* 自作「海」について


     私たち 詩吟を趣味とし、また上達を願って精進している者は、海や山等の広々とした空
   間を前にすると、大きな声で吟じたくなるのは皆さん同じだろうと思います。そうした場合、
   その場に合った漢詩がないか記憶をひもとく訳ですが、中々フイットした漢詩が出てきませ
   ん。『海』を読み込んだ漢詩は幾つかありますが、季節の表現が入っていたり、例えとして
   の引用であったり等がほとんどです。以前から、海を愛でるというか、海を見た感動を素直
   に表現したものがほしいと思っていました。そういった思いから作詞したものです。

   *『 海 』                          

 



 










   * 読みと解釈

     碧海  洋洋として 眼前に  有り        広々とした海が眼の前にある
     
へきかい ようようとして  がんぜんに あり           
                                 

     無辺 広大 只 呆然                ただ広過ぎて呆然と立ち尽くすのみだ
     むへんこうだい ただぼうぜん     

     水平線遠く 天地を分かつ             水平線は遠く あたかも天地を切ったように分け
     
すいへいせんとおく てんちをわかつ           隔てている
                                  

     万化す 風光 波に映じて 鮮かなり        刻々と変わる風と陽光は 波に映って鮮やかで
     ばんかす ふうこう なみにえいじてあざやかなり      見るものにとって、飽きることがない。

   詩の構造  仄起七言絶句  韻=下平声一先  前 然 鮮