曲 
 ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番「悲愴」

(第2部)
 ドビュッシー:月の光 / 亜麻色の髪の乙女
 ラヴェル:水の戯れ
 シューマン:アラベスク
 ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番「月光」

(アンコール)
 ラフマニノフ:ヴォカリーズ
 ショパン:ノクターン第2番

 あなたを追いかけ東へ西へ。
 というわけで、新年早々行動開始!特に今回は「デビュー10周年記念コンサート」と銘打っている。これは行かねばならぬ。なんとしても行かねばならぬ。
 と浮かれに浮かれて上京。今月、ちょうどぴったりマイルが貯まったのもラッキー。
 朝8時の飛行機に乗る。家を出たのは6時前、起きたのは5時前。昨日寝たのは3時半。睡眠時間1時間半という過酷な状況で私は旅に出たのであった。
 伊丹空港に着いてからカフェオレを立ち飲み。昼食は友とフレンチに行く予定だったので空腹もガマンガマン。そしてトイレで化粧をし、髪をまとめる。全然上手くいかなーい!!こんな日に限ってどーしてどーしてぇぇぇぇぇ!!!
 ま、いーか・・・近藤さん、目が悪いんだしぃ。←?

 つい先日、事務所からポスターが送られてきた。カーネギーホールでのコンサートのポスターだった。近藤さんをはじめ、出演者4人のサイン入り。「お名前を入れようかと思いましたが、横文字ばかりのポスターに漢字の名前を入れるのもどうかと思ってやめました。お名前を入れてほしい方はコンサートに持ってきてくだされば近藤がお書きします」と。
 なるほど・・・それじゃあ英語で書いてもらえばいいじゃん!というわけで、事務所から送られてきた筒に入れたまま持参。荷物になるけどね。でも英語で名前を入れてもらうのさ、そしてウフフフ・・・(また悪知恵働かせる私)。
 チェックインをすませて中に入ろうとすると、例の筒が怪しまれた。「その筒、中身はなんですか?」
 なんだよ、アタシの大切なポスターにケチつけんのかよぉ。
 X線検査終了。問題なし。
 羽田に向けて離陸。天気もいいしゴキゲン。羽田に着く。そして待ち合わせの品川へ。定刻どおりの行動、のはずが・・・。
 やはり間違ってしまった。品川へ行くのには羽田から京急に乗らねばならぬものをモノレールに乗ってしまったのだった。慌ててiモードで乗り換え確認。友にメールで「20分ほど遅れます」とだけ送った。また東京で道に迷ったと思われるのが恥ずかしかったのであります。が、ウソはいけません。「実はモノレールに乗ってしまいました。何度来てもきちんと目的地に行けたためしがないのです。バカな女です・・・」と再度送信する。そして友に浜松町まで迎えに来てもらった。品川へは浜松町で乗り換えれば行けるが、頭でわかっているつもりでもどこへ行ってしまうやらわからんのがこのアタシ。ホントにバカな女です・・・。
 浜松町で友に再会。開演までかなりの時間があったので、この機会に東京の郊外へ足を延ばすことにした。井の頭公園の近くにとっても素敵なフレンチのお店があり、友が予約してくれてたのであります。感謝感激。
 食後は井の頭公園を散策。「ここは何区になるの?」と私はまたしてもトボけた質問を・・・「23区じゃなくて武蔵野市だよ」ということでした。東京の郊外へは一度も行ったことがなかったので、いい記念になりました。東京にもこんないいトコがあるのねー。静かでのんびりしてて。
 しかし井の頭公園とは私の頭の中では・・・バラバラ殺人のイメージが・・・(ずっと昔にそんな事件があったような記憶が)。でも広くて緑が多くてのんびりしていて家族連れが多く、昔ながらの木造家屋の食べ物屋があったり、池には鴨がたくさん泳ぎ、スワンボートがいっぱい浮かんでいました。
「今どき、スワンボート・・・」 なんてレトロなの。
 
 そしてホールへ。開場時刻に無事到着。いそいそと人の流れについていくと社長がお客のお出迎えをしていた。いつもご苦労様です。社長は私の持ってる筒を見て「持ってきたの!」と声をかけてくださった。「でも英語のポスターだから名前は入れない方がいいと思うよ」とも言われたけれど、私は筒を抱きしめる仕草をしつつホール入り。
 ティアラへ来るのは2回目。前は小ホールだったけど今回は大ホール。中は普通のホールって感じだったが、「東京やなぁ」と意味不明に感動する私でございました。
 コートをクロークに預けるための列に並んでいると夢子ちゃんに再会。NY以来なのでーす。ワタクシ、今ではすっかり関東のお友達が増え(関西より数倍多い)、ますます関東遠征が楽しみになっています。次はいつ行こうかな!

 そして開演。社長のあいさつ、事情説明等々。もうすっかり慣れっこになってしまった。今日のプログラム、当初の予定ではオールベートーヴェンだった。私が今日のチケットを買ったのはもちろん「ベートーヴェン」だったからなのでありますが・・・仕方ないですネ、こればっかりは。でも「10周年記念コンサートだから、無理やり弾いてくれんかな」とわずかな期待を持っていたのも事実でして・・・彼を思いやる心が足りぬとファンの皆様からお叱りを受けるかもしれんが・・・だってぇ・・・近藤さんの弾くベートーヴェンって素敵なんですものぅ・・・今年はいっぱい聴けると思って楽しみにしてたんですものぉ・・・(泣)。早く治してね、王子様♪ 熱烈にお待ち申し上げているワ!!

 近藤さん、燕尾服でご登場。髪の毛も短くしてとってもかわいい♪
 演奏が始まる。ショパンのもの哀しい旋律が流れては消え、流れては消え。彼の演奏を聴いているあいだはいつも時間がゆったりと流れるのです。
 10年という歳月は彼にとって長かったのか短かったのか。私が近藤さんの存在を知ったのは3年半前。あとの6年半は彼がどこでどんな演奏をしていたのか知らない。もっと早く知りたかったなぁ・・・その6年半の間、本当に私はどうやって、何を支えに生きていたんだろうと思ってしまう。
 もし10年前に戻れるとしたら私は真っ先に近藤さんのデビューコンサートに行くだろう。彼の指先からこぼれるたくさんの夢のかけらを拾い集めるために、一音一音の記憶を胸に刻むために東へ西へと奔走するだろう。
 あぁ、デビュー当時からのファンの方!あなたのその輝かしい記憶を私に分けてください!!
 なーんて・・・ショパンの音色を聴きつつ、そんなことを考えたのでありました。
 第1部の終わりは「悲愴」。えっ!もう1部が終わってしまうの!?ゆったり流れていたはずの時間が、我にかえるとあっという間に過ぎてしまっているのだった。
 この曲は1楽章も2楽章も3楽章もすべてに華があるけれど、いちばん好きなのは2楽章かな。わかりやすいメロディーだし、テンポも遅いし、優しくて柔らかだけどなんともいえず謎めいていて。近いようでやっぱり遠い、イマイチ正体がつかめないフワリとした感じは近藤さんそのもの。
 ホンマにフワリフワフワやわ・・・近藤さんは。あんなに正体不明なのも珍しいで。
 悲愴を弾く近藤さんは全くもって罪である。

 1部が終わり、休憩に。NYで一緒だった方に声をかけてみた。
 関東のファンはホントに熱い。関西の比にならんと思う。えー?と思われるかもしれないけど、関東の人々の「真摯に彼を慕う姿勢」には圧倒される。(特定個人のファンのことを言ってるわけではなく、演奏会場の雰囲気や人々の様子など、全体的雰囲気を見て私が勝手に想像しているだけですが)内に秘めたるパワーがすごい。まるで家族を見守る愛情のように静かなんだけど、関西よりも「ひたむき」な・・・そんな感じがする。
 私が思うにやっぱり「距離の問題」が大きいのかなあ。同じ関東の空の下で暮らしている親近感がそうさせるのかもしれない。
 私はいつもコンサートの日を何ヶ月も前から心待ちにし、当日は「さぁ!近藤さんが来るでぇ!」と、まるで祭りの朝のような気分で目覚めるものですが、関東の人々は全くの日常生活においてもどこかでばったり近藤さんに出くわす可能性がある、というのが関西とは大きく違うところだ。近藤さんが財布ひとつでのんびりのほほんと大阪駅で電車を待ち、大阪城公園を散歩し、天王寺でお買い物をし、長堀で友達とブランチを、なんていうことはありえないのだ!
 関東の人にとって近藤さんは「やって来る人」ではなく「そこにいる人」なのだ。道端でばったり出くわしたとしてもそれは彼と彼女にとって日常、「全くの日常」なのである!!!

   なぜならば、彼は「来る」のではなく、ただそこに「居る」のであるから。
   彼がそこに居ること。それは偶然ではない、むしろ必然なのである。

 と、今回は哲学者風に気取ってみました。しかし自分で書いてて自分でウザくなってきました。すんません。

 話は変わり、夢子ちゃんが写真を持っていた。NYで一緒だった人からもらったのだと言う。見せてもらうと私も写っていた。ホームコンサートのあったMさん宅前で近藤さんと夢子ちゃんと私とそおしさんが4人で語り合っている写真だった。4人ともすごい笑顔でものすごく楽しそう、まるで友達のような雰囲気だ。
「なんでこんなに笑ってるんやろなぁ・・・全然盛り上がってなかったのにな」
 と思わず本当のことを言ってしまったけど・・・あの写真、私もほしいわあ。

 2部が始まるその前に。近藤さんのトークあり。腱鞘炎の経過と曲目説明。ドビュッシーとラヴェルはフランス、シューマンとベートーヴェンはドイツ。2国の音楽の違いを楽しんでいただければ、とのこと。
 シューマンはドイツっぽくないけどなぁ。まぁいいか。
 ドビュッシーってあんなにきれいな曲を書く作曲家なのに、実はとんでもないヤツだったと何かの本で読んだことがある。彼は37歳の時に結婚したらしい。でもその前につきあっていた彼女がいて、彼女は貧しい生活をしながら必死に働いてドビュッシーを支えたのですが、ドビュッシーはあっさりと他の女と結婚。彼女は絶望してピストル自殺を・・・ところがドビュッシーは結婚後、今度は裕福な銀行家夫人と仲良くなり、駆け落ちした挙句子供まで作ってしまったのです。そして嫁は・・・ピストル自殺を・・・。二人の女性を自殺に追い込んだ彼は「財産目当てに妻を捨て、自分を売った」と世間から酷評され、友人たちは次々と彼のもとを離れ、交響詩「海」の発表をした際には内容と関係なく批判され・・・人間としての株を大いに下げたんだと。
「ドビュッシーてひどい男やったんやよな」と、近藤さんが「月の光」「亜麻色」を弾くたびに思い出すのでありますが、レポにはこのような内容はふさわしくないと心の内に秘めておったのでありました。
 でもこんなにヒドイ男がこんなに美しい曲を創造することができるとは・・・なにやら人間不信に陥りそうだ。
 ところで近藤さんはどうなんだろう。何を考えてるのやら、アタクシは。近藤さんは「聴いたまま」のお人に決まっているでしょうが!ね?
 水の戯れ、アラベスクと続き、月光へと。
 背筋を正して聴く体勢に。今回も彼の月光を体の芯までしみこませて帰ってやるのさ!
 何回聴いてもいいんだよなァ、この曲。でもCDじゃだめなの!生演奏に限る!この曲は私にとって「ベートーヴェンの月光」ではなく「近藤嘉宏の月光」なのだから、他の人が演奏するのを聴くとなんとなく「取られた」という気分になる。
 初めて近藤さんのコンサートに行ったときもこの曲が演奏されたなぁ。もう3年半も前のことだけど。年上の人にこんなことを言うのは失礼かもしれないけど「近藤さん、オトナになったなあ」と・・・10周年を迎え、いよいよ本格的に中堅の域に入っていかれるのだなと実感。さらに5年後10年後、近藤さんが月光が、どのように変化していくのかとっても楽しみ。
 私はどう変化していくかな。大阪のオバハン路線、さらにパワーアップ?とにもかくにも何年経っても追っかけてたいし、追っかけずにはいられないような演奏を夢を、私たちに与えてくださることを祈る!!!
 これからも「変わらずに・変わり続けてほしい」と、イマイチわけのわからない希望を彼に託すわたくしでございました。

 大ホールほぼ満席、すべての演奏を終了し、燕尾の裾をなびかせつつ去っていく彼の後ろ姿はとーっても素敵でした♪
 
 サイン会も大盛況。長い間待ち続け、最後尾へと。最後尾に並ぶのは今回が初めてでした。
 東京で見る近藤さんはなんだか数倍大きく見えるような気が。あぁ彼はやはり「東京の人」なのだなあ。
 近:「遠いところをわざわざありがとうございますー」
 ええ、遠いわよ、確かに。あなたはこれから電車かクルマで帰るんでしょ?どこに住んでんのか知らんけど、小一時間もすれば家に帰れるのよね。私はヒコーキで帰るのよぅ、あなたと同じ空のもとでは暮らせないのよぅ・・・。
 と、感傷に浸っている時間もないので、素早く机にポスターを広げる。
 私:「英語で名前を入れてください」
 社長:「はいはい、英語でね」
 私:「Dear XXX(my first name)と」
 社長:「はいはい、Dearね!近藤君、あなた『Dear』のつづりわかる?」
 阿呆やあるまいし・・・と思ったけれど、近藤さんも同じことを思ったのかも。社長の言葉は全く無視して『Dear XXX』と書いてくれた。
 近:「これでいいですかね?」
 私:「もう一行いいですか!」
 社長:「どうぞ?」
 私:「I love you」

 変なファン、王子に愛のメッセージを強制強要。
 近藤さん、笑ってくれるかな。このしゃれっ気、理解してくれるかな?
 近藤さんの反応はイマイチでしたが、まぁ、社長が大騒ぎ。

「ええっ!アイラブユーって書かせるの!?アイラブユーだって?!すごいなぁぁぁ、アイラブユーだよ!!!」

 しッ!声が大きんだよっ!!後ろで見てる人たち、爆笑してるよぅ。
 でも旅の恥はかき捨て。笑い声を背に、ポスター両手で押さえつけ、身を乗り出すアタイ。
 私:「嘘でもいいから!」
 近藤さん、I Love you !! って書いてくれた。びっくりマーク2個つきだーい!
 このポスターは現在、額入りで我が家に飾られております。(ダンナの反応は「フッ・・・アホや」でした。)
 サイン会のあとは写真撮影。1人1ショットというお約束でツーショット撮影会。私は普通に撮ってもらったけど、今思えばポスター持って撮ってもらえばよかったなぁ・・・後悔。
「アイラブユーの人だ、アイラブユー」
 と、社長はまだ笑っていた。近藤さんはともかく社長にはかなりウケたようでした。よかったです。

 サイン会が終わり近藤さんをお見送り。
 さあ、近藤さんは帰ったぞ!しかしファンの夜はこれからなのさ!!ホール前でNYツアー参加者を中心としたファンの皆々様とわいわいがやがやと記念撮影、路線バスに乗って錦糸町へと移動。
 何人かはバスを下りたとこで別れ、8人+お子ちゃま1人は新年会会場へと(すでにばっちり手配済。ありがとう、友よ)。半数が初対面の方でしたが、楽しく話も弾み、お酒もすすみ・・・しかし呑んでるのは私だけだったかも?
 新しいお友達もたくさんできて充実した遠征でした。


近藤嘉宏 :ピアノリサイタル   2005.1.9 泉の森ホール(大阪)

(第1部)
 ショパン:ノクターン遺作 / ノクターン第8番 / ワルツ第7番 / 小犬のワルツ / 幻想即興曲 
 ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番「悲愴」

(第2部)
 ドビュッシー:月の光 / 亜麻色の髪の乙女
 ラヴェル:水の戯れ
 シューマン:アラベスク
 ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番「月光」

(アンコール)
 ショパン:ノクターン第2番

 
 2005年も明けて早々、近藤さんが大阪へ! ィヤッホー!!
 と、今年もテンション高く追っかけをやってこうと思いますので、皆々様よろしくお付き合いのほどお願いいたします。

 JR熊取駅からバスに乗る。電車とバスの接続は至極悪い。20分くらい待ったかしら。ホールへはバスで10分ほどなのに330円もかかった。あの辺り、田舎だもんなあ。
 ホールはなかなかいい感じ。こんな僻地にこんな素敵なホールがあったのね!
 今日は会社の同僚、パートさん、派遣さんを誘ってみた。このホール、会社からわりと近いので。うち二人は近藤さんの演奏を聴くのは初めて。ファンを増やさねば!と、誰も頼みゃしないのに妙な使命感に燃えている私なのであります。
 開場とともにホール入り。社長がいたのでまずは新年の挨拶を。社長って今までもいつもああやって入口でお客の出迎えをしてたんだろなあ。今までちぃとも気づかんかったけど。
 近藤さんの手の具合はやはり悪いらしい。今日もプログラム変更らしい。ああ、いつになれば関西でオールベートーヴェンが聴けるのだろーか。
 それはさておき、社長の顔面大怪我も心配。眉毛のとこに縦に傷が。話しているうちにもう一組、常連さんが来た。
 そして社長はトーク爆裂。
「もぅ大変だったんだよー!口のあたりもぶつけて腫れ上がって。まるで『スネ夫』みたいになっちゃってさー!!!」
「スネ夫!!!!!」
 笑っていい話題でもないが、常連さんと一緒に爆笑する。

 そして14時に開演。今日は6列目の席で。予約したときには「最前列が空いてますよ」とホールの人に勧められたが、会社の人と一緒だし・・・冷静さを保つため(?)「もう少し後ろの席で」とお願いしたのだった。
 今日は小ホールなので人も少なくいい感じ。静かに聴けそうだ。
 近藤さん登場。
「ハッ!赤や!!」と息をのんだアタシ。近藤さん、久しぶりの赤シャツ。多分、前に一時期よく着てたのと同じだろうが・・・もっと鮮やかに見えた。真っ赤というよりオレンジっぽい。照明の加減かなあ。裾はズボンの中に入れずに外に。あのシャツ、結構短め丈だったのね。(洗濯しすぎて色褪せてちぢんだんじゃあ?なんて思ゃしまへん)
 でもなんやかんや言っても彼は素敵なのでした。明るい色を着ると顔も明るく見えてよし。
 そして「腱鞘炎用プログラム」が始まる。12月19日の奈良、12月25日の西宮、そして今日。20日ほどの間に3回も同じプログラムを聴くことになった私ですが、それでも感激。どんな事情であろうとも楽しみにしてる私たちのために弾いてくださる。それが嬉しいじゃないの!
 それになんだか今日は調子がいい?以前の2回と比べて、音が強くてしっかりしてる!そしてすっごいキラキラしてる!お正月、ゆっくり休んでパワーアップしたのかな?ブラヴォー!
 が、しかし・・・・・・ 
 何曲か弾いたあと、袖に帰っていく近藤さん。
 んもぅぅぅぅぅ・・・・!
 思わずため息ついてもた。帰っていく近藤さんの背中・・・シャツがシワシワなんですけどぉ。あなたそれ、家から着てきたの?と言いたくなるくらい、半端でないシワの入りよう。
 ま、そんな話はおいといて。第1部の目玉はやっぱり「悲愴」。ここでキラキラさは陰をひそめ、芯だけ残して穏やか路線で。堪能いたしました。
 実は私、今日は会社の新年会だったのですが、蹴ってココへ来てよかった。
  
「すっごいきれいな音で弾く人ですねー!」
 派遣さんが大感激。彼女はお母さんがコーラスをやっている関係で、ピアノをよく耳にすることがあるらしい。そんな彼女だったが第1部が終わると帰っていった。会社の新年会に行きたいらしい。大阪市内の一流ホテルでの立食。ウチの部署だけでなくいろんなとこから集まるパーティなため、「海外からエライさんが来るので遅刻厳禁、挨拶の途中で入って来られた日にゃ『遅刻してきたのは誰の部下だ?』と叱られるから、絶対に遅刻しないでくれ」と上司に念を押されたらしい。
 私は基本的に人のたくさん集まるトコはニガテ。華やかなパーティなぞは尻込みしてしまうタチなのです。しかも外国人恐怖症ときてるので・・・(NYでは自分にかなりムチ打ったのですヨ。ホントですよ。カネと王子がかかると強くなれるアタシ)でも今回はちょっと行きたかったな・・・自分ではめったに行けない高級ホテルだったので。
 でも、それでもアタシは近藤さんのピアノを聴く方がいい!
「2部の方がいい曲が入ってるのに残念ですー」と言いながらホールを去る彼女を入口まで見送った。
 
 そして第2部を聴く。
 始まる前に近藤さんのトークあり。まずは腱鞘炎について語る。
「今まで腱鞘炎なんてなったことなかったんです。『そんなの、弾き方が悪いからなるんじゃないの?』と笑っていたんですが・・・」と。
「痛みはひかないし、でも演奏会は近づいてくるし。精神的につらい日々が続いたんですが・・・」
 やはり!!!
 あぁ、お力になりたいわ・・・え?お呼びでない?
「腱鞘炎の話ばかりしてもしょうがないので、今日の曲目の説明をします」
 アタシは曲説明より腱鞘炎の話が聞きたいわ・・・。どれくらい痛いのよぅ?いつ治るのよぅ?医者はなんて言ってるのよぅ?ビェ〜ん。
「1年くらいかかるみたいなんですけどね」
 なんと!!!1年も!治るまで待とうホトトギス・・・か。私としてはしばらく休んでいいから早く治してほしいと思うが・・・でもコンサートのキャンセルは悲しいし・・・悩。
「弾く前に手を温めてきますので、数分お待ちください」
 近藤さん退場。数分かかると言いつつ、すぐに再登場。
 このプログラムは断然2部の方がいい。月の光、亜麻色、水の戯れ、アラベスク・・・月の光の「途方もなく透明な感じ」、水の戯れの「キラキラと何かが無限に溢れ出てくる感じ」、近藤さんの「見た目」と「演奏」がぴたりと一致してるよね。本当に彼はすべてにおいて美しい。

 そして「月光」を。今まで何度も何度も何度も聴いているが、いつも新鮮な気持ちにさせられるのはどうしてだろう。多分、近藤さんが毎回新たに気合を入れなおして新鮮な気持ちで弾いてるからなんだろうな。スゴイな。
 ベートーヴェンのいろんな曲、バンバン弾いてほしいな。ワルトシュタインももう一度聴きたいし、熱情も!!!田園も弾いてほしいなぁ。手が治ったらリクエストしてみよう。
 
 アンコールはノクターン第2番で。この曲はプログラムに組まれるより、アンコールで聴きたい曲。食後のデザートみたいに甘くてほっこりするんだよねー。今日も『おいしい』演奏をありがとう、王子様♪

 そしてサイン会。私は今日は並ばず。見学だけして帰ろう。
 いつもと同様、サイン会の列はすごかった。ところがギャラリーがいない。みんなさっさと帰っていく。あまりにギャラリーが少ないので傍に立って見る勇気が出ず、遠巻きに移動。連れは外で待たせてファン仲間を探す。
 やっと仲間を見つけた。よかったぁ〜。だってひとりで彼を見つめてるのってとっても恥ずかしいんだもーん(わずかながらワタクシにも羞恥心あり)
 そしてサイン会終了。待った甲斐あり、久しぶりにツーショット撮影のお許しが。
 田舎の小ホールならではの大特典だ。遠いトコまで足を運んだご褒美ネ。こんなことになるやもとデジカメ持ってきて正解。
 でもアタシ、写真なんてどうでもいいの。もうたくさん持ってるし。サインもいらないの。
 しゃべりたいんやー。
「15秒500円ぐらいでさ、おしゃべり券を発売してくれんかな」
 と、以前仲間に話して笑われたのですが、いいアイデアだと思わない???思いませんか、そうですか・・・。
 順番回ってきたので隣に行く。近藤さんはすっかり撮影体制で構えてらしたが、そこをなんとか。新年の挨拶くらいさせてネ。
「新年おめでとうございます」と頭を下げると、ちょっとビックリ気味でこちらを向いてくれた。話しかけられると思ってなかったのか・・・そんなハズはあるまい、私に限って。近藤さんは同じく頭を下げてくれて、「今年も・・・・・・」
 よろしくお願いします、と言ってくれるのかと思いきや、彼は言葉を濁した。なんでや?またヘンな間が空きそうだったのですかさず、
「今年もよろしくお願いしますー」
 と言っといた。近藤さん、「ハハハ」と、やや笑。
 うーん小吉。いや、新年早々話せたし写真も撮れたから中吉、いや、いい演奏を聴かせてもらったから大吉やね☆
 というわけでした。
 
 帰りは駅まで歩いて帰ることに。道中で連れの感想を聞く。
 3、4回ほど聴いてくれてるパートさんは「今日の演奏は今までのと比べてすごくよかった。特に2部がね」
 初めて近藤さんの演奏を聴いた同僚は「うん、月光がよかった〜。熱情も聴きたかった〜」と。
 喜んでもらえてうれしいわ。
「ステキやろ?綺麗な音やろ?シャツはシワシワやったけど」
「うん、確かにねー」 
 しかし駅までの道のりは遠かったですぅ。あの辺り、海が近いからか寒いのよねぇ。あまりの寒さに風邪ひいて翌日から2日ほど寝込んでしまいました。

 以上、レポートおわり。(しばらくこのプログラム続くんだよねー?・・・悩)