飲酒運転報道
福岡市職員の飲酒死亡事故をきっかけに、飲酒運転報道が活発になった。
しかし、ほとんどあらゆる分野についていえることだが、この問題でも、
「飲酒運転は地方のほうがひどい」という、なんの根拠も無い思い込みが堂々とメディアで語られている。
新聞では、さすがにあからさまな記事はないが、テレビでは識者・コメンテーターと言われる人たちから
必ずと言っていいほど、地方蔑視発言が出る。
「飲酒運転は地方のほうがひどい」という彼らの思い込みの、もっとも代表的な根拠らしきものは、次のようなことである。
「地方では、飲食店に行くにも車は必需品である。
 公共交通機関が発達している東京は、だから飲酒運転は多くない。」
たしかに、地方の飲酒運転の問題は、この飲食店へのアクセスが車しかないという原因が大きいだろう。
しかし、それは、地方の原因であって、東京の飲酒運転にこの原因が少ないからといって、
東京に飲酒運転が少ないという根拠にはなりえないのである。
そこで、いつものようにデータを当たってみると、やはり思ったとおり、
テレビの識者・コメンテーターの思い込みは、まさしく思い込みでしかなかったのである。
運転免許保有者10万人あたりの飲酒事故件数
 
| 
			 1  | 
		
			 沖 縄  | 
		
			 39.61  | 
	
| 
			 2  | 
		
			 香 川  | 
		
			 32.04  | 
	
| 
			 3  | 
		
			 山 梨  | 
		
			 30.54  | 
	
| 
			 4  | 
		
			 福 岡  | 
		
			 28.79  | 
	
| 
			 5  | 
		
			 佐 賀  | 
		
			 27.74  | 
	
| 
			 6  | 
		
			 長 崎  | 
		
			 26.45  | 
	
| 
			 7  | 
		
			 群 馬  | 
		
			 26.13  | 
	
| 
			 8  | 
		
			 和歌山  | 
		
			 25.97  | 
	
| 
			 9  | 
		
			 千 葉  | 
		
			 24.71  | 
	
| 
			 10  | 
		
			 青 森  | 
		
			 23.28  | 
	
| 
			 11  | 
		
			 東 京  | 
		
			 23.05  | 
	
| 
			 12  | 
		
			 鹿児島  | 
		
			 22.52  | 
	
| 
			 13  | 
		
			 茨 城  | 
		
			 21.97  | 
	
| 
			 14  | 
		
			 大 阪  | 
		
			 21.03  | 
	
| 
			 15  | 
		
			 山 形  | 
		
			 20.61  | 
	
| 
			 16  | 
		
			 岡 山  | 
		
			 20.07  | 
	
| 
			 17  | 
		
			 宮 城  | 
		
			 19.74  | 
	
| 
			 18  | 
		
			 宮 崎  | 
		
			 19.64  | 
	
| 
			 19  | 
		
			 滋 賀  | 
		
			 19.6  | 
	
全国平均以上の都道府県
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このデータで、なお「東京に飲酒運転は少ない」と言うとすれば、
東京は、飲酒ドライバーの人数は少ないのだが、
飲酒運転をするようなドライバーの技術が、東京に限ってきわだって未熟なので、
その結果、東京の飲酒運転事故は多くなっているのだ。
こういう理屈くらいしか思い浮かばないのだが、はたして誰が納得するだろうか。