全国紙は大阪の敵である 2

地下鉄見えぬ行き先 大阪・今里筋線24日開業(中)──膨らむ借金、自治体悩ます(12月6日) 日経新聞


大阪市の地下鉄が黒字で、横浜市の地下鉄が赤字だということを書いていない時点で
この記事は失格である。

この記事が書かれた06年度前後、
大阪市の地下鉄はだいたい200億円程度の黒字(経常利益)だったのだ。
http://www.news.janjan.jp/living/0709/0709212740/1.php
http://umeda.exblog.jp/6507854/
http://ja.wikipedia.org/wiki/大阪市営地下鉄

一方、横浜市の地下鉄は06年前後、
営業利益は数十億程度の黒字だが、借入金を返済した後の経常利益は
逆に数十億の赤字になっている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/横浜市営地下鉄

ということを知ってあらためて冒頭の記事を読むと、見える景色はまったく違ったものになる。
最初から読者を騙すことが記事の目的なのだ。





それ以外にも、印象操作はされている。
それは、
   【 大阪市営地下鉄の公営企業債残高が突出している 】 → 【 大阪市全体の借金が突出している 】
という印象操作である。

手法としては、非常に卑劣な手法だ。
「大阪市の公営企業債残高が突出している」という記事のついでに、
「大阪市全体の借金が突出している」という印象操作をはめ込むのである。 

その印象操作の裏づけとして、最後にいわゆる識者のコメントを紹介している。
    「大阪市は表面上の収支は黒字だが、土地開発事業などバブル期の負の遺産の処理が終わっておらず、
     いつ財政再建団体に転落してもおかしくない」(大阪産業大学経済学部の植田政孝教授)

大阪市全体の財政状況を、
冒頭の記事右側のグラフの「公営企業債残高」のように、記者の文章で資料を出すのではなく、
「識者」のコメントで済ませているのは、大阪市の借金が突出しているという資料はないからである。
だから、記者の文章としては出せないのだ。

【 大阪市全体の借金が突出している 】ことを、資料を出すかわりに「識者」のコメントで裏付けている(ように装っている)のだ。
換言すれば、資料を出せないから「識者」のコメントで印象操作せざるを得ないのである。

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