旧岩崎邸を訪ねて
上野公園の近く、台東区池之端に三菱コンツェルンの創始者 岩崎弥太郎氏の長男で、三菱第3代社長を務めた岩崎久弥氏の私邸が残されています。 広大な敷地内に庭と洋館、和館、撞球館(ビリヤード場)があります。 洋館と和館が同居しているのは、大変珍しく、しかも、その最古のものなのだそうです。 設計はニコライ堂も設計したジョサイア・コンドルです。
入場券にもデザインされている洋館(1896年築)の内部は、残念ながら公開されていません(2002年3月時点)。 しかし、その正面に立っただけで、思わず見とれてしまう美しい建物です。 重々しいと言うよりも女性的で繊細な感じがします。 木造建築で重要文化財に指定されています。 装飾は17世紀ジャコビアン様式というそうな。 地下室もあって、隣のビリヤード場まで地下通路で連絡されています。 まるで小説の中の世界みたい。
下の写真は、和館と庭園です。 和館は今では書院造りの広間など、ごく一部しか残っていないそうです。 もともとは550坪もあったと聞いて唖然としました。 そんな広くて、住みにくくないのかなあ。 それは庶民の感覚かな。
右側の写真は芝庭をもつ和洋折衷庭園。 この写真の手前側には、それこそ野球ができるほどの広場があります。 かつては1万5千坪を越える敷地に、茶室や自家発電所、使用人住宅など20棟以上の建物があったというのですから、私邸としてはとてつもなく凄い規模だ。 戦後、GHQに接収されてCIAのキャノン機関が置かれ、岩崎家の手を離れて、切り売りされたという過去が悲しく思えました。