1.収入印紙に消費税がかかるの? → それを逆手に節税しましょう!

 消費税が導入されて早16年。それにもかかわらず、まだ十分に理解されていないのがこの税目です。今回は収入印紙に消費税が課される場合について考えてみたいと思います。「そもそも収入印紙や商品券については消費税が非課税とされているはず。消費税が課されることがあるの?」と疑問を抱いたあなた、よく勉強されていますね。でも、収入印紙の非課税は、商品券の非課税とはちょっと違います。

(1)消費税の非課税

 消費税法第6条1項で、「国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。」とあります。その別表第一第四号イに印紙が、同号ハに商品券が出てきます。郵便切手類と印紙は同じところに書かれているのですが、「印紙」に限って抜粋しますと次の通りになります。

 「印紙をもつてする歳入金納付に関する法律第三条第一項各号(印紙の売渡し場所)に掲げる印紙の譲渡、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律第三条第一項各号に掲げる所における印紙の譲渡」

 ここで問題となるのは「印紙をもつてする歳入金納付に関する法律第三条第一項各号」ですね。この法律は下記の通りです。

第3条 印紙は、次の各号に掲げる種類に応じ、当該各号に掲げる所において売り渡すものとする。
1.収入印紙
郵便局、郵便切手類販売所又は印紙売りさばき所
2.雇用保険印紙
総務大臣が厚生労働大臣に協議して指定する郵便局
3.農産物検査印紙
食糧事務所又は農林水産大臣が委託する者が設ける農産物検査印紙売りさばき所
4.自動車検査登録印紙
地方運輸局、運輸監理部、運輸支局若しくは地方運輸局、運輸監理部若しくは運輸支局の事務所又は国土交通大臣が委託する者が設ける自動車検査登録印紙売りさばき所
5.健康保険印紙
総務大臣が厚生労働大臣に協議して指定する郵便局
6.自動車重量税印紙
郵便局のうち総務大臣が指定するもの又は郵便切手類販売所若しくは印紙売りさばき所
7.特許印紙
郵便局のうち総務大臣が経済産業大臣に協議して指定するもの又は郵便切手類販売所若しくは印紙売りさばき所
8.登記印紙
郵便局のうち総務大臣が法務大臣に協議して指定するもの又は郵便切手類販売所若しくは印紙売りさばき所

 長々と条文にお付き合いいただきましたが、ここまでお読みいただけると印紙は必ずしも非課税と言えないことに気づかれると思います。収入印紙でいえば、「郵便局、郵便切手類販売所又は印紙売りさばき所」で売り渡されるものだけが「収入印紙」であり、「郵便局、郵便切手類販売所又は印紙売りさばき所」で譲渡される収入印紙だけが非課税なのです。

 比較のため商品券等の非課税についての条文をあげておきます。消費税法別表第一第四号のハには

「物品切手(商品券その他名称のいかんを問わず、物品の給付請求権を表彰する証書をいう。)その他これに類するものとして政令で定めるものの譲渡」

とあります。つまり商品券やテレフォンカード、ハイウェイカードなどはどこで売ろうが、どこで買おうがそれが国内取引であればすべて非課税ということです。先の印紙とは扱いが大きく異なりますね。

(2)収入印紙に消費税が課される場合とは?

 上の説明でお分かりの通り、「郵便局、郵便切手類販売所又は印紙売りさばき所」で譲渡される収入印紙は非課税なのですが、それ以外の場所(たとえば金券ショップや格安チケット屋など)で譲渡される収入印紙は課税ということになります。つまり、売った側(金券ショップ)は消費税の課税売上げとして扱い、買った側は消費税の課税仕入れとして扱う、ということです。

 金券ショップで収入印紙が商品券等に比較して意外な高価格で販売されている理由も実はここにあります。一般的に金券ショップでの収入印紙の販売価格は額面の98〜99%です。これはビール券や商品券が額面の92%〜95%程度で販売されているのに比較するとかなり高額ですが、その理由は以下の通りです。

A.金券ショップが収入印紙を額面の99%で売った場合
 これは消費税の課税売上ですので、100円の印紙を99円で売ったとしても実際は、95円が印紙の売上高、4円は印紙の売上げにかかる仮受消費税ということになります。

B.金券ショップが商品券を額面の95%で売った場合
 これは消費税の非課税売上げであり、額面100円の商品券を95円で売れば、95円全額が商品券の売上高ということになります。

 この比較からもわかる通り、金券ショップは同じ売上高を確保するためには、非課税商品である商品券よりも課税商品である印紙は高く売らなければならないことがわかります。

(3)これを利用して消費税の節税を!

 金券ショップを利用しても、収入印紙はそれほど安く入手できないことは(2)で述べた通りです。では、印紙を金券ショップで買うことは意味のないことでしょうか? いいえ、そうではありません。消費税の課税事業者であり、本則課税を採用している事業者であれば、(2)を利用して消費税の節税をはかることも可能です。特に、印紙の購入額の大きい不動産業や建設業の方には知っておいていただきたいことです。

 本則課税とは簡単に言えば、「売上にかかる消費税(預かった消費税)」から「仕入れにかかる消費税(支払った消費税)」を差し引いた残りを税務署に納付するシステムです。簡単な例を出せば次のようになります。

売上高 10,000円(預かった消費税500円)
仕入高 5,000円(支払った消費税250円)
支払賃金 2,000円(支払った消費税0円)←給料・賃金は消費税の課税対象外
収入印紙 1,000円(支払った消費税0円)←収入印紙は郵便局で購入し非課税!

 上の例の場合、利益は10,000円-(5,000円+2,000円+1,000円)=2,000円で、納付すべき消費税額は500円-250円=250円となります。

 同じ設定で、収入印紙を額面の99%の金額で金券ショップで購入した場合は、

売上高 10,000円(預かった消費税500円)
仕入高 5,000円(支払った消費税250円)
支払賃金 2,000円(支払った消費税0円)←給料・賃金は消費税の課税対象外
収入印紙 943円(支払った消費税47円)←金券ショップで税込み990円で購入

 利益は10,000円-(5,000円+2,000円+943円)=2,057円となり、納付すべき消費税額は500円-(250円+47円)=203円と節税できます。売上高に対する印紙代が10%という乱暴な例ではありますが、金券ショップで収入印紙を購入すれば消費税の節税効果があることはご理解いただけたかと思います。もっとも利益が増えた分、法人税額あるいは所得税額が増えるのですけれども、それらを考慮してもなおトータルでの節税効果はあります。

(4)まちがいやすい経理処理

 最後にまちがいやすい経理処理を指摘して、この項を終わりたいと思います。

まちがいやすい経理処理 その1
 金券ショップで購入した収入印紙は非課税仕入れではありません。課税仕入れとして処理しましょう。ただし本則課税において、消費税の仕入税額控除の適用を受けるには、帳簿および請求書等の保存が必要になります。また、帳簿には

を記載する必要があります。

まちがいやすい経理処理 その2
 上記の例でいえば、手持ちの印紙を売った場合(相手先に印紙の持ち合わせがなく、こちらが持っている印紙を売り渡す場合など。実社会では往々にしてあることですね。)は非課税売上ではなく、課税売上として処理する必要があるはずですが、顧客や外交員の利便のために実費で印紙を融通する行為は、単なる立替えであり、不課税取引となります。また、司法書士が依頼者のために登録免許税等の立て替え払い(印紙・証紙等の購入)をし、相手方にこれらの立替金を明白に区分して請求し受領している場合は不課税となりますが、区分せず請求した場合は印紙代部分も課税売上(=司法書士の立場。相手方は課税仕入)となります。

【参考】消費税法基本通達 6-4-1

 法別表第一第4号イ(郵便切手類等の譲渡)の規定により非課税とされる郵便切手類又は印紙の譲渡は、国が行う譲渡および簡易郵便局又は郵便切手類販売所若しくは印紙売りさばき所等一定の場所における譲渡に限られるから、これら以外の場所における郵便切手類又は印紙の譲渡については、同号の規定が適用されないのであるから留意する。

【参考】消費税法基本通達 10-1-4

 事業者が課税資産の譲渡等に関連して受け取る金銭等のうち、当該事業者が国又は地方公共団体に対して本来納付すべきものとされている印紙税、手数料等に相当する金額が含まれている場合であっても、当該印紙税、手数料等に相当する金額は、当該課税資産の譲渡等の金額から控除することはできないのであるから留意する。
(注) 課税資産の譲渡等を受ける者が本来納付すべきものとされている登録免許税、自動車重量税、自動車取得税及び手数料等(以下10-1-4において「登録免許税等」という。)について登録免許税等として受け取ったことが明らかな場合は、課税資産の譲渡等の金額に含まれないのであるから留意する。

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