マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」



ピアノ協奏曲第一番嬰ヘ短調

☆作曲の背景☆
この曲は、ラフマニノフがモスクワ音楽院在学中の1890年〜91年にかけて(17歳〜18歳)作曲されました。すでにいくつかの習作を書いていましたが、この最初の協奏曲によって作曲家としての才能を認められ、作品1として出版されました。初演は1892年に第1楽章だけがモスクワ音楽院の学生演奏会で、第2、3楽章はそれからだいぶ経った1900年12月2日に、ラフマニノフ自信の独奏で行われました。その後、徹底的に改作されて、現在の形に整えられたのは1917年秋、ラフマニノフがロシアから亡命する直前でした。


私の場合、ピアノ協奏曲第2番、第3番を聴いたあとにこの曲を聴いたわけですが、第2番のようなロマンチックで哀愁漂う作品や、第3番のようにドラマチックな作品とくらべると、その2作品があまりにも印象が強すぎて若干、ほんのちょっとだけ物足りなさを感じるような気がします。
しかし、ロシアらしい力強さと美しい旋律の交錯による”ラフマニノフらしさ”は確かに存在しており、ピアノのテクニックは「さすが!」と思わせる作品です。
第2番、第3番しかお聴きになってない方、是非一度聴いてみてください。

【第1楽章】嬰ヘ短調 ヴィヴァーチェ(生き生きと、速く)
ソナタ形式。
管楽器の力強いファンファーレに導かれて、ピアノが3連音を主にした奔放な趣のカデンツァを奏でます。哀愁漂うヴァイオリンが第1主題を奏でる中、ピアノの美しい旋律が流れてきます。ラフマニノフらしい切ないくらい美しい調べです。その後、第1ヴァイオリンが幻想的で優美な第2主題を奏でます。展開部はとても華やかに演奏されています。ロシア的な力強さと情緒溢れる演奏が交錯しながら、この楽章は終結します。

【第2楽章】ニ長調 アンダンテ(ゆっくりと、歩く速さで)
とてもロマンチックな雰囲気が漂います。情感豊かで、時に哀愁を含んだ美しい楽章です。ピアノがカデンツァを1節奏でた後、情感豊かな主題が管弦楽なしで歌われます。これにロシアふうの旋律が絡みながら進み、哀愁を深めていきます。終盤近くの、まるで夜の星空を見上げているかのような、体が浮いていくようなピアノの調べがいいですね。

【第3楽章】嬰ヘ短調 アレグロ・ヴィヴァーチェ(快速に・生き生きと、速く)
第2楽章から打って変わって、いきなり躍動感溢れる演奏で始まります。中間部では、とてもセンチメンタルで美しい旋律に包まれます。最後はピアノとオーケストラが高揚した後、主題の再現となり、第1主題の序奏を用いた華麗なコーダを向えて、力強くクライマックスを迎えます。








☆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第一番嬰ヘ短調を聴く(CDの記録)

@ピアノ:ヴラディーミル・アシュケナージ / 指揮:アンドレ・プレヴィン / ロンドン交響楽団    1970年4月&1971年11月録音