破壊(Fracture)

 世の中には、毎日数多くの破壊現象が起こっています。天災地変による破壊から、自動車の衝突事故による破壊まで、破壊という現象は、我々の生活に密着しています。物が壊れるということは、どういうことでしょうか?

 破壊とは、物体を構成している物質の結合力に逆らって、分離させた状態にすることで、その物体の機能を損なうことと定義できます。

 ガラスが割れるとは、ガラスに衝撃的な力がかかって、その値が、ガラスの破壊限界応力を超えたときに起こります。破壊限界応力は、ガラスの種類によっても違いますが、ガラスを分厚くすれば、割れにくいのは、加わる力が一定でも、応力を低くすることが出来るからです。(応力は力をそれを受ける断面積で割ったものであるから)

 物質の破壊の仕方には、いろいろな形式があります。

大きな変形を伴って破壊する場合、延性破壊といいます。それに反して、ほとんど変形なく破壊する場合、脆性破壊といいます。鋼材は低温になると脆性破壊を起こしやすくなります。この場合、とくに、低温脆性破壊といいます。

物体に外力が繰返されると、破壊限界応力以下の応力であっても、何十万回の後に破壊することがあります。これを疲労破壊といいます。人間は疲労しますが、機械部品でも疲労して破壊するのです。機械部品の疲労を回復するためには、使うのを休むだけではだめで、作りなおさなければなりません。また、機械部品が疲労しているかどうかの診断は、かなり難しい技術です。

温度が高い環境で使用される金属の破壊の場合、常温における破壊とは異なった挙動をします。応力が比較的小さくて一定でも、変形が時間とともに大きくなって、ついには破壊に至ります。この様な破壊を、クリープ破壊といいます。

その他に、腐食雰囲気で応力がかかるとき、応力腐食割れという破壊現象があります。橋梁のボルトなどで、ある日突然折れて落下したりする、いわゆる、遅れ破壊は、この応力腐食割れの一種です。




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