マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」



交響曲第四番ト長調

☆作曲の背景☆
第4交響曲は1899年の夏から、ザルツブルク近郊のアルトアウスゼー湖での避暑中に始められ、1900年の夏にヴェルターゼ湖畔のマイヤーニッヒで完成されました。マーラーが1897年にウィーン宮廷歌劇場の音楽監督に就任した後の初めての大きな作品です。上記の作成年は第1楽章〜第3楽章だけに関しており、第4楽章は9年も前に作曲され「魔法の角笛」による歌として存在していました。
初演は1901年11月25日ミュンヘンでマーラー自身の指揮、カイム管弦楽団(後のミュンヘン・フィル)の演奏で行われました。


この第四番は、マーラーの交響曲の中でも最も平明で簡素な趣を持ち、明るい楽想になっていて多くの人に親しまれてきた名曲とされています。
印象としては、マーラーの他の作品と比べてもあまり激しい感じがないように思いました。作曲された時期のマーラーの状態が、ウィーン宮廷歌劇場の音楽監督に就任した直後と言う事もあり、いろんな意味で安定した時期であった事も反映されているのでしょうか。

【第1楽章】卜長調 落ち着いて
ソナタ形式。
この第1楽章のソナタ形式は、これまでのような巨大なものではなく、むしろ古典派の伝統に従ったバランスのとれたものになっています。第一主題は、鈴の音とフルートによる短い導入の後、弦楽器、管楽器とさまざまな楽器に受け渡され、音色、色調の変化がおもしろく作られています。
大きく伸びのある演奏部分は、とても穏かな気分にひたれます。

【第2楽章】ハ短調 気楽な気持ちで、急がずに
スケルツォ。
不思議な世界に迷い込んだような・・・・・そんな感じを受けます。
奇妙といいますか、ユニークな音階の合間に、時折流れる静かで美しいメロディー。
この楽章では、長2度ずつ高く調弦されたソロ・ヴァイオリンが使われます。奏者はソロの部分はこの調律し直された楽器を使い、その他の部分は普通の楽器に持ち替えて弾くようになっている事など、ここにもマーラーらしい「こだわり」が顔を覗かせているようです。

【第3楽章】卜長調 静かに
変奏曲の形式。
とても静かで美しいマーラーの世界が広がります。透明感溢れるその響きは、時にせつなく心に響きます。ゆっくりと穏かに時が流れます。

【第4楽章】卜長調 きわめてなごやかに
クラリネットのなごみに満ちた旋律に乗って、ソプラノが「天国の喜び」を独唱しはじめます。天上の至福に満ちた楽章になっています。優しく、とても澄んだ美しい歌声で、こう語りかけてきます。

〔第1節〕
私達が楽しんでいるのは天国の喜び
だから、地上の俗な暮らしは避けている
俗世のやかましい騒ぎなどひとつも
天国にいると聞こえてきはしない
何もかもこよなく穏かに安らいで
こよなく穏かに安らいで生きている
私達が送っている暮らしは天使の生活
そればかりか じつに愉しく
じつに愉しく朗らかな私達
私達が送っている暮らしは天使の生活
踊ったり、飛んだり
跳ねたり、歌ったり、私達は歌う
天国の聖ペテロ様が眺めている中で

〔第2節〕
ヨハネが子羊から目を離さないか
暴君ヘロデは待ち窺っている
私達のすることは 忍耐づよい
いまだ罪を負わずにいる 寛容な
愛らしい子羊を死に導くこと
聖ルカ様ときたら うっかりと
よく考えもせず牡牛を殺して肉にしてくれて
お酒も天国の酒蔵では
まるでただ、
小さい天使達がパンを焼いてくれる
〔第3節〕
類さまざまなおいしい野菜もあって
天国の庭園にはえている
上等のアスパラガスに 隠元豆
ほしいものはなんでもあって
深いお皿にいっぱい揃っている
おいしい林檎 おいしい梨においしい葡萄
庭守達は好きなだけとらせてくれる
鹿がほしけりゃ 兎がほしけりゃ
だれはばからず悠々と
動物達のほうから駈け寄ってくる
禁肉の日ともなれば
待ってましたと聖ペテロ 網に餌つけ 天国の
生け贄のなかに走りこむ
料理はぜひともマルタ様

〔第4節〕
音楽も、地上のいずこを探しても
こちらのものと肩を並べるものなどない
一万一千の処女達が
思いのままに踊っている
聖ウルスラ様ご自身もつい誘われて笑っている
聖ツェツィーリアとその一族は
たぐいまれなる宮廷音楽団
天使達の歌声が 五官の全てを冷ますので
なにもかも、喜びの為に 目を覚ます






☆マーラー:交響曲第四番ト長調を聴く(CDの記録)

@指揮:ロリン・マゼール / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / ソプラノ独唱:キャスリーン・バトル    1985年録音
A指揮:エリアフ・インバル / フランクフルト放送交響楽団 / ソプラノ独唱:ヘレン・ドナート    1985年10月10、11日録音