憲法9条の会・関西 HP

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会報巻頭文

澤野義一

2018年10月
2019年5月3日 憲法9条の会・関西  賛同集会 デモにも参加します。

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会報94号巻頭文 2018年10月

明治150年と自民党の改憲策動

                             代表世話人 澤野義一


 自民党総裁選に勝利した安倍首相は、改憲が総裁選の最大の争点だったから、秋の臨時国会に自民党改憲案を提出すると述べている。しかしそれは、改憲を私物化する自民党や安倍首相の勝手な主張であり、国民の多数は臨時国会への改憲案提出を望んでいない。共同通信社の世論調査(9月20〜21日)によれば、賛成が35・7%に対し、反対は51%である。

改憲案提出を急ぐ理由としては、来年4月以降の統一地方選や天皇代替わり儀式が行われる前に改憲発議をしたいということであろうが、それ以外のことも考えられる。それは、2018年の本年が明治維新(1868年)から150年に当たることから、本年秋を改憲発議の具体的な端緒にしようとしているのではないかということである。

安倍首相は、明治150年の節目を意識して、本年の年頭所感において、「150年前、明治日本の新たな国創りは、植民地支配の波がアジアに押し寄せる、その危機感と共にスタートし」、「国難とも呼ぶべき危機を克服するため、近代化を一気に押し進める原動力になった」と述べ、本年の年頭記者会見では、「今年こそ、新しい時代への希望をうみ出すような憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国民的論議をいっそう深めていく」と述べている。このことは、安倍内閣の下で2016年頃から計画された「明治の精神に学び、日本の強みを再認識する」ための「明治150年」関連施策が推進されていることとも無関係ではなさそうである。

しかし、そのような明治の精神や歴史の評価には疑問がある。明治政府は富国強兵の下に、民衆の自由民権運動を抑圧して天皇主権の明治憲法を制定したうえ、教育勅語等により忠君愛国を国民に強要し、対外的には日清や日露の戦争等を通じてアジア諸国を侵略し、植民地化も推し進めた。このような歴史の反省もなく、安倍首相等が「明治の精神」を評価する姿勢は、明治憲法や教育勅語等を再評価したり、いわゆる北朝鮮脅威等を口実として日本の軍事力を増強することにつながっている。それはまた、自民党の日本国憲法に対する改憲策動の動機になっている。

今回の自民党改憲案は、憲法9条への自衛隊明記、緊急事態条項の新設、参議院の合区解消規定の導入、教育の充実規定の追加を改憲項目にしているが、この4項目の「お試し改憲」案を見ただけでは、改憲策動の本当の意図は理解しにくい。それを理解するには、日本国憲法の基本理念を否定する2012年の「自民党改憲草案」を改めて見ておく必要がある。例えば人権についての改憲草案の解説では、天賦人権的な日本国憲法の規定を見直すことが意図されている。そうだとすれば、自民党改憲案と、天賦人権思想に基づいて構想された民主的な自由民権派の憲法案を否定して制定された明治憲法との間には親和性があることが判明する。