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Q1.個人事業から株式会社にするメリットとはどんなものがありますか?
事業内容を変更せずに個人事業から株式会社などの法人へ変更することを法人成りといいます。その法人成りするべきかどうかの最大の判断材料として大きなものは、法人化のメリット・デメリットの比較だと思います。そこで下記にてメリット、さらにはデメリットも挙げていますので、ぜひ参考にして法人成りを考えてみてください。
【社会的信用力のアップ】
- 大企業との取引が可能に!
- 法人名義で銀行口座を開設できる
- 法人で銀行から融資を受けることが可能!
個人事業では融資を受ける際、第3者保証人や担保を求められます。しかし法人では、融資の間口が広く、様々な融資が用意されています。ただ法人の場合、代表者個人の保証が要求される場合がありますが、代表者以外の第3者保証人は不必要ですので融資がスムーズに行くかと思います。また最近では、個人保証や担保の必要のない融資があったりしますので、これも法人のメリットだと思います。
- 助成金がもらいやすくなる
- 事業継続が円滑に!
個人事業の場合、事業主が顔となって前面に出て、事業主1人が事業を行っているといった印象を受けます。法人(会社)の場合、法人(会社)自体が顔となって前面に出ているため、代表者が病気や死亡した場合でも会社自体に信用があるため、事業がスムーズに運営していけるかと思います。例えば、個人事業主が死亡した場合、事業の資産は事業主の資産であるため相続の対象になり、不適切な相続人に相続されたときには事業継続が危ぶまれます。しかし法人であれば、代表者が死亡した場合でも法人の資産はあくまで法人のものであり、相続されることもなく適切な後継人を選任できるためスムーズに運営できます。
- 健康保険・厚生年金(社会保険)に加入できる
- 良い人材が集まりやすい
社会的信用や福利厚生がしっかりしているため、安心して入社できる。
【節税効果がある】
- 給与所得控除の利用
自分に給与を支払ったり、家族に給与を支払うことによって、給与所得控除を利用でき、税金が大幅に安くなる。また、家族の給与がそれぞれ103万円以下であれば、事業主個人が配偶者控除や扶養控除を受けることができ、税金を安くすることができます。さらに、給与は法人の必要経費にできるため、法人の税金も安くなります。
- 退職金が必要経費になる
個人事業は事業主には退職金が支払えません。また、一般の従業員の退職金は必要経費にできますが、事業専従者の退職金は必要経費にはなりません。会社(法人)は、退職金は自由に支給でき、適正な額であれば必要経費にもなります。
- 最高税率の違いでのメリット
個人事業は所得税・住民税・個人事業税の3種類、法人は法人税・法人住民税・法人事業税の3種類の税金がかかります。個人事業、法人のそれぞれ税率を合計すると最高税率は、個人事業が50% + 5%、法人が約41%で法人の方が有利であります。
- 家賃の大半が必要経費に!
個人事業では、自宅とは別に仕事場を賃貸していれば自宅の家賃は必要経費にできず、自宅と仕事場が同じであれば仕事場の面積部分しか必要経費にできません。しかし法人であれば自宅を役員社宅とすることで、自宅とは別に仕事場を賃貸していれば自宅の家賃の50〜80%は必要経費にでき、20〜50%は家賃負担金として会社に払います。また、自宅と仕事場が同じであれば仕事場の面積部分の家賃は必要経費にでき、それ以外の居住面積部分は家賃負担金として20〜50%会社に払い、50〜80%は法人の必要経費にできます。法人にも個人にとっても有利です。
- 出張日当が必要経費に!
個人事業では出張日当そのものがありません。しかし法人では、会社から経営者に出張日当を支払うことができ、法人の必要経費になります。また、経営者も個人の所得税・住民税がかかりません。
- 消費税2期分免除
資本金1000万円未満で会社を設立すると、1期目・2期目の消費税の納税義務がなく免税事業者になれます。よって、預かった消費税分は会社の利益にすることができます。
- 赤字を出した場合の繰越控除期間が倍以上に!
個人事業は、青色申告をしていれば赤字を出した場合に、翌年から3年間その赤字を繰り越せます。しかし法人では、翌年から7年間繰り越せます。赤字が出ることなんて考えたくもないとは思いますが、もし赤字が出た場合は繰越控除期間が個人事業に比べて倍以上ですからお得だと思います。
- 法人化することで相続税対策に!
個人事業者の場合、個人事業者が死亡した場合に個人事業の所有財産はすべて相続の対象となり、すべて相続税が発生してきます。事業としての財産は、個人事業者の財産と考えられるためです。しかし、会社の場合は、会社と代表者の財産は別々に考えられるので、会社の所有財産は相続されず、代表者個人の財産のみ相続税の対象になりますので、相続税をグッと抑えることができ、また事業をスムーズに運営していくことができるかと思います。
【有限責任である】
- 個人事業
無限責任。事業主が事業においての借金などの債務に対して無限に責任を負う。事業のために借りたお金でも事業主個人の借金となる。
- 株式会社(法人)
有限責任。株式会社(法人)は、法律で人格が認められているため、会社自体が契約当事者となり、経営者や出資者は事業においての借金などの債務に対して会社に出資した分だけ責任を負うという有限の責任である。会社が事業のために借りたお金は、会社という法人の債務であり、経営者の借金にはならない。会社が倒産しても経営者個人の財産にまで支払義務は及ばない。
【経営でのデメリット】
- 事務量が増える
・会計処理をきちんとしないといけない
・社会保険は加入義務のため手続きなどが必要
・会社運営上の事務負担の増加(例:株主総会・役員変更など)
- 経営上の意思決定に株主総会・取締役会の決議が必要
個人事業では事業主1人で経営の意思決定ができたが、会社では株主総会や取締役会の決議で経営の意思決定をしなければならない。
- 税務調査が入りやすくなる
〜理由〜
・個人事業者より法人の方が少ない(税務調査職員の数はかぎられている)
・個人事業者より法人の方が規模が大きい(税収を多くあげれる)
・個人事業者よりも法人の方が会計記録がきちんとしている(見やすく、調査しやすい)
- 役員の事業上の責任が重くなる
個人事業者が経営に失敗したとき、誰かに事業上の責任を問われることはない。しかし法人は、会社や第3者や株主などから責任を問われる。
【費用でのデメリット】
- 登記費用
法人設立時、登記変更時に登記費用がかかる。
- 会計事務所費用
法人は会計処理の厳密性が求められ、その処理は煩雑であるため、どうしても会計事務所に処理してもらうことになるかと思います。そこで、事務所に払う費用がかかってしまいます。しかし、節税や経営面の指導もしてもらえますのでメリットでもあります。
- 日常経費が若干高くなる
電話の基本料金、自動車保険料、ネットバンキングの契約利用料金が少し高めに設定されている。
【税金でのデメリット】
- 赤字でも法人住民税を払う必要がある
個人事業は赤字で課税所得がゼロであれば税金は払う必要がありません。しかし法人は赤字であっても法人住民税の均等割分だけは払う必要があります。
- 交際費の全部が必要経費にできない
個人事業は業務をしていくうえで直接必要であれば全額必要経費にできます。上限はありません。しかし法人では、資本金1億円を超えていれば交際費はすべて経費にできず、また資本金1億円以下であれば実際に使った交際費400万円を上限としてそのうち9割が交際費として計上できます。つまり、交際費は360万円までしか法人の必要経費になりません。
【社会保険料の負担増】
- 健康保険
法人は加入する義務があります。法人と個人が折半で支払うわけですが、個人事業主が法人化した場合、法人負担部分も支払わないといけないため、負担が大きいでしょう。また国民健康保険は家族世帯で保険料がかかってきますが、健康保険は各個人に保険料がかかってくるため、夫婦が同じ会社から給料をもらっている場合、夫婦それぞれに保険料がかかってきます。しかし、手厚い給付が受けれるためメリットでもあります。
- 厚生年金
健康保険と同じで法人は加入する義務があります。法人と個人が折半で支払うわけですが、個人事業主が法人化した場合、法人負担部分も支払わないといけないため、負担が大きいでしょう。国民年金は保険料月額1万5020円と安く、しかし年金受給額は少ない。法人は保険料が高いのですが、その分、年金受給額は多い。ですからデメリットともいえないかと思います。
法人化(会社に)するメリット・デメリットを見てきましたが、見ていただいてわかるとおり、
正直なところ多少のデメリットはありますが、デメリットを勘案してもやはりメリットの方が
大きいかと思います。今まで法人化に二の足を踏んでいた方も当事務所のホームペー
ジを見て、じっくり考えて法人化を検討されてみてはいかがでしょうか。行政書士村上法
務事務所では、会社設立の代行をしておりますのでお気軽にご相談ください。