奈良新聞(平成11年7月22日版)掲載
いかがですかあなたの健康(735)
家庭で測る血圧・その2
県医師会 下里直行
操作が簡単な、いろいろなタイプの自動血圧計が普及し、手軽に家庭での血圧が
測れるようになりました。
規則的に家庭血圧の記録をとることは、病院や医院で測った血圧と、普段の血圧
に差がないかどうかを調べるうえで重要です。
前週は、家庭血圧測定法についてお話ししましたが、今週はそのメリットについ
てお話します。
ここでいう家庭血圧とは、「朝起きて一時間以内、朝食前に、座って、二週間以
上測定した血圧の平均値」のことをいいます。
朝起きた直後の血圧が、一日の血圧変動の平均値に最も近い値を示すのです。
家庭血圧の理想的な値は、上の血圧が125ミリ未満、下の血圧が75ミリ未満です。
上が130ミリ、下が80ミリを越えると高血圧と考えられます。
病院などで測定してもらう血圧を、随時血圧といいます。この場合、上が140
ミリ、下が90ミリ以上で高血圧と診断されます。家庭血圧との間に差があることに注
意してください。
服用薬の効果など確認 ![]()
家庭血圧測定には多くのメリットがあります。
(1)白衣を着た医師や看護婦に測ってもらうと、緊張して血圧が高くなるのを
「白衣高血圧」といいますが、家庭血圧を測ることで、これを確認することができ
ます。
また、白衣高血圧の人は今すぐ治療の必要性はありませんが、十年、二十年先に
は高血圧になるか、心血管病を発症しやすいといわれていますので、普段の血圧を
チェックしておくことが大切です。
(2)すでに高血圧のクスリを服用している方は、その効果を自分で確認するこ
とができます。
(3)血圧は季節変動があります。冬場に比べて夏場には低くなる傾向がありま
す。家庭血圧は、この変化を敏感にとらえることができますから、医師と相談して
クスリの量を加減することも可能になります。
「静かな殺し屋」ともいわれる高血圧症は、放置しておくと危険な合併症をひき
おこし、生命にかかわる病気です。
日常生活における自己管理を行う意味で、家庭血圧を測定することをお勧めしま
す。
【参考文献:柊山幸四郎、他:日臨内医誌、13(4)、(5)1〜6:1998)】