脚注 26


表 26.1 水溶液中の酸解離定数 25℃ 水溶液 

 物質 pKa 物質 
 アスコルビン酸(1) 4.03  
 アラニン(1) 2.30  
 クエン酸(1) 2.90  
 クエン酸(2) 4.34  
 酢酸 4.76 *  
     
 HCN  9.21  
 塩酸  -8  
 H2CO3(1)  6.35  
 H2CO3(2)  10.33  

 化学便覧,4th.ed.,丸善,1993

* Handbook of chemistry and physics,80th.ed. CRC Press,2000. !! 化学便覧の値(4.56)はまちがっていると思われる.!!


活量

 イオンの濃度が高いときは,その量に見合った効果を発揮しない.活量は,実質的な効果を及ぼす濃度の意味で,活量は,濃度より小さい値である.濃度が希薄になると,活量と濃度は等しいとしてよい.濃度が0.001 mol/L以上では,注意が必要である.活量 a と濃度 C は,活量係数 γ で関係づけられている.

      a = γ C

表 26.2 種々の物質の平均活量係数 γ

物質   mol/kg -> 0.001   0.01  0.1  1  10
AgNO3 0.964   0.896  0.732  0.430  0.108
CaCl2 0.888  0.727   0.517  0.495  43.1
CuCl2 0.887   0.722   0.495   0.405 
HCl 0.965  0.905   0.797  0.811  10.4
HF 0.551  0.225  0.0766  0.0249   0.0085
HNO3 0.965  0.905  0.792  0.730   1.644
KCl 0.965  0.901  0.768   0.604 
KOH 0.965  0.902  0.779   0.733  6.11
NH4Cl 0.965   0.901  0.769  0.603 
NaOH  0.965 0.902  0.775   0.674  3.258
    

参考 Handbook of chemistry and physics,74th.ed. CRC Press,1993.


水素イオン

ふつう,水素イオンと言うと,H+ のように書くが,これは疑問である.水素原子から,電子がとれたのが,水素イオンであるが,となると,陽子(プロトン)のことである.陽子が,水の中で安定に存在しているのは,考えにくい(ないことはないのだけれど).それゆえ,水分子のローンペアに陽子がついた状態である,ヒドロニウムイオンとして扱うのがとりあえず適当である.なお,水素イオンのことを,プロトンと言うこともある.

   ヒドロニウムイオン  H3O+


 近似をしない場合

つぎの2次方程式を解くことになる.

   

解は,

        (解は正の値が一つである.)

 この式により,計算する.酢酸のKaは,1.74 x 10 −5であるので,酢酸溶液,1 mol/Lでは,解離している酢酸の量は,5.9 x 10 −3 mol/L 程度となる.近似をした場合の値 4.2 x 10 −3 mol/Lは,この値と比べてそんなに離れていない.

 残念ながら,実際は,様々な効果があるため,この式でもまだ正確ではない.

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なを,2次方程式の根の公式は,

    に対して,

    である.


水素イオン濃度

厳密にいえば,水素イオンの活量であるが,とりあえず,濃度でよい.


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