マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」



交響曲第二番ハ短調「復活」

☆作曲の背景☆
この第二番は当初、第一番「巨人」の葬送の為の音楽として単一楽章で構想され、交響詩「葬儀」という標題がつけられていました。その後、更なる楽章を続ける事を決め、ザルツカンマーグートのアッター湖のほとりで、美しい風景と静寂に囲まれて、「葬儀」に続く3楽章が1893年に始まり、完成しました。しかしこの夏には、フィナーレはほんの少しスケッチが書かれたに過ぎませんでした。翌年の春、大指揮者ハンス・フォン・ビューローの葬儀がきっかけとなり、壮大なフィナーレ「第5楽章」が完成しました。


マーラーの作品の中で私がはじめて聴いた声楽付き交響曲です。
マーラーが自由に描いた最後の審判の日の音楽は、空間(楽器の配置場所)と休止を劇的に用いる事で、次の二重の機能が前面に出ないように工夫されています。一つは、前の楽章に現れた主題をエコーとして用いて、狂乱のクライマックスを劇的に築き上げています。もう一つは、フルート、ピッコロと、舞台裏の金管とによる不思議な対話によって模倣される「最後の審判のラッパ」です。
この曲はとても宗教的といいますか、「高貴な精神」とでもいいますか、そういう印象を受けます。多分、第4、第5楽章の歌詞がそうさせるのでしょう。私は宗教についてはさっぱりで、その事を深く語る事はできないのですが、もし私がキリスト教(マーラーは、この時はまだユダヤ教だったと思いますが)信者であったなら、もっと意味深くこの曲をとらえられたかもしれません。

【第1楽章】ハ短調 葬送 アレグロ・マエストーソ(まじめで荘厳な表現で一貫して)
とても重々しい、荘重な葬送行進曲がはじまります。そしてふっと流れてくる切なく美しい旋律。
興奮の波が繰り返し押し寄せてくる、とても激しい音楽です。またオーボエとホルンを主として奏される音楽は、束の間の安堵感を与えてくれます。
マーラーがピアノ・スコアをもとにハンス・フォン・ビューローに聴かせた時、あまりにも斬新であったが為に辛辣な拒否にあったというのがわかるような・・・とても印象に残る楽章です。

【第2楽章】変イ長調 アンダンテ・モデラート( 非常にゆったりといそがずに)
ワルツを踊っている様な綺麗な音楽ではじまります。第一楽章の重々しさ、激しさから開放されとても穏かで、和やかな雰囲気の楽章です。 テラスで柔らかな日の光を浴び、ゆっくりとくつろぎながら聴きたい音楽です。
やがて静かながら切ない音楽が迫ってきます。

【第3楽章】ハ短調 スケルツォ (静かに流れるような動きで)
面白い曲想です。あちこちに飛び移るような・・・。気持ちが浮いたり沈んだりするような。でもそれは決して大袈裟なものではありません。打楽器、金管、木管が効果的に使われてユニークです。遠くから流れてくるハーブもいいですね。

【第4楽章】変ニ長調 原光 (極めて荘厳に、しかし簡素に)
アルト独唱で幕を上げます。とても美しく高貴な歌声です。その歌声にハーブが重なって、安らかな雰囲気の楽章になっています。

「子供の不思議な角笛より」

おお、紅の小さき薔薇よ!
人間はこの上なく苦しんでる!
人間はこの上なく悩んでいる!
そう、許されれば天国へ行きたいもの!
その時にはもう広い道をたどっていた
すると天使が一人現れ、
私を追い払おうとした。
おお、そんな!
むざむざ私はあとに引き下がりなどしなかった。
私は神から出たもの、再び神の御許に戻るのだ!
神さまはきっと微かにせよ
光を与えてくださるだろう。
光り照らして永遠の至福に満ちる生に至るまで
導いていってくださるだろう!

【第5楽章】 スケルツォのテンポで、荒々しく進むように
第4楽章とは、とても対照的です。「復活」の名にふさわしく、大きくて力強く、勇気が溢れ出てきます。とても長い楽章で、場面もいくつかに分けられてます。
最後は壮大な合唱とオーケストラの共演が、鐘の音と共にクライマックスを迎えます。
蘇る、そう、蘇るだろう
わが塵なるものよ、束の間の憩いを経たならば!
死す事を知らぬ生命!死す事を知らぬ生命を
お前を呼びたまいし方が授けてくださるだろう。
再び花咲く為にお前は種として蒔かれる!
収穫の主は 歩み行きて
穀物の束なる私らを
死んだ私らを拾い集めたもう!
おお、信じておくれ、わが心。
お前はなにもなくしはしない!
お前のものだ、そう、お前のものだ
お前が憧れていたものはどれも!
お前のものだ、お前が愛していたものは
お前が争っていたものはどれも!
おお、信じておくれ、訳あればこそ
お前は生まれたのだと!
お前は訳あればこそ愛しもし、争いもしたのだと!
生まれ出でたものは、やがて消え失せる運命!
消え去りしものは蘇る運命!
おののき慄えないでおくれ!
生きる覚悟を決めておくれ!
おお、苦しみ!すべてに滲透するものよ!
私はお前からようやく逃げてきた!
おお、死!すべてを征服するものよ!
今こそお前の方が征服されたのだ!
私はかちえた翼を広げ
愛する勤めに励みつつ
漂い飛んで消えるだろう。
いかなる瞳もむけられぬ眩い光のもとに!
生きるためにこそ死ぬのだ!
蘇る、そう、蘇るだろう
わが心よ、たちまちのうちに!
お前が脈打たせていたものが
お前を神の御許に担うだろう!

この曲を聴き終えて、改めて人間の声の美しさに気付かされました。楽器にはない音の表現・・・声楽に少し興味がわいてきました。
ただ、あまりのスケールの大きさ、そしてその激しさゆえに、毎日は聴けないかな?と思ってしまう私でした(~~;





☆マーラー:交響曲第二番ハ短調「復活」を聴く(CDの記録)

指揮:ズービン・メータ / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
              / ウィーン国立歌劇場合唱団(合唱指揮:ノルベルト・バラチュ)    1975年2月録音