金属よもやま話

金属は、英語でmetal、これは、ギリシャ語のmetallanに由来している。metallanとは、「・・・・・をさがす」という意味で、昔、ギリシャ人が天然に産する金などを一生懸命探したものから来ていると思われる。ギリシャ語のmetallonは、鉱山、金属の意味で、探し物と探し物のある場所を示している。

一方、我が国で使っている金属の金(中国語)は、土の中に金のかけら・が埋まっている状態を示す図1と、呼び名であるキンを今から借用して図2とし、この合成された文字が形を整えられて金となったといわれる。属は、金以外の鉄や銅も仲間であるという意味である。

            

       図1            図2

金のようにさびることの少ない金属は、砂金などの形で山野に落ちていたので、古代人は容易に目にとまったが、鉄のようにさびやすい金属は発見されるのが遅かったと思われる。

古代ギリシャ人は、鉄のことを" ワーエペ"と呼んだ。これは、「天の産物」という意味である。人間が知った最初の鉄は、隕石だったからである。鉱物から精錬するようになったのはずっと後代になってからである。

 考古学的ないくつかの証拠によれば、火を使うことを知った人類が、木材や石炭などを燃やしたあとの灰の中から偶然見つけた可能性がある。すなわち、燃焼時の不完全燃焼によって発生する一酸化炭素(CO)が鉄の酸化物を還元して、鉄をつくるわけである。火の中に出来た鉄を見て、どうすればこのような鉄がうまく出来るかを考え、生産できるようになったと思われる。意識して、銅や鉄を生産できるようになったのは、今から約5000年前頃ではなかろうか。人類は、有史以前から金、鉄のほかに、銀、銅、錫、鉛、水銀を手中にしていた。

 紀元前3000年にはすでに銅の精錬が行われ、装飾用のほか生活用品としても使用されるようになった。

 紀元前2000年頃、銅に少量の錫を混ぜると硬くて使いやすい金属になることが発見された。青銅である。青銅は、銅よりも融ける温度が低く、取り扱いが容易なため、複雑な鋳物の製造が可能となった。青銅器時代である。

 青銅器時代にも、鉄は少しずつ使用されていたが、紀元前1000〜1500年になって本格的に使用されるようになった。鉄器時代の始まりである。

我が国は、縄文時代の石器時代から青銅器時代を飛び越えて、弥生時代の鉄器時代にいきなりなったものと考えられている。それは、鉄が朝鮮から渡ってきたからではないだろか。



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