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クラシックCD鑑賞 ひとくちレポート(ブラームス)

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交響曲第1番〜第4番
カラヤン&ベルリンフィル
★ 交響曲第1番〜第4番★
カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1978年(No.4)、1987年(No.1、2)、1989年(No.3))  (2007/4/22 記)

○ 交響曲第1番 ハ短調

着想から完成までに21年という歳月を要したというこの交響曲。ベートーヴェンをかなり意識しての作曲であったがための労作だったのでしょう。それだけの作品にふさわしい構成力と美しさをもったとてもすばらしい曲です。
第1楽章、地を打つようなティンパニの強打にヴァイオリン、チェロの迫り来る旋律に始まるとても印象的な出だしは、一度聴いたら、なかなか忘れられるものではありません。木管によるむせび泣くような旋律、迫力ある演奏は、この交響曲がカラヤンの十八番と言われる通り、あの凛とした姿で指揮をするカラヤンを、そのまま思い浮かべられる楽章でした。
第2楽章、嵐の去った雲の間から、優しい光が差し込んできます。とても美しく、穏かな優しさに包まれます。オーボエのソロ演奏がなかなかいいです。
第3楽章、軽やかな雰囲気の楽章です。
第4楽章、アルペンホルン風の朗々とした旋律は、私に大きくつらなる山々を思い起こさせます。ベートーヴェンの第九における歓喜の歌を思わせる旋律を含んだこの楽章。第1楽章とは対照的にハ長調という調でクライマックスを迎えるのも私好みで、感動的でした。

○ 交響曲第2番 ニ長調

この曲は、第一番とは対照的に、わずか4ヶ月という短期間で作られました。オーストリア南部のペルチャッハという街に滞在していた時に書かれたもので、この地の大自然から受けた感動がのびのびと表現され、牧歌的で、とっても美しい世界です。
第1楽章、ホルンが牧歌的な第1主題を出し、木管がそれに応える。弦楽器が明るく、そして落ち着いた感じのやや愁いを帯びた旋律を歌います。大きな翼を広げ、大自然の上を自由に気持ちよく飛んでいる気分、気持ちも解放されます。
第2楽章、第1楽章からの美しい旋律はそのままに、いっそう物憂い表情を増し、悲劇的な高まりをみせます。切なく美しく心に響きます。
第3楽章、オーボエがおっとりと登場。突然テンポが速くなり、弦楽器がせわしく入ってきます。第1、2楽章とはちょっと空気が変わります。
第4楽章、歓喜に満ちた最終楽章。時に穏やかでありながら情熱的に歌われています。クライマックスは高揚しながら、歓呼で全曲が結ばれます。


○ 交響曲第3番 へ長調

演奏時間は他の交響曲と比べても短いのですが、堂々と自信に満ちていて、スケールの大きな作品という印象受けました。
第1楽章、第1主題が強烈に示されます。長調と短調が幾重にも重なって、明るく情熱的でありながら、時に暗く、そして時に静かな旋律が大きく渦を巻きます。
第2楽章、クラリネットとファゴットで奏されるゆったりとした雰囲気。全般的に美しくそして気持ちが清らかに明るくなる楽章です。
第3楽章、憂愁漂う旋律での始まり。「どこかで聴いたクラシック」という感じで、よく知られる音楽です。木管の優しく柔らかな旋律。ホルンによる主部の再現も雰囲気があります。
第4楽章、ファゴットと弦が第1主題を示し、静かで不気味な雰囲気が立ち込めます。突然、音楽は激しく情熱的にすすみ、大きな波の様に押し寄せます。全身が熱くなるのを感じます。最後は明るい日の光に優しく包まれるように、静かに曲を閉じます。


○交響曲第4番

古い様式に独創性とロマン性を盛り込んだ、円熟した作品としての評価がなされている作品です。作者の内に秘めた情熱が伝わってくる、そういう楽曲です。
第1楽章、ヴァイオリンが哀愁を漂わせながら優しく歌います。音楽は時に三連音を使ったリズミカルなものとなったり、ホルンが伸びやかに大きく歌う。木管のなめらかで軟らかい音。全てが絡み合いながら、最後は悲劇的に高まって終わります。
第2楽章、ホルン、そして木管ではじまるとても長閑で、安らぐ出だし。弦がピチカートを刻む上に、木管が少し物悲しげに歌います。やがてとても優しく、とても美しい世界が広がります。感動的な楽章です。
第3楽章、突然、豪快で爽快な音楽が登場します。哀愁漂う他の楽章と比べて唯一明るい響きを持ち、テンポも弾みます。トライアングルも活躍してます。
第4楽章、一定の低音の上に、自由に和音と旋律を重ねるシャコンヌ(一種の変奏曲)が繰り返されます。30回以上の変奏が織り成される、典型的なバロック音楽の形式による変奏曲です。その音楽は、少しずつ微妙な変化をつけながら、さまざまな楽器に歌い継がれます。最後は、だんだんとテンポが上がり、高揚しながら熱い和音で終止します。
第3楽章などはとてもよかったのですが、第1、第2楽章は、もう少したっぷりしたと叙情的な演奏の方が私好みでしょうか・・・。


カラヤンの熟練された指揮により、情熱的に、神秘的に、そして悲劇的に作りあげられたブラームスの世界を、世界最高峰と呼ばれる完璧なベルリン・フィルの一糸乱れることのない、細かいところまで見事に統一された最高の演奏で感動的に、そして安定感のある音楽に仕上げられていました。 このCD2枚組みで第1〜第4まで聴けて、とっても得した気分になれました。



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