マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」



三大バレエ組曲

☆作曲の背景☆
1875年、チャイコフスキーはモスクワのボリショイ劇場支配人ベギチェフからバレー音楽を依頼された時、バレエ音楽の「復権」 を考えたといいます。これまで、バレエは華やかな踊りがあればそれでいい、音楽は”添え物”に過ぎないとみられており、 これに携わる作曲家はいわば二流音楽家と見なされていました。しかし、チャイコフスキーはバレエにおいて音楽も舞踊と対等であり、一体となって劇的効果を高めていると考えていたようです。
「白鳥の湖」は、1875年夏、カーメンカで手がつけ始められ、1876年春に完成しました。
しかし彼の作品は、当時は余りにも新しすぎて、踊りも演奏も何もかもが完璧とは程遠い仕上がりで、大失敗に終わります。この経験で一時はバレエ音楽に対し失望したものの、10年余り後に彼は、演出家、マリウス プチパとの出会いにより、「眠りの森の美女」そして、 死の前年に「くるみ割り人形」を作曲しました。この二つの作品は成功を納め「白鳥の湖」もプチパと弟子のレフイワノフの新演出によって名作として日の目を見ることが出来るようになりました。


チャイコフスキーの代表作とも言える3大バレエ音楽の「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠りの森の美女」。
これら「三つの物語」を、ロマンティックなところはよりロマンティックに、悲劇的なところはより悲劇的に、華やかで幻想的かつドラマティックな音楽で表現されており、単にバレエの伴奏曲としてではなく、「音楽」としても十分に聴き応えのある魅力的な作品になっていると思います。
今回私が聴いたCDは、現代最高のオペラ指揮者の一人とされるレヴァインによる指揮ということもあり、とても劇的で美しく、そして迫力ある演奏になっています。
よく耳にする曲も多く、ストーリ性のある作りになっていますし、バレエを踊っていることを想像したりしながら音楽を聴くことも出来ます。クラシック初心者の方や、クラシック苦手という方、そしてお子様まで楽しめるのではないでしょうか。

【白鳥の湖】
「悪魔によって白鳥にされたオデット姫は人間の姿に戻る事の出来る夜にジークフリート王子に出会い、愛し合うようになるが、悪魔の妨害に遭い、オデット姫と王子は湖に身を投げる。しかし二人の愛の強さに魔法は解け、結ばれる」という物語。
■第1曲 情景
白鳥のテーマがもの悲しく奏される、最も有名な曲です。(第2幕)
■第2曲 ワルツ
城に王子ジークフリートの成人を祝いに友人をはじめ多くの人々がやってきて、祝宴が始まり、村の娘たちがジークフリートに求められてワルツを踊り始める。(第1幕)
■第3曲 白鳥たちの踊り
月夜の湖。魔法をかけられ白鳥に姿を変えられた娘たちによるいろいろな踊りのひとつ。4羽の白鳥たちが軽快に踊る。(第2幕)
■第4曲 情景
ハープに導かれてヴァイオリン・ソロが甘いメロディーを弾き始める。(第2幕)
■第5曲 ハンガリーの踊り:チャールダーシュ
城内の大広間で開かれる王子の花嫁を選ぶ舞踏会。5つの国の踊りがおどられるが、その最初が緩−急から成るハンガリーの民族舞踊チャールダーシュである。(第3幕)
■第6曲 情景(フィナーレ)
ロットバルトの罠にはまった王子が裏切った事を知ったオデットは、湖の白鳥たちのもとへ帰ってくる。嘆き哀しむ白鳥たち。空模様が怪しくなってくる。そこに王子がオデットに許しを乞いにやって来る。望みを失ったオデットは湖に身を投げ、王子も彼女を追うが、ふたりの愛は悪魔に打ち勝ち、天で結ばれる。(第4幕)


【眠りの森の美女】
「17世紀、オーロラ姫はその命名式で悪の精に”糸紡ぎの針で指を刺して死ぬ”という呪いをかけられる。しかしリラの精の予言どおり、すべてが100年の眠りにつき、100年後デジーレ王子の接吻で、姫をはじめ、すべてが目を覚まし、姫と王子の結婚式が華やかに行われる」という物語。
■第1曲 序奏とリラの精
悪の精カラボスとリラの精という対照的なテーマによって作られた序奏によってバレエの幕は上がる。
■第2曲 アダージョ:パ・ダクシオン
城の庭園。姫は求婚者の4人の王子と踊り、彼らからばらの花を受け取る。(第1幕)
■第3曲 パ・ド・カラクテール:長靴を履いた猫と白い猫
城の広間。姫と王子の結婚式で、色々な踊りが踊られる。その内の一つ「長靴を履いた猫と白い猫」はユーモアにとんだ音楽。(第3幕)
■第4曲 パノラマ
森の中、リラの精がデジーレ王子を真珠貝に乗せてオーロラ姫が眠る森の城に向う際に演奏される。(第2幕第1場)
■第5曲 ワルツ
オーロラ姫の16歳の誕生日の祝宴で、村娘たちが花を手にワルツを踊る。(第1幕)


【くるみ割り人形】
「お兄さんと奪い合いをして壊してしまったクリスマス・プレゼントのくるみ割り人形のことを気にしながら寝たクララは、ねずみの王様との1対1の戦いで形勢不利となったくるみ割り人形を助けたお礼に、お菓子の国に招かれる夢を見る」という物語。
■第1曲 小序曲
この童話バレエの雰囲気を描いた、優しさに溢れる音楽である。
■第2曲 個性的な踊り
a.行進曲
子供たちがクリスマス・ツリーの周りを楽しく踊る。(第1幕第1場)
b.こんぺい糖の踊り
お菓子の国の女王、こんぺい糖の精がチェレスタの伴奏にのって踊る。
c.ロシアの踊り:トレパーク
お菓子の国でクララの歓迎の宴がはじまる(以下4曲)。ロシアの農民の踊りが力強く踊られる。
d.アラビアの踊り
グルジア地方の子守歌をもとに作られた、アラビア雰囲気いっぱいの曲。
e.中国の踊り
お茶の精のかわいらしい踊り。
f.あし笛の踊り
アーモンド菓子の羊飼いがあし笛を吹きながら踊る。(第2幕)
■第3曲 ワルツ
この曲の中で最も有名な曲です。こんぺい糖の精の侍女たちによって躍られる。(以上第2幕)






☆チャイコフフキー:三大バレエ組曲を聴く(CDの記録)

@指揮:ジェイムズ・レヴァイン / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団    1992年11月録音