<インド仏跡旅行記>その10
 

 いよいよインド最終日、今日はボンベイの町をガイドさん無しで探索しようと言うことになり、ガイドブックを片手に出発、と思ったのですがホテルの前のタクシーに乗りたいのだが言葉が通じない、英語を話す運転手はまずいない。皆ヒンズー語、何を言っているのか全然分からない。結局ガイドに頼んで行き先を伝えてもらい、5人で3時間の小旅行に出発。
 行き先はボンベイのフォート地区。18世紀の植民地時代に英国人が築いた町です。現在も建物はそのまま残り19世紀の時代の中にいるような町です。   さて、私たちが乗ったタクシーは(ボンベイのタクシー全部が)屋根が黄色で車体は黒ですべて中古で4人乗り、メーターは付いているが料金は交渉次第。300ルピーで乗ったが後で調べたら10倍ぐらい払っていたようです。インドのタクシーは日本でなら整備不良で走れないでしょう。カーブでドアが開くこともよくあるとのこと。かなりボロボロの車が多く見られました。
 出発して10秒もたたないうちに運転手はヒンズー語でしきりに何か言っている。だんだん声が大きくなり身体を斜めに向けて私たちに話しかける。何を言っているのかよく分からなかったが、どうやら私たちに宝石をすすめているらしい。「ジュエリー」と言う言葉だけが理解できたが、後は雰囲気。彼らは「お土産屋」と提携していて客を連れていけばいくらかバックされるのだ。私たちは「ノー」と言うのだが運転手は後ろを向いて話しかけてくる、思わず「前を見て運転しろ」と叫んでしまう。道路は人、車の洪水、よくぶつけないで走っている。10分ほどで車は止まる。
 降りたところの店のガラスには「お買得」と日本語で書いてある。しっかり私たちは「お土産屋」に連れてこられたのだ。皆怒って「絶対に入らない」と言い捨て歩き出す、がここはどこなのだろう。ホテルには帰れない。言葉も分からない。頼りになるのは一冊のガイドブック。地図を見れば目的地とはそんなに離れてないような感じ、道路の標識と地図を見ながら5人でワイワイしていると、親切なインド人が英語で道を教えてくれた。
 なんとかフォート地区にたどり着き一安心。街を散策、色んな店があるので覗いて歩く。今まではガイドの紹介の日本人専門のお土産屋で買い物をしていたが、これだとガイドのバックマージンが物凄く高く、お土産も通常の何倍もするのです。こういうお土産屋は日本語が通じて「円」も使えますし、従業員はやたら親切です。ガイドは自分の契約している店にしか私たちを連れていかないです。少しでも勝手に動こうとすると「あちらは危ない行くな」と言います。実際に危険な地区もあるので仕方がないです。実はこのインド旅行でずっとこの様な買い物をさせられていたので、すこしうんざりしていました。もっと現地の店に入ってインドの生活が感じられる経験をしたかったのです。
 今日は最終日、思い切ってガイド無しで買い物が出来る。5人で金属の壷などを売っている店に入る、今までのお土産屋とは全然違う接客態度。接客と言うのもおかしいような態度。買うまで相手にしない、説明もなにもない。やっとでインドの感じが出てきました。銅製の花瓶を買いたかったので、ドルで買えるか聞けば「ノー」インドのルピーしか使えないとのこと。5人ともあまりルピーを持つていない。これからの買い物のことを考えると両替の必要がある。両替といってもどこでするのか、ガイドもいないし困っていたが「バンク」の文字を発見。銀行なら両替してくれるはず、早速銀行の中に入が、ヒンズー語は全然読めない、英語もあまり強くない、どうすれば両替できるのか紙幣の種類もたくさんあるし、5人とも入ったまま固まっている。店内を見回すとラッキーなことに私たちとよく似た人種がいる。日本人か中国人か韓国人のいずれかであろう。リックを背負い旅慣れた感じの学生風、近づいて「日本の方ですか?」「そうです」やったという感じ。この学生さんは1カ月位インドを旅しているとのこと、早速両替の書き方を教わり両替無事完了。驚いたことに両替した新札をホッチキスで綴じて渡してくれました。インドの紙幣に穴が開いていたのはこの為でした。
 学生さんと別れルピーを持ち買い物へ。今までのお土産屋とは違いどの店も値段は物凄く安い。銅製品・お香・衣服・かばん・民芸品等の店を回りましたどの店もやはり愛想は大変悪いです。買うまで接客しませんでした。
 法光寺の御宝前の焼香の入れ物はこの時買いました。白檀の彫り物で少し小さいですが気に入っています。因みに値段は日本円で3000円でした。ガイドの紹介のお土産屋で15000円していました。
 何軒か回っていく内に何人かの路上生活者(こじきさん)に囲まれるようになった。この8日間でだいぶ彼らにも慣れたのだが、ガイドがいないのと、囲まれた雰囲気がなんと表現したらよいのか分かりませんが、早くこの場所から脱出したい感じでした。片足の無い人、両手首の無い人、両手にサンダルをはめ馬のように四つ足で歩いてくる人。皆空き缶を下げています。 ・・・・・・・・・ど・う・し・よ・う・・・・・・・(つづきは次号で)
 


<インド仏跡旅行記>その11


 ボンベイの街の探索に出かけガイド無しでウロウロ。やっと本物のインドでの買い物を味わっていましたが、何せ人のよさそうな日本人5人、すぐに路上生活者さん達に囲まれる囲まれる。兎に角凄い、動けなくなるように囲まれます。今までに見たことのない風景、その中でも凄いのは四つ足で歩いてくる人。身体が不自由な人が多いのです。これもインドの一面なのでしょうか。あまりの凄さに小銭をあげる余裕すらない。兎に角その場を離れるためには何処かの店に入るしか無いのです。店の中には彼らは絶対に入ってきません。そんなことを繰り返ししている内に時間が過ぎて、何とかホテルに帰り昼食。昼からは博物館とインド独立の父
ガンディーの生活していた家を見学した。時間はあっと言う間に過ぎるものです。インド旅行も最後のフライトになり21時40分ボンベイの空港を飛び立ち日本への10時間の旅ですべて無事終わりました。
 一年以上前の旅行を思い出しながら、下手な文章で書きましたが、五千年の歴史と9億人の人々が作り出す、混沌と喧騒のインド、そして「お釈迦様」を身近に感じたこのインド旅行は、檀信徒皆様のお蔭で行かせて戴いたものと感謝致しております。本当に有り難う御座いました。・・少し余談を・・


 

<インド旅行番外編> 


 インドの旅行のガイドブックには必ず「トイレ」の問題が出ている。旅行記にも何度か書きましたがインドにはあまりトイレが無い。有っても「紙」が無い。旅行記の中には書かなかったですが「トイレ」には相当悩まされました。また、インド旅行ではよく「お腹をこわす」「水」は飲めない等、国内旅行とはちがう注意が必要になります。私もお腹だけはこわしたくない、「水」には注意していました。水道の水は絶対飲めませんし、レストランで出てくる水の中の氷も要注意です。飲むのはミネラルウォーターだけです。歯を磨くときもミネラルウォーターです。細心の注意をしてこの旅行に臨みました。・・なのに・・・
 旅行2日目に思わぬ落とし穴がありました。それはインド国内線の飛行機の食事でした。2日目にボンベイからベナレスまでの5時間のフライト。この間に食事が2回出ます。インドの食事は宗教によって異なりますので(ヒンドゥー教は牛肉は食べない・イスラム教は豚肉は食べない)、この時のフライトではは2種類の食事が出ました。「野菜のみ」と「チキン入りの食事」でした。国内線なので味つけはまったくのインド味。5時間の間に2回同じ食事が出ました。私、欲張ってせっかくだから、はじめは「野菜のみ」次は「チキン」と二度戴きました。味は私には「ちょっと」と言う感じ。スパイスが効きすぎている。とどめはインドの漬物・・・物凄く辛い辛い辛い・・これが私の弱い胃腸を刺激した。後で聞いた話ではインドでは「水」もあたるがスパイス」にもあたる日本人が多いとのこと。この辛いスパイスが今回のインド旅行を辛(つら)いものにしてくれました。
 3日目の朝、少しお腹が痛い感じでトイレに・・やはり・・3日目はブッダガヤまでのバス8時間旅行。これはまずい道中にはトイレは無い。日本から持ってきたトイレットペーパー1巻、これをバスの棚に置き、いざ出発。
 旅行記でも書きましたがトイレ休憩は何時でも何処でも可です。バスを止めて畑の中や林の中に入っていきます。はじめは少し抵抗が有りましたが、2度3度回数を重ねるちに慣れてきます。しかし、
同じ日本人にはみられたくないので(冗談で写真撮影をする輩がいるので)なるべくバスから離れた所で・・
しかし、日本人には見られなかったですが、インドのトラックの運転手さんにはしっかり見られていましたが。
 私のお腹は「セイロガン」を飲めば大抵治るのですが今回のは全然治らない。ブッダガヤのホテルでは夕食は食べずに寝ていました。お腹を温めたら良いと考え、風呂に入ったがお湯が茶色。でも温かかったので良しとする。 次の日からはインドの食事は食べずに、日本から持ってきた「おかゆ」(フリーズドライ お湯を入れると出来上がり)と「梅干し」で乗り切りました。しかしここでも問題。お湯が簡単に手に入らない。ホテルは大丈夫だったが昼の時が問題。昼食は道端に「かまど」が有り、縁台が置いてある「ドライブイン?」にて。そこのおじさんに「お湯」を頼む。かまどでお湯を沸かすのだが、沸騰していないのに持ってくる。しかも中には「わら」や「灰」が入っている。でも何とかなるものです。2、3日後にはお腹の調子も良くなり助かりました。私以外にも何人かは、やはりお腹の調子を崩した人も出ました。トイレットペーパー1巻、皆に使われすぐに無くなり、最後のボンベイでは全員のポケットティシュまですべて無くなりました。インド旅行の際には是非トイレットペーパーを多く持参下さい。
 この旅行で私は1kg体重が減りましたが、何人かのお寺さんは体重が増えて帰国されました。・・・・・<完>  

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