富士青木ヶ原樹海(静岡県 山梨県) 
 
<太古の大密林を歩く>
普通の登山に飽き足らない私は、地図を見ながらヤブ尾根やヤブ谷を適当にルートマップして、山登りを楽しんでいた時期があった。時には背丈の2倍ほどもあるササヤブを悪戦苦闘したりして、シーズンが終わると体に何十もの擦り傷ができるほどであった。その頃買った「遊歩百山2」という雑誌の中に「青木ヶ原樹海」の縦断コースが紹介されていた。早速チャレンジした。
とは言っても、そこは樹海。日帰りにもかかわらず、3日分の食料とテントを用意して出発した。五合目から御庭まではシャクナゲが群生する道を進んだ。そしてさらに進むと有刺鉄線が張り巡らされた所に出くわした。そこには注意書きの看板も立っていた。緊張して鉄線をかいくぐり行くと、ほどなく樹林帯に入った。樹海の始まりである。うっそうと生い茂る樹木と深く苔蒸した溶岩流岩盤の大地や倒木。物音ひとつしない太古の密林は、時間も空間も超えた不思議な感覚に陥り、まさに異次元別世界である。やがて三合目に至るとそこから富士風穴までは、精進口登山道である。登山道では、マウンテンバイクの一行に出くわしたほかは、ほとんど人と出会うことがなかった。富士風穴を過ぎ、登山道から開拓道路を北上して約1キロ、今度は左手のヤブに飛びこみ進む。ほどなく進めば、富岳道に出るはずある。思った通り無事、富岳道を見つけ北上を続ける。道と言っても、あるかないかわからないぐらいの けもの道で、ヤブをかき分けたりのルートである。
やがて、柵が見えてきた。そこから先は、もう散策の一般ルートであり、ここまでくるとあとは楽勝、ホッとする瞬間である。
注:本ルート図は、「遊歩百山2」(発行:山と渓谷社)で紹介されていたコースを忠実にたどるものです。
 
 <樹海の危険性について> 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より 樹木が多く深い森であり、すこし道を外れると元の場所に戻ることが難しい。また、道を外れた場所の地面はむき出しの溶岩でできており、大小さまざまの凹凸がある。それらに足をとられるなどして怪我をし、身動きが取れなくなる危険が大きい。俗に言われるように「一度入ったら出られない」ような恐ろしい場所ではないが、それなりに危険もある場所だということは確かである。溶岩の上にできたので地中に磁鉄鉱を多く含み、方位磁針に若干の狂いを生じさせ迷ってしまうといわれているが、俗に言われているように「方位が分からなくなる」ほど大きく狂うものではない。また、派生形として「樹海の中ではデジタル時計の表示が狂う」、「車の計器や放送機器に異常が発生する」等とも言われているが、科学的な根拠に乏しく、都市伝説の域を出ないものが多い。同様に「GPSも使えない」という話もあるが、これは密生した樹木に電波が遮られるためであり、磁鉄鉱とは無関係である。(なお、この手の話にでてくるGPSは総じて「安物」であり、高性能のものは密林であっても正しく機能する)