オリジナルのパーツはスイッチ類とコネクタ、表示系、VRを除いて全て交換している。ベークライトの基盤は高周波特性が余り良くないが、EQ部は影響が少ないので新たに設計/交換することは見合わせる。
電源周りにはポリエステル、信号系にはタンタル・コンデンサーに交換。信号系の抵抗は全て誤差1%・1/4Wの金属皮膜抵抗を使用する。改造はまず、基盤裏面のハンダを半田吸い取り器で取り除き、オリジナルのパーツを取り外すことから始める。OpAmpの取り外しが少々やっかいだが、ハンダを吸い取る前に、流れの良いハンダを足すことで、取り外しが容易になる。
部品を選択する際に気をつけることは、コンデンサーの耐圧、及び抵抗のワット数。EQ基盤に供給される電圧は実測プラスマイナス15V未満なので、あまり神経質になる必要はないが、パワーアンプ及び電源基盤の部品をリプレイスする際には部品の定格に注意すること。特にパワーアンプICにはプラスマイナス38V程度の高電圧がかかっているので、取り扱いには細心の注意を払う必要がある。また、今回の改造では電源周りにタンタルコンデンサーを使用したことが原因で、負電源にトラブルが発生し、結果としてパワー部からDCオフセットが出てしまった。このようなケースでは最悪の場合スピーカーが焼損するので、改造後はスピーカーを接続する前に必ずテスターなどで各部の電圧を測定して安全を確認しよう。測定箇所は、まず通電前に電源周りにショートが無いことを確認し、通電後は各部の電源電圧とスピーカー端子のオフセットを測定する。また、ハンダを吸い取った際に出るハンダくずがプリントパターン間のショートの原因になる恐れがあるので、部品実装後には今一度基盤の入念なチェックが必要だ。パワーアンプ基盤にはフェライトコアによる配線のリワーキングが行われているために、基盤裏がごちゃごちゃしている。ショートや誤配線に注意しよう。

*改造にトライする場合は、当然のことだがAt your own risk だ。改造によって起因するいかなるトラブルにも当方は責任を持たない。