先に知りたい


 クサナギ、M1のシュミレータを使っての模擬戦闘訓練中。
 管制指令役を務めるのはアスラン。
 元々はフラガの役だったが、現在は負傷でAAにカンヅメなので、アスランにお鉢が回ってきたのだ。
 パイロット、アサギたちの黄色い声は、訓練中も終わった後でも途切れることはない。

「全く!おまえら、緊張感無いぞ!」

 たまたま通りがかった風を装って、カガリが3人娘に檄を飛ばす。
 が、3人娘は意に介さない。

「だって、ずっとずっと緊張してたら本番では疲れて使い物になりませんよ?」
「そうそう。カガリ様がココにいらっしゃる理由と同じですよー」
「リラックスリラックス!一緒にアスラン様のお話聞きましょう!」

 女性に囲まれたり騒がれたりする経験皆無なアスランは、どう反応すればいいのか解からず、ただたじたじと退くばかり。
 カガリは余計にムカっとする。

「私はっ、ここに遊びに来ているわけではない!アスランもアスランだ。終わったのならエターナルで休憩しろよ。パイロットは休憩も仕事なんだろ!?」
「なーに怒ってるのよ、カガリ様?」
「怒ってなんかいないー!」

 …怒っている。が、やはり三人娘は意に介さず、高い声で笑う。

「それでは、私たちもパイロットの仕事として、休憩に入ります!ありがとうございました!」
「ありがとうございましたーアスラン様!」
「ザフトの赤い制服の話、また後日聞かせてくださいねっ!では失礼しまーす!」

 ふざけた敬礼を残して、3人娘がブリーフィングルームへ消えてゆく。
 …
 残された、アスランとカガリ。

「あ、じゃあ、俺も…帰った方がいいか?」
「何で?」
「おまえがさっき、エターナルで休めって言ったじゃないか」
「あ、ああ。そうだっけ」

 アスランが、帰る、と言っただけで、なんとなくカガリは落ち込んだ。
 そんなつもりで言ったわけではなかったのに。
 伏し目がちになったカガリの明るい金髪を、アスランが励ますように撫でた。

「どうかしたのか?」

 カガリがハッと顔を上げる。
 寂しくて、ウズミに構って欲しかった時、きっとカガリは今と同じ顔をしていた。
 そして、アスランと同じことを優しい父はしてくれたのだ。
 少し嬉しくなって、少し涙目になってしまった。

「なんでもない。ありがとう。エターナルへ戻って休んでくれ」
「一緒にいて欲しいなら、そう言ってもいいんだぞ」
「…アスランも緊張感無いんだな」
「今は、ね」

 アスランの手が離れ、エターナルへ戻るランチへ向かう為に軽く床を蹴る。
 カガリも、アスランの後を追うように、シュミレーションルームの壁を押した。

「格納庫まで送る」
「すぐ近くだからいいよ」
「そう言うな。ちょっとだけ…あの3人に話す前に、私にザフトの赤い制服の話をして欲しい」

 アスランが覗き込んだカガリの表情は、いつもの負けん気の強い笑顔だった。



おわり?



なんだなんだ、このショート!? ちょいと、日常会話でこんなのが見たいと。(滝汗)

2003/09/29 UP


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