マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」



ピアノ協奏曲第四番ト短調

☆作曲の背景☆
最後のピアノ協奏曲は、1917年のロシア亡命から10年後の1926年に完成されました。ラフマニノフは1917年から亡くなる43年までに、わずか6曲しか書けませんでした。演奏家としての名声に翳りはなかったものの、作曲家としての創造力は枯渇気味だったのです。亡命から10年間に一つの作品も生み出せずにいたラフマニノフは、同じくロシア出身の亡命作曲家でありピアニストでもあるニコライ・メトネルの励ましを受け、久々に作曲の情熱を掻き立てられ、スケッチは既に1914年までに出来ていた4番めの協奏曲を書き上げました。初演は1927年3月18日、ラフマニノフのピアノ、レオポルド・ストコフスキー指揮のフィラデルフィア管弦楽団によって行われ、メトネルに献呈されました。


ロシア亡命から10年後の1926年に完成された4番。
その10年という長い年月、ラフマニノフは一つの作品も生み出せずにいたといいます。この曲は、同じくロシア出身の亡命作曲家でありピアニストでもあるニコライ・メトネルの励ましを受け、ようやく完成されました。長い長いトンネルだったのですね。
その間、どのような葛藤の渦が彼を巻き込んでいたかは、想像すら出来ません。
「ピアノ協奏曲第3番」。 あのドラマチックで貫禄と自信さえ感じる名曲を完成させ、「さて、次のピアノ協奏曲を・・・・」と作曲に取り掛かった時、何かがあったのかな〜〜などと凡人の私は考えたりするのであります。
この作品は、そういう葛藤を乗り越えて作成された作品らしく、とても躍動感と生気を感じるすばらしい作品になっていると思います。ある意味、2、3番をしのぐ完成された作品と言えるのではないでしょうか?
美しい旋律はもとより、ロシアという広大で厳しい自然から生み出された力強さ、そういうものを感じずにはいられません。

【第1楽章】ト短調 アレグロ・ヴィヴァーチェ(快速に・生き生きと、速く)
自由なソナタ形式。
オーケストラとピアノの力強い演奏で始まり、ピアノが重厚な和音による第1主題を奏でます。その後、ノクターン風の甘くせつないピアノの調べに包まれます。展開部から再現部にかけて、とても複雑な曲想になっていて言葉で表すのが少々難しくなっています。さまざまな楽想が加えられて、とても華麗に展開されます。最後はとても哀愁漂う雰囲気の中、突然高揚して終わります。

【第2楽章】ハ長調 ラルゴ(非常にゆっくりと)
三部形式
静かなピアノの独奏で始まります。懐旧の調べといった感じの導入に続いて、弦楽器が忍びやかに奏します。ピアノと弦楽器が交互に歌い継ぎで行きます。一瞬激しい表情を見せたかと思うと、すぐに最初の主題に戻って、静かで優しい盛り上がりを見せながら、静かに終わります。

【第3楽章】ト短調 アレグロ・ヴィヴァーチェ(生き生きと、速く)
とてもテンポの速いリズミカルな演奏です。気ぜわしい主題が、弦楽器によって変形され、さらにリズミカルに、装飾的に動き回るピアノにひきつられ展開されていきます。続いて甘美でロマンチックな旋律が流れ始めますが、今度はリズミカルな演奏に激しさを加え、最後は壮大な盛り上がりをもって終結します。
とにかくテンポが速くて、鍵盤を想像すると目が回りそうな感じになりますが、生き生きとした、何かが吹っ切れたような楽章・・・そう感じました。






☆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第四番ト短調を聴く(CDの記録)

@ピアノ:ヴラディーミル・アシュケナージ / 指揮:アンドレ・プレヴィン / ロンドン交響楽団    1970年4月&1971年11月録音