マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」



ピアノ協奏曲第二番ハ短調

☆作曲の背景☆
若きラフマニノフは、モスクワ音楽院の卒業作品として1892年に作曲、1894年4月異にボリショイ劇場で初演された歌劇「アレコ」の成功によって、新進作曲家として華々しいスタートを切りましたが、1897年にサンクトペテルブルグで初演された交響曲第一番は、聴くに耐えないと言われるほどの酷評を受けました。ラフマニノフは大ショックを受け、極度のノイローゼに陥りますが、その彼を見事に立ち直らせたのが、ニコライ・ダール博士。ラフマニノフは博士の催眠術を応用したサイコセラピーにより、徐々に心の健康を取り戻します。そうして1901年に生まれたのがピアノ協奏曲第二番です。初演は1901年10月27日、ラフマニノフ自身のピアノ、A.ジロティ指揮のモスクワ・フィルによって行われ、大成功をおさめました。そして、この曲はダール博士に献呈されました。


ラフマニノフのピアノ協奏曲の中でも、最も人気のある作品でしょう。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番とともに、ロシアのピアノ協奏曲の最高傑作であり、ラフマニノフが真に個性的」な創造を確立した記念すべき作品でもあります。
とてもロマンティックでセンティメンタルな味わいと、ダイナミックで華麗な演奏を持ち合わせたこの作品は、第三番と共に幅広く根強い人気を持ち続けています。3楽章のどれをとっても、それぞれに強く心を動かされます。

【第1楽章】ハ短調 モデラート(中庸の速さで)
ソナタ形式。
ピアノの暗く重々しい「鐘の響き」で始まります。管楽器がその波を受け継いで流麗に第一主題を奏でます。その波はピアノと一つになって、聴く人の心の中へと流れ込んできます。やがて、ピアノが甘く感傷的な第2主題を歌い上げ、とてもロマンティックな世界へと導きます。展開部は第一主題の素材によってさまざまな曲想が描かれ、第二主題も加わってとても華麗な雰囲気が大きく広がります。そしてホルンによってゆったりとした音楽が奏でられ、ピアノの静かで美しい調べへと引き継がれますが、最後は力強く終わります。とても情熱的な楽章です。

【第2楽章】ホ長調 アダージョ ソステヌート(緩やかに、各音の長さを十分に保って)
三部形式。
甘美な旋律が優しく優しく包み込んでくれます。それは時にくるおしく、聴き手の心に染みてゆき涙を誘う事も・・・・・。ラフマニノフ特有の甘美でロマンティックな魅力溢れる楽章です。
コラール風の序奏に続いて、ピアノが3連音の分散和音を引き始めます。それを伴奏としてまずフルートが、続いてクラリネットがとても神秘的な主題を奏でます。美しい月夜の晩を思わせるような、静かな雰囲気に包まれます。中間部は華やかな展開がみられますが、やがて主部の旋律が弦楽器によって美しく再現され、静かに消えていきます。

【第3楽章】ハ長調 アレグロ スケラツァンド(快速に、陽気に)
自由なソナタ形式。
冒頭から「ピアニストの腕の見せどころ」とでもいいますか、第2楽章から一転して激しい波のような演奏で始まります。華麗なロンド風主題が提示され、それに続くオーボエとヴィオラによる副主題は、とてもロマンティックで美しい旋律です。これがピアノによって甘く歌い継がれます。(私がこの曲で最も愛する旋律でもあります)
最後はこの副主題が壮大かつ朗々と歌い上げられ、ピアノが力強く修飾します。テンポがどんどん速くなり、特徴的な強打和音の4連打によって、決然と幕を閉じます。






☆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第二番ハ短調を聴く(CDの記録)

@ピアノ:スヴャトスラフ・リヒテル / 指揮:スタニスラフ・ヴィスロツキ / ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団    1959年4月録音
Aピアノ:ヴラディーミル・アシュケナージ / 指揮:アンドレ・プレヴィン / ロンドン交響楽団    1970年4月&1971年11月録音
Bピアノ:セルゲイ・ヴィシリエヴィチ・ラフマニノフ / 指揮:レオポルド・ストコフスキー / フィラデルフィア管弦楽団  1929年4月10日&13日録音