マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」



ピアノ協奏曲第三番ニ短調

☆作曲の背景☆
ピアノ協奏曲第二番の成功によって立ち直ったラフマニノフは、1906年から1908年までドイツのドレスデンに住んで、最も充実した創作生活を送っていました。この第三番は1907年に着手されましたが、名ピアニストに加えて指揮者としての名声も高まり、演奏活動に追われていた為、その作業も途切れがちでした。
完成は1909年。その年のアメリカ及びカナダ演奏旅行のための新しいピアノ協奏曲として、「アメリカのための曲」として作曲されたこの曲は、北米演奏旅行の終わりに近い翌1910年1月16日カーネギー・ホールで、マーラーの共演指揮でも演奏され、熱狂的な喝采を浴びたと言います。作品は、親友のロシア出身の名ピアニスト、ヨーゼフ・ホフマンに捧げられました。


第二番によって確立されたラフマニノフ特有の美しい旋律を残したまま、ピアノの技巧にさらに磨きの掛かった作品になっていると思います。とてもダイナミックで、ピアノだけではなく、オーケストラの演奏もより洗練されていて、切なく美しくそして激しい旋律は聴く人の心を捉えて離しません。

【第1楽章】ニ短調 アレグロ マ ノン タント(快速に、しかしはなはだしくなく)
ソナタ形式。
悲しげで抒情的なセンチメンタルな美しい第1主題をピアノが歌い出します。しばらくこの第一主題を中心に展開された後、とても美しい流れるような明るい感じの第2主題があらわれます。
オーケストラと一つになって私の心に押し寄せてくる・・・。流れるような演奏にうっとり。とてもエネルギッシュな展開部は、聴いている私まで思わず全身に力が入ってしまいます。
第1主題がさまざまな変化をつけて演奏され起伏にとんだ展開を見せます。華麗な盛り上がりの後、穏かに終わります。

【第2楽章】イ長調 インテルメッツォ アダージョ(間奏曲、緩やかに)
自由な三部形式による構成。
ラフマニノフらしい甘美で情緒溢れるこの楽章は、私のお気に入りです。
オーボエによって切々と歌われるわびしげで美しい主題を、オーケストラが受け継ぎ、憂いに包まれた美しい音楽が広がります。時折激しさも見せる華麗なピアノに魅せられていきます。中間部では第1楽章の第1主題に基づく旋律が、多彩に展開され、徐々に華やかさと情熱を高めながら盛り上がりをみせます。自由で軽快な舞曲調の部分も現れた後、ピアノがカデンツァふうのコーダを奏して力強く半終止で結ばれると、切れ目なくフィナーレ・第3楽章へとなだれ込みます。

【第3楽章】ニ短調 フィナーレ アラ ブレーヴェ( 2分の2拍子)
ソナタ形式。
いよいよフィナーレへ・・・ピアノとオーケストラがクライマックスへと盛り上がり、迫力ある演奏に時を忘れます。
ピアノにより威勢いよく奏でられる主題が、弦楽器によって変形され、さらにリズミカルに動き回るピアノにリードされ展開されていきます。しなやかで甘美な旋律が現れロマンティックな雰囲気に包まれます。やがて第1楽章の冒頭部分が現れ、それまでの主要な部分が織り混ぜられながら進みます。第一楽章の展開部冒頭の旋律が、雄大に奏された後、勢いよく終結されます。






☆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第三番ニ短調を聴く(CDの記録)

@ピアノ:ヴラディーミル・アシュケナージ / 指揮:アンドレ・プレヴィン / ロンドン交響楽団    1970年4月&1971年11月録音
Aピアノ:アリシア・ラローチャ / 指揮:アンドレ・プレヴィン / ロンドン交響楽団    1974年録音
Bピアノ:セルゲイ・ヴィシリエヴィチ・ラフマニノフ / 指揮:ユージン・オーマンディ / フィラデルフィア管弦楽団  1940年11月4日&2月24日録音