高水温対策
06.07.31現在、まだまだ続くであろう猛暑である。
熱帯魚を飼育し始めた方等には、熱帯魚と言うからには、高水温でも大丈夫だろう思われている方もいる事だと思います。
これを書いている、ここの管理人テトラポットも熱帯魚飼育を始めたばかりの頃は、ある程度の水温上昇は必要だろとは思っていたが、窓を開けっ放しにして風を通せば、大丈夫だろうとそれ程重要とは考えてませんでした。
が予想を裏切り、高水温と飼育の未熟さから、沢山の熱帯魚達を全滅に追いやりました。
住んでいる、地域にも寄りますが夏の水温上昇を舐めてかかると、春まで元気に育っていた熱帯魚達を全滅させる事になります。
水温が30度を超えると一般的な熱帯魚は体力が衰え日に日に、お☆様となる魚たちが出始めます。
また、魚の体力の衰えるだけではなく、水中に溶け込む酸素の量が減り、酷い場合には酸欠でお☆様となる事も有ります。
冬場は、水槽に適合したヒーターが1本でもあれば、大丈夫ですが、水温を下げる器具は割と高価だったりします。
そこで、手軽に出来る、水温を下げる器具や方法と、高価だが夏の水温維持に大きな効果を発揮する、(現在管理人の使っている)水槽用クーラーを紹介し様と思います。
手軽な夏の水温維持の方法
一般的に良く使われる、お手軽な器具としては、まず、クールファンが一番に思いつきます。
クールファン
水槽の上部に取り付け水面に送風し、水温を下げます。
水温を下げる仕組みとしては、水等が送風によって、通常よりも多く水槽の水を蒸発させるのですが、水等が蒸発する際、温度を奪って蒸発する為、水温が下がります。
効果の程は、3〜4度程、水温を下げます。
3・4度と舐めてはいけません、変温動物である熱帯魚等、魚達は水槽の水温=体温となります。
その為、1・2度程度の水温の変動が命取りとなります。人間の1・2度体温が上がるとかなり辛いですよね。
各メーカーがクールファンを販売していますが、タイプ的にはドライヤーの小型版の様なものに、アームが付いていてアームについているクリップで水槽に挟んで設置する物(右の写真)、水槽の水面と平行して簡単な手巻きネジで固定する物などあります。
どれも,
2000〜3000円程度で購入できます。また、パソコンのCPUなどを冷す為のファンを改造して使用している人もいるよう。材料費、1000円ほどで納まるようですが、製作する手間と安全面・保証等を考えると市販のクールファンを購入した方が無難でしょう。
クールファンのデメリット
手軽で安く購入できる、クールファンですがデメリットもあります。
基本的に夏場は24時間付けっぱなしなのでいつも、モーター音が五月蠅い。扇風機の方がよっぽど静かです。
水の蒸発が激しい、水温や湿度等によって変わるかも知れませんが、1日付けっぱなしで、500〜1000cほど、水槽の水が蒸発します。その為、足し水をするのが面倒、小型水槽で水草を植えていると、水面付近のはが空気中に出てしまい乾燥し、その部分の葉が枯れたりもします。
アームのクールファンの場合、アーム部分が何故か錆びる。
通常水槽の上から送風する為、蓋が出来ない魚の飛び出しに注意。
逆サーモ
冷却(クール)ファン用サーモとも呼ばれる事があります。
通常のヒーターと繋ぐサーモスタットの場合、水温が設定温度より下がると、通電を開始しますが、この逆サーモの場合、水温が設定温度よりも上がると通電を開始するので逆サーモです。
上記でも書いた様にクールファンを使用すると、かなり、水槽の水が蒸発して行きます。そこで、水温が設定温度まで下がると、通電をオフにし過剰な蒸発をしない様に出来ます。また、電気代の節約にもなります。
値段は、2500円から4000円ほどします。クールファンより高いですが有ると便利。管理人も買おう買おうと思いつつまだ買えてません。
逆サーモのデメリット
特には無いのですが、この逆サーモにヒーターを間違って接続して使用すると熱帯魚スープが出来てしまいます。逆サーモの本体の色は青色が多いので間違わないと思いますが気を付けて。
ライトのリフトアップ
最近はアーム方の照明も多数出てきていますが、昔からある水槽上部に乗せる蛍光灯ライトの場合、蛍光灯ランプの熱が水槽の水に伝わり、水温を室温より1・2度上昇させる事があります。
そこで、夏このタイプのライトに良く使われるのがライトのリフトアップである。
そんな凝った器具ではなく、水槽の左右に下駄の様なものを付けて、水槽からライトを離して設置する為の器具です。
水槽からライトが離れるので、水槽の水に熱が伝わり難く水槽とライトに間が出来るため、底から空気が入りほんの少し水が蒸発し、水温が上がるのを軽減出来ます。
素材にもよりますが、数百円から1000円程度で購入出来ます。
これだけでは、水温を室温以下にする事は出来ませんが、クールファンなどと兼用すると効果的でしょう。
リフトアップののデメリット
ガラス蓋を使っていない場合は、水槽とライトに間隔が有る為、坂の飛び出しに注意。
水草水槽の場合、若干、光量が落ちるので注意。
パソコンと水槽が同室に有る方は・・・
これは、器具ではなく高水温対策です。パソコンと水槽が同室に有る方の場合、パソコンの電源を出来るだけ消しておきましょう。
最近では、常時接続が一般的となって来ましたので、24時間パソコンを付けっ放しにしている方もいると思いますが、パソコンから出る熱も相当な物です。
特に梅雨時期に窓を締め切って出掛けた場合、熱が篭り室温が上昇し結果、水槽の水温も上昇します。
また、パソコンの他に、HDレーコーダやゲーム機器も熱を多く発しますので注意しましょう。
夜にライトを・・・
日中に水槽のライトを付けている方は、夏場の間だけでも、ライトを付ける時間を夜に変更して見ましょう。
これは、温度の上がる日中に出来るだけ温度を下げる為、ライトを消し、少しだけ涼しくなる夜にライトを付けて、ほんの少しですが、水温上昇を抑えましょう。
24時間ライトを付けなければ良いのではと思う方もいると思いますが、魚の体内時計等がずれ気味になったりして魚の健康に良くありませんし、水草も枯れてしまう恐れがあります。
日光に当たらない様に
水槽に太陽の光が直接でも間接的でも当たらない様にしましょう。
太陽光は蛍光灯ライト等とは比べ物にならない位の光量があり、太陽光が水槽に当たると水温上昇も激しくなります。
水槽を太陽光の当たらない所に移動するのは大変な作業ですので、斜光カーテン等で光が届かない様にするか、水槽の前に衝立を付けるかしましょう。
夏に入る前はヒ−ター温度を高めに
これから、外気温が高くなる、夏直前に何故、わざわざヒーターの温度設定を上げるのかと思われる方がいると思いますが、春の終わりや梅雨時期など、昼間と夜間では外気温にかなり上下する事があります。
例えば、ヒーターの温度設定を25度で夜中や朝方が24〜25度程の気温で、昼間は28〜29度前後の気温になる場合、温度差が4℃程も出てしまいます。
一般的な熱帯魚は水温が28度を超えると体調を崩す可能性が出てきますが、それ以上に、急激な温度差が生じる事の方が体調を崩し易いですので、多少平均温度が上がっても、ヒーターの温度設定を、27〜28℃に設定していれば、温度差が2℃ほどで済みます。
ですが、今まで、25℃に設定していたのを行き成り28℃に設定し直すとこれも、魚の体調に良くありませんので、数日かけて設定温度を上げていきましょう。
水槽に氷を入れない
夏場上がり過ぎた水温を下げる為に、氷を直接水槽に入れたり、水入りペットボトルを凍らせた物を入れる方がいますが、危険ですので止めましょう。
何故危険なのかと言うと、上記にも書いた様に、温度差が出てしまうからです、氷や凍ったペットボトルを水槽に入れると、初めは水温が下がりますが、氷が溶け切れば、急激に水温が上昇してしまうからです。
もし、水温が上がり過ぎて、どうしても氷などを使って水温を下げたい場合は、氷が溶け切る前に氷を足し続けましょう。
が、これは事実上、難しい作業になるでしょう、まず、眠らず氷を入れ続けなければならないし、水槽が大きくなれば必要な、氷の量も増えるし氷が溶けるスピードも速くなので家庭用冷凍庫では氷の生産が追いつかないでしょう。
氷を大量購入するならクールファンを購入した方がよっぽど安く買え水温も安定します。
高価ですが水槽用クーラーを・・・
一般的な方法で、もっとも高水温を抑え安定しているのが、水槽用クーラーです。
管理人もメインの90cm水槽には、水槽用クーラーを使用しています。
ですので、ここでは90cm水槽を使用していると言う事で話を進めていきます。
そこで、実際に使っている水槽用クーラーの使用した感想をここでは書いて行こうと思います。
今回紹介する、水槽用クーラーは、ゼンスイのZR-75Eを紹介します。
ZR-75Eの基本スペック
電源:AC 100V 50/60Hz
消費電流:2.2A
消費電力:200〜220W
コンプレッサ出力:75W
ファンサーモ出力:18W
カロリー:240/280Kcal/h
用途:海水・淡水兼用
温度制御:IC電子コントロール
ヒーター:100V/600W以内
冷媒:R-134a(HFC-134a)
配管接続:75Eホース専用継ぎ手(小:12mm 大:16mm)
寸法:W270×D320×H420mm
重量:12.4Kg
循環水量:毎分15〜30L
温度設定範囲:4℃〜40℃
室外温度範囲:35℃以内
ヒューズ:10A
ZR-75Eの接続の仕方
水槽用クーラーZR-75Eは、単体では使用できず、水中ポンプや外部フィルター(メーカーは保証してない)を接続して、使用します。
ホースの大きさは、内径が12mmの物か、16mm物なら接続可能でこれは、一般的な、水中ポンプや外部フィルターと同じホースの径と同じなので特に難しく考える事は無いと思います。
そして、このZR-75Eで使用する水槽の大きさは、25℃設定で300L以下の水槽で使用できます。
それから忘れてならないのが、ZR-75Eに流す水流量です。
基本スペックの循環水量が毎分15L〜30Lとなっているので、この範囲の水流量の有る、水中ポンプか外部フィルターを接続しなければいけません。
水中ポンプは種類が沢山ある為、適合水流量の水中ポンプが直ぐに見つかると思います。
外部フィルターの場合は、120cm水槽用〜のもが大体適合水流量だと思います。
管理人は、テトラのEX パワーフィルターと接続しています。
外部フィルターと接続する際、気を付けなければならないのが、ろ材の目詰まりです、ろ材が目詰まりしてくると当然、水流量が落ちてきますので頻繁なフィルター掃除が必要になってきます。
ZR-75Eの電気代
水槽用クーラーは、消費電力が大きく電気代が高くなります。
ZR-75Eを60Hzの地域で1日8時間稼働したとすると、1KW1時間23円と計算して、220W×0.023円×8時間×30日=1214円となる計算になります。
後、クーラー機能とは別に、コンプレッサ出力75Wとファンサーモ出力18Wの電気代もかかってきます。
色々な器具を24時間稼働させたとしたら・・・
ZR-75E(220W+75W+18W):3643円+1242円+298円=5183円/月
ヒーター300W(90cm水槽用):4968円/月
冷却ファンビッグ(4.7W):77円/月
EX パワーフィルター(20W):331円
計算してみると、やはり、水槽用クーラーの方が一番電気代がかかります。
また、この他に水中ポンプや外部フィルターの消費電力も計算に入れましょう。
ですが、水槽用クーラーが24時間稼働するわけでは有りませんので、実質的には、2000円〜3000円/月位で納まると思います。
ZR-75Eの初期費用
後の問題としては、初期費用がヒーターとは比べ物にならない位かかります。
管理人の場合は、ZR-75Eを35000円で購入し、濾過機兼ポンプとしてEX パワーフィルター120を14900円で購入合計で、49900円となりました。
ポンプを水中ポンプにすればもう少し安くなるかも知れません。
ヒーターの場合、300Wヒーター1560円と300W用サーモスタット2040円で合計が3600円で済みます。ヒーターのセットよりも約13倍の値段となります。
ちなみに上記の金額は、チャームさんの売値で計算しており、通常よりも少し安くなっていると思います。
ZR-75Eの問題点
今回紹介した水槽用クーラーZR-75Eにも少しばかり問題があります。
それは、ヒーターのサーモスタットの場合、水温25℃に設定すると、24.9℃になった時点で通電し始め(多分)25℃になると、通電しなくなりますが、ZR-75Eの場合、ヒータのサーモスタット機能も付いて競合しない様にする為か、水温25℃に設定した場合、26℃を超えた時点でクーラーが稼働し始め、1時間ほどかけて25℃になると稼働がとまります。
と言う事は、1時間で1℃の温度差が出てしまう事になります。
せめて、0.5℃刻みで設定出来れば良いのだが、1℃単位でしか温度設定が出来ません。
水槽用クーラーはクーラーと室外機が一体となった状態ですので、水温を下げる際、排気の熱で室温が上がります。思ったよりも・・・
後の問題点と言うか良くわからないのは、マイナスイオン発生機能が付いている事、マイナスイオンてホントに効くのかまた、何に効くのか良くわからない
・・・無くても良いのではと思う機能が付いています。
他機種の水槽用クーラーを使っておられる方がいましたら、是非水槽用クーラーのメリット、デメリットを掲示板で教えて下さい。
少し豪快な方法
番外編的な高水温対策としては、水の垂れ流し方法があります。
この方法は、水道水から少しづつ水を出し、水槽に入れていくというやり方です。
当然、水が満杯になると零れてしまいますが、配管などを利用して、外に排水させます。
この方法のメリットは水温が下がる上に安定した水温となります、また、常に水を入れ換えているので、通常の水換えの頻度が下がります。
デメリットとしては、水道代がかかる、それなりの設備が必要となりますので、余り実用的ではありません。
上記に書いた他に、複数の水槽を同室で維持している場合、水槽用クーラーを使った場合、水槽×水槽用クーラーが必要になりますので、かなりの費用が必要になります。
そこで、水槽の複数ある部屋で部屋様クーラーを24時間稼働させる方法です。
電気代が相当かかりますが、複数の水槽用クーラーを購入したり、稼働させるよりは大分、維持費用などが抑えられます。
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