
とぜんぐさ(不定期雑記)
よく週刊誌に「○○名医100」とか「○○良い病院ランキング」などという記事が載りますね。わたしの勤務している病院にも、それら雑誌社からのアンケート依頼が来ます。
「週刊朝日」が力を入れているのは、手術症例のランキングです。手術の症例数が多い病院は良い病院である、というその考え方は間違ってはいないと思います。それだけ実績があるわけですからね。わたしだって若葉マークのタクシー(あるのか?)に乗るよりも、ベテランドライバーの運転するタクシーの方がはるかに良いです。
雑誌に掲載されることにより、病院は宣伝してもらい、雑誌は売れる。双方いいことずくめのように思えます。
ただ、それらアンケートが面倒なのですよ。
複数の雑誌社、新聞社から微妙に時期をずらしながら、同じようなアンケートが思い出したように送られてくるわけです。ただ同じようであるんですが、ちょっとだけ視点を変えてあったりする。これがくせ者で、その度にこっちは調査をしなくてはならないのです。「おいおい、こんな数字とってないよ」というわけです。いっそまったく同じならデータの使い回しもできるんですがね…
ある雑誌社からのアンケートで、某診療科の医師に面談したときのこと…
「また『名医100』かいな」
「いやあ、今度は手術症例なんですけど、執刀医を書けと言ってきてるんですよ」
「執刀医ねえ」
「オペの経験が豊富な医者は良い医者ということだそうです」
「ふ〜ん …そう言えばこの類の『名医100』って結構いい加減だからなあ」
「そうなんですか」
「そりゃ『なるほど、この先生は名医だ』ってのもあるけど、『なんでこの医者が名医なんだよ』ってのも多いからなあ。逆に『なんであの先生の名前がないんだ』っていうのもあるぞ」
「ははは」
「コネがはたらくっていうのも聞くからなあ。名前を載せてもらおうって一生懸命なのもいるみたいだぞ」
…だそうです。業界ではわりとそういう意見もあるようですねえ。事実かどうかはさておいて、ですが。
しかし、片っ端からアンケートを送りつけて、その回答で記事を書く。目茶苦茶、楽してません? 『他人のふんどしで相撲をとる』ってカンジしません?
でも回答しないわけにはいかないんだよなあ。よその病院が回答して、ウチだけが雑誌に載らないってのも、許されないのですよ。名前が載らないっていうことは「悪い病院」という感想を読者は持つでしょ? そう思いません?
(H15.11.15 記)
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