
免罪
万人が幸福に暮す千年王国。それをつくるのだと貴方は言った。
そのために私を死した使徒の器に捧げたと。
必要なのは私の躯とヤモリビトの魂。
貴方の描く千年王国に佐藤と言う魂は、私はなかった。
万人の幸福のため、私に求められたのは個を捨てること、すなわち私としての死。
しかし私は生き延びた。貴方の使途の魂を殺して、佐藤のままであり続けた。
だから、ただの人間でしかないことが露見する前に、誰かに、貴方を殺してもらうしか道はないと思っていた。
『メシアは君がヤモリビトでないと薄々気付いておられた』
知らされなければ、貴方を売ったことを悔いずにすんだのに。
「おれは消えたくなかった」
「僕がわるかった」
懺悔。
消えた貴方の骸が、貴方の魂を伴って許しを与えに来る日まで。
どれくらい時が過ぎたでしょう。
本当のことを語りましょう、貴方が救うと宣言した私以外の誰も彼もがうらやましかった。
「私も…貴方のつくる未来にいたかったのです」
闇に小さな手が白く浮かぶ。
見上げれば相変わらず幼い救世主。
「来い。佐藤、おまえも救ってやる」
今度こそ、従いましょう。貴方の目指す高みまで。
END
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駄文つき、というか絵のほうがおまけ
私的佐藤&松下 再スタート話。
しかし佐藤の一人称って…おれ、僕、私、わたくし。人格割れてるわけでもないのに多いな。
気分でころころ変わってて本能に近い気分のときほど丁重じゃなくなると勝手に解釈。
心理状態筒抜けじゃん!
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