脚注 11
図 回折による光の分散
鏡に光があたると,入射した角度に等しい角度で,光が反射します.これは,当たり前のように感じますが,よく考えると不思議なことと思いませんか.光が波としての性質を持っている証拠と言えます.波としての性質に着目すると,特定の波長だけを選び出すことができます.その道具の一つに,回折格子があります.身近な例は,回折格子として利用してるわけではありませんが,現象がCD 裏面(文字を印刷してない面)に見られます.CD を裏返し,光に当てると,虹のような色の模様が見えると思います.これは,太陽や蛍光灯の白色光について,CD の溝で,波長により,光の反射する角度に違いが出たためです.回折格子は,この光の分散を,より正確に利用するために,光の波長に近い間隔で,溝を切ってある," 鏡 " です.
図 回折格子
回折格子による,回折光と角度の関係は,回折格子の溝の間隔を d とすると,
d ( sin θ + sin(-φ) ) = n λ
ここで,n =1,2,3,....である.目的の波長が高調波と重なる場合には,光学式フィルターを併用する.回折格子は,角度によって得られる波長を,正確に選ぶことのできるデバイスである.
図 シングルビーム分光光度計の概略
図 β-カロテン
入射した角度に等しい角度で,x 線が散乱する.A の光と B の光では,A の光が余分な距離(赤と緑)を進み,B の光との位相の差が波長の整数倍であるとき,波は強め合う.格子間隔を d として,入射角をθ としたら,赤で示す 長さlは,
l = dcos(π/4 - θ )
変形して,
l = dsin( θ )
求めるのはa 点から c 点の長さであるので,2倍して,
l = 2dsin( θ )
l が nλ と等しいときに干渉波が強め合うので,
nλ = 2dsin( θ )
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